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術後の治療について

[管理番号:1446]
性別:女性
年齢:52歳
はじめまして。
いつもこちらのサイトを拝見させていただいております。
8/19に乳がんと宣告されてから、9/9手術を終え今日に至るまで不安や迷いに
対して助けていただき感謝いたします。
この度術後の治療について質問させてください。
まずは経過を
2010年2月 マンモグラフィ―検診にて左胸に石灰化が見つかるが、細胞診の結果
「異常なし」
一年ごとに経過観察とのことだったが、大丈夫だったと思い込んでいた。
2011年3月 他病院にて子宮筋腫により子宮全摘
2012年9月 他医院にて更年期障害の治療によりホルモン補充療法(ジュリア服薬開
始)→3年間服薬
この時乳がんのリスクについて質問したが問題なしとの回答であった。
石灰化の事は異常なしで安心していたため告げなかったのかもしれない。
2013年9月 1年半ぶりの乳がん検診「異常なし」
2015年8月 2年ぶりの乳がん検診にて左胸に新たなしこり2つ。そのうちの一つ針
生検「良性腫瘍」
念のため、もうひとつのしこりと5年前の石灰化のあたりのしこりを調べたところ両
方が「乳がん」
2年前の先生とは違っていて「僕なら半年ごとの経過観察にする」とのこと
5年前の石灰化は異常なしでも良性でもなく「診断不明」だったよう。
組織診報告書
 乳頭上①
  診断   Invasive ductal carcinoma of the breast
   所見   3本の針生検組織。異常上皮細胞が管状・充実胞巣状に増殖する像
を認める。
invasive ductal Carcinomaの像である。一部に石灰化を認める。
HER2:2+  ER:99%  PgR:90%  Ki67:8%
核Grade:1   核異形:2 Mitosis:1       →HER2追加検査の結果 陽性
乳頭左下②
  診断   Invasive ductal carcinoma of the breast
   所見   左D領域から採取された2本の針生検組織。いずれにも充実胞巣
状・管状増殖をしめす
invasive ductal Carcinomaの像を認める。
HER2:1+  ER:80%  PgR:10%  Ki67:5%
核Grade:1   核異形:2 Mitosis:1
(手術前のこの時点で7本の針生検をしているにもかかわらず、乳がんであることを
告げずにリンパマッサージにいき、鎖骨から乳頭の上あたりまでマッサージを受けま
した。次の日の朝から左腕がしびれるようになり心配しましたが、このサイトで似た
ような質問をみつけ安心したように思います。しかし今また心配の種になりつつあり
ます。)
 
この時の診断では大きいほうでも1センチだが腫瘍も2個以上あり広がっているため
全摘、乳頭の上と下にあり近いため乳頭乳輪も残せない。リンパに転移はないと思う
が、センチネルリンパ節生検をしてみないとはっきりとわからない。
同時再建を考えていた為、センチネルを先に受けるか同時再建を別にするか悩みまし
たが、怖がりのため何度も手術をするのが嫌だったので全部一回で終わらせ、ダメ
だったらその時考えることにしました。
9月9日
左 乳房皮下乳腺全摘出術+センチネルリンパ節生検  の後 形成外科の先生と入
れ替わり
全身麻酔下乳房再建術(ティッシュエキスパンダー挿入術) を受けました。 
術後の病理結果
 説明内容
手術で摘出した病巣の病理結果は以下のとおりです
・組織診断    浸潤性乳管癌(大部分は非浸潤)
・大きさ     4㎜と2㎜(浸潤癌)         
・リンパ節転移の有無  なし(センチネル0/4)
・切除断端       陰性
・ホルモンレセプター  陽性
・HER2        陽性
・病期      T1 N0 M0  Stage Ⅰ
今後の治療方針
・ホルモン療法
・抗がん剤治療(分子標的治療) ハーセプチン 3週間毎 18回?
結果は思っていたより悪くはなく、きつい抗がん剤はしなくていいとのことでほっと
しました。
しかし、再発率はホルモン療法をして20%とのこと。
手術前から抗がん剤になるかもしれないと聞いていたので、セカンドオピニオンの準
備をしていました。
セカンドオピニオンの先生用
組織診報告書   左乳癌
診断   15.31 DCIS
19 Invasive solid-tubular carcinoma
34 Invasive ductal carcinoma with DCIS
所見   
1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,20,21,22,24,25,
27,28,29,30,32,33,34,35,36,37,38,39,40,
41,42,43,44,45,47,48,49,50,51,52,53,54,55,56,57,58,59,60,61,62,63,64,65,66,6
7,68,69 atypical cell(-)
15,31 DCISをみる。
23,26,46 陳旧性のFAをみる。
19 invasive carcinomaをみる。 Size:4×3㎜, ly(-),v(-),f,核Grade:1
Mitosis:1,核異形:2,HER2:1+,ER:80%,PgR:1%,Ki67:5%
34 DCISとその周辺にinvasive carcinoma:2×1㎜,HER2:3+,ER:95%,
PgR:60%,Ki67:15%
ly(-),v(-),f,核Grade:2, 核異形:3, Mitosis:1 をみる。
セカンドオピニオン説明内容(10/8)
浸潤癌が2㎜、4㎜の大きさとのこと、グレードも高くなくKi67も低め、腋窩リンパ
節転移陰性であることから、全身再発リスクは5%前後もしくは5%以下と思いま
す。となるとアジュバントはなしでもOKと思います。
ハーセプチン単独は、その有効性のデータも不十分で、万が一のさいの毒性とのバラ
ンスを考慮しますと、基本的には当院では勧めておりません。
多発ゆえに対側乳がんの発生予防のために、TAM(卵巣機能確認後、閉経ならANA)の5
年間の投与は支持します。
とのことでした。
この診断結果に喜び、ハーセプチンもなしでホルモン療法だけでいくことを先日主治
医に告げました。
主治医には悪いと思うのですが、セカンドオピニオンの先生が有名な先生であること
でそちらを信用したわけです。
その後、インターネットで非浸潤癌だった人が5年後に遠隔転移したという人のブロ
グを見つけてしまいました。信じられないが血行性転移とのこと。その方もHER2陽
性でした。99%再発転移しないはずの非浸潤でも全身にがんが遠隔転移するという
恐怖。私は明らかに浸潤していて、がんに針を刺した状況でマッサージを受けたこと
が悔やまれます。
ハーセプチン単剤ではあまり効かないような印象でしたが、単剤でもある程度は効く
という先生もおられ、私の通う病院にも抗がん剤なしでハーセプチンだけという方は
何人もおられます。
逆にホルモン剤が効かない人もいるようで、ハーセプチンを受けた方がよかったのか
と心配になってきました。
田澤先生のお考えをお聞かせ願えますか。
そしてホルモン剤についてもお願いします。
、血液検査も受けましたが閉経後間もない微妙な年齢なので、閉経前の薬であるタモ
キシフェンでということになりました。
子宮摘出しているのではっきりした閉経がいつなのかはわかりませんが、3年前に血
液検査にて更年期障害と診断を受けてのホルモン補充療法をうけていたので、閉経し
ているはずです。途中で変更になりますかと尋ねましたが5年間かわらないとのこ
と、閉経後の人にも効くという説明でした。
セカンドオピニオンの先生は、きちんと閉経したかどうかを見極めないと逆効果に働
くともいわれてました。
ネットでアロマターゼ阻害薬の方がよく効くともみましたが、どうなのでしょう。
10/14から飲み始めてますが、田澤先生もタモキシフェンで良いとおもわれますか。
そしてもうひとつ再建については専門外だとは思いますが、アドバイスをお願いいた
します。
形成外科の先生からは背中の筋肉を使う方法を提案されましたが、他の場所を傷つけ
るのが怖くて人工のインプラントを選びました。今になってみると、背筋法の方が入
れ替えの手術もなく、左右差に悩むこともなかったのではないかと思えてきました。
私的には今更どうしようもないですが、これからの人のために・・・
そして私的に、胸が小さいのでインプラントの種類がないとのこと、80CCだと小さ
め、120CCだと大き目になりそう。大きいよりもこれから年齢的に小さくなってく
るのかもしれないので、小さめを選んだ方がいいのでしょうか?
本当につまらない相談で申し訳ないのですが、アドバイス的な考えでもお聞かせ願え
ましたらよろしくお願いいたします。
長々と読みづらく、わかりにくい文章で、そのわりにはつまらない相談でお忙しいと
ころ申し訳ありません。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「ハーセプチンを受けた方がよかったのかと心配になってきました。田澤先生のお考
えをお聞かせ願えますか。」
⇒まず(セカンドオピニオンの医師と同意見で)ハーセプチンの単剤治療は「有効性
が認められておらず」絶対に勧めません。
 そして質問者は「浸潤径が5mm以下」なのでNCCNのガイドラインにのっとって、
「抗HER2療法」自体、不要です。
 ○つまり、私であれば、「内分泌療法単独」とします。
 
「セカンドオピニオンの先生は、きちんと閉経したかどうかを見極めないと逆効果に
働くともいわれてました。ネットでアロマターゼ阻害薬の方がよく効くともみました
が、どうなのでしょう。10/14から飲み始めてますが、田澤先生もタモキシフェ
ンで良いとおもわれますか」
⇒ここでも(そのセカンドオピニオンの医師と同意見で)当然タモキシフェンとなります。
 「閉経期(完全には閉経していない時期)」に「アロマターゼインヒビター」を投
与すると「月経が再開」し、予後に悪影響があることが解っているのです。
 
○私であれば採血をして「閉経後状態を確認」したら、アロマターゼインヒビターへ
スイッチします。
 
「大きいよりもこれから年齢的に小さくなってくるのかもしれないので、小さめを選
んだ方がいいのでしょうか?」
⇒私は、そう思います。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

お忙しい中お返事いただきありがとうございます。
ハーセプチン単剤治療は絶対に勧めませんとはっきり断言していただき、とても安心致しました。
後悔せず自信をもって治療に前向きになれそうです。
田澤先生には本当に感謝いたします。
もう少しだけ質問させてください。
田澤先生であればタモキシフェンからアロマターゼインヒビターへスイッチするとのこと。
主治医に折りをみて相談してみようと思いますが、もし5年間タモキシフェンのままの治療となった場合には、効果はどのようになりますか?スイッチした場合としなかった場合の予後、再発率などは違ってきますか?
すみませんが再度よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
タモキシフェンからアロマターゼインヒビターへのスイッチですね。

回答

「5年間タモキシフェンのままの治療となった場合には、効果はどのようになります
か?スイッチした場合としなかった場合の予後、再発率などは違ってきますか?」
⇒ABCSG8/ARNO95/ITA 試験(メタ解析)対象:TAMで2~3年間のadjuvant実施した閉経
後乳がん患者 4006例のデータがあります。
 タモキシフェン2年⇒アナストロゾール3年 vs タモキシフェン5年の比較したも
のですが、スイッチすることで 再発率は41%低下 生存率は29%低下します。
 ♯つまり、もともとタモキシフェン5年間投与で再発率10%, 生存率10%の人の場合
には、アナストロゾールに変更することで、それぞれが5.9%, 7.1%まで低下すると
いうことです。