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抗HER2療法の意義

[管理番号:1484]
性別:女性
年齢:52歳
 
 

質問者様の別の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
質問者様の別の質問は下記をクリックしてください。
管理番号:1378「脇の下の痛み

 
 
先日、江戸川病院でCT検査をしてマンモトーム生検の結果を聞きに参りました○○です。
前回Q&Aで、腫瘍が大きくリンパ節転移もあることから、遠隔転移を心配して質問させていただきましたが、検査の結果、先生の
「心配ありません」との回答通り、どこにも転移していませんでした。
本当にありがとうございました。
病理の結果で少し質問させてください。
ER(+) PgR(-) HER2(3+) 核グレード2
先生にホルモン療法も化学療法もハーセプチンも良く効くタイプですとおっしゃっていただきました。
少し調べましたところ、エストロゲンが+なのにプロゲステロンが-というのは珍しい気がしたのですが、このようなタイプでもホル
モン療法は有効なのでしょうか?
また、HER2陽性ということで増殖度が高いと思うのですが、私の場合腫瘍がかなり大きく、HER2も陽性ということで、予後
がかなり悪いのではないかととても不安です。
もちろん先生が提案してくださった治療を、フルコースになりますが頑張って行こうと思っています。
高齢出産で小学生の子どもがおり、まだまだ死ぬわけにはいきません。
抗がん剤の副作用がとても不安ですが、乗り越えたいと思っています。
まずは来月の手術、どうぞよろしくお願い致します。
先日の説明の後で先生には「何か質問はありますか?」とやさしく言っていただいたのですが、後からこのような疑問が出てお時間を
取らせてしまい申し訳ありません。
私への回答は急ぎませんので、どうぞお時間のある時によろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
遠隔転移無との事で、ご安心いただき良かったです。
「エストロゲンが+なのにプロゲステロンが-というのは珍しい気がしたのですが、このようなタイプでもホルモン療法は有効なのでしょうか?」
⇒有効です。
 一般的にはエストロゲンもプロゲステロンも両方陽性だと、「より感受性が高い」
と表現されますが、実際にはあまり関係ありません。
 私は、このQandAでしばしばコメントしていますがプロゲステロンの免疫染色には
「しばしばエラー」があります。
 ホルモン療法は「抗エストロゲン」であり、いずれにしろ気にしなくて結構です。
 
「HER2陽性ということで増殖度が高いと思うのですが、私の場合腫瘍がかなり大
きく、HER2も陽性ということで、予後がかなり悪いのではないかととても不安」
⇒心配ありません。
 「HER2蛋白は増殖蛋白」であり、HER2陽性乳癌は、かつては「予後が悪い」と言わ
れてきました。
 しかし、分子標的薬が「状況をガラッと」変えました。
 やはり、trastuzumab(ハーセプチン)の補助療法が最も大きな影響を及ぼしていま
す。
 「trastuzumabの術後補助療法としての適応承認から、僅か8年」です。
 今まで言われているデータは「全て、trastuzumab補助療法となる前の患者さんの
再発率」となります。
 ○販売元(中外)の担当者と話をした際には「HER2陽性乳癌は、現時点ではルミ
ナールタイプと同等ではないか」との見解です。
私はかねてから「サブタイプで予後の話をしてはいけない」と、この乳がんプラザで
は話をしています。
その考えには変わりはありません。
ただ、それには「そのサブタイプに必要な術後補助療法をしての話」であることもご
理解ください。
つまり
ルミナールタイプであれば、「ホルモン療法」(Bの場合には+化学療法)
トリプルネガティブでは、「アンスラサイクリン+タキサン」
HER2タイプでは「抗HER2療法」です。
★これらの中で、最も強力な治療は「抗HER2療法」と言えます。
 
「もちろん先生が提案してくださった治療を、フルコースになりますが頑張って行こうと思っています」
⇒最も「やりがいのある治療」だからと言って、「最もつらい治療」という訳ではあ
りません。
 アンスラタキサンの半年間を乗り切れば、あとは余裕が出てきます。
 頑張りましょう。