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非浸潤性乳管癌(皮膚温存乳房切除手術)のホルモン治療について

[管理番号:8604]
性別:女性
年齢:41歳
病名:
症状:非浸潤性乳管癌
投稿日:2020年6月3日

 はじめまして。

2020年2月に非浸潤性乳管癌がわかり、4月に皮膚温存乳房切除術を受け、現在ティッシュエキスパンダー挿入中です。

先月病理結果が出ましたが、主治医より思っていた以上に悪い結果のため、5年間のホルモン治療を勧められました。

◇病理結果
・切除断端の状態:陰性だが、切除断端と癌が接近している。
(3mm)
・癌の大きさ :非浸潤部 3.5センチ×5.0センチ×2.0センチ
・免疫染色の結果:ホルモン感受性99% PgR99%
HER2蛋白の発現 なし 2+
・Ki-67(増殖能の指標) 15%
・その他の組織学的情報:リンパ管侵襲・静脈侵襲 なし 
            波及度 乳腺
            核、組織の異型度 グレード3(nigh grade)
以前にも同じような質問が記載されており、「非浸潤で全摘の場合は根治」でありホルモン治療は不要であると理解しておりますが、私の病理結果でも同じでしょうか。

主治医からは癌の広がりが大きかったこと、グレードが3と悪いこと、切除断端と癌が接近したことを考えると対側予防のためホルモン治療を5年間を勧められました。

主治医からの説明を受け疑問に思い、先生にお聞きしたいことは、
①切除断端と癌が接近していると再発の可能性が高いのか。

(主治医より陰性の場合よりも再発は高いと言われました。)
②非浸潤がんでもグレード3だと浸潤癌に近いと言われたのですが、その通りなのでしょうか。

③ホルモン治療は不要でしょうか。

(副作用のことを考えるとできればやりたくないと考えています。)

お忙しいところ恐れ入りますが、ご回答よろしくお願いいたします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

私は「局所治療と全身治療は完全に分ける」主義です。

「局所の借りを全身治療で返す」という考え方には賛成しません。

「①切除断端と癌が接近していると再発の可能性が高いのか。」
⇒ありえません!

 非浸潤癌なのだから「乳腺に切り込まない限り」癌が残る=局所再発する筈がありません。『今週のコラム86回目 このようにすれば、全摘で深部側断端が陽性となることはないのです』参照のこと

「②非浸潤がんでもグレード3だと浸潤癌に近いと言われたのですが、その通りなのでしょうか。」
⇒「放っておけば」グレードが高いほど、早めに浸潤し始めるだろうというだけの話。

 摘出したのだから何の意味もなし。

「③ホルモン治療は不要でしょうか。」
⇒勿論! 根治ですから