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非浸潤性乳管癌の放射線治療について

[管理番号:5608]
性別:女性
年齢:49歳
田澤先生のところへ9月中旬にセカンドオピニオンに伺ったものです。
その際はお世話になりました。
7月末 非浸潤性乳管癌の診断(生検により)
    左胸内側下部
9月下旬 左乳房部分切除術+センチネルリンパ節摘出
 術後病理診断
 非浸潤性乳管癌
 癌の大きさ(浸潤径) 0cm pTis 0.6cmの非浸潤癌
 リンパ節転移  1個中 0個 pN0
 遠隔転移 なし    cN0
 病期 0期
 癌の断端5ミリ以内への広がり  なし
 脈管浸潤  リンパ管:ly0 静脈:v0
 
 癌の悪性度(組織学的異型度) 1
 HER2発現 なし
 ホルモン受容体 エストロゲン受容体:陽性  プロエストロゲン受容体:陽性
以上の結果となりました。
なお、術後の病理診断は浸潤しているかどうかだけを見たようです。
ホルモン受容体などは保険がきかないため生検時のものだと言われました。
マージンを聞いたところ2cmはとれているとのことでした。
放射線治療をすると目に見えない残っている癌細胞を死滅させられるということです。
非浸潤の状態で見つかったこともあり、放射線治療を迷っています。
治療後の肺炎などの副作用も気になります。
(5%程度と聞きました)
非浸潤癌でも再発することはあるとはあるようですね。
また再発時には浸潤癌での再発も半分くらいだということでそれも怖いです。
先生ならこの状態での放射線治療はどう思われますか。
私の病院では16回の治療と言われています。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
セカンドオピニオンで受診されたとの事ですが…
(どなたなのか)特定できないので、一般論で解答します。
「非浸潤の状態で見つかったこともあり、放射線治療を迷っています。」
⇒??
 (浸潤癌であれ、非浸潤癌であれ)温存手術は「術後照射が大前提」なのです。
「治療後の肺炎などの副作用も気になります。(5%程度と聞きました)」
⇒そんなにはないでしょう!
 
「非浸潤癌でも再発することはあるとはあるようですね。」
⇒何か勘違いしていますね??
 質問者のいう「再発」が「乳房内再発」のことであれば…
 「浸潤癌も非浸潤癌も全く同条件」です。
「先生ならこの状態での放射線治療はどう思われますか。」
⇒???
 温存術は(浸潤癌でも非浸潤癌でも無関係に)「術後照射が必須」です。
 非浸潤癌なら術後照射は要らないと思っていたとしたら…
 完全に誤った理解です。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

非浸潤性乳管癌の放射線治療について
性別:女性
年齢:49歳
田澤先生、お忙しいところ返信いただきましてありがとうございます。
セカンドオピニオンは9月(中旬)日午後に○○県より伺いました。
ガイドラインでも非浸潤性乳管癌に対する温存手術後は放射線治療が強く勧められる、
とありますね。
その中で「10年での乳癌死、非乳癌死、全死亡は術後放射療法の有無により有意差はなかった。」とあります。
局所再発率は放射線治療により低くなっても、乳癌死は放射線治療の有無に関係ないという解釈でいいのでしょうか。
先生の患者様では放射線治療を省略する方はいらっしゃらないのでしょうか。
温存手術にしてしまいましたが放射線治療の副作用が気になり決断できません。
術後照射が大前提なのはわかっていましたが・・・。
放射線肺炎になり重篤な場合は、ステロイド治療を数か月から1年かけて行うと主治医から聞きました。
肺炎になった場合きちんと治るのかも不安です。
実際に肺炎になり重症化する割合はどのくらいなのでしょうか。
もし私の場合の再発率などがわかりましたら教えていただけると大変嬉しく思います。
来週には主治医に返事をしなくてはいけません。
お忙しいところ何度も申し訳ありませんが、よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「局所再発率は放射線治療により低くなっても、乳癌死は放射線治療の有無に関係ないという解釈でいいのでしょうか。」
⇒その通りです。
 ★このQandAでも再三コメントした様に…
  乳房内再発は、(その時点で)「全摘を選択すれば、(最初から)全摘していたのと予後は同一」なのです。
  つまり、言い換えれば「温存乳房内再発は生命予後とは無関係=(温存乳房への)放射線の有無と生命予後とは無関係」となるのです。
「先生の患者様では放射線治療を省略する方はいらっしゃらないのでしょうか。」
⇒いらしゃいます。
 原則「温存術には、術後照射が必須」ですが…
 「ご高齢」「低異型度の非浸潤癌が小範囲」では、照射省略も提案しています。
 また、「ご本人が拒否」してやらないこともあります。(私は大きなマージンをこころがけているので、実はあまり抵抗がありません)
「実際に肺炎になり重症化する割合はどのくらいなのでしょうか。」
⇒殆どいませんよ。
 江戸川病院ではトモセラピーなので(3年半になりますが…)「実は1名もいらっしゃいません」(これが最大のトモセラピーの利点でしょう)
 仙台時代は…(年間400名の乳癌手術の中で)
  年間2~3名いらっしゃいましたが(入院を要したような方は)「数年に1名」とは思います。(それ以外は外来通院のみ)
「もし私の場合の再発率などがわかりましたら教えていただけると大変嬉しく思います。」
⇒再発率とは?
 局所再発(温存乳房内再発)のことですね?
 一般論として(照射無しで)15%⇒(照射により1/3となるので)5%です。
 
 

 

質問者様から 【質問3 非浸潤性乳管癌の放射線治療について】

性別:女性
年齢:50歳
前回の管理番号:5608
タイトル:非浸潤性乳管癌の放射線治療について
こんにちは。
再度質問させてください。
9/(下旬)手術後の放射線治療を迷っていましたが、放射線治療はやらない決断をしました。
よって手術後は無治療となっています。
左胸の内側下部に腫瘤があり、乳頭の下まで切除してあります。
切除した部分との切り口というのかわかりませんが、乳輪の下あたりが少し硬くなっています。
これは切除後は普通のことなのでしょうか。
まさか再発などということはないでしょうか。
今まであまり気にせずさわる事もあまりなかったのですが、急に心配になってきてしました。
それからリンパの傷口と乳輪の間の乳房が時々ズキズキと痛みます。
乳房の左下もです。
そちら側の乳輪には傷はないのにどうして痛むのでしょうか。
近くを切ってある影響でしょうか。
(リンパの傷口や乳輪の傷口はさわれば少し痛みはあります)
術後3か月検診が1月(下旬)日にあります。
その時は触診のみの診察だと言われています。
エコーなど見ていただけないことが不安です。
田澤先生でしたら3か月ごとの術後検診ではどのような診察をされるのでしょうか。
3年までは3か月ごと、その後5年までは半年ごと、その後10年までは1年ごとの検診になると言われています。
大変お忙しいところ申し訳ありませんがよろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
非浸潤癌では薬物療法を行わないので3カ月に1回の定期診察はしていません。(3カ月に1回はホルモン療法では3カ月処方で受診する場合のみです)
○非浸潤癌で全摘すると根治なので、この場合には定期経過観察不要(実際には希望で1年に1回の診察となることが多い)
 非浸潤癌で温存後の場合にも(術後照射を省略したケースも含む)原則的に1年に1回のみの診察としています。(ただ、不安が強い方には半年としています)
「田澤先生でしたら3か月ごとの術後検診ではどのような診察をされるのでしょうか。」
⇒上記の通り…
 3カ月の定期検診は行っていません(どう考えても不要に思いますが…)
 ★非浸潤癌では(温存にしろ全摘にしろ)採血はしないし、年に1回のマンモとエコーでいいと思います。