[管理番号:132]
性別:女性
年齢:27歳
来週で妊娠7ヶ月の27歳です。
去年の11月上旬に(妊娠7週くらいの時)左胸にしこりを見つけ乳がんが心配だったので病院に行きました。
妊娠中だったためエコー検査のみをしてもらいましたが異常なしでした。
ちなみにマンモグラフィは一昨年の10月にしています。
先日また左胸の下の方の胸のきわ?の部分にしこりを見つけてしまいました。
去年の11月のエコー検査で異常なかったのに新たに乳癌が、出来ることはありますか?
マンモグラフィをしていないので、不安です。
父方のひぃおばあちゃんが昔乳がんになったり私の母も卵巣癌になったのですが私にも遺伝しますか?
(2015年3月の質問)
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
妊娠中の「しこり」ですね。
「遺伝性乳癌」への不安もあるようですね。
それでは回答します。
回答
「去年の11月のエコー検査で異常なかったのに新たに乳癌が、出来ることはありますか?」
⇒乳癌では無いと思います。
11月に異常がないのに、「その僅か3か月後に」乳癌が急速に増大して「触れるようになる」とは考えられません。
乳癌は、そんなに急速に増大することはないのです。
妊娠中は「乳腺が発達するので」正常乳腺が「しこりのように」硬くなることも多いのです。
「マンモグラフィをしていないので、不安です。」
⇒マンモグラフィーはそれほど重要ではありません。
超音波で「乳癌があるかどうか?」は十分に解ります。
「マンモグラフィーは検診の場では重宝されますが、乳腺外科の臨床の場では重要ではありません」
「乳腺専門医が超音波すれば、マンモグラフィーは必ずしも必要ではないのです。」
※但し石灰化だけは、マンモグラフィーでしか解らないのですが、2013年10月にマンモグラフィーを撮影していれば心配ありません。出産後で充分です。
「父方のひぃおばあちゃんが昔乳がんになったり私の母も卵巣癌になったのですが私にも遺伝しますか?」
⇒家族性乳癌卵巣癌症候群(HBOC)の可能性は(確率は高くはありませんが)あります。
HBOCの診断基準の一つに「家族に卵巣がんの方がいるか?」があります。
※詳しい内容は日本HBOCコンソーシアムの基準を参照してください。
⇒質問者の「母親が卵巣癌」という項目が当てはまります。
◎乳癌の5-10%が「遺伝性乳癌」と言われています。(其のほとんどはHBOCです)
遺伝子変異があるかどうか確認したい場合には、「遺伝カウンセリング」を行った上で「遺伝子検査」を行います。(保険診療ではないので高額となりますが)
参考にしてください。(私見)
質問者の家族歴 母親(第一度近親者)が卵巣癌、祖母(第二度近親者)が乳癌(但し発症年齢不明)ですが、(日本ではデータが少ないので参照困難ですが)
アメリカでのデータでは遺伝子変異の確率は僅か3.0%程度です。
◎つまり質問者は希望すれば「遺伝カウンセリングの対象」とはなりますが、決して「遺伝子変異の可能性は高くはありません」
(定期的に、しっかりと検診を受けている現状から考えて)敢えて、遺伝子検査などはしなくてもいいと思います。
質問者様から 【質問2】
ご丁寧に解答していただいて安心することができました。感謝いたします。
あと気になった事がもう一点あり、しこりの他に乳首を圧迫したり刺激を与えると両方の乳首から無色の液体が出てきます。
一箇所からというよりは複数から出てきているように思います。
妊娠19週くらいから出るようになりました。
これは妊娠してるせいで癌とかではないのでしょうか?
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「先の質問」についてはご理解いただいた様子。安心しました。
今回は「乳頭分泌」ですね。
それでは回答します。
回答
「乳首を圧迫したり刺激を与えると両方の乳首から無色の液体、一箇所からというよりは複数から、これは妊娠してるせいで癌とかではないのでしょうか?」
⇒妊娠しているから分泌が亢進しています。
乳癌が原因ではありません。
◎乳癌が原因の乳頭分泌は、「片側」で「単孔性=一箇所」で「茶~黒~赤色」です。
トップページの「良性疾患」の「乳頭異常分泌」を参照してください。
※妊娠による分泌亢進の記載が無いですが、 妊娠による分泌亢進は「両乳房の多孔性」です。
乳癌による乳頭分泌が何故「片乳房で単孔性」なのか?
乳癌は1本の乳管の細胞から発生します。
その乳管内で癌細胞が増殖し、出血や分泌があると、「その乳管だけから」その「出血や分泌」が起こるのです。
※たまたま同時に複数の乳管から別々に癌細胞が出現することは極めて稀なのです。
それで「複数の孔からの分泌≠癌が原因」と断定できるのです。