[管理番号:3500]
性別:女性
年齢:67才
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最近、田澤先生のコラムを読み始め、信頼できると確信し、初めて質問させて頂きます。
経過は以下です。
質問は最後にまとめて書いてあります。
よろしくお願いします。
67才女性、2016年6月(上旬)日、左胸にしこりを見つけて検診を受けました。
精密検査の結果は、
左乳癌 硬癌
大きさ1,9mm
Tic No Mo
Stage 1
Er + [高度] PgR ? HER2 ?
Ki67 15%くらい
ルミナールB
骨転移なし
他臓器転移なし
グレード1
7月(上旬)日に左全摘しました。
再発、転移の観点から安全かどうかだけが関心事で、美容的な事には感心がない、と主治医に伝えた所、全摘を勧められ、同意しました。
再建術もしませんでした。
1週間後退院し、普通の生活をしています。
術後の病理検査で、腫瘍は2,2cm T2
リンパ節転移なし
遠隔転移なし
脈管侵襲 1+ (これが気になります)
ステージも最初は1だったのですが、2Aになりました。
治療法は、ホルモン療法だけ、ホルモン治療と経口抗ガ
ン剤2年、どちらでもよい、と言われ迷ってしまいました。
主治医はどうしても抗ガン剤を勧める、、、というニュアンスではなく、考えて置いて下さい、と言われました。
副作用が心配ですが、吐き気もしないし、髪の毛も抜けないが、肝臓、腎臓に負担はある、と言われました。
現在、ノルバデックスを朝に飲んでいます。
次回の検診で、抗ガン剤を追加するか決めることになっています。
以下、質問です。
1. 私の場合、ホルモン療法だけの5年後、10年後の再発、転移のベースラインリスクはどのくらいですか。
2. 抗ガン剤を2年追加することで、そのリスクはどれ位減らせるのですか。
3. 1年では効果がないのですか。
4. 途中で止めると何らかの害がありますか。
5. 脈管侵襲 1+というのは、どのくらい悪い事なのですか。
血液に乗ってがん細胞が体中に回っているということですか。
6. ベータグルカンを多量に含み、体内でインターフェロンの生成を促すと言われる、はなびらたけ、のサプリメントを飲んでいます。
(主治医の許可をもらっています)サプリメントは効果があると思われますか。
7. 田澤先生なら、抗ガン剤をお勧めになりますか。
質問は以上です。
本当は抗ガン剤を飲みたくありません
が、必要なら、また副作用が我慢できる範囲なら、後悔しないために、やってみようかな、と思い始めてはいます。
事情があり、どうしても働かなくてはならないので、生活の質を落とすわけにはいかないのです。
よろしくお願いします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「Ki67=15%くらい」とありますが、術後標本では測定していないのでしょうか?
術後の病理結果では「腫瘍径=浸潤径?=22mm」「リンパ節転移なし」しか記載が有りません。
その他の「核グレード」「Ki67」の術後の測定値が無いと、コメントが難しくなることをご了承ください。
「1. 私の場合、ホルモン療法だけの5年後、10年後の再発、転移のベースラインリスクはどのくらいですか。」
⇒病理結果の「核グレード」の値が無いと解りません。
「2. 抗ガン剤を2年追加することで、そのリスクはどれ位減らせるのですか。」
⇒経口UFTによるエビデンスはありません。
「3. 1年では効果がないのですか。」
⇒「2」で回答したように、そもそも「2年飲んでも本当に意味があるのか」不明です。
「4. 途中で止めると何らかの害がありますか。」
⇒それはありません。
「5. 脈管侵襲 1+というのは、どのくらい悪い事なのですか。血液に乗ってがん細胞が体中に回っているということですか。」
⇒違います。
たんに、「顕微鏡の切片で、そのような像を認めた」だけの話です。
実際に「体を巡っていることとは無関係」です。
「6. ベータグルカンを多量に含み、体内でインターフェロンの生成を促すと言われる、はなびらたけ、のサプリメントを飲んでいます。(主治医の許可をもらっています)サプリメントは効果があると思われますか。」
⇒私はエビデンスのあるものしか認めていません。
「7. 田澤先生なら、抗ガン剤をお勧めになりますか。」
⇒実際のサブタイプ(手術標本でのKi67値など)がないと判断できません。
ただし、いずれにしても「経口UFTは勧めません」
質問者様から 【質問2】
管理番号:3500
田澤先生、ご丁寧で、率直な回答を頂きありがとうございました。
Ki67の値は病理検査前は15%でしたが、病理検査後値はわかりません。
核のグレードは2でした。
エストロゲンのみ高度陽性で、PR HER2は陰性です。
以下、病理検査の情報です。
IC and /or LY: #4 #5 #8 #10
Ductal spread:#5 #8
Scirrhous carninoma
Intraductal component (+)
Modified Bloom Richardcon Grading:
Tubular formation : Score 3 Mitoses score: Score 1
(Mitoses=2/10 HPF, 視野数26.5) Nuclear grade
score: Score 2
Total score=6 Tumor Grade 2
Ly or v:+.f
Sentinel (-, 0/3) in OSNA
pT2 (tumor size=2,2cm)
margin (2-5mm)
IC#8(muscle)
Margin (<2mm)
IC:#5 (muscle)
Special staining for Her2, PR. ER:#8
追加質問があります。
アドバイスよろしくお願いします。
「5. 脈管侵襲 1+というのは、どのくらい悪い事なのですか。
血液に乗ってがん細胞が体中に回っているということですか。」
⇒違います。
たんに、「顕微鏡の切片で、そのような像を認めた」だけの話です。
実際に「体を巡っていることとは無関係」です。
1. 脈管のがん細胞は、血液に乗って他の所に移動しないのでしょうか。
脈管に認められた癌細胞がどこかで芽を出すかも、、、、、と考えてしまい、恐ろしくなってしまいます。
2. UFTは勧めない、とおっしゃいましたが、田澤先生なら術後どんな治療をお勧めになりますか。
生活の質を落とさず、再発、転移を避けたいのです。
今はノルバデックスだけです。
3.ノルバデックスだけを5年服用したとして、10年後の無病生存率はどのくらいになるでしょうか。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
pT2(22mm), pN0, luminal, NG1
この病理結果で「UFTを勧めている」担当医に理解ができません(そもそもUFTは効果が不確定ですが)
どう考えても「ホルモン療法単独」です。
「1. 脈管のがん細胞は、血液に乗って他の所に移動しないのでしょうか。脈管に認められた癌細胞がどこかで芽を出すかも、、、、、と考えてしまい、恐ろしくなってしまいます。」
⇒癌で有る以上(脈管侵襲の有無にかかわらず)その可能性は当然あります。
○冷静に考えてみてください。
浸潤癌である以上、どんなに早期でも「その可能性はゼロにはならない」のです。
「脈管侵襲とは無関係」です。
「2. UFTは勧めない、とおっしゃいましたが、田澤先生なら術後どんな治療をお勧めになりますか。」
⇒UFTは、そもそも標準治療ではありません。
抗ガン剤を「もしもやるならば」普通の抗ガン剤(点滴)を選択するべきです。
ただし、質問者に「抗ガン剤を勧める根拠が全くない」ので、当然私であればホルモン療法単独(閉経後だから、当然アロマターゼインヒビターとします)
「3.ノルバデックスだけを5年服用したとして、10年後の無病生存率はどのくらいになるでしょうか。」
⇒8%です。
しかし、なぜ「ノルバデックス」なのでしょうか?(副作用を恐れて?)
通常は、まずは(標準である)「アロマターゼインヒビター」を飲んでみて「駄目ならノルバデックスへ変更」とすべきでしょう。
質問者様から 【質問3】
田澤先生、いつもご親切に対応、回答して頂き感謝の気持ちで一杯です。
先生のように的確な判断をして頂けると、患者は安心できます。
田澤先生ならホルモン治療単独にする、と聞いてちょっと安心しました。
あともう少しだけお願いします。
2011年、私の骨密度はYAMと比べて54%でした。
すぐに新アクトネル錠を週一回、エディロールを毎日一錠飲み始めました。
毎年1回骨密度の検査をして、2016年にやっと62%になったのです。
骨密度に関する懸念を主治医に伝えたので、ノルバデックスになったのだと思います。
Q1.骨密度がこんなに低くても、AIをまず試すべきだと思われますか。
デノスマブ(プラリア)を使用しながらなら心配ないということでしょうか
ノルバデックスだけを5年服用したとして、10年後の無病生存率はどのくらいになるでしょうか。」
⇒8%です。
Q2.生存率が8%ですか?再発率ですか?
Q3.この数字は、AIに変えると、どのくらい変るのですか?
Q4.今後、再発、転移を調べるために、どのような検査をどのくらいの頻度で受けたらいいでしょうか。
よろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「Q1.骨密度がこんなに低くても、AIをまず試すべきだと思われますか。デノスマブ(プラリア)を使用しながらなら心配ないということでしょうか」
⇒私なら、そうします。
「Q2.生存率が8%ですか?再発率ですか?」
⇒再発率です。
「Q3.この数字は、AIに変えると、どのくらい変るのですか?」
⇒1%改善します。
「Q4.今後、再発、転移を調べるために、どのような検査をどのくらいの頻度で受けたらいいでしょうか。」
⇒ホルモン療法で3カ月に1回通院しているのだから…
3カ月に1回の診察、超音波
6ヵ月に1回の採血終了マーカー(最初の1年位は3カ月に1回でもいいかもしれません)
1年に1回のマンモグラフィー
これで十分です。
質問者様から 【質問4 リンパ節の血管】
性別:女性
年齢:69歳
病名:乳ガン 2,1cm
症状:
管理番号:3500
2016年7月に左全摘(ステージ2A リンパ節転移なし)しました。
ホルモン剤が合わなかったので、無治療です。
2019年1月の定期検診のエコーでリンパ節に血管の様な物が写り、確認のため
その日にMRIを撮りました。
造影剤をいれて撮影したのですが、白く染まらず、再発、転移ではない、と今の所主治医は判断しています。
次の4月の検診時に、CTとエコーをして様子を見ることになっていますが、
どうも心配です。
先生は、リンパ節にあるのは何だとお考えになりますか?
がん化することはありますか。
良性血管腫ですか。
治療の必要がありますか。
なぜできたのでしょうか。
自然消滅とかの可能性もあるのでしょうか。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
診療内容が全くナンセンス!
「リンパ節に血管が入り込んでいる=もしかしてリンパ節転移?」と考えたら、(極めて無駄な)MRIなど撮影するのは全くナンセンス!
細胞診してもらいましょう。
質問者様から 【質問5 細胞診しました】
性別:女性
年齢:69才
病名:
症状:
管理番号3500
田澤先生、お世話になっています。
リンパ節に何かあるという疑いなら、無駄なMRIなどしないで、
細胞診をしてもらいなさいというアドバイスを頂き、
細胞診をしました。
結果は、ただリンパ球がいただけで、心配はない、と言われました。
リンパ節が少し大きくなっていたのは、酷い風邪を引いたことと、
関係がありますか?
風邪に続いて酷い下痢もしましたが、これも関係があると思われますか?
管理番号6849「乳輪のへこみ」も読みました。
MRIが無駄なら、何の目的で撮るのでしょうか。
遠隔転移を調べるためですか?
よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答5】
こんにちは。田澤です。
「リンパ節が少し大きくなっていたのは、酷い風邪を引いたことと、関係がありますか?」
「風邪に続いて酷い下痢もしましたが、これも関係があると思われますか?」
→関係ありません。
「MRIが無駄なら、何の目的で撮るのでしょうか。」
→MRIが無駄だと考えている私に聞くことではないでしょう。
その「MRI医師」に聞いてみましょう。
質問者様から 【質問6 】
再発リスクの数値化。いつまで心配しないといけないのでしょうか
性別:女性
年齢:70歳
病名:乳ガン。硬ガン。
ER陽性。PR陰性 Her2陰性 Ki67 15%くらい
症状:
田澤先生、ご無沙汰しています。
管理番号、3500です。
左乳房全摘手術を、2016年7月(下旬)日にしました。
ステージ2A。
リンパ節転移なし。
ホルモン療法を始めたのですが、あまりにも体に合わなくて、断念しました。
それから定期検診だけで無治療です。
ルミナール型は、5年経っても10年経っても再発、転移の可能性があると言われ、(どこかに書いてあった記憶もあります)いつまで心配しなければいけないのか、と気が重くなります。
病気のことは忘れて明るく過ごすように、と言われてもそう簡単にはいきません。
もちろん、楽しく暮らしていますが、検査の度に、再発したら、、、、という思いが頭をよぎります。
例えば、トリプルネガティブの場合、再発は最初の2年くらいがピークでその後はだんだん再発の危険性が少なくなるが、ルミナール型は、
リスクが長い、と主治医が10月の検診で言いました。
手術後、無治療の場合、再発転移のリスクは、1年目、2年目、3年目、、、、4,5,6年とどういう推移になるか、データーはありますか?よろしくお願いします。
田澤先生から 【回答6】
こんにちは。田澤です。
「手術後、無治療の場合、再発転移のリスクは、1年目、2年目、3年目、、、、4,5,6年とどういう推移になるか、データーはありますか?よろしくお願いします。」
⇒残念ながら、そのようなデータはありません。
質問者様から 【質問7 】
健康な乳房を切除することについて
性別:女性
年齢:71才
病名:乳ガンステージ2A
症状:経過観察 検査のみ
投稿日:2020年5月18日
2016年7月に、左乳房を全摘しました。
部分切除でも良かったのですが、安全のため全摘を選びました。
その後、ホルモン療法が合わず、断念。
経過観察のみで今まで再発や転移はありません。
しかし、右にもできる可能性はあります。
最近、右も全摘しようか、と真剣に考えています。
左の手術後、運動障害や不便を感じていません。
これから右にも出来るかも、、、、、、と時々不安になりながら
暮らすのより、右にできる可能性をゼロにしたいと思うようになりました。
遺伝性の可能性は低い、と医者が言うので、検査はしていません。
私の様な人はいますか?
保険は効きませんね?
もし手術をするなら、費用はいくらくらいかかりますか?
田澤先生から 【回答7】
こんにちは。田澤です。
「私の様な人はいますか?
保険は効きませんね?
もし手術をするなら、費用はいくらくらいかかりますか?」
⇒質問者のように「予防切除を検討している人」のためにBRACAnalysis
(遺伝子検査)が保険適応となっています。
その検査で陽性となれば、(保険で)予防切除(RRM:Risk-Reducing Mastectomy)の適応となります。
まずは検査を受けるべきです。
★陰性の場合には保険適応外となります。