[管理番号:1711]
性別:女性
年齢:52歳
質問者様の別の質問質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。 |
10月初に右乳房切除手術を受け、先日、病理結果を聞いて参りました。
広範囲の非浸性がんと乳頭腺菅癌と硬癌からなる浸潤性がんがみつかりました。
以下病理結果です。
大きさ 浸潤部 9×8㎜
脈菅侵襲 ly0 v0
リンパ節転移 なし 0/1
断端 陰性
核グレード 3
Ki67 約30%
ER (-) total score 5
PgR(-) total score 5
HER2 2+
FISHの結果待ちで、化学療法については3日後に相談ということになりました。
質問①
ER,PgRは(-)ですが、total
scoreが5あるため、主治医からは全くホルモンが効かない訳ではなく効きにくいタイプとしてタモキシフェン(5年)の服用を薦められています。
もしFISHの結果でHER2が(-)になった時、ホルモンが少しでも効くなら、ホルモン療法をした方がよいのか、それともトリプルネガと考えて通常の抗がん剤治療をした方が良いのか?
(ER,PgRの数値の捉え方で今後の方針が変わるように思います。)又、FISHが
(+)であった時どのような療法が良いとお考えでしょうか?
質問②
主治医は大きさが9㎜で化学療法の境界値であるので、抗がん剤しない選択もあると(10㎜以上が対象)のお話しをして下さいましたが、Ki67 の値や核グレード等考えてみてもそのような選択もあるのでしょうか。
田澤先生のご意見を伺えましたら大変心強く思います。
宜しくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
pT1b(9mm), pN0, luminal
Allred score
染色細胞割合(PS)
1:染色される細胞が0~1/100
2:染色される細胞が1/100~1/10
3:染色される細胞が1/10~1/3
4:染色される細胞が1/3~2/3
5:染色される細胞が2/3~1
染色強度(IS)
0:全く染まっていない
1:弱く染まっている
2:中間程度に染まっている
3:強く染まっている。
♯判定基準 染色細胞割合(PS)+染色強度(IS)=TSとして3以上を陽性★
回答
「ER,PgRは(-)ですが、total scoreが5あるため、主治医からは全くホルモンが効かない訳ではなく効きにくいタイプとしてタモキシフェン(5年)の服用を薦められています」
⇒誤りです。
ERもPgRも「明らかに陽性」となります。
冒頭で示した様に total scoreは3以上で「陽性」となるのです。
○当然「タモキシフェンは5年間」内服必要です。
「FISHの結果でHER2が(-)になった時、ホルモンが少しでも効くなら、ホルモン療法をした方がよいのか、それともトリプルネガと考えて通常の抗がん剤治療をした方が良いのか?」
⇒luminal typeとなります。
ホルモン療法すべきです。
「luminal B」として「化学療法の併用をすべきか?」ですが、「浸潤径9mm」であれば「トリプルネガティブでさえ、化学療法は考慮するに留まります(絶対的適応はありません)NCCNガイドラインより」
「FISHが(+)であった時どのような療法が良いとお考えでしょうか?」
⇒この場合でも「浸潤径9mmでは、絶対的適応はなく、考慮すべきに留まり」ます。
ただし、(トリプルネガティブで行う抗がん剤とは異なり)「抗HER2療法は明確なターゲット療法(有効性が担保されています)」なので(私なら)「抗HER2療法(ハーセプチン+通常の化学療法」を勧めます。
「主治医は大きさが9㎜で化学療法の境界値であるので、抗がん剤しない選択もあると(10㎜以上が対象)のお話しをして下さいましたが、Ki67 の値や核グレード等考えてみてもそのような選択もあるのでしょうか」
⇒その通りです。
10mm以下は「抗がん剤使用を考慮する」に留まります。
トリプルネガティブでも、そうなのですから「luminal typeなので尚更、抗がん剤使用は限定的」となります。
○FISH陽性ならば「抗HER2療法+ホルモン療法」
FISH陰性ならば「ホルモン療法単剤」
でいいと思います。