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ホルモン治療と妊娠

[管理番号:778]
性別:女性
年齢:40歳
始めまして。よろしくお願い致します。
このQ&Aを見つけてとても勉強になっております。
一週間程前に乳がん温存手術を終え、病理検査の結果を待っているところです。
手術前の針生検の結果では、
11ミリ、粘液ガン、エストロゲン90%、プロゲステロン90%、ハーセプチン1+陰性
でしたので、今後の治療は放射線治療後、ホルモン治療になるだろうということでした。
私は結婚が遅かったので不妊治療を2年程続け、最後のチャンスと体外受精に挑戦しようとしていた矢先に自分でしこりを見つけました。
主治医の先生に相談したところ、産婦人科との連携をしながら、手術前、手術後とホルモン治療が始まるまでに卵子凍結して、ホルモン治療を2年辺りで一度中断して胚をもどして妊娠出産できればその後残りのホルモン治療を続けることもできると言われました。
子どもは欲しい一方で、ホルモン受容ありHER2-の乳がんでホルモン治療は5年から10年と聞くので2年程で中断することが怖いという気持ちもあり、どうして良いのか悩んでいます。
・主治医の提案通りホルモン治療2年で中断し妊娠出産後、またホルモン治療を続けることに再発転移の可能性はどのくらいあるのか
・ホルモン治療を5年続け、その後胚移植する方が再発転移のリスクは減るのか
・妊娠は諦めたほうが良いのか
先生のご意見をお聞きできたらと思います。現在凍結受精卵は数個あります。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 pT1c(11mm), pN0, luminal typeですね。
 しかも「粘液癌」なので「かなりの低リスク」と言えます。

回答

「主治医の提案通りホルモン治療2年で中断し妊娠出産後、またホルモン治療を続けることに再発転移の可能性はどのくらいあるのか」
⇒こういうデータはありません。
 術後、妊娠出産すること自体は「予後との関連は不明」です。
 
「ホルモン治療を5年続け、その後胚移植する方が再発転移のリスクは減るのか」
⇒5年継続した方がリスクは下がるとは思います。(勿論2年⇒中断⇒残りを継続との比較試験はありませんが)
 
「妊娠は諦めたほうが良いのか」
⇒もともと低リスクだし、「妊娠、出産」を優先してもいいと思います。
 私の診療経験からすると「妊娠出産を優先」させた患者さんも沢山見てきましたが、「再発した方」はいらっしゃいません。
 勿論、「妊娠・出産を優先してもいいくらいの進行度」だから「再発しなかった」という背景もありそうですが。
 そう言う意味では「11mm 粘液癌」では私なら『妊娠・出産を優先』してもらうでしょう。