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ホルモン治療について

[管理番号:2266]
性別:女性
年齢:43歳
はじめまして。
いつも、こちらで勉強させていただいております。
よろしくお願いします。
術後1年半、ホルモン治療単独です。
(タモキシフェン服用10年予定、リュープリン3年予定)です。
全摘して、インプラントによる二期的再建しました。
(放射線はしていません)
ホルモン治療の副作用もあまりなく、順調に治療が進んでいますが、私の服用しているタモキシフェンの効き目にCYP2D6酵素が関係していることを知り、遺伝子検査を受けました。
本来、主治医に相談して受けるべきだったのですが、タモキシフェンは自分に効いていると言う証明が欲しがっただけでしたから、相談せずに受けました。
そうしましたところ、『*1/*10』と言う平均代謝よりも少し低い結果が出てしまい、動揺しています。
結果を持って、主治医に相談しましたが、主治医は、タモキシフェンがよく効くから、今まで通りで問題ないと、CYP2D6検査については否定的です。
余計な心配増えちゃったね、と。
検査をした会社は、タモキシフェンが効いていなければ、トレミフェンに薬を変更したほうがいいなどの説明があります。
そこで質問ですが、先生は、CYP2D6についてどのように思われますか?
2つ目の質問です。
T1N1M0、ステージ2a
浸潤計3㎜~1,5㎜の多発
最低5個
グレード2
ER80、PgR80
ki67、1~5%
術前検査ではリンパ転移なしの診断。
センチネルリンパ生検で陽性2個。
最終的には2/22でした。
リンパ転移の部分は、
ER90、pgR90、ki67、1%
でした。
化学療法を希望しましたが、主治医に必要ないと言われました。
リンパ転移があったのに、不安です。
絶対にホルモン治療が効いていないと困ります。
リュープリンは、3年と言われていますが、5年や、それ以上する効果はありますか?
最後に、このような私の10年再発率、生存率を教えて下さい。
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「タモキシフェンの効き目にCYP2D6酵素が関係」「遺伝子検査を受け『*1/*10』と言う平均代謝よりも少し低い結果」
⇒つまり質問者は両方が変異(ホモタイプ)しているのでは無く片側の変異(ヘテロタイプ)となります。
 少数例の検討では ※10/※10(ホモタイプ)ではタモキシフェンの効果が不良だったが、Wt/※10ではWt/Wt(変異がないタイプ)と同等だという報告もあります
  「※10/※10(ホモタイプ)」なら、まだしも「質問者のようなヘテロタイプWt/
※10」では殆ど影欅がないと思います。
 
「主治医は、タモキシフェンがよく効くから、今まで通りで問題ないと、CYP2D6検査については否定的です。」
⇒乳癌学会でも「CYP2D6」は勧められないC2としています。
 人種差があり、「アジア人のデータに乏しい」からです。
 
「検査をした会社は、タモキシフェンが効いていなければ、トレミフェンに薬を変更したほうがいいなどの説明があります。」
⇒「検査会社が責任を持てる」ことではありません。
 そんな記載は無視しましょう。
 それよりも「乳癌学会や担当医」を信頼すべきです。
 
「そこで質問ですが、先生は、CYP2D6についてどのように思われますか?」
⇒基本的には勧めません。
 そもそも「タモキシフェンは歴史的に信頼性のある薬剤」であり、それを「ひっくり返す」ほどのデータはありません。
 ただし、「患者さん側がやりたい」というのを止めはしません。
 検査結果が出た以上は「※10/※10(ホモタイプ)であれば、いろいろな相談はします(自分から積極的に勧めたりはしません)
 
pT1a(3mm), pN1, luminalAですね。
十分な早期癌です。
 
「化学療法を希望しましたが、主治医に必要ないと言われました。」
⇒私も同意見です。
 
「リュープリンは、3年と言われていますが、5年や、それ以上する効果はありますか?」
⇒LH-RHagonistの「指摘投与期間は不明」です。
因みにSt.Gallen 2015 では「5年投与を推奨」するvoting結果でした。
 
「最後に、このような私の10年再発率、生存率を教えて下さい。」
⇒ホルモン療法を行った場合は以下となります。
10年再発率は22%
10年生存率は87%