[管理番号:864]
性別:女性
年齢:40歳
田澤先生
いつも親身でご丁寧な回答、参考にさせていただいています。
私は、先日、温存手術を行い、以下の通り病理診断の結果がでました。
浸潤性乳管癌
invasive area 1.4 ㎝
spreadeing area 1.4 ㎝
greade 3
ly 0
V0
surgical margin (-)
ER + PS4(35%)
PgR + PS3(30%)
HER2 3+ (Roche 4B5)
MIB1 38 %
主治医の先生から、以下の治療をすすめられました。
1 抗がん剤治療
EC
ドセタキセル + ハーセプチン
2 放射線治療
3 抗がん剤治療
ハーセプチン
4ホルモン療法
しっかり治したいと思う反面、抗がん剤の治療について、副作用の不安もあります。また、抗がん剤の治療をすすめない書籍もあり、抗がん剤をうけるかどうか、正直迷っています。心をきめて、治療にのぞまないと、よくないと思い、先生のご意見を参考にさせていただきたいと思いました。
お忙しいなか、誠に申し訳ございませんが、宜しくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
pT1c(14mm), pN0?, luminalB(HER2+)タイプですね。
HER2陽性の場合は浸潤径が10mmを超えていれば抗HER2療法が絶対的適応です。(5mm~10mmであれば、必須ではなくなりますが)
回答
「抗がん剤の治療をすすめない書籍もあり」
⇒この手のものには注意が必要です。
K医師のような無責任な者や、適当に「抗がん剤は免疫能力を低下させるだけで、何の意味も無い」と発言する者など『人類の叡智に逆らう、とんでもない独断』です。
宗教のようなもので、「自己責任として、そのような独断を受け入れる」のであれば、それ相応の覚悟が必要です。
♯ 私は、そのような「宗教的論争」をするつもりは一切なく、「そのような書籍を受け入れる」方には、このブログは何ら参考にもならないと付けくわえさせてもらいます。
「抗がん剤をうけるかどうか、正直迷っています」
⇒HER2陽性に対する「抗HER2療法」については『迷うべき余地はない』と私は考えます。
例えば「トリプルネガティブに対する化学療法」や「ルミナールAでリンパ節転移4個以上に対する化学療法」のようなものは、『本当に意味があるのか? ある意味不明』と言えます。
これらには「ターゲット」がないのです。
ただ「ホルモン療法もハーセプチンも使えないから抗がん剤をする」とか「リスクが高いから抗がん剤をする」というような考え方です。
それに対してHER2陽性に対する「抗HER2療法」は『ターゲット療法』として当然やるべき治療と言えます。
○HER2陽性乳癌に対する「抗HER2療法の登場」は「輝かしい人類の勝利の1つ」と言えます。
質問者様から 【質問2】
田澤先生
通常であれば、夏期休業期間にもかかわらず、迅速にご回答いただきまして、ありがとうございました。これだけの数の質問のご回答に、どれだけの時間を費やしてくださっているかと考えると、本当に感謝の気持ちでいっぱいです。
先生のご回答から、抗がん剤をうける決心がつきました。目先のいろいろなことにまどわされず、前向きに治療にのぞみます。ありがとうございました。
前回も記載しましたが、病理診断をうけての私の治療は、
1 EC 4回
ドセタキセル + ハーセプチン 4回
2 放射線治療
3 抗がん剤治療
ハーセプチン14回
4ホルモン療法
とのことでした。先生の所見も同様でしょうか。
ハーセプチンが単独で使用できないことはわかりましたが、ECもドセタキセルも、私の診断の結果、必要となりますか。
お忙しいところ申し訳ございませんが、よろしくお願い致します。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
pT1c(14mm), pN0?, luminalB(HER2+)タイプですね。
確かに低リスクですから、最強とも言える、「ハーセプチンの相手として」『最強である、アンスラタキサンが必要か?』というところは選択の余地があります。
おそらく「担当医」は「質問者の40歳という年齢」も考慮して「最善の治療を」という含みもあると想像します。
回答
「ECもドセタキセルも、私の診断の結果、必要となりますか」
⇒「低リスクであること」を考えあわせると「非アンスラサイクリン」レジメンが考えられます。
非アンスラサイクリン系レジメン
①ドセタキセル+カルボプラチン+ハーセプチンx6⇒ハーセプチン単剤x12
②ドセタキセル+エンドキサン+ハーセプチンx4⇒ハーセプチン単剤x14 もしくはドセタキセル+エンドキサンx4⇒ハーセプチン単剤x18
③(毎週投与)パクリタキセル+ハーセプチン)x12⇒ハーセプチンx14
江戸川病院では②を選択することが多いです。
質問者様から 【質問3】
田澤先生
いつも、親身のご回答本当にありがとうございます。
病気がみつかり、不安や落ち込むんでなかりですが、先生のQ&Aに、本当に救われています。本当にありがとうございます。
田澤先生の、「おそらく「担当医」は「質問者の40歳という年齢」も考慮して「最善の治療を」という含みもあると想像します。」とのご回答、担当の先生からの説明をよく考え、今回、主治医の先生の提案通りの治療を受けることにしました。
先日、1回目のEC療法が終了しましたが、自分で想像していた以上に、副作用がきつく、
治療後、体力的にむ、精神的に、かなり消耗してしまいました。
いろいろ調べると、副作用には、個人差があること、2回目、3回目がどのようになるかは、分からないこと、前向きに治療を行う、強い気持ちが必要なこともよくわかります。先生のご回答から、ハーセプチンの治療は絶対に受けようと思っていますが、EC療法終了後のドセタキセルの副作用に、かなり、不安と恐怖を感じて気持ちが滅入っています。
2回目の先生のご回答では、非アンスラサイクリン」レジメンのご提案をいただきましたが、
ハーセプチンをうけたい場合には、ドセタキセルをはずすことは、可能でしょうか。
もし可能な場合、ドセタキセルの治療を行わなければ、再発のリスクはどれぐらいかわるでしょうか。
田澤先生はどのようにお考えですか。
お忙しい中、いつも本当に申し訳ございませんが、何卒宜しくお願い申し上げます。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
pT1c(14mm), pN0?, luminalB(HER2+)タイプですね。
副作用がきつければ、「非アンスラサイクリンレジメン」がいいのですが、「すでに始まっているから」ということですね。
回答
「ハーセプチンをうけたい場合には、ドセタキセルをはずすことは、可能でしょうか」
⇒可能です。
ただ、「タキサン無し」よりは「ECを減量」する方がお勧めです。
Weekly PTXとする方法もあります(この場合は副作用はかなり楽です)
「もし可能な場合、ドセタキセルの治療を行わなければ、再発のリスクはどれぐらいかわるでしょうか。」
⇒正確な数値はありませんが、「2-5%」と思います。
「田澤先生はどのようにお考えですか。」
⇒私であれば、ECは減量投与(70%)として、タキサンは「パクリタキセル」とします。
○何らかのことで「完遂」してください。