[管理番号:7117]
性別:女性
年齢:49歳
病名:乳がん
症状:
初めまして。
昨年秋に乳がんと診断されてから、こちらのサイトには何度も助けられ、勇気をいただき、治療に対する前向きな気持ちをいただいております。
先生におかれましては、いつもお忙しい中たくさんの乳がん患者に対してご回答いただき、本当にありがとうございます。
今回術後治療を大変迷っておりまして、是非先生のご意見をお聞かせいただきたいと思い、質問させていただきます。
H30.12下旬 乳がん手術(左)
浸潤径 16mm,f,ly(+),v(-)
nuclear atypia 2,mitotic count2,nuclear grade2 surgical margin(ADHあり)
センチネルリンパ節に微小転移2カ所(リンパ節郭清なし)
癌は周辺脂肪組織に浸潤、リンパ管侵襲を伴う。
静脈侵襲は認めない。
浸潤部周囲に癌の上皮内進展をみるがわずか。
切断断端に癌成分の露出はない。
ただし乳糖側断端では、主病変と離れた乳管内の1カ所に乳管上皮の増生がみられる、
単調な増生に乏しく、直ちにDCISとするには至らないものの、atypical ductal hyperplasia atypical ductal hyperplasiaに相当する異形乳管上皮です。
Her2 3+
ER;PS5+IS2=TS7
PgR;PS4+IS2=TS6
ki67;20%
質問させていただきたいのは、
1:病院からは、フルコース治療で、
(ddEC×4)+(タキサン+ハーセプチン(両方3ヶ月))+ハーセプチン+ホルモン療法剤+放射線
を提案されております。
微小転移があるため、化学療法はこれを選択するのが最適なのでしょうか。
先生ならば、どの選択をされますか?
2:私はB型肝炎のキャリア(肝炎未発症)なので、化学療法をするとなると肝炎をおさえる薬を一生のまなくてはいけなくなります。
また、
仕事をしておりますので、化学療法中の半年の間、副作用の出方で仕事がどうなるか分からない状態というのは現在でも診断から今までも大変迷惑をかけており戸惑いがあります。
血管が細いと言われており、血液検査ですら難儀なので、強い薬の点滴治療ができるのか、ポートを入れなくてはならないとしたらそれに対する不安もあります。
再発転移の確率があがることを覚悟の上で化学療法を受けないという選択をするのは、正に自殺行為でしょうか。
「覚悟」と言いつつも、ずっと悩んで結論が出せないでおります。
家族も医師も、もちろん化学療法を勧めています。
Her2陽性に対する治療法があるのにも関わらずやらないこと、また、初期治療の機会を逃すのはバカだという自覚はもちろんあります。
海外のサイトでの生存率も調べましたが、あくまでも確率なので、賭けになることも分かっております。
先生であれば、患者個人の考えを尊重されるか、それでも患者に強く化学療法を勧められるかどちらでしょうか。
3:ハーセプチン単独のみ(抗がん剤と併用しない)という治療は、現在認められていないのでしょうか。
どこの病院でもやっていただけないでしょうか。
エビデンスがないので、有効性も分からないのにやってもしかたないのでしょうか。
化学療法を受けるか受けないかの返答をする期限が迫っており、焦っております。
お忙しいところ誠に申し訳ありませんが、どうぞよろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「微小転移があるため、化学療法はこれを選択するのが最適なのでしょうか。」
「先生ならば、どの選択をされますか?」
→微小転移なのだから「非アンスラサイクリン」でいいでしょう。
「先生であれば、患者個人の考えを尊重されるか、それでも患者に強く化学療法を勧められるかどちらでしょうか」
→(上記のように)非アンスラサイクリンレジメンを勧めますが…
自己責任で行わない方もいらっしゃいますし、それは強制するものではありません。
「3:ハーセプチン単独のみ(抗がん剤と併用しない)という治療は、現在認められていないのでしょうか。」
→認められていません。
「どこの病院でもやっていただけないでしょうか。」
→それは知りません。
「エビデンスがないので、有効性も分からないのにやってもしかたないのでしょうか。」
→その通り。
決してやってはいけません。
「化学療法を受けるか受けないかの返答をする期限が迫っており、焦っております。」
→そんなこと(ハーセプチン単剤)をするくらいなら無治療を選択すべきです。