[管理番号:5203]
性別:女性
年齢:45歳
田澤先生、はじめまして。
田舎で、選べるほど病院がない地域に住んでいます。
術後の治療で不安を感じているので、教えて頂けると有り難いです。
45歳 生理あり 女性です
今年3月末に告知され、4月(下旬)日に左乳房全摘しました。
術前のCNBではっきり癌だと診断されたしこりは乳頭近くに1センチほどでしたが、
造影MRI画像に乳頭付近から放射状にフワフワと広がって写っていた所もガンで乳管内進展が6cm近くありました。
ステージⅠと言われていましたが、術後はステージⅡBになりました。
(5cm超でもⅡBですか? 早期と言われてましたが、早期ではなくなりましたよね?)
乳管がん
グレードⅡ
ki-67 10%
ER 95%
PgR 95%
Her2 (+)陰性
脈管侵襲なし ly0 v0
リンパ転移なし
全摘したので放射線治療なし
ルミナールAなのでホルモン治療(リュープリン2~3年、タモキシフェン5年 予定)のみ5月中旬から開始しています。
ルミナールAは抗がん剤やってもほぼ無意味と聞きますが、
乳管内進展が6センチも進んでいたので、ホルモン治療だけで大丈夫なのか不安です。
(進展部分の浸潤程度は不明です)
あと、エコーでは「しこりに血流がある」と言われました。
エコーに赤と青の血液の流れが映りました。
これがCNBする決定打になったのですが、それでも、術後の病理では脈管侵襲なし。
これは、腫瘍に血流はあったけれど、大きな血管は喰ってなかったという事で良いのでしょうか?
血管侵襲がなかったので、遠隔転移の心配はあまり気にしなくて良いのでしょうか?
また、全摘したけど術側の胸壁やリンパ転移(再発)の可能性もあると言われたのですが、乳腺がないのに術側に再発とは?
リンパも?と、理解できないのですが、どういう事でしょうか?
マンモに写らず、触診とエコーでは判別できるしこりは12年前から存在していて
毎年乳腺外来を受診していたのにこんなに広がるまで見逃されていた現状で、色々と不安を感じます。
それから、ホルモンの問題に関してですが、薬草酵素温浴というものに定期的に通っています。
もしも薬草の中にホルモンに影響するものが入っていたら、再発に影響しますか?
薬草の種類は詳しくは分かりません。
気にする物は入ってないのかもしれません。
漢方薬局で入浴剤として一般向けに売っている配合と同じだと聞いています。
せっかく免疫アップのために通っていても、不安があると効果半減しそうなので、自信を持って通いたいです。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「(5cm超でもⅡBですか?」
⇒pT3(6cm)、pN0,pStageⅡBで正解です。
「早期と言われてましたが、早期ではなくなりましたよね?)」
⇒乳管内進展と(本物の)「腫瘍の大きさ」とは「似て非なるもの」という印象を私は持っています。(同様の感覚は小葉癌の浸潤径でもあります)
♯塊としての5cmとダラダラ連続した5cmではvolumeが違いますよね?
「(5cm超でもⅡBですか? 早期と言われてましたが、早期ではなくなりましたよね?)
「あと、エコーでは「しこりに血流がある」「術後の病理では脈管侵襲なし。」
⇒大変な勘違いをしています。
「しこりに血流がある」というのは、(腫瘍血管が発達して)「沢山の血液(酸素)を貰い盛んに増殖をしている」という意味で「癌を疑う所見」となります。
それと、「脈管侵襲」とは全く無関係です。
脈管侵襲とは(顕微鏡で)癌の組織を見た際に「血管の中に癌細胞が目立つのかどうか?」という所見にすぎません。
「栄養血管として癌細胞に入っていく所見」と(顕微鏡的に)「癌細胞が血管の中に出ていく所見」は全く無関係です。
「これは、腫瘍に血流はあったけれど、大きな血管は喰ってなかったという事で良いのでしょうか?」
⇒上記通りです。
全く誤った理解です。
「血管侵襲がなかったので、遠隔転移の心配はあまり気にしなくて良いのでしょうか?」
⇒脈管侵襲は参考程度にしましょう。
「また、全摘したけど術側の胸壁やリンパ転移(再発)の可能性もあると言われたのですが、乳腺がないのに術側に再発とは?」
⇒これは手術時に、大胸筋や皮膚に残した癌細胞があると再発するのです。
「リンパも?」
⇒これはセンチネルリンパ節生検で誤ったリンパ節をセンチネルと認識して転移がないと思っていたら、(もともと癌細胞が潜んでいた)リンパ節が徐々に大きくなる場合です。(通常はありません)
と、理解できないのですが、どういう事でしょうか?
「もしも薬草の中にホルモンに影響するものが入っていたら、再発に影響しますか?」
⇒無関係です。
質問者様から 【質問2】
術後6ヶ月でCTは必要ですか? ホルモン療法の副作用でしょうか?
性別:女性
年齢:45歳
『管理番号:5203 乳管内進展が進んでいた場合の術後治療について の続きです』
先日はありがとうございました。
①術後6ヶ月で全身CTと言われています。
必要ですか?
術前(4月)は、造影MRI、造影CT、骨シンチ、レントゲン と、ひ
と通りやっています
再発を心配する症状などがあった時に撮影では間に合いませんか?
浸潤性乳管がん 左乳房全摘
ステージⅡB(しこり1センチ・乳管内進展6センチ弱)
リンパ転移なし
グレードⅡ
ki-67 10%
ER 95%
PgR 95%
Her2 (+)陰性
脈管侵襲なし ly0 v0
術後治療はリュープリン2-3年と、タモキシフェン5年予定です
②ステージⅠと思っていたら術後はⅡBになったので「気を引き締めていく必要があります」と言われていますが、私の再発リスクは高いのでしょうか?
再発率はどのくらいなのでしょうか?
③今後の定期診察にて、年1回の健側のマンモと両側のエコー以外に必要なものはありますか?
CTだけでなく、そのうち骨シンチもあるのではと感じています。
(手術前に、術後は定期的にCTとRIがあると言われました)
リュープリンがある間は3ヶ月ごとの受診、採血あり、です。
その後は6ヶ月ごとになりそうです。
④ホルモン療法を始めてから、のどの詰まり感を感じています。
耳鼻科でレントゲンとカメラを入れて貰い、「のどが狭い」との事でした。
これはホルモン治療の副作用の1つでしょうか?
近くの婦人科も受診して、半夏厚朴湯を処方して貰っていますが、効き目は「?」です。
副作用対策の方法はありますか?
⑤ホルモン値は調べなくて大丈夫なのでしょうか?
中には、ホルモン療法中にホルモン値が上がってしまう人もいると聞きます。
⑥全摘側で再発があった場合は、しこりとして触れますか?
⑦胃がん検診(バリウム)、肺がん検診は今年も受けるように言われましたが、被爆が気になります。
受けても大丈夫でしょうか? 全身CT撮ったのに必要なのか?とも思います。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「①術後6ヶ月で全身CTと言われています。 必要ですか?」
⇒不要です。
「術前(4月)は、造影MRI、造影CT、骨シンチ、レントゲン と、ひと通り」
⇒無駄な被爆のオンパレードです。
その位で止めときましょう。
「私の再発リスクは高いのでしょうか?再発率はどのくらいなのでしょうか?」
⇒再発率は高くはありません。
ホルモン療法を行えば10%以下となるでしょう。
「③今後の定期診察にて、年1回の健側のマンモと両側のエコー以外に必要なものはありますか?」
⇒採血腫瘍マーカーくらいです。
「副作用対策の方法はありますか?」
⇒その内、慣れるでしょう。
「⑤ホルモン値は調べなくて大丈夫なのでしょうか?」
⇒全く不要です。
「⑥全摘側で再発があった場合は、しこりとして触れますか?」
⇒当たり前のことですが…
小さいうちは触れないし、大きくなれば触れるようになります。
「⑦胃がん検診(バリウム) 受けても大丈夫でしょうか?」
⇒是非、受けましょう。
「全身CT撮ったのに必要なのか?」
⇒無関係です。
CTでは消化管は(余程大きくならないと)見えません。
消化器系の検診は受けなくてはなりません。乳癌とは無関係ですが、一般論として)
質問者様から 【質問3 乳管内進展が進んでいた場合の術後治療について 続き】
性別:女性
年齢:46歳
田澤先生、いつもありがとうございます。
(東海)県の田舎なので、総合病院の一般外科の先生が主治医です。
不安と疑問が多くあるので今回もよろしくお願いします。
術後の検査のことで、こちらで「ルーティンのCT等は不要」と理解しています。
ところが、主治医は半年ごとに造影CTだと言われるのです。
術後半年(昨年11月)はどうやっても断り切れず、仕方なく受けました。
結果、問題なしです。
ルミナールAで、リュープリンとタモキシフェン。
12週ごとに総合病院の外科へ行きます。
毎回採血があり、一般項目と CEA と CA15-3 は検査してます。
(直近で CEA = 1.6 CA15-3 = 10.6 でした 術前のCEAは5.9)
エコーは術後5ヶ月の時に健側の右だけしました。
(全摘した左は心配してないから、と、やらず。
局所再発の可能性はありますと言いながら矛盾してます)
前回の術後半年CTの時も言われましたが、
『乳がんガイドラインで半年ごとCT、1年ごとRI とルーティンで決まっている
(●そうなのですか?)
ステージが2Bと病期が進んでいるから必要。
そして、ルーティンで撮っておくと、何か変化があった時に比較できるから』 と。
また、「方針を変更すると、そういう時に限って問題が起きるんだよなー」と言われました。
遠隔転移してるかも、と言われているようで気になりましたが、それでも次回は嫌だと断りました。
比較対象が必要なら、術前と半年後の2回のデータがあるから比較できますよね?と聞くと、ハッキリしない返事でした。
CTと骨シンチは拒否しましたが、次回は5月(術後13ヶ月)なので健側マンモとエコーは希望しました。
単純レントゲン(肺)と肝エコーではだめですか? と聞くと、単純レントゲンでは余程大きくならないと写らない と言われました。
CTの被爆を気にする人が一定数いる、ボクの患者さんは多いなーとも言われました。
(きっと、乳がんプラザを見ている人だと思っています)
半年ごとにCTですと、CTの結果聞いた次回の診察時には次のCTの予約が入って、と、毎回CT撮ってるかのような気分になります。
今回は嫌だ!と断ったのですが、年1回ならいいのか? 自己責任でもう絶対に撮らないのか? と聞かれるので、
不安な症状があったり採血結果が怪しかったらやりますと答えましたが、基本は撮ることが大前提のようです。
確かに、乳管内進展6センチと大きくステージ2Bだから手放しで早期とは言いがたいのかもしれませんが、「大した線量じゃないから」と5年間で11回のCT+6回の骨シンチ(術前も行ったので)。
ここを見ていなかったら受けていたと思いますが、ここで色々勉強して、さすがに多すぎでしょう・・・と思っています。
ですが、先述の「方針を変更すると、そういう時に限って問題が起きるんだよなー」みたいな言葉に動揺するのです。
●CTとRIは『不安な症状があったり採血結果が怪しかったらやります』で間違ってませんか? それでは遅いですか?
単純レントゲンや内臓のエコーでは本当に分からないのですか?
続いて、ホルモン療法の副作用に関しての質問です。
2017年5月からホルモン療法開始で リュープリン+タモキシフェン 現在9ヶ月経った所ですが、今年に入ってから手指の関節のこわばりが出てきています。
主治医は最初からならホルモン療法のせいだけど、今更は違うと言います。
●最初に出ない副作用(または、薬による更年期症状)でも、飲み続けているうちに出てくるものもありますよね?
倦怠感、ひどく疲れる、不眠と中途覚醒、日中眠い、朝起きれない、ホトフラ、は薬のせいだけど、冷え症状が強くなった、手指のこわばり、
ふわふわ目眩、言葉がスッと出てこなくなった、喉に異物感(痰が絡む)は関係ないと言われました。
●ホルモン療法のせいではないとすると、リウマチという事になりますが、途中から出てくる症状は全部無関係なのでしょうか?
私はタモブレインだ、と思ってやり過ごしたいのですが。
あと、リュープリンの件ですが、45歳から(現在46歳)なので微妙な気がするのですがステージが進んでいたから打つのかな、と思っています。
リュープリンで卵巣が萎縮するから、年齢的に2年でも本当に閉経するかも、と言われます。
最初は3年予定でした。
40代のリュープリンは微妙なところだと理解してますが、リュープリンをやめて生理が復活した場合はどうするのが良いのでしょうか?
●化学療法閉経の後に生理が復活したらリュープリンは必要のようですが、リュープリン閉経後の復活も同じようにリュープリンを再開した方が良いのでしょうか?
もう1つ、不眠に関してですが、入眠障害・中途覚醒でとにかく深い眠りが出来ません。
ホトフラも1つの原因ではあります。
眠れないと訴えて、ルネスタを出して貰えましたが、2時間くらいで中途覚醒します。
普段から眠剤に頼っているのではなく、不眠が続いて「今日はどうでも寝たい」という時に飲むのですが、そういう時に飲んでも効きが悪いとキツイです。
(レンドルミンの方が少し長く眠れますが、翌日に残る感じがあったのと非ベンゾの方が依存が少ないという事で・・・) ●何か良い方法はないでしょうか?
酒飲みでビール大好きですが、乳がん発覚後は減らしております(完全にはやめれません)。
眠剤とアルコールの併用はしてません。
13年前(授乳中のしこりが気になり→これは乳瘤でした)から毎年乳腺外来を受診していましたが、7~8年前から小指の先くらいの大きさの石灰化がマンモに写るようになりました。
それが写った年と数年後にCNB(一般外科医だったと思います)してますが、問題なし。
(検査対象が石灰化のところ(数年後、乳腺専門医に線維腺腫だと言われた))だったから硬くて刺さらなかった+本来CNBが必要だった的を外したからと思われます。
かなり難儀されていて、痛みを訴えたら終了したので)
自分で乳頭の下あたりに2~3個のしこりを認識して受診してました
し、
マンモに写らない、でも触診では触れるしエコーにも写るしこりが確実に2~3個はあるのに、毎年のように「もう来なくて良い」と言われ続け、乳がん確定1年前もいつもと同じく「来年からは集団検診で良いよ」と言われ、それでも心配で1年で受診してガンが発覚しました。
以前は一般外科医の乳腺外来だったからという事もあるのでしょうが、
ここ3年は外部派遣の乳腺専門医が診察される日を狙って受けていたのに、です。
(オペは常勤の一般外科医=主治医です)
また、石灰化はサイズがほぼ変わらなかったし、乳腺専門医によってこれは線維腺腫で間違いないと言われていました。
マンモに写らないとは言え、毎回エコーもしていたのにこんなに広がるまで見逃されていた現状で、色々と不安を感じます。
(乳腺専門医によるCNBは去年の3月が初でした。
この時に一般外科医に診て貰っていたら様子見にされていたと思います。
そういう意味ではラッキーだったと思っています)
何年も前の最初から的を外さずに診断出来ていれば、石灰化以外のしこりをしっかり検査して貰えていたら、非浸潤の小さいうちに発見できたかもしれないのに。
もう以前には戻れませんが、今になって悶々としています。
オペ翌日は「全て取り切ったから安心して良いよ」と言われててホッとしてましたが、今は「乳腺は殆ど取っているから」という言葉になっています。
大丈夫だと言いたいのかもしれないのですが「殆どと言うことは全て取り切ったという自信がないの?」と勘ぐってしまいます。
腫瘍上の皮膚は切ってありますよね、の質問にも、うーん・・・という感じです。
●6センチも広がっていると、さすがに腫瘍上の皮膚全ては取り切れないのでしょうか?
(オペ前は確実なるガン腫瘍は1センチ程+MRIで怪しい物が広がっているから全摘、でした。術後に進展部分と全て含めて6センチの腫瘍と変更されています。)
断端は陰性と聞いていますが、腫瘍上の皮膚が残っていたら局所再発の確率があがるのか?とも不安になります。
主治医が秋に異動との事で、オペ時の事はもう聞けなくなります。
そして、引き継ぎのためにもCT撮りたいとも言われました。
癌発覚時は(障害児を抱えているので)まだ死ねない、と、一時でも早いオペを望み告知から1ヶ月足らずで切って貰いました。
その時は「もう治った!」とホッとしたのですが、時が経つにつれて不安が押し寄せてきています。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「●CTとRIは『不安な症状があったり採血結果が怪しかったらやります』で間違ってませんか?」
⇒間違っていません。
「単純レントゲンや内臓のエコーでは本当に分からないのですか?」
⇒一つ一つオーダーするより「CTの方が楽」という認識が(その担当医には)ありそうです。
「主治医は最初からならホルモン療法のせいだけど、今更は違う」
⇒そんなことはありません。
おそらく(頻度的に)「ホルモン療法の副作用」だと思います。
「リュープリンをやめて生理が復活した場合はどうするのが良いのでしょうか?」
⇒何か勘違いされているようです。
LH-RHagonistの投与は「ある一定期間(通常は5年)」使用することで、予後改善を期待するものですが…
永久的に「月経を止めなくてはならない」という役目を持っている訳ではありません。
つまり、規定の「5年間」投与終了後に月経再開したとしても、それはそれでいいのです。
「●化学療法閉経の後に生理が復活したらリュープリンは必要のよう」
⇒まさにその通りです。
「リュープリン閉経後の復活も同じようにリュープリンを再開した方が良いのでしょうか?」
⇒それは勘違いです。
その考えだとLH-RHagonistの至適投与期間が、「閉経するまで」となってしまいます。(全く、ナンセンス)
「何か良い方法はないでしょうか?」
⇒不眠に関しては…
個人差があるので、主治医と相談しながら試すしかありません。