Site Overlay

閉経後のホルモン治療

[管理番号:4808]
性別:女性
年齢:51歳
始めて質問させて頂きます。
どうぞ宜しくお願い致します。
6-7年前より石灰化があり定期的に乳がん検診を受けておりました。
定期検診として去年の9月にマンモとエコーの検診を受けましたが マンモの石灰化も変化なくエコーも異常なしと言われて安心しておりました。
ところが今年の3月 乳腺が張るような感じがあり茶色の分泌物が出出て大きい病院に検査を行きましたところ非浸潤性乳管がんと分かり範囲が広いので乳房全摘手術を4月に受けました。
先日術後の病理検査を聞きに行きましたら3mmの浸潤が見つかりホルモン治療を勧められました。
0期に近い1期であるので試してみて副作用が辛ければやめましょう。
スポーツをされるので関節が痛くなるのは困ると思われるのでノルバデックスの服用にしましょう。
と説明がありました。
①ずっと定期検診を受けていたのですが半年ぐらいで3mmの浸潤がんができるのは進行の早いたちの悪いがんなのでしょうか?
②51歳ですが二年ほど前に閉経しておりますがノルバデックスでも効果はあるのでしょうか?ノルバデックスとアロマターゼを使った時の差はどのくらいあるのでしょうか?
アロマターゼの服用では関節痛が強くスポーツは厳しいでしょうか?
③ホルモン治療をした場合と無治療の場合 再発率などはどのくらいかわるのでしょうか?
どうぞ宜しくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「①ずっと定期検診を受けていたのですが半年ぐらいで3mmの浸潤がんができるのは進行の早いたちの悪いがんなのでしょうか?」
⇒十分早期であり、そのようなことを想像する必要はありません。
「②51歳ですが二年ほど前に閉経しておりますがノルバデックスでも効果はあるのでしょうか?」
⇒勿論です。
 もともと(アロマターゼ阻害剤が出る前までは)閉経後でもタモキシフェンが標準治療だったのです。
 ☆勿論、現在でもタモキシフェンは閉経前後両方に適応があります。
「ノルバデックスとアロマターゼを使った時の差はどのくらいあるのでしょうか」
⇒比較すれば有意差がでるというレベルであり、(もともと再発率の低い)3mmの浸潤癌では「その差は限り無くゼロに近い」でしょう。
「アロマターゼの服用では関節痛が強くスポーツは厳しいでしょうか?」
⇒個人差はありますが…
 そんなことは無いでしょう。
「③ホルモン治療をした場合と無治療の場合 再発率などはどのくらいかわるのでしょうか?」
⇒質問者のケースでは、(そもそも再発率がひくいので)殆ど変わらないと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生 お忙しい中 わかりやすいご説明有難うございます。
追加のご質問をさせて頂きたいのですが宜しくお願い致します。
ご質問の内容が同じような事かもしれませんがお許し下さい。
病理検査の詳しい事がわかったのですが
侵潤径0.3X0.2mm グレード3
ER score3 PgR score0  HER2 score3+
Ki-67 38.5%  リンパ管・血管侵襲(-) 波及度 乳腺
①たとえpT1a pNOでもグレード3でしたら再発率は高くなるので
しょうか?
②HER2 score3+ に対しての治療は必要ないのでしょうか?
③私の場合、反対の乳房の再発率 遠隔転移率はどのくらいなのでしょ
うか?
④グレード3 HER2陽性なので 定期検診として乳房以外肺や肝臓な
どの検査も受けていた方がよろしいでしょうか?
⑤ホルモン剤を開始しまして副作用のため中止しましたら もし身体に
 癌細胞が残っていました場合 その反動で活動が活発にならないので
しょうか?
⑥ER score3 PgR score0  と低値ですがホルモン剤は服用した方
方がよろしいでしょうか?
  田澤先生でしたら 今回の病理結果のような患者さんにはどのよう
な治療をすすめられますでしょうか?
⑥前回のご質問でホルモン治療をした場合と無治療の場合 私の場合は再発率
再発率が低いので
 そんなに変わらないとお答え頂きましたが今回の病理の結果ではお答えが
えが変わりますでしょうか?
本来のならきちんとセカンドオピニオンとして病院にお伺いしないとい
けない事なのにこのような形で
たくさんのご質問をさせて頂き誠に申し訳ございません。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
余計な情報が流れているせいで(乳腺外科医でさえ)誤った認識を持っているので注意が必要です。
「3mmの癌」で再発率を気にする事自体ナンセンスであり、質問者は全摘なのだから(私だったら)間違いなく「無治療を提案」しています。
「①たとえpT1a pNOでもグレード3でしたら再発率は高くなるのでしょうか?」
⇒冒頭のコメント通りです。
 再発率は限り無くゼロに近い(つまり「ほぼ根治」です)
「②HER2 score3+ に対しての治療は必要ないのでしょうか?」
⇒3mmではあらゆる抗がん剤の適応外です。(抗HER2療法も含め)
「③私の場合、反対の乳房の再発率」
⇒これは用語に「明確な誤り」があります。
 乳腺は決して「対側の乳腺に転移」しません。(左右の乳腺は「天と地ほどに」離れているのです)
 ♯もしも対側の乳腺に癌が発生した場合には(再発転移では、けっしてなく)全くの新規です。
「遠隔転移率はどのくらいなのでしょうか?」
⇒ほぼ0%ということです。
「④グレード3 HER2陽性なので 定期検診として乳房以外肺や肝臓などの検査も受けていた方がよろしいでしょうか?」
⇒全く不要です。
「⑤ホルモン剤を開始しまして副作用のため中止しましたら もし身体に 癌細胞が残っていました場合 その反動で活動が活発にならないのでしょうか?」
⇒全く無駄な想像です。
 心配ありません。
「⑥ER score3 PgR score0  と低値ですがホルモン剤は服用した方方がよろしいでしょうか?」
⇒そもそも3mmならば「ホルモン療法は不要」です。
「田澤先生でしたら 今回の病理結果のような患者さんにはどのような治療をすすめられますでしょうか?」
⇒冒頭のコメントどおり…
 「無治療」です。
「今回の病理の結果ではお答えがえが変わりますでしょうか?」
⇒全く変わりません。
 3mmの乳癌で「グレードとか、サブタイプを気にする事自体ナンセンス(たとえ、担当医が気にしていたとしても)
 そういうことです。
 「早期乳癌であることは最大の武器」これは時代が変わっても不変なのです。