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非浸潤性乳がんの病理検査結果

[管理番号:2130]
性別:女性
年齢:43才
初めて質問させて頂きます。
乳がんの疑いが出始めてから、この質問コーナーをよく見るようになり、参考にさせて頂いてます。
3年前に右側の石灰化が見つかり、経過観察で様子を見ていましたが、妹が乳がんになったことと、石灰化が気になることなどから、白黒はっきりさせた方がいいと思い、マンモトームができる乳腺外来病院を紹介して頂き、そこでマンモグラフィーとエコーをしました。
それぐらいの石灰化なら良性でしょうと言われましたが、念の為マンモトームで調べました。
良性だと思ってばかり思っていたところ病理検査で、癌細胞がみつかり、すぐに手術日を決め温存療法手術を受けました。
センチネル筋生検もしましたが、転移はなく無事に手術はおわりました。
マンモトーム病理検査結果は小石灰化を伴いながら乳管内でmicro-papillaryあるいは、hobnail
featuresからなる異型細胞の増生を認めます。
P63陽性の基底細胞がわずかな見られ、DCISを想定します。
腫瘍細胞には、ck5/6陰性です。
DCIS
associated lipid-rich carcinomaを考えてます。
ER(3b90%)PgR(0)AR(未)Her2(0)
ki-67LI10.1%
という免疫組織化学の結果を頂きました。
数週間後術後病理検査結果を聞きに病院にいったところ、切除部分のどこからも癌細胞が見つからず、
マンモトームで、石灰化を取ったときに癌も取りきれていたのか、5mm間隔の断片部分には癌細胞がないだけで5mmの中にあり、病理検査では見つけられなかったのかもといわれました。
このマンモトーム病理検査結果の説明もあまり分からず、術後の説明でも疑問に思うことが多く、
インターネットで調べても自分が納得出来る答えがでず、アドバイスを頂きだきたくて、メールしました。
それに、マンモトームで印のクリップを入れていたのですが、
手術切除部分にクリップがなく術後数週間で、マンモグラフィーでクリップがまだ胸にあるかどうか調べたいと言われマンモグラフィーを撮りその結果、マンモグラフィーでは映らず、取り除けていたようですといわれました。
長文の説明で分かりにくいかもしれませんが、ここで質問です。
○マンモトームでは、がん組織があると言われたのに、手術しましたが、手術切除した断片にはがん組織がみつからないことは、あるんですか?
マンモトーム病理検査の結果は正しいですか?
もしかしたら癌ではなかったのかと自分のいいように考えてしまいます。
小さな石灰化でマンモトームをしてそれでがん組織を綺麗に取り除けることもあるんですか?
○手術後の病理検査結果はないんですが、超初期の非浸潤性乳がんだったと診断され、放射線治療をと言われましたが、放射線治療はうけるつもりですが、ホンモン治療はどうしますかといわれ、術後の病理検査結果がない状態でホンモン治療をどうするのか決めかねてます。
先生ならどう思われますか?
○マンモトームの印のクリップは手術切除で見つからずといわれましたが、そんなに分かりにくいものなんですか?後術マンモグラフィーでも見つからなかったので取り除けてるといわれましたが、私がマンモグラフィーの画像で説明され見ましたが、どんな状態で画像な映るものか分からず、本当に取り除けていたのか心配です。
万が一胸に残っていても大丈夫ですか?。
放射線治療は近隣の病院を希望したため、1月中旬ごろ病院に行き、紹介状などを頂くことになってます。
手術切除の病理検査をもう一度確認することになり、病理検査をし直しているようですが、中旬までに結果がでるかは未定です。
病理検査結果がない状態で放射線治療をしても大丈夫ですか?
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
文面は了解しました。
私のようにステレオガイド下マンモトーム生検を数多くしていると、似たようなケースを数多く経験しているので大いに参考にしてください。
ただし、以前にも「QandA」の場で回答していますが、私はいっさい「マーカー」を入れません。
「白黒はっきりさせた方がいいと思い、マンモトームができる乳腺外来病院を紹介して頂き、それぐらいの石灰化なら良性でしょうと言われましたが、念の為マンモトームで調べました。良性だと思ってばかり思っていたところ病理検査で、癌細胞」
⇒大変いい選択をされています。
 世の中の多くの方が「質問者のような方」ばかりであれば、進行乳癌が世の中から消滅するのですが…
 
「マンモトーム病理検査結果は小石灰化を伴いながら乳管内でmicro-papillaryあるいは、hobnail featuresからなる異型細胞の増生を認めます。P63陽性の基底細胞がわずかな見られ、DCISを想定します。腫瘍細胞には、ck5/6陰性です。DCIS
associated lipid-rich carcinomaを考えてます。ER(3b90%)PgR(0)AR(未)
Her2(0)ki-67LI10.1%」
⇒この病理結果からは「確定診断ではない」と思います。
 あくまでも「DCISを想定」します止まりなのだと思います。
 ○ただ、この結果は「限り無く黒」なので、「癌として治療を勧める」事には賛成ですが、「過剰治療」とならないように注意が必要と思います。
 
「数週間後術後病理検査結果を聞きに病院にいったところ、切除部分のどこからも癌細胞が見つからず、マンモトームで、石灰化を取ったときに癌も取りきれていたのか」
⇒その可能性はあります。
 ただし、「その証明をすることは甚だ困難」と言えます。
 
「5mm間隔の断片部分には癌細胞がないだけで5mmの中にあり、病理検査では見つけられなかったのかもといわれました。」
⇒もちろん、その可能性もあります。
 ただ、(前述同様)「その証明をすることも(現実的には)困難」です。
 ○やはり『最大の問題点(焦点)となるのは、本当に癌の有る部位を手術で摘出しているのか?』ということになります。
  通常であれば、手術摘出標本の病理組織に『マンモトーム生検による瘢痕組織が証明』されることで確信できます。
  今回の「手術病理結果では、マンモトーム生検による瘢痕の記載があったのでしょうか?」
「それに、マンモトームで印のクリップを入れていたのですが、手術切除部分にクリップがなく」
⇒これが最大の問題点です。
 (私自身はマーカーを入れないのですが)
 もしもマーカーを入れていたとしたら…
 『術中に標本マンモでマーカーを摘出標本内に確認するまでは手術は終われない』ことになる筈です。
 それを「手術切除部分にクリップが無い(肉眼的なものか、標本をマンモグラフィー撮影してのことなのか不明ですが)まま手術を終了としている」理由が不明です。
 
「術後数週間で、マンモグラフィーでクリップがまだ胸にあるかどうか調べたい」
⇒何とも「冷や冷やする話」です。
 万が一、「クリップがまだ乳腺にあった」場合には、「手術自体が無意味(誤った部位を切除しただけ)」という結果となり、私ならばとても「そんな状況に耐えられそう」にはありません。
 ♯そんな事にならないように「術中に確認すべき」ものなのです。
 
「マンモグラフィーでは映らず、取り除けていたようですといわれました。」
⇒ステレオガイド下マンモトーム後にクリップを留置したと思いますが…
 術前に(再度マンモグラフィーを撮影して)「クリップがある(脱落していない)ことを確認」していますか?
 「術中にも確認できず」「術後にも無かった」のであれば、当然「最初から無かった(クリップが留置後すぐに脱落していた)可能性」も疑わなくてはなりません。
 
「長文の説明で分かりにくいかもしれませんが」
⇒大丈夫です。
 「手に取るように」わかります。
 
「マンモトームでは、がん組織があると言われたに、手術しましたが、手術切除した断片にはがん組織がみつからないことは、あるんですか?」
⇒これはあります。
 ステレオガイド下マンモトーム生検は「かなり大量の組織を採取できる」ので「もともと病変が小さい場合(特に石灰化の範囲が極めて小範囲であれば)」には時にあります。
 
「マンモトーム病理検査の結果は正しいですか?もしかしたら癌ではなかったのかと自分のいいように考えてしまいます。」
⇒これは微妙なところです。
 前述したように、あくまでも「推定」どまりのように思います。
 
「小さな石灰化でマンモトームをしてそれでがん組織を綺麗に取り除けることもあるんですか?」
⇒あります。(前述した通りです)
 
「○手術後の病理検査結果はないんですが、超初期の非浸潤性乳がんだったと診断され、放射線治療をと言われましたが、放射線治療はうけるつもりですが、ホンモン治療はどうしますかといわれ、術後の病理検査結果がない状態でホンモン治療をどうするのか決めかねてます。先生ならどう思われますか?」
⇒ホルモン療法はすべきではありません。
 そもそも「癌の確定診断」とも言えない状況で「放射線照射」さえ、必要か考えるべき自体です。
 そのような状況で「ホルモン療法は過剰治療」と言わざるを得ません。
 
「○マンモトームの印のクリップは手術切除で見つからずといわれましたが、そんなに分かりにくいものなんですか?」
⇒再三言いますが、私自身はクリップを入れたことは一切ありません。
 しかし、つい最近も「他院でステレオガイド下マンモトーム生検後にクリップを入れた方」の手術をしましたが、「術中、触知しても解る」し、なにより通常は「術中標本マンモを撮影し、標本内にクリップがあることを確認」できます。
 
「後術マンモグラフィーでも見つからなかったので取り除けてるといわれましたが、私がマンモグラフィーの画像で説明され見ましたが、どんな状態で画像な映るものか分からず、本当に取り除けていたのか心配です。」
⇒心配はごもっともです。
 
 
「万が一胸に残っていても大丈夫ですか?」
⇒クリップが体内に有る事自体には「害」はありません。(ごく稀に金属アレルギーの原因となるようですが…)
 問題なのは「クリップが胸に残っている=癌の部分が手術されていない(見当違いの部分の切除となっている)」ということです。
 
「手術切除の病理検査をもう一度確認することになり、病理検査をし直しているようです」
⇒「ステレオガイド下マンモトーム生検の瘢痕があるのか?」も確認すべきです。
 
「病理検査結果がない状態で放射線治療をしても大丈夫ですか?」
⇒本当に「放射線照射すべきか?」という問題もあるので、「病理結果を見てから開始」するべきでしょう。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

質問の返答ありがとうございます。
参考になりました。
今日術後の再病理検査の結果を頂きにいきました。
先生からのアドバイスもあり、詳しく尋ねることができました。
病理検査の結果、良性という診断結果を頂き、乳がんではなかったようです。
良性という最終判断には喜ばしいことなんですけど、手術前の、マンモトームの病理検査の結果で乳がんですという判断に、私は乳がんだと思い手術を受けました。
マンモトーム病理検査では、質問の返答で言われていたように、先生もあのマンモトームの病理検査診断結果を診て黒に近いと判断されたのは、どこでそのように思われたのですか?
あの内容でしたら、乳腺外科の先生なら黒と判断するものなんですか?
手術前にマンモトームの病理検査での組織生検であのような診断をもらった場合、他に詳しく調べることはできないのてすか?
MRI.CTの異常はなく、エコーでも何もおかしな点はなかったです。
手術前には癌だと言われたから手術をしたので、癌だと思い、すぐに手術をしてしまったことに今はとても後悔しています。
担当の先生は、術前検査で、癌と診断し術後良性だという例は今まで私を含めて2件だそうです。
その件数を聞くと特殊な事だったんだと思いますが、こんな例は他あるものなのですか?
女性に、とっての乳房は大切なものです。
傷つかれた方が他にいると思うと、哀しい気持ちでいっぱいです。
もし先生ならマンモトーム病理検査で今回の私の例の病理検査の場合、どのように患者に説明し、今後の治療や診断をすすめられますか?やはり手術をすすめられますか?
またこの質問コーナーでもありますが、非浸潤性乳がんと言われていたが浸潤性乳がんだったとか、しこりが○○mmだったがそれよりも大きかった小さかったなど術後の病理検査診断結果で変わることはありますが、今回のように、悪性だと思っていたのが、良性だったと変わることもあるんですか?
今回の手術で今のところ後悔しか残っていないため、このように自分に自問自答して精神的に追い詰められています。
もし、また違ったらという不安からいろんなことが不安でしかたないてす。
今回の病理検査の結果で良性と出ましたが、また違う応えが返ってきたらと思うとと主治医の先生には申し訳ないですが、今の素直な気持ちを言い、セカンドオピニオン病理検査をお願いすることはできるのかと訪ねると、出来るといわれました。
マンモトームのこともあるので、術後病理検査のセカンドオピニオンは必要ですか?
術中、切除部分を付き添いの家族に見せて説明したようなんです際、その時はめられていた手袋を脱いで、素手て切除部分を触って説明されたみたいですが、この素手で切除部分を触ったことで病理検査診断結果が変わることはありますか?
気になることが次からは次へと出てきます。
一つ解決しては、また悩みが出てきて数多く質問をさせての頂き、申し訳ないです。
こんな相談ができるのはこのコーナーでした出来ないので、先生の見解で構わないので、よろしくお願い致します
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「手術前の、マンモトームの病理検査の結果で乳がんですという判断に、私は乳がんだと思い手術」
⇒まず、ここが「誤り」です。
 前回、回答したように『あくまでも「DCISを想定」します止まり』です。
 ○私であれば「乳癌を疑って」病変切除(外科的生検)としますが、「センチネルリンパ節生検」はしません。
 (センチネルリンパ節生検と言えど)「腋窩をいじる」ことは「癌の確定診断無し」では行うべきではないのです。
 
「先生もあのマンモトームの病理検査診断結果を診て黒に近いと判断されたのは、どこでそのように思われたのですか?」
⇒「DCISを想定する病理組織が(マンモトーム生検で)出ている」以上、当然「癌を疑って」診療を勧めるべきです。
 もしも「癌がまだ体内に残っているのに」経過観察などした場合に「早期発見の最大のチャンスを潰す」ことになります。
 ただ、再三コメントしていますが、「癌の確定診断」なしで「癌としての手術」をしてはいけません。
 あくまでも「外科的生検のレベルで留める必要」があります。
 
「あの内容でしたら、乳腺外科の先生なら黒と判断するものなんですか?」
⇒「黒」と判断すべきではありません。
 あくまでも「癌の可能性がある」として「診療を前に勧めるべき」なのです。
 
「手術前にマンモトームの病理検査での組織生検であのような診断をもらった場合、他に詳しく調べることはできないのてすか?MRI.CTの異常はなく、エコーでも何もおかしな点はなかったです。」
⇒ありません。(画像診断も、腫瘍マーカーも無意味です)
 「組織診断」こそ全てです。
 
「手術前には癌だと言われたから手術をしたので、癌だと思い、すぐに手術をしてしまったことに今はとても後悔しています。」
⇒「癌と確定診断されてはいない」ことは明確にしておくべきです。
 
「担当の先生は、術前検査で、癌と診断し術後良性だという例は今まで私を含めて2件だそうです。」
⇒今回のケースは少し解釈が異なります。
 まず「きちんと、マンモトームで診断した部位」を手術で切除しているのか?」が解っていません。
 「マーカーの件」や「マンモトーム生検による瘢痕」が無い限り、「マンモトーム生検で診断した部位とは異なるところを切除した可能性」は完全には否定できません。
 また「マンモトーム生検で摘出した組織」は「DCISを推定する組織」との結果だったわけですが、『この結果をどう扱うべきか?』という問題もあります。
 もしも(特殊染色などをして)この「マンモトーム生検で摘出した組織」だけでも
「癌と確定」されれば、「手術標本が癌でなくても」診断は「癌(マンモトーム生検で結果として病変全てが取り除けたケース)」となります。
 
「もし先生ならマンモトーム病理検査で今回の私の例の病理検査の場合、どのように患者に説明し、今後の治療や診断をすすめられますか?」
⇒手術です。
 しかし(マンモトーム生検で癌の確定が無い以上)癌の手術はしません。
 あくまでも「乳腺部分切除(純粋な外科的生検にどの程度マージンをつけるかは、患者さんとの相談となります)」を行います。
 ♯当然ながら「センチネルリンパ節生検などの腋窩操作」はしません、。
 
「やはり手術をすすめられますか?」
⇒そうです。
 手術して「病変全体を検索」しない限り、このケースでは「全体像」ははっきりしません。
 
「今回のように、悪性だと思っていたのが、良性だったと変わることもあるんですか?」
⇒「乳癌の疑い(ADH)」が「病変全体を見たら良性と判断できる(ADHどまり)」ことはあります。(ただし、繰り返すようですが、病変全体を見なければ判断できないのです)
 ♯ADHはトップページの「ADH」もしくは「鑑別困難とADH」を参照してください。
 「経過観察」は私は勧めません。
 
「マンモトームのこともあるので、術後病理検査のセカンドオピニオンは必要ですか?」
⇒術後病理組織よりも「マンモトーム生検の病理」の方が重要のようですが…
 ただ、「術後病理組織」では(癌かどうか?というよりは)むしろ「マンモトーム生検による瘢痕があるのか?」の方が重要です。
 
「この素手で切除部分を触ったことで病理検査診断結果が変わることはありますか?」
⇒ありません。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

以前管理番号2130で質問させて頂き、先生の分かりやすい回答に助けられました。
ありがとうございました。
いろんな悩みがまだあり、こんなことで相談していいのかと思いながら、私と同じような事例はないかと、毎日このQ&Aを見て、学ばせてもらい、参考にさせて頂きましたが、また質問させて頂きます。
何故手術前にこのQ&Aに相談しなかったのだろう。
そうすると手術をすることを防げたのではと、今だに後悔の日々を送っていますが、してしまったものはどうすることもできないので、気持ちを切り替えるように頑張ってます。
しかし、何年か前に検査をして良性の診断を受けて、数年後に悪性の診断をされたという方のQ&Aを拝見していると、私の術後の診断は本当にあっていたのかと心配でなりません。
数年後悪性だと診断されたら、あの時のと、今以上に後悔するはずです。
術後の病理検査結果報告書は
診断:Hypersecretorychanges,see
comments,right breast,partiasl
resetion
所見:一部に術前生検後の変化と思われる出血.肉芽組織の形成が見られ、周囲乳腺組織ではTDLU周囲の間質の軽度浮腫状変化や炎症細胞浸潤を伴っています。
乳腺内には、大小に拡張し内腔に分泌物を容れた乳管がみられる中、一部に、細胞質の泡沫状変化、核や細胞質の腺腔内突出を特徴とする小葉変化が認められ、過分泌性変化
【Hypersecretorychanges】(lactational
change)に相当する像と考えます。
上記所見を踏まえて術前生検材料を再検討したところ、生検時に指摘された病変は、今回手術材料に比して細胞異型が目立つものの、基本的に同様の像を示す小葉変化です。
ただし、生検材料においては上記変化に細胞異型を伴っているためHypersecretorychanges with
cytological atypiaとされる像に相当すると考えられます。
(この病変は、時には上皮細胞の二相性を欠き、ADHやlow grade DCISなどとの鑑別が困難となります)
生検材料では、上記所見を、示す腺管内腔に分泌型の石灰化を多数認め、US上で指摘された、病変として矛盾しません。
これらの所見、手術材料での病変分布を、総合的に
勘案し、採取目的となった病変はHypersecretorychangesであったと判断します。
手術材料の検索範囲では、明らかな悪性所見はありません。
と、いう結果報告でした。
以前の質問時に、田澤先生はマンモトーム生検による瘢痕の記載はあったのかという回答でしたが、今回の病理検査報告書に、記載されているのでマンモトーム生検の部位をきちんと手術切除できてるということになりますか?
切除部分はあっていると判断して大丈夫ですか?
主治医の先生に口頭で確認すると心配ないです。
大丈夫ですと言われました。
それだと、この手術後病理検査報告書をみてどのように解釈したらよいでしょう?
悪性ではないと信じても大丈夫ですか?
難しい内容に意味を十分理解できず、なんとなくわかっている状態です。
分かりやすく言えば、どう言う結果報告になるんですか?
痛い思いをして、辛い思いをして、傷跡を見る度に後悔して、これ以上辛い思いはしたくないので先生の意見を聞きたくて再び相談させて頂きました。
あと、今まで病院からは、マンモトーム生検の病理検査結果報告書と、術後の病理検査結果報告書しか書面では頂いてません。
もうすぐ4ヶ月検診日が近づいてきているので、今までしたMRIやCT.センチネルリンパ筋生検の結果報告書を書面で頂いていた方がいいのか、また口頭説明で大丈夫なのか教えて頂きたいのです?
手元に残しておいた方がいいものは主治医の先生にお願いして頂こうと思っております。
それと、以前にも相談させて頂きましたが、クリップの存在は主治医の先生に以前確認したところ、手術で取り除いた部位のほかに、追加で切除した部位の中にあったと曖昧な返事でした。
本当に切除した部分にあったのかとしつこく確認しましたが、大丈夫ですというだけで、その返事も心配です。
手術後病理検査結果報告書の所見で、クリップのことは気にしなくても大丈夫ですか?
クリップの存在をはっきりさせる必要はもうないですか?
乳がんではないのに、無知なことで切らなくていい部分切除にプラスして追加切除までし、しなくていいセンチネルリンパ筋生検でいじらないでいいとこまでいじり手術でてきた傷など、私のように無知なことでこのような結果になった後悔だけはほかの方にもしてほしくないと切実な思いでいっぱいです。
今後私は、どのようなことを気をつけていたらよいでしょう?
検診だけで大丈夫ですか?
気になることは納得いくまで確認することが大切だと思いました。
また田澤先生のこのコーナーにも多くの方々が相談して助けられていることだと、思います。
感謝しています。
長々とした文書で分かりにくいと思いますがよろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
非典型的な診療内容となり「何が事実なのか、五里霧中」な様子が伝わってきます。
ただ、実際に多くの診療(特に私がステレオガイド下マンモトーム生検での診断後に
手術するケースも多い)をしている私には「手に取るように」解ります。
○「標的病変をきちんと手術して除去していた」という事実が解り、まずは大変安堵しています。
 それは以下の病理所見で解ります。
 「一部に術前生検後の変化と思われる出血.肉芽組織の形成が見られ」
 これです。これが確認したかったのです。
 これで、「癌(かもしれない)組織が、実は(手術で摘出されずに)体内に残っているかもしれない」という危惧はなくなりました。
 
「何年か前に検査をして良性の診断を受けて、数年後に悪性の診断をされたという方のQ&Aを拝見していると、私の術後の診断は本当にあっていたのかと心配」
⇒心配ありません。
 「疑わしい組織」は(結局、完璧に良性ではありましたが)完全に切除されています。
 その意味では「ご安心」を。
ここからが大事なところです。
「上記所見を踏まえて術前生検材料を再検討したところ、生検時に指摘された病変は、今回手術材料に比して細胞異型が目立つものの、基本的に同様の像を示す」「ただし、生検材料においては上記変化に細胞異型を伴っているためHypersecretorychanges with cytological atypiaとされる像に相当する」
そして、更に「この病変は、時には上皮細胞の二相性を欠きADHやlow grade DCISなどとの鑑別が困難」とあります。
⇒これは、もともとの生検標本の病理所見である「DCISを想定します。腫瘍細胞には、ck5/6陰性です。DCIS associated lipid-rich carcinomaを考えてます」という表現と「決して矛盾しない」という結論となっています。
○つまり、(病理側としては)「ADHやlow grade DCISなどの病変とは鑑別しにくい組織も存在する」ので「想定します」とか「考えています」という表現に留めているのに、それを「癌と断定して」「癌としての治療」を選択したことに問題があるということになります。
 
「今回の病理検査報告書に、記載されているので、マンモトーム生検の部位をきちんと手術切除できてるということになりますか?」
⇒まさに「その通り」です。
 そこが今回の「肝」です。
 
「切除部分はあっていると判断して大丈夫ですか?」
⇒間違いありません。
 「その点は」ご安心を。
 
「それだと、この手術後病理検査報告書をみてどのように解釈したらよいでしょう?」
⇒良性病変です。
 ただ、「病理学的に極めて、癌と鑑別が困難だった」ということです。
 
「悪性ではないと信じても大丈夫ですか?」
⇒100%間違いありません。
 
「分かりやすく言えば、どう言う結果報告になるんですか?」
⇒マンモトームで採取した組織も「癌を想定する」としたが、(今回摘出した組織を含めて再検討すると)「良性病変(Hypersecretorychanges)」だった。ということです。
 つまり、「癌は、もともと存在しなかった」ことが確定したのです。
 
「痛い思いをして、辛い思いをして、傷跡を見る度に後悔して、これ以上辛い思いはしたくない」
⇒大変なことでした。
 「癌の確定がない」状態で「行うべきではない」治療が行われたことは残念です。
 ただ「癌では無かった」ことは「何にも代えがたい」喜ぶべきものであることは間違いありません。
 前向きにいきましょう。
「MRIやCT.センチネルリンパ筋生検の結果」
⇒それらは「大した情報は無い筈」です。
 MRIもCTも正常所見だし、センチネルリンパ節生検も陰性でしょう。
 ただ、「もらっておくと安心」です。
 「非浸潤癌を想定する」程度の病変で「CTまで撮っていた」のですか??
 やはり、もう少し「個々の患者さんの状況を把握」して「検査も治療も行うべきだった」と感じます。
 
「クリップの存在をはっきりさせる必要はもうないですか?」
⇒これは「術後に撮影したマンモで確認(クリップが現時点で乳腺に無い)」すれば大丈夫です。
 
「今後私は、どのようなことを気をつけていたらよいでしょう?検診だけで大丈夫ですか?」
⇒検診だけで十分です。
 
「気になることは納得いくまで確認することが大切だと思いました。」
⇒その通りです。
 
「また田澤先生のこのコーナーにも多くの方々が相談して助けられていることだと、思います。」
⇒それであれば、誠に幸いに思います。
 そう信じて、生涯続けていきます。
 ご安心を。