[管理番号:8586]
性別:女性
年齢:52歳
病名:乳がん
症状:
投稿日:2020年6月1日
2014年の3月人間ドッグで、石灰化を指摘され、精密検査で乳がんと診断されました。
(2012年~シコリを自覚し受診するも、良性の線維腺腫の診断で経過観察してました)
「石灰化が散らばっているので全摘」と言われましたが、当時は1週間入院できる家庭の状況ではなかったため、都内のクリニックで6月に日帰りで部分切除をしました。
1.8㎜の大きさの浸潤ガン。
「初期なので切れば大丈夫。
リンパ節は調べる必要なし」とのことで、調べませんでした。
(日帰り出来るのであれば全摘でも構わない、と伝えましたが、
先生は全摘の必要はない、との診断でした)
術後、放射線治療を行い、タモキシフェンを5年服用。
2019年6月の定期検診では、マンモ、エコー、腫瘍マーカーの異常はなし。
安心していましたが、その3ヶ月後の9月に前回シコリがあったのとほぼ同じ場所に自分でシコリを発見。
悪性でした。
先生は「今回も部分切除で十分。
全摘のメリットはない。
また出てきたら、その時に切ればよい」とのことでした。
私は「何度も手術するより再発の可能性の少ない全摘がよい」と考え、転院して、2019年12月に左胸の全摘手術をしました。
前回と同じくルミナールA。
シコリの大きさ1.6㎜。
リンパ節転移無し。
ki67低値。
タモキシフェンが効いていないので、アナストロゾール錠に変更。
(血液検査では閉経前の状態。
先生は薬で生理を止めてから、と言われましたが、不妊治療の時のホルモン注射の嫌な記憶があり、1年近く生理は来ていないので、生理を止める薬は無しで服用できないか?と相談し、アナストロゾールのみの服用となりました)
1月~3月の3ヶ月間服用したところで、生理が再開。
3週間近く出血が続きました。
4月の初~中旬のことで、コロナが怖くて、次回診察予定の5月まで受診はせず。
生理が来たのだから、やはり閉経前の薬がよいのだろうと、家に残っていたタモキシフェンを勝手に服用してしまいました。
2020年4月の終わりに全摘の手術痕の近くに小さなシコリを自分で発見。
5月の定期検診の際にエコーでみると、やはり8㎜×4㎜の腫瘍がありました。
局所麻酔で切除し、生検の結果は悪性で、胸壁への再発でした。
今、乳がんのタイプを調べてもらっているところです。
聞きたいことは、
○全摘後半年で8㎜の腫瘍が出来ることはありますか?
○その場合、かなり悪性度の高い物でしょうか?
○全摘手術で、取り残しの可能性などはありますか?(先生は、取り残しではなく新たに出来た物、とのこと)
○閉経前ですが、タモキシフェンは効いていないようです。
今回もホルモン受容体陽性だった場合、どのような治療方法が適していますか?
先生は、今度は薬で生理を止めて、アストロゾールに変えてみましょう、とのことです。
○手術の際、リンパ節転移は無しでしたが、実は局所再発ではなく遠隔転移で、たまたま前回のシコリのすぐ近くにたどり着いて増殖した可能性もありますか?
6月(中旬)日に詳しい検査結果が出るので、その上で治療方針が決まります。
今現在は、何も薬は飲んでいないです。
それまでに田澤先生のご意見を聞きたいと思いました。
薬で生理を止めるのを拒んだり、勝手にタモキシフェンに戻したり、と、自分の身勝手な行動で再再発してしまったのかなぁ、と後悔し反省しています。
お叱りは覚悟の上での相談です。
今後、どのような治療が最適か、ご助言どうぞよろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
メール内容は解りました。
ポイントは以下になります。
1.温存術後の乳房内再発は全摘が大原則(放射線は同部位に2度はかけられないから)
2.更年期または閉経前の方に(閉経後のホルモン療法である)アロマターゼ阻害剤を使うのは誤り(たとえLH-RHagonistを併用したとしても)
3.全身療法(ホルモン療法を含む)は、遠隔転移再発のリスクを下げるために行うものであり、局所再発で変更する理由がない。
「私は「何度も手術するより再発の可能性の少ない全摘がよい」
⇒100%正しい判断です。(上記1)
「タモキシフェンが効いていないので、アナストロゾール錠に変更。」
⇒誤り(上記23)
「生理が来たのだから、やはり閉経前の薬がよいのだろうと、家に残っていたタモキシフェンを勝手に服用
⇒正しい
「○全摘後半年で8㎜の腫瘍が出来ることはありますか?」
⇒通常はありません。
「○その場合、かなり悪性度の高い物でしょうか?」
⇒無関係
「○全摘手術で、取り残しの可能性などはありますか?(先生は、取り残しではなく新たに出来た物、とのこと)」
⇒部位からしても取り残しと思います。
「○閉経前ですが、タモキシフェンは効いていないようです。」
⇒誤り(上記3)
「今回もホルモン受容体陽性だった場合、どのような治療方法が適していますか?」
⇒閉経前なのだから
当然 タモキシフェン+LH-RHagonistです。
アナストロゾール+LH-RHagonistは誤りです。
『今週のコラム 136回目 決して適応外診療を勧めることはありません。今回のガイドラインの記載には正直、迷惑であり驚いています』を熟読してください。
「先生は、今度は薬で生理を止めて、アストロゾールに変えてみましょう、とのことです。」
⇒誤り(上記コラム参照)
「○手術の際、リンパ節転移は無しでしたが、実は局所再発ではなく遠隔転移で、たまたま前回のシコリのすぐ近くにたどり着いて増殖した可能性もありますか?」
⇒ありません。
「お叱りは覚悟の上での相談」
⇒とんでもない。
寧ろ正しい視点をもっているようです。
自信を持ちましょう。
質問者様から 【質問2 】
取り残しの不安
性別:女性
年齢:52歳
病名:乳がん
症状:
投稿日:2020年6月12日
NO.8586
再再発のホルモン治療について質問した者です。
今まで疑問に思いモヤモヤしていましたが、田澤先生の回答をいただき、とても納得がいき、スッキリしました。
来週診察があるので、田澤先生のおっしゃる通り、タモキシフェン+LH-RHagonistで治療したい、と主治医に伝えるつもりです。
が、もし治療方針が合わなかった場合は、田澤先生に診ていただきたいので転院も考えています。
転院を考えている理由はもう一つあります。
再発がわかったのは2回とも自分でシコリに気がついたからであり、最初のクリニックは3ヶ月に一度薬をもらいに通院していたのにエコーも触診もしておらず、見過ごされていました。
(1年に一度で十分、と言われていたので、強くは希望しませんでした)
自分でシコリに気がついていなければ、更に数ヶ月発見が遅れていたかと思うと、ぞっとします。
なので、必要な時期に確かな技術で、きちんとエコーで診てくれる先生を選びたいと考えており、
その点も田澤先生に診ていただきたい、と考えている理由の一つです。
今回聞きたいことは
○全摘後の再発(取り残しと思われる)なので、どうしても主治医の技術に疑問が残り、「今回見つけた腫瘍の他にも取り残しがあるのではないか?」と、とても心配です。
詳しい検査をお願いしたほうが良いですか?その必要はないですか?
もしも検査した方が良い場合、どのような検査をしてもらうべきでしょうか?
追加手術をしたほうがよい場合などもありますか?
まだ取り残しがあったとしても、ホルモン治療だけで大丈夫なのか、と不安です。
○もし江戸川病院に転院を決めた場合、左胸は全摘しているのですが、初診に過去の画像などは必要でしょうか?
現在の病院でもらっておくべき書類やデータなどがありましたら教えてください。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「詳しい検査をお願いしたほうが良いですか?その必要はないですか?」
⇒この機会に全身検索(PETなど)してもいいとは思います。
「もしも検査した方が良い場合、どのような検査をしてもらうべきでしょうか?」
⇒上記
「追加手術をしたほうがよい場合などもありますか?」
⇒それは不要(シコリがあれば別ですが)
「まだ取り残しがあったとしても」
⇒そう「仮定」する理由がありません。
「○もし江戸川病院に転院を決めた場合、左胸は全摘しているのですが、初診に過去の画像などは必要でしょうか?
現在の病院でもらっておくべき書類やデータなどがありましたら教えてください。」
⇒もしも転院するなら…
主治医の判断で(資料の内容は)構いません。