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非浸潤がんと診断されましたが

[管理番号:4474]
性別:女性
年齢:51歳
初めて問い合わせ致します。
どうぞよろしくお願い致します。
51歳女性です。
2月(上旬)日の検診でマンモ・エコー・細胞診
2月(中旬)日に細胞診の結果がわかり乳がんの疑いが高い
ということで、麻酔をして生検。
その結果が2月(下旬)日にわかり、非浸潤がん、ステージ0との告知。
2月(下旬)日胸腹部CT、骨シンチ。
3月(上旬)日乳房MRI。
その検査の結果は、遠隔転移はなし。
ステージ0の可能性が高いがステージ1かもしれないとのこと。
3月(中旬)日全摘手術予定です。
主治医の先生の説明では、まずリンパに転移していることはないとのことで、
自分が手術をしてきた中で、非浸潤がんで転移していたのは1~2例とのこと。
ところが、私は2月(下旬)日頃から、右わきの下がはっているような感覚で、
右腕を動かすのに違和感を感じていました。
つっぱるようなかんじです。
右の肩こりもひどく、何度が主治医の先生に相談しましたが、
その度に気のせいですよと言われます。
だんだん症状が悪くなり、今は右側鎖骨のすぐ上、首の付け根あたりを触ると盛り上がっています。
(もしかしたら血管かもしれないですが)そのほかにも、腕の肘の内側が鈍く痛んだり、
身体がおかしいと感じています。
自分としてはどう考えても気のせいではないのです。
実は、2月18日~20日の3日間、友人が持ってきた健康食品と生野菜ジュースを大量に飲みました。
今思うとかなりの高血糖だったのではないかと思います。
もしかしたら、2月24日あたりが排卵日だったのではないかとも思っています。
ただ、今月はまだ生理がきてなく、2月で閉経したのかもと思ってもいます。
ネットで検索するといろいろなことが載っていて心配でたまりません。
①自分ではMRIや骨シンチにうつらない程度の転移が始まっているのではと思います。
 私のように非浸潤がんでステージ0か1の告知でも、
 結局ステージ3や4というケースはどのくらいありますか?
②全摘の後1か月くらいしないとガンのはっきりしたことがわからないとのことですが、
 その間何の治療もしないで、急速にがんが進行するというようなケースはないのでしょうか?
③その間に何か少しでもよい方向へと向かうためにやれることはないのでしょうか?
すみません。
主治医の先生に聞くべきですが、気のせいですよと何度も言われて、
これ以上聞けないと思い落ち込んでいます。
どうぞよろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
まずご指摘したいのは(毎度のことで皆さん「耳タコ」になっているかもしれませんが…)
乳癌の初回治療で「CT,骨シンチなど無駄どころか有害(被爆の面でも、医療財源の面でも)」であり、決してルーティンで行われるべきではない。
しかも質問者の場合は「(病変全体では浸潤部分が見つかる可能性があるとしても)非浸潤癌の診断」です。
 ○非浸潤癌の診断なのに「CTや骨シンチを行うことは(私からみれば)犯罪スレスレの行為」であり、そんなことを平気でやるようなセンスの医師の診療についてはコメントしたくもない(正直な心情です)
★今回、私が残念に思うのは…
 こんな酷いセンスを持つ担当医が、質問者の「明らかなホルモンの刺激症状」を、「きちんと説明してあげなかったこと」
 それに尽きます。
「右わきの下がはっているような感覚」「右腕を動かすのに違和感」「右の肩こりもひどく」「右側鎖骨のすぐ上、首の付け根あたりを触ると盛り上がっています。」「自分としてはどう考えても気のせいではない」
⇒「気のせい」ではありません。
 明らかな「ホルモンの(不安定)による刺激症状」です。(極めて典型的な症状であり、このQandAでもしばしば登場する症状です)
 ○「2月24日あたりが排卵日だったのではないか」「ただ、今月はまだ生理がきてなく、2月で閉経したのかも」
  ⇒これを見ても、質問者が「年齢」的に更年期に差し掛かっており、そこに「精神的ストレス」が重なり「卵巣からのホルモン分泌が極めて不安定」となっていることが容易に想像できます。
「実は、2月18日~20日の3日間、友人が持ってきた健康食品と生野菜ジュースを大量に飲みました。今思うとかなりの高血糖だったのではないかと思います。」
⇒無関係です。
「ネットで検索するといろいろなことが載っていて心配でたまりません。」
⇒くだらないネットの情報を見るのか、この「乳がんプラザ」を見るのか、どちらかにしましょう。
「①自分ではMRIや骨シンチにうつらない程度の転移が始まっているのではと思います。」
⇒1000%ありえません。(断言します)
 そもそも「(ご本人が心配されている)症状が明らかに、ホルモンの刺激症状」であり、「転移の症状では全く無い」ことを指摘しておきます。
「私のように非浸潤がんでステージ0か1の告知でも、 結局ステージ3や4というケースはどのくらいありますか?」
⇒ありません。(ゼロです)
「その間何の治療もしないで、急速にがんが進行するというようなケースはないのでしょうか?」
⇒全くありません。(基本的に根治となります)
「③その間に何か少しでもよい方向へと向かうためにやれることはないのでしょうか?」
⇒冷静になることです。
 ご本人が心配している症状は(誰がどう考えても)「ホルモンによる刺激症状」です。
 「おかしなネットの情報」を「適当に自分に当て嵌める」ことは、今すぐ止めましょう。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

先日は、ご回答頂き本当にありがとうございました。
田澤先生の回答をアイフォンで何十回とお守りのように読み返し、手術、入院期間を過ごしました。
本当に心の支えでした。
ただ、質問した日に回答がなかったので、
きっと訳のわからに質問者だと見捨てられたのだと思い込みあきらめて、
手術をする病院の担当医に体調が悪いことを強く訴えたところ、
手術の前日に造影CTをとってくれました(胸腹部と頭部)転移はないということでした。
私のかかっているクリニックでは、先生が近くの総合病院で乳がんの手術をします。
手術をする総合病院では、入院中の担当医がいます。
術前の造影CT、MRI(たしか胸部の造影)、骨シンチはクリニックの先生の指示で指定の病院で。
手術前日の造影CTは入院する病院の担当医の指示で手術する病院で。
その頃、やっと田澤先生が回答して下さっていたことに気が付きました。
田澤先生が回答して下さっていることに私がもっと早く気がついていたら、
造影CTなどしなかったと思います。
乳がんプラザの田澤先生の回答をあれこれ読んでいたら、
「被曝」ということがよくでてくるので、自分なりにネットで「医療被曝」について検索してみると、
がんの発生等かなりのデメリットがあることに気が付きました。
その上退院後、クリニック受診の際、腰や肋骨あたりが痛いと看護師に行ったら、
整形と受診してみたらと言われました。
(退院してから、夜中腰の痛みで目が覚めるようになりました)
(前回田澤先生からホルモンの(不安定)による刺激症状とご回答頂いた症状も続いています)
早速近所の整形外科に行ったら、
私が痛いといったところのレントゲンを何枚かとってくれて、
骨に異常はないようなので、肋間神経通だろう、手の指はばね指と言われました。
レントゲンの際、レントゲン技師にレントゲンによる医療被曝の件を尋ねたら、
造影CTや乳がん治療の放射線とは比較にならないほど少量とのことだったので、
検査をしてもらいました。
今更後悔しても遅いのですが、田澤先生の回答で「乳がんの初期治療でCT、骨シンチなど無駄どころか有害」
とあって、手術前日に造影CTを再度やるとはなんてことをしてしまったのだろうとまたさらに落ち込んでいます。
①2月下旬 胸腹部造影CT 骨シンチ
 3月上旬 乳房MRI(確か造影して)
 3月中旬 胸腹部・頭部造影CT
 3月下旬 レントゲン(肋骨、腰、鎖骨、手の指、首)
 この短期間にこんなに医療被曝をしてしまったのは、かなり影響があるでしょうか?
 実は私は甲状腺にのう胞があり6ヶ月~1年ごとに甲状腺専門クリニックに検査に行っています。
 どうして造影CTの前に被曝のリスクについて担当医たちは説明してくれなかったのだろうと悲しくなります。
検査前の同意書にはかゆみがでる等副作用が稀におこることは記載ありますが、
 被曝による影響のことは記載がありません。
②クリニックの先生は針生研の結果がDCISだったということ以外はあまり
 内容を教えて下さらなかったので、入院した総合病院の担当医に尋ねたところ、
 ホルモンレセプター 陽性
 HER2 1+陰性
 Ki67 20~30パーセント とのことでした。
大きさは2cm+αと書いてあるようでした。
 手術は右側全摘で、手術中に検査したセンチネルリンパ節には転移がなく、
 リンパ節はとらないままでした。
 ドレーンは手術後6日めまでしていました。
 その後脇の下に液がたまるので、注射器で液を抜いてもらったら60CC抜けたそうで、
 その2日後また60CC抜きました。
 1週間後にまた受診しますが、その時たまっていたらまた抜くそうで、
 だんだんたまらなくなるとのことでした。
(今も脇の下がぱんぱんに膨らんでいます)
 はっきりした病理は手術後1か月くらいしないとわからないそうですが、
 私のこのような状態は、ステージどのくらいでしょうか?
 今分かっている情報の中で、考えられる治療方法はどのようなケースがあるのでしょうか?
 本来ならばクリニックの先生に聞くべきことだと思いますが、
 診療の際、体調が良くないことを言うと、なんだか気まずい雰囲気があって・・・。
 気のせいとか、乳がんとは関係ないとのことで。
 きっと評判は良い先生だと思うのですが・・・。
 私は受診しても聞きたいことの回答が思うように頂けず、不安が募るばかりです。
③入院中も退院後も食欲はあり、なんとか元気になろうとよく食べているのですが、
 なぜが体重が増えず、それも気になっています。
(169cm50㎏弱でやせ形です)
 太りすぎもよくないだろうとは思いますが、
 よく食べて、特にこれといった運動をやっているわけではないのに、 体重が増えないというのは、気をつけた方がよい症状でしょうか?
 もともと血圧が低いのですが、入院中は上が80台といつもよりさらに低く微熱もありました。
 
 心が落ち着かず、支離滅裂な文章になっていると思いますが、
 どうぞよろしくお願い致します。
 それから病状とは関係ないですが、田澤先生のコラムを読み、
 入院中に海辺のカフカの上下巻を読みました。
 今の私は絶え間なく進行方向を変える局地的な砂嵐の中にいるようです。
 元々はポジティブ思考だった私ですが、あまりの運の悪さタイミングの悪さを 受け入れられず苦しいです。
 被曝の件もCTの後でいろいろ知り後悔ばかりです。
 夜中に身体の痛みで目がさめると、「夜明け前の不吉なダンス」の言葉が 思い浮かび辛くなります。
 あきらめて一歩一歩とおり抜けていかないといけないのですね。
 シングルマザーで2人の子供を育てています。
 辛くて心が折れそうです。
毎日乳がんプラザで色々読みながら心を落ち着かせています。
 被曝のことは動揺していますが。
 乳がんプラザは私の心の救い、神様のようです。
 本当にありがとうございます。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
医療被曝については、質問者が理解されている通りです。
過度に心配することはありませんが、「身体に影響があるものである」という認識を(本来は)「医師側が持たなくてはならない」のですが、現状は…
そのために、私はこの乳がんプラザで「患者さん側が、自分の身を守るために」警鐘を鳴らしているのです。
○前の病院に勤めていた際に、「研修医が、(救急医療の場で)とにかくCTを撮影したがる」ことについて、よく同僚と話していたのです。
 「我々が、研修医の頃には(CTはそう簡単に撮影できる時代ではなかったこともあり)、CTに頼らずに(救急)診療をしていたものだ」
 「今の研修医は(CTが気軽に撮影できる環境にいるからといって)CTが無駄に撮影したがる。とんでもない風潮だ。」このように話していたのです。
 乳癌診療で「早期癌でCTだの、骨シンチだのをルーティンで撮影する」ことは、それら「研修医レベル」だということです。
 ましてや(術後、微小浸潤が見つかる可能性はあるとしても)「術前組織検査で非浸潤癌なのにCTを撮影する」など、言語道断(研修医レベル以下)だということです。
「この短期間にこんなに医療被曝をしてしまったのは、かなり影響があるでしょうか?」
⇒「ここから」が重要です。(過ぎてしまった事をクヨクヨしても仕方がありません)
 今後「1年目の検査」などとして「CTや骨シンチなどを撮られない」ように細心の注意を払いましょう。
「ドレーンは手術後6日めまでしていました。」
⇒センチネルリンパ節生検しかしていないのに…
 残念なことです。
「私のこのような状態は、ステージどのくらいでしょうか?」
⇒0期か1期(微小浸潤など小さな浸潤巣が見つかる可能性はあります)
「今分かっている情報の中で、考えられる治療方法はどのようなケースがあるのでしょうか?」
⇒「全摘してリンパ節転移なし」と言う時点で「術後放射線照射の可能性はゼロ」となりました。
 非浸潤癌が確定すれば、「全身治療(ホルモン療法や抗がん剤)」は不要となりますし、もしも「浸潤癌がみつかれば」そのサブタイプに応じた治療となります。
「入院中に海辺のカフカの上下巻を読みました。」
⇒いい本です。
 私は何度か読み返しています。
 「絶え間なく進行方向を変える局地的な砂嵐の中にいる」という文章は特に好きです。
 ○村上春樹はいいですね(個人的に)
 私は今、「騎士団長殺し」という最新刊を読んでいますが、「ワインを飲みながら、これを読むひと時(週末の限られた時間ですが)が至福の時間」となっています。