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ホルモン療法を中断し、抗がん剤開始

[管理番号:797]
性別:女性
年齢:50歳
田澤先生
お忙しい中、申し訳ありません。
病理検査であいまいな結果が出た為、
オンコタイプDxをすすめられましたが、
決心が着かず、ホルモン療法を選択し、
現在ノルバディックを3週間服用中です。
手術は6月の下旬でした。
毎日、再発、転移の恐怖から離れる事が出来ず、
こんな事なら、今からオンコタイプDxの検査を受け、
少しでも効果があるなら、抗がん剤治療を受けようか
と思い始めています。
これによって少しでも不安な気持ちを落ち着かせたいのです。
タイトルどおり、始めてしまったホルモン療法を中断し、
抗がん剤を始めるのは効果の面で大丈夫でしょうか?
病理検査結果も追って書かせて頂きます。
ノルバディックスの副作用か?頭の中が整理できません。
お許し下さい。
取り急ぎ、今思っている疑問を書かせて頂きました。
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 「病理検査であいまいな結果が出た為」とは、「ルミナールタイプだけど、化学療法で上乗せ効果が期待できるか、どうか?」というところだと思います。
 「オンコタイプDXですか?」保険適応ではないから、誰にでも勧められる検査ではないですね。

回答

「タイトルどおり、始めてしまったホルモン療法を中断し、抗がん剤を始めるのは効果の面で大丈夫でしょうか?」
⇒全く問題ありません。
 そもそも「抗がん剤を先にしなくてはならない」とか「ホルモン療法と抗がん剤に順番もなにもありません」
 
○QandAで質問される方を見ていると「抗がん剤終了後」ホルモン療法開始みたいな方が多いようですが、本来「ホルモン療法と抗がん剤は同時にしてもさしつかえない」ものです。
 
 唯一の文献は「遠い昔」に「アンスラサイクリンとタモキシフェンは併用は良く無い」という1つしかありません。
 今更、誰も「ホルモン療法と抗がん剤は同時でもいいのか?」などという事に興味は持っていないので(その件にかんして)今後、「新たな治験が得られる可能性」はありません。
 
 

 

質問者様から 【質問2 病理検査結果】

田澤先生
早速にご回答頂きありがとうございました。
私の状況とよく似た方への先生の回答を
参考にさせて頂いたらいいのですが、
先生からのご意見を聞かせて頂きたく
お忙しい先生に図々しく私の病変も書かせて頂きます。
浸潤性乳管癌 (乳頭腺管癌)
最大浸潤経1.2センチその他ところどころ浸潤
センチネルリンパ節2こに転移無し
核グレード3
ly浸襲あり v無し
Ki67 10~15%
エストロゲン8/8
プロゲステロン4/8
HER2 +1陰性
術前の検査では
コメド壊死が広範囲で広がっていました。
全摘です。
疑わしいリンパ節がひとつありましたが
術後陰性でした。
数ミリの浸潤は覚悟していましたが、
1.2センチ グレード3 リンパ管浸襲にショックを受けました。
不安に思っているのは、
ところどころ浸潤がどの程度なのか?
最大経が1.2センチだったが、
8ミリ、10ミリの浸潤もあったのではないか?
そうなると、ステージ1でも状況は変わるのではないか?
グレード3でありながら、ki67がそれほど高くないのは
なぜか? 抗がん剤を受けるならどちらを決め手にすればいいか?
そして、質問にもなりますが、
センチネルリンパ節は腫瘍の位置によって
場所や個数は異なりますか?
浸潤している箇所が分からないので
それが本当に浸潤部に近いセンチネルリンパ節だったのだろうか?
そして2つだけの摘出でよかったのだろうか?
リンパ管浸襲があった為気になります。
次から次へと不安が広がり、
ちゃんと手術をしてくださった主治医に
疑うような質問も出来ず、
そして、オンコタイプDxを受けようと
決心したのが、また揺らいでいます。
ノルバディックスの副作用なのか、
毎日不安定な状態だからなのか、
集中力がなくなっています。
読みにくい文章で申し訳ありません。
よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答2】

 こんにちは。田澤です。
 pT1c(12mm), pN0, pStage1, luminal Aですね。
 コメド壊死を伴う「乳頭腺管癌」の多発浸潤ですね。比較的「よくあるタイプ」とも言えます。

回答

「ところどころ浸潤がどの程度なのか?最大経が1.2センチだったが、8ミリ、10ミリの浸潤もあったのではないか?そうなると、ステージ1でも状況は変わるのではないか?」
⇒コメド壊死を伴う多発浸潤であれば、最大浸潤径12mm以下の(質問者のいうといころの 8mm, 10mmも)存在していた可能性はあります。
 ただし、「だからと言って、何ら状況は変わりません。勿論ステージもそのままです。」
 大事なのは「その内で最大の物=最大浸潤径」なのです。
例えば、腫瘍①が12mm, ②が10mm, ③が8mmだとしても 浸潤径=12+10+8=30mmとなる訳ではありません。
 これは、規約上「腫瘍径は最大浸潤径が相当し、多発腫瘍の足し算ではない」という事でもあるし、実際問題の「予後を反映するもの」でもあるのです。
 
「グレード3でありながら、ki67がそれほど高くないのはなぜか?」
⇒これは「グレード3の中身」にもよります。
 たとえば、核グレード3でも「核異型3点+核分裂2点=5点核グレード3」の場合(下記の★)では核分裂が最低で10視野に5個の可能性があります。
 Ki67=分裂期にある細胞の割合なので「核分裂が10視野で5個程度なら、低い値の可能性」もあります。
「核グレード」は「核異型の点数」+「核分裂の点数」です。
・核異型 
弱い:1点
中間:2点
強い:3点★
・核分裂 
5個未満(10視野で):1点
5~10個(10視野で):2点★
11個以上(10視野で):3点
・核グレード(NG) 核異型の点数+核分裂の点数
2点、3点 :核グレード1 
4点    :核グレード2
5点、6点 :核グレード3★
 
「抗がん剤を受けるならどちらを決め手にすればいいか?」
⇒両方を参考にしてください。
 核グレードでの判断はAdjuvant!Online
Ki67での判断ではSt. Gallen でのrecommendationとなります。
 実際に計算するとAdjuvant!Onlineでは(核グレード3を用います)内分泌療法を行うことによる再発予防効果が11.1%に対し「化学療法を追加する事による」上乗せ効果は僅か4.2%です。
 当然ki67からするとSt.Gallenの推奨では「luminalA内分泌療法単独」となります。
 ★つまり(化学療法の追加による上乗せ効果は低い=4.2%であり)「グレード3(adjuvant!Online)を使って」も、「Ki67(St.Gallen recommendation)を使って」も(両方で)『化学療法は不要』となるのです。
 
「センチネルリンパ節は腫瘍の位置によって場所や個数は異なりますか?」
⇒全く変わりません。
 腋窩へ行くリンパの流れは「腫瘍がどこにあっても」同じです。
 個数は1個で十分です。
 
「リンパ管浸襲があった為気になります」
⇒リンパ管侵襲は気にしなくても大丈夫です。
 「真のセンチネルリンパ節は別にあって、転移が残っている」などと考える必要は全くありません。
 私の経験から言っています。
 
 

 

質問者様から 【質問3 コメド癌】

すみません
もう1つだけ質問を追加させてください。
浸潤癌としてのコメド癌はやはり悪性度が高いのでしょうか?
主治医からの詳しい説明はありませんでしたが、
広範な壊死型石灰化からの乳頭腺管癌だったので、グレード3に
なったのでしょうか?
(コメド癌は乳頭腺管癌のひとつと何かで知りました)
先生に質問をすることで気持ちを落ち着かせている自分が
います。ご迷惑お掛けします。
 

田澤先生から 【回答3】

 こんにちは。田澤です。
 私は病理医ではないので「Comedo type」を臨床医の立場から理解しています。
 特に、ステレオガイド下マンモトーム生検を長い間、1つの柱として行ってきましたので「コメド壊死=壊死型石灰化」について臨床的観点から回答します。

回答

「浸潤癌としてのコメド癌はやはり悪性度が高いのでしょうか?」
⇒浸潤癌になる前の「非浸潤癌から理解」した方が解り易いと思います。
 乳管内に増殖傾向が高い癌(核グレードが高い=悪性度が高い)が増殖して乳管内に急激に充満すると、癌細胞の壊死が生じます。(代謝不全=栄養不足となるからです)
 この壊死した部分に起こるのが「壊死型石灰化=コメド壊死」です。
 つまり、「壊死型石灰化=コメド壊死」は「増殖の強い癌=悪性度が高い癌」と結び付いているのです。
 一方で「低悪性度の非浸潤癌ではコメド壊死は起こしません」
 ○質問者の場合は(想像するに)
 乳管内に(核異型度の高い=増殖の強い)癌が発生し、乳管内を広範囲に増殖(その時点では非浸潤癌)、やがて複数個所で(別々に)浸潤を始めたと思います。
 
「広範な壊死型石灰化からの乳頭腺管癌だったので、グレード3になったのでしょうか?」
⇒順番が逆です。
(上術したように)
 もともと非浸潤癌の時点で「増殖が強い=グレード3」の癌だったから、広範な壊死型石灰化を起こし、(最終的に)浸潤をして「乳頭腺管癌」となったのです。



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