[管理番号:3994]
性別:女性
年齢:45歳
はじめまして。
いつもこのコーナーを拝見し勇気付けられております。
このように質問させていただく機会をもてましたこと心より感謝申し上げます。
以下、質問です。
8月下旬、大学病院にて左乳房温存手術を受けました。
病理結果
サイズ 25×20×7ミリ
リンパ節転移無し
ER 85%
PgR 75%
ki67 5~19%
ステージ2a
ルミナールA
術前はエコー、MRIでは10ミリ以下の腫瘍だったのですが、術後の病理結果を見て広がり
が大きかったからと、主治医から放射線・ホルモン療法に加え、抗がん剤(TC療法 4クール)の追加を提案されました。
そこで、やるならばある程度はっきりした上乗せの数字が知りたいと考え(また主治医が抗がん剤を勧めてくることもあり)、オンコタイプを申し込みました。
ところが、大学病院から検体が発送されたのは私がオーダーしてから2週間後で、
その後4週間以上経ちますがまだ結果が返ってきていません。
結果が出るまで3週間程度のことで申し込みましたが、もう6週間以上経ちました。
(うち2週間は完全なロスですが)
私も(たぶん主治医も)こんなに時間がかかるとは考えていませんでした。
来週で術後4ケ月となり、満3ケ月無治療であることに本当に焦っております。
そこで質問です。
このまま1~2週間(術後4ケ月となります)、結果を待って治療を開始しても大丈夫でしょうか。
結果を待つべきでしょうか。
その場合は、必要があれば、抗がん剤→放射線治療(ホルモン剤)となります。
抗がん剤が必要なければ、放射線治療(ホルモン剤)です。
またあるいは放射線治療を先行し、抗がん剤は後で考える、ということも考えております。
この場合、万が一、オンコタイプが高リスクの結果になって抗がん剤を開始するとなると、術後5ケ月以降となってしまいます。
このように遅くなっても大丈夫でしょうか。
効果はありますか?
以前、放射線治療だけの場合は5ケ月以内と先生がおっしゃっているのを拝見しました。
抗がん剤は術後いつまでに開始、という基準などはあるのでしょうか。
オンコタイプが本当に返ってくるのか・・・などとも思い始めています。
大変、不安な毎日を過ごしております。
今、私がするべきベストな選択をご教示下さい。
何卒よろしくお願い申し上げます。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
そもそも「拡がりが大きい」という理由で化学療法を提案する事自体「全くのナンセンス」です。
物事はシンプルに考えなくてはなりません。
pT2(25mm), pN0, luminalA
完璧な早期癌です。
これで「化学療法を提案する」事自体、「私自身がタイムマシンで10年前に遡っている」かのような錯覚に眩暈を覚えます。
「術後の病理結果を見て広がりが大きかったからと、抗がん剤(TC療法 4クール)の追加を提案」
⇒???
「腫瘍の拡がり」を理由として化学療法を提案する事自体「全くのナンセンス」ですが、今回は(それにも増して)「25mm」ですよね?
そもそも「腫瘍径25mmをhigh riskと考える」センスには(私は)ついていけません。(まさか、担当医は「250mmと間違っている?」のでしょうか??)
「このまま1~2週間(術後4ケ月となります)、結果を待って治療を開始しても大丈夫でしょうか。」
⇒問題はありません。(十分な早期です)
いずれにせよ、今慌てて始めても(Oncotype DXの結果が出てから始めるのと)1~2週しか違わないのですよね?(大した違いではありません)
「またあるいは放射線治療を先行し、抗がん剤は後で考える、ということも考えて」
⇒これでもいいとは思います。
(そもそも化学療法の適応は無いし)いずれにせよ、放射線治療が先行しても実際は大した問題ではありません。(化学療法⇒放射線の順番は必須ではないのです)
「万が一、オンコタイプが高リスクの結果になって抗がん剤を開始」
⇒『今週のコラム53回目 Ki67が「30未満」ならホルモン療法単独、Ki67が「30以上なら、Oncotype DXを推奨」しています。』をご参照ください。
その表をご覧になれば…
質問者がハイリスクとなる可能性は「僅か5%」程度です。
「術後5ケ月以降となってしまいます。このように遅くなっても大丈夫でしょうか。」
⇒抗癌剤となる可能性はかなり低いのでご安心ください。(そもそもKi67の値から適応外と言えます)
「抗がん剤は術後いつまでに開始、という基準などはあるのでしょうか。」
⇒ありません。
「オンコタイプが本当に返ってくるのか・・・などとも思い始めています。」
⇒杞憂です。