[管理番号:1128]
性別:女性
年齢:28歳
質問者様の別の質問質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。 |
前回は、質問に御回答頂き、誠にありがとうございました。また、前回の質問の際
には、コピーペーストが上手くいかずに後半の文章がおかしくなっておりましたこ
と、お詫びを申し上げます。
私(ルミナールA)がCMFを実施したことに対し、田澤先生が「非アンスラ、非タキサンとしたのは脱毛を避ける目的でしょうか」とおっしゃるのは、やはり私のようなルミナールAタイプにも、AやTを含む強い抗がん剤をした方が有効だからでしょうか。
私がCMFを選択したのは、脱毛を拒否したからではありません。
主治医に、「そもそもあなたの場合は抗がん剤をするメリットは極めて少ない」と言われ、私が「どうしてもやりたい」と伝えたところ、CMF6クールかUFT2年の選択肢を提示されたので、CMFにした次第です。「FECはやらないのですか」と尋ねたところ、「あなたのようなルミナールAでFECというのはうちの病院ではやっていません(前例も無い)。メリットとデメリットが割に合わない」と言われました。
このような経緯があり、自分としてはCMFで十分だ、最適治療だと思っていたのですが、先生のお話を聞くと、やはりFECやAやTをやるべきだったのかと思います。
また、別の癌患者相談においても、私の場合はルミナールAとは言えど、ホルモン感受性がそれほど高くない(8段階中の6)こと、またグレード2であることからも、ルミナールBに近いAと言われました。となると、やはり強い抗がん剤をやるべきだったのか…。このような御意見を多々拝見すると、県下最大の病院ですが主治医の言うことに不安があり (どうも、治療を最小限にする傾向があるような感じがします)、戸惑っています。
【病理診断】(再掲)
腫瘍径 1.3×1.2×2cm(硬癌)
腫瘍周辺の非浸潤部の広がり 3×1×6cm
断端陰性
エストロゲン・プロゲステロン:いずれも陽性(いずれも8スコア中の6評価)
HER2:0 陰性
Ki67:10%
グレード2
リンパ節転移数:計2個
センチネル:1/1個
レベル1:1/28個
レベル2:0/3個
リンパ管侵襲・静脈侵襲ともに-
サブタイプ:ルミナールA
ステージは2B寄りの2A(T1N1M0)
【質問①】
田澤先生としては、私の病理診断はルミナールB寄りのAだ、という認識を持ちますか。それとも、文句無しのルミナールAだ、という印象ですか。また、私の病理診断であれば、先生はどのような治療計画を立てますか。
【質問②】
全摘+腋窩廓清→CMF→放射線→タモキシフェン+リュープリン+UFT(最大5年のブランクを挟みつつ10年)という治療は、先生からして見ると、妥協した印象がありますか。
【質問③】
腋窩廓清をした結果、リンパ節転移数が2/32でした。32という母数は、いろいろな質問内容を見ているとかなり多いと感じるのですが、リンパ節廓清というのはリンパ節(レベルⅠ、Ⅱ)を全て取るわけで、母数の多い少ないは単純にリンパ節数の個人差でしょうか。母数32でありながら、うちセンチネルリンパ節が1個しかないのも個人差の範囲ですか。
【質問④】
リンパ節転移について。ごろっと大きく腫れたリンパ節が乳房の近くに数個あるのと、微細な転移があるリンパ節がレベルⅠ~Ⅱの広範囲に広がっているのとでは、どちらが高リスクですか。
【質問⑤】
私の病理診断では、10年間の無再発率は70%程度(あるいは、3人に1人は再発する)と言われましたが、先生から見てもそのような数字でしょうか。②の治療をすることで、無再発率を何%まで上げることができますか。
【質問⑥】
ホルモン治療時に併用するUFTの代わりにTS-1を使うのは、より効果的でしょうか。
【質問⑦】
UFT2年の実施は支給・卵巣機能(妊娠・出産に関する機能)に悪影響を及ぼしますか。また、UFTを2年以上実施することに意味はありますか。2年以上の服用は、体へのダメージが大きいでしょうか。
【質問⑧】
妊娠・出産を考えた際のホルモン治療計画について。子どもはできれば2人欲しいと考えています。
(A)4年→(2人出産のためブランク5年弱)→6年で計10年。
(B)3年→(2人出産のためブランク5年弱)→7年で計10年。
(C)3年→(1人出産のため2年ブランク)→3年→(2人目出産のため2年ブランク)→4年で計10年。
(A)~(C)では、どの計画が再発リスクを出来るだけ上げない意味で好ましいですか。
また、胎児への影響を考えた時には、どれが好ましいですか。あるいは、上記のプランの他に、最適な計画がありますか。田澤先生の御意見をお聞きしたいです。
【質問⑨】
ホルモン治療を後回しにして、先に2人出産してから一気に10年治療するという方法は、無治療放置と変わらなくなり、リスクが高まりますか。
質問の数が多くて申し訳ございません。以上、何卒宜しくお願い申し上げます
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
乳癌診療には「ガイドライン」が、明確に存在します。
CMF療法が「過去のレジメンで、時代遅れ」などというつもりは全くありませんが、
術後補助療法の主流が「アンスラサイクリンまたはタキサンもしくは両方」が一般的
だとは思います。
pT1c(20mm), pN1, pStageⅡA, luminalA
「私の病理診断はルミナールB寄りのAだ、という認識を持ちますか。それとも、文句
無しのルミナールAだ、という印象ですか」
⇒「文句なしのルミナールA」です。
Score6の中身が不明ですが、要するに以下の3パターンしかありません。
パターン1:PS3+IS3=TS6
パターン2:PS4+IS2=TS6
パターン3:PS5+IS1=TS6
どのパターンでみても「10%以上」は染色されていることになります。
「ホルモン受容体陽性」として何ら問題のない内容と言えます。
そもそも「ルミナールBの基準はERやPgRの染色性というよりは」Ki67によるものです。
Ki67=10%であれば、「ルミナールA」で何ら問題はありません。
●「染まっている割合」と「染まっている濃度(強度)」の組み合わせがAllred
scoreです。
Allred score
染色細胞割合(PS)
1:染色される細胞が0~1/100
2:染色される細胞が1/100~1/10
3:染色される細胞が1/10~1/3
4:染色される細胞が1/3~2/3
5:染色される細胞が2/3~1
染色強度(IS)
0:全く染まっていない
1:弱く染まっている
2:中間程度に染まっている
3:強く染まっている。
♯判定基準 染色細胞割合(PS)+染色強度(IS)=TSとして3以上を陽性
「私の病理診断であれば、先生はどのような治療計画を立てますか。」
⇒年齢が28歳なので「タモキシフェン+LH-RHagonist」とします。
化学療法は選択しませんが、「ご本人の強い希望」があればTCとします。
無論「UFT内服」などしません。
「全摘+腋窩廓清→CMF→放射線→タモキシフェン+リュープリン+UFT(最大5年のブランクを挟みつつ10年)という治療は、先生からして見ると、妥協した印象がありますか。」
⇒妥協ということはありません。
ただ、「CMFはいいとしても」「UFTをやる意義」が不明です。(もしかして、ご本
人の「他に何かないか?」という要求が有ったのかもしれませんね)
「母数の多い少ないは単純にリンパ節数の個人差でしょうか。母数32でありながら、
うちセンチネルリンパ節が1個しかないのも個人差の範囲ですか」
⇒母数に関しては「個人差の範囲内」です。
センチネルリンパ節の個数は「医師の判断」によります。
「リンパ節転移について。ごろっと大きく腫れたリンパ節が乳房の近くに数個あるのと、微細な転移があるリンパ節がレベルⅠ~Ⅱの広範囲に広がっているのとでは、どちらが高リスクですか」
⇒これに関しては「あくまでもリンパ節転移のリスク分類は個数のみ」となっています。
つまり「個数が同数であれば」リスクは同じように思います。
但し、私自身の印象では「微細な転移が広範囲の方が」リスクが高い印象があります。
「私の病理診断では、10年間の無再発率は70%程度(あるいは、3人に1人は再発する)
と言われましたが、先生から見てもそのような数字でしょうか」
⇒タモキシフェン単独であれば、その位だと思います。
「②の治療をすることで、無再発率を何%まで上げることができますか。」
⇒UFTの上乗せ効果は未知数なので不明ですが、(全ての効果を足すと)15%あたり
まで上げられるかもしれません。
「ホルモン治療時に併用するUFTの代わりにTS-1を使うのは、より効果的でしょう
か」
⇒TS-1は「転移再発乳癌」にしか使用できません。 適応外使用となります。
経口抗がん剤で唯一使えるのはUFTなのです。
「UFT2年の実施は支給・卵巣機能(妊娠・出産に関する機能)に悪影響を及ぼします
か。また、UFTを2年以上実施することに意味はありますか」
⇒「治験では乳癌を含む固形癌486例において生理不順含め卵巣毒性は発現していな
い」という情報を入手しました。
卵巣毒性は心配無いようです。
UFT2年は「CMF療法」に対する非劣勢」を証明できませんでした。
♯ 特に今回はCMFの後に予定されている訳ですが、「全くエビデンスのない」ことなのでコメントしようがありません。
「妊娠・出産を考えた際のホルモン治療計画について。子どもはできれば2人欲しい
と考えています」
⇒私であれば、「妊娠・出産」を最優先して、その後に「ホルモン療法」とします。
「ホルモン治療を後回しにして、先に2人出産してから一気に10年治療するという方
法は、無治療放置と変わらなくなり、リスクが高まりますか。」
⇒妊娠・出産が「リスクを高めない」ことは解っています。
無治療放置とは異なります。
私は「妊娠・出産を先」にすることでいいと思っています。
質問者様から 【質問2】
以前に質問させて頂いたものです。
今回は乳癌のホルモン治療中の骨髄抑制についてお聞かせ下さい。
<病理再掲>
28歳女・ステージ2A
浸潤部最大径2cm・硬癌
非浸潤部の拡がり6cm・脂肪
浸潤あり
リンパ節転移2個(センチネル+レベル1)
ルミナールA
グレード2
Ki67:10%
<これまでの治療>
全摘廓清→6CMF→放射線→ゾ
ラデックス+タモキシフェン併用中(3ヶ月目)
現在、ゾラデックス+タモキシフェン併用中です。
毎月のゾラデックス投与前に血液検
査をしているのですが、今回の検査で白血球が2710、血小板が5.4万まで落ちました。
先月の結果は白血球2870、血小板5.9万で、そこから更に緩やかに下降した形です。
これらの数値は、抗がん剤CMF投薬中よりも低いもので、術後最低となりました。
ちなみに抗がん剤中は白血球4500、血小板10万前後まで下がったのみです。
血小板に至っては、この時の半分ほどまで急に下がりました。
ただし、抗がん剤後の放射線治療では血液検査しなかったため、ここでどの程度下がった
のかは不明です。
また、術前の血液検査では白血球5620、血小板9.2万です。
血小板が元々低く、2、3年前の血液検査でも14万程度です。
体質的なものもあるのかと思いますが、長いスパンで見ても下降の一途で不安があります。
今回の数値低下を受け、主治医が休薬を提案、その場で血液内科に引き渡され、内科の医師と面談。
内科医師のゴーサインがあったため、今回は投薬としました。
主治医の説明
「この数値と下降傾向からして、今回は休薬」
「恐らくホルモン治療の影響」
「夏に施行したCMFの影響も
あるかも知れない」
内科医師の説明
「11月に施行した放射線の影響もあるかも知れない」
「ホルモン治療は引き続き行って大丈夫」
「極めて可能性は少ないが、乳癌の骨髄転移ということもある」
なおその他の血液検査項目はMPVが14.3でH、その他項目は閾値内です。
要精密検査とのことで、その日のうちに骨髄穿刺を受け、現在、結果待ちです。
【質問1】
ゾラデックス、またはタモキシフェンの副作用でこの程度の骨髄抑制が出ることは珍しくもないことなのか。
多くの患者を診てこられた田澤先生の御意見をお聞かせ下さい。
【質問2】
このままホルモン治療を続けて構わないか。
田澤先生ならどのようにされますか。
【質問3】
この程度の骨髄抑制で、二次性白血病の懸念はあるか。
【質問4】
放射線治療は部分的な照射(胸)でも通常、この程度の骨髄抑制がおこるのか。
【質問5】
骨髄穿刺の結果、乳癌が骨髄転移していた場合、今後はどのような治療になるか。
【質問6】
早期乳癌でも骨髄穿刺して微小転移があった場合の予後は有意に悪いとのデータを見ました。
この場合は引き続きホルモン治療、または抗がん剤等することで根治は可能でしょうか。
【質問7】
上記とは話が変わるのですが、これまでの腫瘍マーカーca15-3の動きについて、以下の通りです。
術前9.8→術後11.2→CMF中11.9→放射線・ホルモン治療開始後6.4
少しずつですが増加傾向だったものが、急に半分まで下がったことに意味はあるのでしょうか。
以上、宜しくお願い致します。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
pT1c(20mm), pN1, pStage2A, luminal A
「全摘廓清→6CMF→放射線→ゾラデックス+タモキシフェン併用中(3ヶ月目)」「現在、ゾラデックス+タモキシフェン併用中です。毎月のゾラデックス投与前に血液検査をしているのですが、今回の検査で白血球が2710、血小板が5.4万まで落ちました。
先月の結果は白血球2870、血小板5.9万で、そこから更に緩やかに下降した形です。
これらの数値は、抗がん剤CMF投薬中よりも低いもので、術後最低となりました。」
⇒まず「白血球は2000以上あれば」全く気にする値ではありません。
問題は「血小板」ですが、「5万」であれば「原因薬剤は止めて様子をみるべき」でしょう。
「極めて可能性は少ないが、乳癌の骨髄転移ということもある」
⇒このコメントは完全に忘れてください。
乳癌診療の経験もないのに「骨髄転移などという、あまりにも低頻度の事態を想像」するのは「単に、患者さんに要らぬ不安を与えるだけ」で『百害あって一利なし』です。
「その日のうちに骨髄穿刺を受け、現在、結果待ちです。」
⇒馬鹿馬鹿しい検査です。
余計な侵襲にすぎません。
もう、「そう言う無駄な診療」は止めましょう。
「【質問1】ゾラデックス、またはタモキシフェンの副作用でこの程度の骨髄抑制が出ることは珍しくもないことなのか。多くの患者を診てこられた田澤先生の御意見をお聞かせ下さい。」
⇒時々あることです。
とにかく「1回辞める」べきです。
そして「回復」したら再開するのが一番です。
「再開後は落ち着く」ことも多いです。
「【質問2】このままホルモン治療を続けて構わないか。田澤先生ならどのようにされますか。」
⇒一度辞めるべきです。
ホルモン療法は「長期的な効果を狙う」ものです。
一時的に辞めても「その後、長期投与ができる」ことが重要なのです。
「【質問3】この程度の骨髄抑制で、二次性白血病の懸念はあるか。」
⇒全くありません。
CMFやホルモン療法で「そんなことを想像する必要は皆無」です。
「【質問4】放射線治療は部分的な照射(胸)でも通常、この程度の骨髄抑制がおこるのか。」
⇒放射線照射の影響は(多少の)「白血球」程度であり、「血小板低下までは起こらない」ものです。
「【質問5】骨髄穿刺の結果、乳癌が骨髄転移していた場合、今後はどのような治療になるか。」
⇒その可能性を考える必要は全く無いので、回答は差し控えさせてもらいます。
「【質問6】早期乳癌でも骨髄穿刺して微小転移があった場合の予後は有意に悪いとのデータを見ました。この場合は引き続きホルモン治療、または抗がん剤等することで根治は可能でしょうか。」
⇒そもそも「骨髄転移などない」ので「考える必要はありません」
「【質問7】これまでの腫瘍マーカーca15-3の動き 術前9.8→術後11.2→CMF中11.9→放射線・ホルモン治療 開始後6.4 少しずつですが増加傾向だったものが、急に半分まで下がったことに意味はあるのでしょうか。」
⇒意味は全くありません。
CA15-3は「正常値下限25」であり、「正常値内での動き」は全く気にする必要はありません。
○余計な診療をされて、余計な心配をされているようで、お気の毒です。
たんに一時的な「ホルモン療法の副作用」なので、「一旦休薬して様子をみる」ことを(担当医と)相談してみましょう。
質問者様から 【質問3】
いつもお世話になっています。
今日は 術後1年の検査についてお聞かせください。
主治医には1年目にctを撮ると言われました。
心配でしょう
から……という、言い方でした。
私としては、全身チェックをしておきたいという気持ちの一方、被曝への懸念、そしてルミナールaということからも、1年目で転移再発とは考えにくいかと思い、CTに意味があるのかどうか、迷っています(リンパ節転移があったので、怖い気持ちはあります)。
通常、1年目検診でCTを行うものでしょうか。
診断時の進行度にもよるのでしょうが、エコーだけ、というのが普通なのでしょう。
田澤先生であれば、検診では何をされますか。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「主治医には1年目にctを撮ると言われました。」「私としては被曝への懸念、そしてルミナールaということからも、1年目で転移再発とは考えにくいかと思い、CTに意味があるのかどうか、迷っています」
⇒全く意味がありません。
定期的な術後検査としての「CT」は意味が無い事は証明されています。
「通常、1年目検診でCTを行うものでしょうか。」
⇒「通常」かどうか、解りませんが…
私は「いっさい」やりません。
「田澤先生であれば、検診では何をされますか。」
⇒「3カ月に1回の診察、採血腫瘍マーカー」「1年に1回のマンモグラフィー」です。