[管理番号:7547]
性別:女性
年齢:40歳
病名:乳がん
症状:
田澤先生
はじめまして。
いつも大変参考にさせていただいております。
6月頭に浸潤性乳管癌と診断され
成長が早いとの判断で術前補助療法はせず6月中旬に部分切除を終えています。
病理の結果
・浸潤径 20×17×10mm
・波及度 脂肪まで
・リンパ管侵襲 陰性
・静脈侵襲 陽性
・リンパ節転移 陰性
・断端 陰性
・核異型度 1
・ホルモンリセプター 陰性
(ER、PGR共に陰性)
・HER2 3+ と出ました。
病理の結果が出る前までは
FEC 1回/3w × 4回→タキサン系 1回/3w × 4回
+ハーセプチン/1年+パージェタ(回数不明)
を投与予定とされていましたが
術前の検査よりも実際のサイズが小さかった事とリンパ節転移がなかった事、ハーセプテスト3+
しこりから断端までの距離も充分であることからタキサン系 1回/3w × 4回→ハーセプチン/1年のみで放射線治療も必要ないのではと言われました。
投薬が減ったり放射線が無くなるのは嬉しいのですが、それによる転移、再発率などに違いはどのくらいあるのでしょうか?
できれば妊孕性は残しておきたいのですが
先生でしたらどのようにお考えかお聞かせいただけませんでしょうか?
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
セカンドオピニオン的に回答します。
論点は
1.温存手術で術後放射線を省略できるか?
2.非アンスラサイクリンレジメンでいいのか?
3.Pertuzumabの適応は?
4.妊孕性のためには?
1.大原則は放射線必須です。私が考える例外(つまり温存後照射省略が可能である)条件は
・ご高齢
・腫瘍が十分すぎる位小さい(5mm以下)のに対して、十分すぎるほどのマージンを確保している。
2.早期乳癌なのでOKです。
3.Pertuzumabの日本での適応の根拠となったAPHINITY試験からはpertuzumabの適応として「リンパ節転移陽性」と「ホルモン感受性陰性」が妥当である。
4.化学療法閉経となるため、(化学療法前に)受精卵凍結する以外には確実な方法はない。
「できれば妊孕性は残しておきたいのですが先生でしたらどのようにお考えかお聞かせいただけませんでしょうか?」
→上記1~4を参考にして質問者に当てはめると
1.放射線は必須(省略する根拠なし)
2.アンスラサイクリンは不要
3.ホルモン感受性陰性なのでpertuzumabの適応あり
4.抗がん剤前に、受精卵凍結が必須
時系列で表すと
①受精卵凍結→②(アンスラサイクリン抜きで)タキサン+trastuzumab +pertuzumab3か月→③温存乳房照射→④trasutuzumab + pertuzumab 9か月