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遺伝性乳癌について。

[管理番号:1057]
性別:女性
年齢:32歳
 
はじめまして。
いつも、ホームページを参考にさせてもらっています。
7月に乳癌の告知を受けました。
32才なので、若年性でトリプルネガティブ悪性度の高いものだと思います。
 
父親が膵臓癌で亡くなっています。父方の親戚にも
乳癌、卵巣癌の人がいるので、今になって
遺伝性乳癌ではないかと心配しています。
 
8ヶ月前にエコーで良性の腫瘍1センチと診断。
しこりが触れるようになったため受診して、
検査を重ねて7月に乳癌だという診断が出ました。
診断がついた時には3センチになっていました。
 
今のところリンパへの転移はないけれど、手術しないとわからないという段階です。
今は、術前抗がん剤AC療法1回目が終わり、しこりが2センチになりました。
AC療法4クール→タキサン系4クール→手術の予定です。
トリプルは抗がん剤が効きやすいとか、完全奏功になれば、予後が良くなると聞き、治療に向けて少し前向きになりました。
 
副作用はひどいものでしたが1回目の抗がん剤で目に見えた効果があったので頑張ろうと思っていたのですが、色々調べていたら遺伝性乳癌だと、予後が不良とかタキサン系が効果ないとか、再発しやすいとか全摘をした方がいいとか
これからの治療に向けて迷い、不安なことばかりです。
 
遺伝子検査をすれば、これからの治療に使う抗がん剤が変更になったり、選択する種類が選びやすくなったりしますか?
 
今後の治療のために遺伝子検査をした方が良いと思いますか?
遺伝子による乳癌だとしてもまずはAC→タキサン系の治療でいいのでしょうか?
ACだけの治療で手術にした場合、AC→タキサン系の治療をした場合に比べて再発率はどのくらい変わりますか?
タキサン系で大きくなればその時点で手術ということですがACで小さくなったとして、タキサン系でまた大きくなるのがこわいです。
 
まだはじまったばかりで情報も少ない中ですが、今の私の状態で予後はどうでしょうか?
完全奏功すれば、予後は良好だということで、完全奏功を目指したいのですが遺伝性乳癌だとしてもAC→タキサン系の治療でも完全奏功できますか?
 
ACだけでタキサン系の効果がなかった場合予後は悪くなるのでしょうか?
子供もまだ2歳ですし、これから再発の不安を抱えながら生きていくのがらこわくてたまりません。
まだまだ、元気に生きていきたいです。
 
田澤先生の他の方への回答の意見を見る度、前向きな情報をもらえて
頑張ろうと思ってきました。
たくさん質問してごめんなさい。
田澤先生どうか助けて下さい????
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 大きな勘違いをされているようです。
 術前抗がん剤も術後の抗がん剤も「できる薬剤はきまっている」のです。
○効果が無かったから「別の抗がん剤へ変更」などという選択肢は「そもそも無い」のです。
 
(腫瘍が増大するリスクを冒してまで)「抗がん剤の効果」を見る意義がどこにあるのでしょうか?
 
★抗がん剤には「術前術後に用いる事ができる薬剤=アンスラサイクリン、タキサン」
 「転移・再発にしか適応が無い薬剤=bevacizumab, capecitabine, vinorelbine, Eribulin, TS-1など」に明確に分けられるのです。
 
 つまり、「術前抗がん剤で効果がいま一つだな。それではbevacizumabでも使おうか」みたいなことはできないのです。
 結局「術前抗がん剤で効果が有ろうが無かろうが、アンスラタキサンとタキサンを用いるしか選択肢が無い」のです。
 それなのに、「抗がん剤の効果をみる必要がありますか?」
◎ただ、質問者の場合には「3cmの腫瘍を小さくして温存」という「本来の、術前化学療法の適応」理由があるので治療方針に誤りはないように思います。

回答

 
「トリプルは抗がん剤が効きやすい」
⇒確かに「ルミナールタイプ」よりも効き易いです。
 効果があるものは「ぐんぐん小さく」なります。
 ただ、100%ではない事に注意してください。
 「逆に大きくならないか?」細心の注意が必要です。
 
「完全奏功になれば予後が良くなる」
⇒完全奏功になる様な方は、当然「(術前抗がん剤ではなく)術後補助療法として行っても良く効いて、結果、(同様に)予後は良くなります」
 『術前に行うから、予後が良くなる訳ではなく、その抗がん剤がその人に凄く良く効く』という事です。
 
「遺伝子検査をすれば、これからの治療に使う抗がん剤が変更になったり、選択する種類が選びやすくなったりしますか?」
⇒これが勘違いです。
 「遺伝性乳癌」であっても、「(今行っている)抗がん剤が効いても効かなくても」抗がん剤の適応は厳密に規定されており、「薬剤の変更はありません」
 ★「決して転移再発の薬剤を使用することはできない」のです。
 
「今後の治療のために遺伝子検査をした方が良いと思いますか?」
⇒前述した様に「薬剤選択は全く関係ありません」
 ただ、「術式選択」には「乳房切除を選択肢とする意義」はあります。
 ♯その場合には「術前抗がん剤自体の意義」が無くなってしまいますが…
 
「遺伝子による乳癌だとしてもまずはAC→タキサン系の治療でいいのでしょうか?」
⇒その通りです。
 遺伝性乳癌も「選択できる薬剤はアンスラサイクリンとタキサンだけ」なのです。
 
「ACだけの治療で手術にした場合、AC→タキサン系の治療をした場合に比べて再発率はどのくらい変わりますか?」
⇒質問者の「核グレード」とか「正確な浸潤径」などが不明なので正確な数値とは言えませんが…
 おおよそ、5%程度だと思います。
 
「AC→タキサン系の治療でも完全奏功できますか? ACだけでタキサン系の効果がなかった場合予後は悪くなるのでしょうか?」
⇒完全奏功するかは「誰にも」解りません。
 ACだけで「十分予後良好な場合」もあるので一概には言えません。
 
◎術前抗がん剤中は、「きちんと効いているか」細心の注意をしてください。
 もしも「効果が無い」場合には「しこりを体内に置いたまま放置と同様」なのです。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

早速のあたたかいお返事ありがとうございました。
2回目の治療の副作用で寝込んでいたため、お礼のお言葉
が遅くなりごめんなさい。
前回の続きですが、しこりが3センチだったので、術前
で効果があれば、温存できること。
目に見える効果があれば、これから生きてく上で、
少しは再発に怯えなくていいのかもしれないと
思いました。
乳房温存に関しては、もちろんリスクのない状態で
あれば温存したいという気持ちもありましたが、極力
リスクのない選択をしていきたいので全摘する覚悟は
もちろんあります。
遺伝子検査はメリットデメリットが多く悩んでいます。
遺伝子検査で陽性になれば、全摘をした方がリスクが
減るのかなと悩んでみたり。
田澤先生なら遺伝子検査についてどう思われますか?
遺伝子乳癌だとタキサン系が効かないとかそういった
データもあるんですか?
効果がなくても再発しないこともありますか?
今の段階でAC→タキサン系の治療をこなすしかない
という現状も理解できました。
術前なので、エコーでこまめに大きさをチェックして
気をつけて経過観察してくれるようです。
現状、1回目の抗がん剤を終えて3センチのしこりが、
2センチに縮小したので、今のところ順調とのこと
ですが、少し喜んで治療に励んでも大丈夫ですか?
副作用が辛くて、不安ばかりで。
タキサン系で5パーセントの上乗せとはどういうこと
でしょうか?
タキサン系はしびれなどの副作用が残るとのことも
あり不安です。
若年性ですし、トリプル、もしかしたら遺伝性かも
しれない。
ACが効いていることがせめてもの救いですが、
頑張って治療を乗り越えれば私はまだこれからも元気に
生きていけますか?
まだまだ希望持って大丈夫ですか?
皆さんに向けた先生のメッセージも私の励みです。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

回答

「田澤先生なら遺伝子検査についてどう思われますか?」
⇒私自身は「知ったからと言って」現状ではメリットは少ないと思っています。
 
ただ、将来的には「BRCA変異乳癌にピンポイントに効く治療」などが開発される可能
性はありますので、「調べておいてもいいかな」とも思います。
 
「遺伝子乳癌だとタキサン系が効かないとかそういったデータもあるんですか?」
⇒BRCAness predicts resistance to taxane-containing regimens in triple
negative breast cancer during neoadjuvant chemotherapy.のことでしょうか?
 これは僅か73症例での「後ろ向き」検討でしかありません。
 このようなレベルでの報告は参考程度にするべきです。
 「もしかして、タキサンをしない」ことが「再発に繋がる」可能性もある訳です。
 やはりトリプルネガティブには「アンスラタキサン」をすべきです。
 
「効果がなくても再発しないこともありますか?」
⇒いくらでもあります。
 「術前抗がん剤の効果を必要以上に意識しすぎるのは、どうかと思います」
 
「1回目の抗がん剤を終えて3センチのしこりが、2センチに縮小したので、今のと
ころ順調とのことですが、少し喜んで治療に励んでも大丈夫ですか?」
⇒効果は有りそうです。
 ただし「あまり一喜一憂しないこと」です。
 重要な事は「細心の注意を払って、大きくならないかチェックすること」です。
 抗がん剤中の「増大」だけは極力避けてください。
 
 

 

質問者様から 【質問3】

田澤先生こんばんは。
お返事ありがとうございました。
田澤先生のお答えを見て、一喜一憂せず、
自分の現状をしっかり注意しながら
今、目の前にあるできることを一つずつこなして
いこうと思いました。
お忙しいところ申し訳ありませんがまた、追加で
質問させて下さい。
乳癌全摘と部分切除どちらを選んでも予後には
変わりないと聞いているのですが、
例えば遺伝子検査を受けたとして、陽性で
あった場合全摘をした方が良いということは
ありますか?
今、AC療法→タキサン系→手術予定なのですが、
AC療法→手術→タキサン系という流れも
できるのでしょうか?
あと、1クール目14日後に白血球好中球の数値が下がり
すぎてしまい(白血球1330好中球240)微熱があったので
抗菌剤+白血球好中球を上げる注射グランを2回しました。
注射の後は、6000までもどったのですが、2クール目
の時にまた白血球2350好中球1050になっていて
1週間延期してからの抗がん剤治療でした。
今回2クール目は、予防のために抗がん剤翌日に予防の注射
ジーラスタを打ち抗がん剤から1週間後の血液検査で
白血球1350好中球750になっていて感染症に気をつけるように
言われています。
予防の注射を打ってもこんなに下がってしまうものなのか
と思い不安です。
予防の注射の効果がないということなのでしょうか?
もともと治療前も白血球3220好中球1410と低めです。
数値を見ると体がボロボロになっているようでこわいです。
治療をきちんとこなしたいのですが、予防の注射以外にも
自分でできることないですか?
田澤先生のような雲の上の先生に不安を
解決してもらえること心から感謝しています。
お返事はお時間がある時で大丈夫です。
よろしくお願いします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
遺伝性乳癌についてですね。

回答

「遺伝子検査を受けたとして、陽性であった場合全摘をした方が良いということはあ
りますか?」
⇒遺伝性乳癌の場合には「温存術後の乳房内再発のリスク」は高いとされています。
(いろいろな報告がありますが、差があると考えるのが一般的です)
 アメリカでは「対側乳房さえ、予防的に切除する」のだから、その意味では「同側
乳房を温存する」事は「リスクが高い」事だと思います。
 
「AC療法→手術→タキサン系という流れもできるのでしょうか?」
⇒勿論です。
 抗がん剤は「術前でも術後でも同等」なのです。
 
「予防の注射以外にも自分でできることないですか?」
⇒また2週間目に採血チェックしてグランをすることです。
 ペグフィルグラスチム+グランで「延期する事無く」3回目ができるようにしま
しょう。
 RDIの考え方があります ♯管理番号1113「RDIについて」を参照してください。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

田澤先生こんにちは。
早速のお返事ありがとうございました。
毎回、分かりやすいお返事をしてもらえて本当に
感謝しています。
抗がん剤治療をはじめてから、色々調べていくうちに遺伝性
乳癌の可能性があるかもしれないと気付きました。
田澤先生のサイトも参考にさせてもらい自分なりに
調べました。
若年性、トリプルが遺伝性の要因に当てはまるとは
知りませんでした。
やはり、遺伝性の場合乳癌温存すると再発のリスクが
高まるのですね。
手術の前のタイミングで遺伝性について考えることが
できて良かったです。
術前抗がん剤でしこりが小さくなれば温存という予定で治療を
進めてきましたが、遺伝性であれば小さくなったとしても全摘を
選択した方が良いのかなと、先生の回答を見て思いました。
遺伝性は再発しやすいとのことですが、全摘をすれば
遺伝性ではない乳癌の人と同じくらいの再発リスクに減らす
ことがでのでしょうか?
全摘をしても再発のリスクがゼロになるわけではないのですよね?
どれくらいの再発のリスク軽減ができるのでしょうか?
全摘なら術前抗がん剤の意味はまったくなくなって
しまいますが。
AC→全摘→タキサン系
AC→タキサン系→全摘
どちらでも再発のリスクは同じという理解で大丈夫ですか?
AC→タキサン系→温存はやめたほうがいいのかなと
思いましたが田澤先生はどう思われますか?
あと、白血球好中球減少の件、添付の回答読ませて頂きました。
添付していただきありがとうございました。
今、治療している病院でジーラスタは1回の接種、グランは数回に
分けての接種する予防のお薬で効果は同じなので
どちらか一つしかできないと言われていたのですが
併用も可能なのでしょうか?
人事を尽くして天命を待つ、他の方との回答で
心に響きました。
色々迷ったり、不安になったりしますが、いま自分にできること
をきちんとやりたいと思います。
そう思えたのは先生のおかげです。
お忙しいなか何度も質問して申し訳ありません。
よろしくお願い致します。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
今回のメールを見て「質問者の勘違い」に気が付きました。
(温存術後の)「乳房内再発」や(全摘後の)「胸壁再発」と「遠隔転移再発」は全
く別物です。
○遺伝性乳癌とか関係なく
「乳房温存術を選択すれば、乳房内再発する可能性」があります。
それに対して「乳房切除を選択すれば乳房内再発は勿論ありません。それら胸壁再発
などは無視できるレベル」です。
それら「乳房内再発とか胸壁再発」は「遠隔転移再発」とは『無関係』です。

回答

「遺伝性は再発しやすいとのことですが、全摘をすれば遺伝性ではない乳癌の人と同
じくらいの再発リスクに減らすことがでのでしょうか?」
⇒ここでいう「再発」を「局所再発」と言い換えれば
 全摘をすれば、「遺伝性であっても、そうでない人であっても局所再発のリスクは
殆どない」のです。
 ★もしもここでいう「再発」を「遠隔転移再発」と言い換えれば
  乳房を「温存しても全摘しても」「遠隔転移再発」のリスク低減にはなりませ
ん。無関係です。
 
「全摘をしても再発のリスクがゼロになるわけではないのですよね?」
⇒ここでいう「再発」を「局所再発」と言い換えれば
 全摘をすることで「局所再発は殆ど無くなり」ます。ほぼゼロと考えて結構です。
 もしもここでいう「再発」を「遠隔転移再発」と言い換えれば
  「全摘すること」と「遠隔転移再発のリスク」は全く無関係です。
 
「どれくらいの再発のリスク軽減ができるのでしょうか?」
⇒「温存乳房内再発などの局所再発のリスク」は無くなります(ほぼゼロ)
  ただし、「遠隔転移再発のリスク」の軽減効果はありません。
 
「どちらでも再発のリスクは同じという理解で大丈夫ですか?」
⇒その通りです。
 抗がん剤は「術前に行っても、術後に行っても効果は同等」なのです。
 
「AC→タキサン系→温存はやめたほうがいいのかなと思いましたが田澤先生はどう思
われますか?」
⇒本当に遺伝性乳癌であれば、そう思いますが、まだ確定している訳ではありませ
ん。
 「遺伝子検査をするか、どうか」はご本人次第です。
 
「併用も可能なのでしょうか?」
⇒勿論です。
 私の患者さんの中にもそのような人は沢山います。
 
 

 

質問者様から 【感想5】

田澤先生こんばんは。
分かりやすいお返事ありがとうございました。
再発のリスクの件、理解できました。
遺伝性であったとしても全摘をすれば、乳房内再発のリスクは
ほぼゼロになると聞き、安心しました。
遺伝子検査はまだ迷っていますが、もし検査して
陽性だった場合は全摘を選択しようと思っています。
まだ、時間があるので遺伝子検査を受けるかどうかもう少し
悩もうとおもいます。
まだまだ、長い道のりですのでまたお世話になると
思いますが田澤先生どうぞよろしくお願い致します。

 
 

 

質問者様から 【質問6 】

肩の付け根の痛み
性別:女性
年齢:39
病名:乳癌
症状:
投稿日:2022年1月19日

39才、左乳房、ステージ2、腫瘍2.8センチ、部分切除をし3月で術後6年になります。

ほぼ、トリプルネガティブで抗がん剤をし、今はノルバデクス服用中です。

年明けくらいに軽いダンベルを持ちながら振り子のようにストレッチをしたのですが、その時に腕の付け根のくぼみあたりを痛めて、良くなったかなと思ってもまた痛かったりしています。

痛みや不調があると、転移ではと不安になってしまいます。

大丈夫でしょうか?
手術しているので、軽いものでもダンベルを持った運動は避けた方が良いですか?

 

田澤先生から 【回答6】

こんにちは田澤です。

「年明けくらいに軽いダンベルを持ちながら振り子のようにストレッチをしたのですが、その時に腕の付け根のくぼみあたりを痛めて、良くなったかなと思ってもまた痛かったりしています」
⇒常識的に考えて…

 ダンベルによる運動によって「痛めて」とあるので、そのせいでしょう。

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