[管理番号:5758]
性別:女性
年齢:40歳
田澤先生
こんにちは。
先日病理結果が出ました。
本日内科の受診がありますので先生のご意見を伺えましたら幸いです。
2017年10月手術
左全摘
センチネルリンパ生検にて、3個取った内の1個に微小転移1有→郭清なし
再建の為、エキスパンダー挿入済み
病理結果
・大きさ2.4センチ
・ステージ2b
・浸潤がん(硬癌)
・リンパ節転移有り1個(上記記載と同じセンチネルリンパ生検で微小
転移1有)
・ER + (質問したら100%だそうです)
・PgR +
・HER2 2+(DISHにて増幅なし、陰性)
・脈管侵襲 高度
・核異型度 3
・ki67はオーダーしていないそう
術後の治療プラン
抗癌剤6カ月(AC 3か月+T 3か月)
その後、乳房二次再建(自家組織にて)
その後、放射線1.5カ月毎日
その後、ホルモン療法10年
全摘して一次再建もできたのに、脈管侵襲高度と核異型度3という結果により、手術した側の残っている胸の皮膚に、目に見えない癌がある可能性が高いので、リンパ節転移数4個以上と同じ治療方針と言われ、考えていなかった放射線治療の追加を提案されて動揺しています。
またki67はオーダーしていないが、脈管侵襲高度と核異型度3によりki67は高いはずなので、ルミナールBに相当すると考えられるので抗癌剤6カ月必要とのことです。
今後の治療について先生のご意見をぜひお聞かせください。
質問
1.私のケースは放射線治療は本当に必要でしょうか?
2.放射線治療が必要な場合、どこに照射するのが有効ですか?
3.脈管侵襲高度、核異型度3によりki67を調べることなくルミナールbであろうと言われましたが、ルミナールAの可能性はないのでしょうか?不要な抗癌剤治療はしたくありません。
4.ER(+)で100%陽性ですが、ルミナールAになる可能性はありますか?ER陽性で、そのパーセンテージはルミナールA、Bを分けるki67の数値とは無関係ですか?
5.もし抗癌剤をする場合、ルミナールではTCと以前の田澤先生のご回答にあったかと思います。
仮にルミナールBであった場合、ACとTを各3カ月ずつ合計6カ月という提案されている抗癌剤は妥当なものでしょうか?
6.予後はステージに関係するというのことなので、不要な心配かと思いますが、リンパ節に微小転移1のみで隔清せずに済んだのに、脈管侵襲高度、核異型度3により、治療法がリンパ節4個以上のケースと同じになると言われ、再発リスクや予後が悪いのではと不安になりますがどうでしょうか?
以上どうぞよろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「1.私のケースは放射線治療は本当に必要でしょうか?」
⇒脈管侵襲の中で「ly」は局所因子として胸壁への照射をしてもいいとは思います。
「2.放射線治療が必要な場合、どこに照射するのが有効ですか?」
⇒胸壁です。
「3.脈管侵襲高度、核異型度3によりki67を調べることなくルミナールbであろうと言われましたが、ルミナールAの可能性はないのでしょうか?不要な抗癌剤治療はしたくありません。」
⇒可能性は当然あります。
OncotypeDXしてみましょう。
「ER陽性で、そのパーセンテージはルミナールA、Bを分けるki67の数値とは無関係ですか?」
⇒その通り、無関係です。
「仮にルミナールBであった場合、ACとTを各3カ月ずつ合計6カ月という提案されている抗癌剤は妥当なものでしょうか?」
⇒ルミナールだからTCでいいと思います。
「リンパ節に微小転移1のみで隔清せずに済んだのに、脈管侵襲高度、核異型度3により、治療法がリンパ節4個以上のケースと同じになると言われ、再発リスクや予後が悪いのではと不安」
⇒それは誤りです。
脈管侵襲(ly)はあくまでも局所因子だから、放射線照射する根拠になるとしても、「予後や抗癌剤投与とは無関係」です。
質問者様から 【質問2】
パクリタキセルとドセタキセルの選択
性別:女性
年齢:40歳
田澤先生
先日は早々にご回答いただきましてありがとうございました。
受診前に回答を拝見することができ、大変助かりました。
担当医からは、私の場合はセンチネルリンパ節生検により微小転移1あったのだから抗癌剤使用することは決まっており、追加で保険適用外である検査する必要はないと失笑されて、とても悔しい気持ちになりながらも、自分の意思を伝え現在検査結果待ちです。
ただ次回結果を聞く際に、抗癌剤使用となった場合は、ウィークリーパクリタキセルかドセタキセルかを自分で選んでと、副作用などが書かれた用紙を渡されました。
本来ならばこの場でどちらか選んでほしいと言われましたが、副作用を天秤にかけてその場で選ぶことは私にはできませんでした。
田澤先生にアドバイス頂きながら、抗癌剤使用なしとなった場合は無駄となってしまうので大変申し訳ないのですが先生のご意見を伺えましたら幸いです。
副作用には個人差もあるということも承知しております。
質問
1.どちらの抗癌剤がより効果が高いというようなことはありますか?
2.通院の頻度はどちらも可能だとしたら、田澤先生でしたら、どちらの抗癌剤を勧められますか?
3.ウィークリーパクリタキセルは、ドセタキセルに比べ副作用が軽い場合が多いと聞きました。
が、1番気になる副作用は痺れです。
若いから痺れとの兼ね合いを考えても12回投与できるでしょうと担当医は言っていましたが、抗癌剤投与終了後も痺れが残る方がいるようです。
神経障害としてそのあたりは
どうでしょうか?また痺れが出ることと年齢との関係はいかがですか?
4.抗癌剤での爪への障害や痺れ対策として、抗癌剤投与時に手足の冷却が効果があるということを聞きましたが、先生のところではされていますか?
5.アルコールに弱いのですが、ドセタキセルはアルコール抜きの投与が可能だと聞きましたが、効果は変わらないのでしょうか?
どうぞよろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「担当医からは、私の場合はセンチネルリンパ節生検により微小転移1あったのだから抗癌剤使用することは決まっており」
⇒??
「リンパ節転移=抗癌剤」ですか…
随分遅れていますね。
「追加で保険適用外である検査する必要はないと失笑」
⇒この医師は「OncotypeDXの結果を無視しようとしている」ということですね。
困ったものです。
「1.どちらの抗癌剤がより効果が高いというようなことはありますか?」
⇒ありません。
トリプルネガティブには「weeklyPTXがよりいい」というデータはありました。(随分昔ですが)
♯いずれ、ルミナールである、質問者には無関係です。
「2.通院の頻度はどちらも可能だとしたら、田澤先生でしたら、どちらの抗癌剤を勧められますか?」
⇒PTXです。
「3.ウィークリーパクリタキセルは、ドセタキセルに比べ副作用が軽い場合が多いと聞きました。」
⇒その通りです。
「12回投与できるでしょう」
⇒その通りです。
実際に「途中でドロップアウト」する人は皆無です。
「抗癌剤投与終了後も痺れが残る方がいる」
⇒これは当然です。
神経の回復は「消化管」のように迅速ではなく、「半年単位」で考えるものです。
「また痺れが出ることと年齢との関係はいかがですか?」
⇒無関係です。
一般論として「若いと回復がいい」という意味でしょう。
「4.抗癌剤での爪への障害や痺れ対策として、抗癌剤投与時に手足の冷却が効果があるということを聞きましたが、先生のところではされていますか?」
⇒私自身が推奨することはありません。
患者さんの中には「用意して」やっている人もいます。
♯「手足の冷却」や「冷却キャップ」などの話は20年前から有りましたが…
その後の進展はないのが現実なのです。
「5.アルコールに弱いのですが、ドセタキセルはアルコール抜きの投与が可能だと聞きましたが、効果は変わらないのでしょうか?」
⇒変わりません。