[管理番号:2891]
性別:女性
年齢:54歳
いつも勉強させて頂きありがとうございます。
副作用について質問したいと思います。
非浸潤ガンで皮下乳房切除をしました。
閉経後のためアロマターゼを服用し40日になります。
ホルモン療法は、私が閉経後だったのでホルモン剤による子宮がんのリスクがないので、対側予防の為にする事になりました。
この1週間頭がふわーっとしたり、寝ている夜中に背中が痛くなったりします。
程度は軽いですが、いつもとは違います。
副作用かな?と気になってます。
アロマターゼの副作用を調べてみると、骨粗鬆、脂質異常、認知症などがありました。
私は昔から脂質異常と言われています。
が治療はしていません。
なので、そこに副作用が重なると大変な病気になる可能性に不安を感じます。
脂質異常は生活習慣で治したく、脂質異常の薬を飲んでまでホルモン療法をするのに迷いがでてきました。
今感じてる副作用ももっとひどくなるのかな?と心配になります。
ガンになりたくないのでホルモン療法をしたいし、副作用で健康な体をいじめたくないし。
次回病院に行くまでに先生に相談したいと思いましたので、よろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
非浸潤癌でのホルモン療法で適応があるのは(閉経前後にかかわらず)「タモキシフェンだけ」です(それでも推奨度はC1ですが…)
○非浸潤癌でアロマターゼインヒビターを用いる事は「適応外診療」です。
ホルモン療法にも副作用があるので、「ホルモン剤による子宮がんのリスクがないので、対側予防の為にする」というように「適当に行う」ものではないのです。
質問者様から 【質問2】
いつも勉強させていただいてます。
今日は前回の確認をさせて下さい。
非浸潤でも再発や対側に発生したという質問が見受けられます。
私は非浸潤で大人しいガンで全摘していますが。
もし万が一、検査ミスで浸潤部分が少しでもあるならホルモン療法した方が安心できる気がします。
質問です。
非浸潤なのでアロマターゼインヒビタによるホルモン療法は適応外という事ですが、やる必要がないのでしょうか?または効果がわかってないのでしょうか?
どうぞよろしくお願いします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
治療には「効果と副作用」があります。
言いかえれば「利益と損益」「予防効果と有害事象」となります。
非浸潤癌で「ホルモン療法を行うこと」は(物凄い低率の)「予防効果」に比べて
(十分すぎる)「有害事象」となり、バランスがとれないのです。
「非浸潤でも再発や対側に発生したという質問が見受けられます。」
⇒「対側に発生した」とありますが、これは再発ではなく、「新たに対側乳癌が発生した」となります。
「もし万が一、検査ミスで浸潤部分が少しでもあるならホルモン療法した方が安心できる気がします。」
⇒「安心のために払われる犠牲(ご本人が感じる副作用、ご自分の経済的負担、保険料として支払われる医療財政のひっ迫)」が大きい事を考えなくてはなりません。
あらゆることを疑っては「医療は成立しない」のです。
「非浸潤なのでアロマターゼインヒビタによるホルモン療法は適応外という事ですが、やる必要がないのでしょうか?」
⇒その通りです。
治療にはバランスがあります。 「物凄い稀」なことのために「大きな犠牲を払う」ことは許されないのです。
「または効果がわかってないのでしょうか?」
⇒それも当然あります。
薬剤の適応には「臨床試験で投与群、非投与群の間で差がでる」必要があります。
しかし、もともと「再発率が限り無くゼロに近い」非浸潤癌では「投与群」と「非投与群」で生存率に差がでることなど考えられません。
「1人を救うために999人が無駄な治療」をすることと、「1人を救うために9人が無駄な治療」をすることでは「後者の方が妥当」だと思いませんか?