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術後の治療について

[管理番号:3456]
性別:女性
年齢:39歳
田澤先生
お世話になります。
日頃よりQ&Aを拝見させて頂き参考にさせて頂いております。
田澤先生のご意見賜りたく何卒宜しくお願い致します。
3月(下旬)日に左乳房温存手術を受けました。
その後抗がん剤TCを4回終了。
今月より放射線治療30回、タモキシフェンの服薬が始まりました。
術後の病理診断です。
Invasive ductal carcinoma ,scirrhous carcinoma,of the left breast,,CD,partial resection WHO Grade 2,pT2(2.2cm),f,n(+,1/1 sentinel in
frozen,0/9 LI) margin(+)
ER:90%,強‐中
PgR:90%,強
HER2:0(IC,in situ lesion)
MIB-1:M-GI(<20%)
PS19%(64/344)
D2-40:ly(+),s(1+)
抗がん剤を2種類すべきかで迷いましたが結局TCのみで終わりました。
この治療で良かったのでしょうか。
担当医は腫瘍が皮膚に近いところにあったので放射線を5回余分にと言います。
上の診断結果のs(1+)とは皮膚に転移しているという意味ですか?
こちらから聞かないとあまり説明をしてくださらない先生で、わたしが聞いているのは、硬がんということ、ステージ2b、リンパに1つ転移があったということだけです。
あらためて診断書に目を通して用語を調べてみると、どんどん不安が増します。
子どもが2人いてまだ小さいのでできることはどんなことでもしたいと思っています。
ご多忙中申し訳ありません。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
pT2(22mm), pN1(1/10), pStage2B, luminal
「抗がん剤を2種類すべきかで迷いましたが結局TCのみで終わりました。この治療で良かったのでしょうか。」
⇒OKです。
Luminal typeでの抗がん剤治療はTCでOKです(2種類=アンスラ+タキサンは高リスクもしくはトリプルネガティブでいいと思います。)
「上の診断結果のs(1+)とは皮膚に転移しているという意味ですか?」
⇒違います。
深達度が『f(脂肪層)』となっているので、皮膚浸潤はないようです。
皮下のリンパ管侵襲があるということです。
「ステージ2b、リンパに1つ転移があったということだけです。」
⇒ザックリ行ってそういうことです。
あとは、margin+となっているので担当医の「皮膚に近いところにあったので放射線を5回余分」というコメントと考え合わせると(側方断端ではなく)「皮膚側断端陽性」ということかもしれません(このレポートではそれ以上は読み取れません)
「できることはどんなことでもしたいと思っています。」
⇒質問者はルミナールAの可能性が高いので「化学療法が本当に必要だったのか?」
には疑問がありますが、あとはホルモン療法でいいのです。
おそらくTCによる「化学療法閉経」の状態だと思いますが、年齢からは「自然回復の可能性が高い」と思います。
その際には「LH-RHagonistの併用」を必ずしてください。

質問者様から 【質問2】

田澤先生、
早速ご回答頂き、本当にありがとうございました。
ルミナールAの可能性が高い、というのはルミナールBの可能性もあると
いうことですか?術後の病理診断に以下の記述がありました。
Tubular formation:Score3
Mitoses score:Score1(Mitoses=1/8HPF,視野数26.5)
Nuclear grade score:Score2
Total score=6 Tumor Grade2
診断書が長文だったので、最初の質問時には省きました。
AかBか判断するのに必要だったでしょうか?
また、実は、今の病院(○○医科大学付属病院)は8年ほど前より受診しています。
左乳房に石灰化が見つかったためです。
良性か悪性かわからないという診断で、その後ずっと定期的にエコー、マンモグラフィ、MRIの検査を受けてきました。
最後に受診した際、「(石灰化は)乳腺症によるものでしょう、ただ、乳腺症のかたは癌が見つかりにくいので、これからも定期的に健診を続けてください。
」と言われました。
その後、妊娠授乳のため病院には行かず(その旨を病院に連絡した
ら、授乳が終わったら受診するように言われました)、授乳中に痛みを
感じ、自分でしこりをみつけた次第です。
癌が分かった時に、今回の癌と以前からの石灰化の関係を説明していただきたかったのですが、よくわからない、という返答でした。
はっきりとは覚えていませんが、石灰化の数は、多くはないけれどいろいろな場所にあったと記憶しています。
手術にあたり何度も確認したのですが、
あまり気にとめていらっしゃらない様子でした。
術前のマンモトーム検査で非浸潤の結果だったので、温存か全摘か深く考えていなかったのですが、今になって全摘しておけばよかったのでは、と後悔しています。
温存した左乳房にまだ癌が残っている不安が消えません。
手術で切っていない部分が痛むときがあり余計に不安です。
担当医に話しても手術したばかりだから絶対大丈夫だと笑って、とりあってもらえません。
田澤先生ならどうされていましたか?また、わたしは今後どうするべきでしょうか?再度手術して全摘してもらうべきでしょうか?
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「ルミナールAの可能性が高い、というのはルミナールBの可能性もあるということですか?」「AかBか判断するのに必要だったでしょうか?」
⇒ルミナールAかBかは臨床的には(便宜的に)「MIB-1:M-GI(<20%)」で決めています。
この値が「低い(<20%)」だからルミナールAの可能性が高いとコメントしたのです。
細かいことをいうと、「ルミナールAとBは496個もの遺伝子発現を調べた上での分類」なので、あくまでも「ER, PgR, HER2, Ki67の免疫染色だけでの判断」は「正確ではない」のです(断言はせず、あえて可能性が高いと表現しています)
「石灰化の数は、多くはないけれどいろいろな場所にあったと記憶」
⇒この石灰化は「癌とは無関係」と考えて良さそうです。
「良性か悪性かわからないという診断で、その後ずっと定期的にエコー、マンモグラフィ、MRIの検査」
⇒それにしても…
何と「無駄な検査」をしているのか… 悲しくなります。
「MRIする位ならST-MMTしなさい」と言いたくなります。(今更ですが…)
「田澤先生ならどうされていましたか?」
⇒私ならば当然、ST-MMTしています。(どうしても経過観察を患者さんが希望される場合には、マンモのみで経過を見ます。MRIなど全く無用です)
「また、わたしは今後どうするべきでしょうか?再度手術して全摘してもらうべきでしょうか?」
⇒考え過ぎです。
皮膚側断端は「病理医が手術を知らないだけ」の所見にすぎません。
担当医が「きちんと手術している」と自信を持っていれば全く問題ありません。