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術後の治療の選択について等

[管理番号:4083]
性別:女性
年齢:48歳
乳がんの診断を受けて以来、こちらのQ&Aやコラムを何度となく熟読させて頂きましたが、やはり千差万別なタイプを持つ病の様でなかなか自分とピタリと当てはまる事例もなく、初めてご質問させて頂きました。
10月(下旬)日初診にて乳がんの診断を受けました。
・触診(2.0cm位)
・組織診(ガンであることに違いない)
・エコー診断(1.0cm位)
・CT(他臓器転移なし)
生理周期に合わせ初診から二週間後の
11月(中旬)日
・MRI拡がりの診断(3.6cm リンパ節の明らかな転移なし)
12月(上旬)日に温存手術を行い6日間の入院後、現在退院しています。
(術後の経過は術前と変化ない程に良好)
初期の受診から担当医師が無口な方のため中々こちらの意図が伝わらず
事務的な情報提供のみと言うこともあり
自分で情報を集めだすと疑心暗鬼になり不安です。
私が知りたいのは自分の今の状態です。
治療を前向きにもって行くにも
そこをはっきりしたいと思いご質問させて頂きました。
以下は医師から頂いた資料です。
よろしくお願いいたします。
病期 ⅡA
しこりの大きさ 4cm
脇の下の転移の個数 0
ホルモン感受性 マイナス(-)
エストロゲン受容体 0%
プレゲステロン受容体 0%
HER2蛋白の増殖の有無 ハーセプテスト 陽性3+
増殖因子 Ki67(MIB1)index 34%
組織核的異軽度 grade3
手術 乳房温存術(50g程度切除) センチネルリンパ節生検(転移なし)
治療方針
必要な全身治療 化学療法、分子標的療法
放射線治療=必要
医師からは2つの治療のどちらかを選べると話がありました。
その際、医師からは次の理由で1の方がいいのではないかと言われました。
理由:薬の臨床例が多く、成績が良い。
40代である。
組織核的異軽度 3
である。
1,EC療法x4サイクル(3ヶ月)終了後に下記を同時進行で行う。
→ドタキセルX4サイクル(3ヶ月)
→ハーセプチンx17サイクル(約1年)
※すべて3週間毎
2,下記を同時進行で行う。
 
TC療法x4サイクル(3ヶ月)
ハーセプチンx17サイクル(約1年)
※すべて3週間毎
ご回答頂けると嬉しいのは
1,今の状態。
(メンタル的にも前向きに考えたいのですが、主治医からは随分と急いでいる感じが伝わり、話の感じからは術後1カ月と経たないうちから始めるニュアンスが伝わったので、相応急がねばならない程の予後が予想されているのかが、とても不安となってしまいました。
不安の1つには診断日を追うごとに腫瘍の数値が大きくなり、これがスピードの早さなのか??と・・
主治医はそれは違うと言っていましたが・・
またセンチネルでは奥の方にあり取るのが大変だったとの話もあり1つ取って0だったと言っていた気がしましたが、4センチの腫瘍でセンチネルリンパ節にも転移がなかったのかが1つのみで判るものなのか等がher2タイプのグレード3だった事で恐怖となってしまいました)
2,ハーセプチンはHER2に効果があると聞きましたが抗がん剤治療の
後の方のサイクルでいいのはなぜか。
3,そもそも2つのうちどちらがいいのか。
また長期の場合のメリット、短期の場合のリスク。
(自分のタイプ等を考慮した上での再発の率)
4. 江戸川病院ではセカンドオピニオンとして先生のお話を直接伺う事は可能なのでしょうか。
長文、沢山の質問で恐縮です。
お忙しいとは存じますが、よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
HER2-typeなので抗HER2療法の適応です。
抗HER2療法は(スタンダードである)「アンスラサイクリンレジメン」と「非アンスラサイクリンレジメン」に分けられます。
実際のところは、(担当医がいうように)薬剤の使用経験が多くエビデンスが豊富ということで「アンスラサイクリンレジメンが優れている」と言われていますが…
○比較試験は存在しません。
「アンスラサイクリンレジメン」
①EC(AC)x4⇒HER+DTXx4⇒HERx14
「非アンスラサイクリンレジメン」
②TC+HERx4⇒HERx14
③PTX+HER(weekly)x12⇒HERx14
④DTX+カルボプラチン+HERx6⇒HERx12
「医師からは2つの治療のどちらかを選べる」
⇒質問者は上記①と②を提示されているわけです。
「4センチの腫瘍でセンチネルリンパ節にも転移がなかったのかが1つのみで判るものなのか」
⇒それは大丈夫です。
「her2タイプのグレード3だった事で恐怖となってしまいました」
⇒増殖の強さと(リンパ節)転移は、また別の話です。
「2,ハーセプチンはHER2に効果があると聞きましたが抗がん剤治療の後の方のサイクルでいいのはなぜか。」
⇒ハーセプチンは、単独では効果が証明されていません。
 だから、まずは「抗ガン剤を優先」するのです。
 (化学療法が最初に投与された状態で)ハーセプチンは1年間投与の有効性が証明されています。
「3,そもそも2つのうちどちらがいいのか。また長期の場合のメリット、短期の場合のリスク。(自分のタイプ等を考慮した上での再発の率)」
⇒答えはありません。
 直接比較はないのです。
 ただし、(私の考えでは)ローリスク(質問者も該当します)では②でいいと思っています。
 ♯①は(歴史的な)信頼性があるが、(抗癌剤の投与期間が)長い。それに対し②は「短期間で副作用も①より弱い」
「4. 江戸川病院ではセカンドオピニオンとして先生のお話を直接伺う事は可能なのでしょうか。」
⇒可能です。
 ただし、このQandAと、あまり変わり映えしません。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日は拙い質問にも真摯にお返事を下さり感謝致しております。
こちらの、Q&Aには質問したい方も全国にいらっしゃる事を思うと、比較的近い場所に住む私は直接予約をしてお話を伺った方が良いかと思ったのですが、そろそろ結論を出さなければと思い再度こちらのQ&Aを、利用させて頂きました。
宜しくお願いします。
術後、病理の結果の内容に告知の時よりもショックで居た堪れない状況におりましたところ、田澤先生にローリスクとの表現でアドバイス頂けた事に少し安心しました。
担当医はかなりハイリスクの部類に入る様な事を言っておられたのですが、同じ乳腺外科の先生でも捉え方は様々なのだとわかりました。
そこで教えて頂きたいのは、田澤先生のお考えでのローリスクであった理由はリンパ節への転移が無かった事でしょうか?
更に詳しく資料を頂いたのですが、詳しく知れば知る程、立ち居振る舞いの悪い種類の様でした。
数字で表す事は0でない限り個々にとっては不確かである事は理解しているのですが、教えて下さると幸いです。
(その後分かった事を追記致します)
右乳癌 t2n0M0
全体のサイズ2.8×1.6×4.5
浸潤サイズ1.8×1.6×4.0
her2 3+ 核的異軽度グレード3
浸潤性入管癌組織学的グレード3
腺管形成スコア2点
波及度f
ly 1 v1
切除断面 –
特殊型浸潤癌組織型comedc ca約30%
ki67 34%
センチネルリンパ節のサイズ5×4ミリ 0/1 マイナス
随伴良性所見 石灰化 (両側)
乳腺症(入管過形成、腺症 、入管乳頭腫症)
病期ⅡA 48歳
【質問1】このタイプが無治療であった場合の再発率
①EC療法x4サイクル
→ドセタキセルX4サイクル
→ハーセプチンx17サイクル
放射線治療
②TC療法x4サイクル
ハーセプチンx17サイクル
放射線治療
【質問2】①、②それぞれの初期治療をした場合のそれぞれの再発率
【質問3】田澤先生が担当医師だった場合、前回ご回答下さった科学療法の4つのうちどのプランを推薦されますか?
最後に「進行の早い・タチの悪い」とありますが、このタイプに属すると担当医から聞きました。
*その「早い」とはどの程度なのでしょうか?月単位で目に見える進行のレベルも存在するのでしょうか?
初診の検査(約一か月半前)では見られなかった微小転移が自身の免疫などで淘汰されなかった場合、既に再発ががわかる程に進む事もある位に「早い、悪い」という事でしょうか?
*進行の早い、タチの悪い her2陽性タイプにも再発せずに根治されている方も沢山いらっしゃると思っていて良いのでしょうか?
今回も長文になってしまいすみません。
お時間のお許しになる時で構いません。
宜しくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「そこで教えて頂きたいのは、田澤先生のお考えでのローリスクであった理由はリンパ節への転移が無かった事でしょうか?」
⇒その通りです。
「【質問2】①、②それぞれの初期治療をした場合のそれぞれの再発率」
⇒直接比較はありません。
 抗HER2療法を行う事で再発率は半分となり3年再発率は13%となります。
「【質問3】田澤先生が担当医師だった場合、前回ご回答下さった科学療法の4つのうちどのプランを推薦されますか?」
⇒②か③です。(毎週通院が可能なら③でいいでしょう)
「最後に「進行の早い・タチの悪い」とありますが、このタイプに属すると担当医から聞きました。」
⇒そもそも、私は「そのように」思っていませんので、以下には回答しませんがよろしいですね?
*その「早い」とはどの程度なのでしょうか?月単位で目に見える進行のレベルも存在するのでしょうか?
初診の検査(約一か月半前)では見られなかった微小転移が自身の免疫などで淘汰されなかった場合、既に再発ががわかる程に進む事もある位に「早い、悪い」という事でしょうか?
*進行の早い、タチの悪い her2陽性タイプにも再発せずに根治されている方も沢山いらっしゃると思っていて良いのでしょうか?