[管理番号:5837]
性別:女性
年齢:59歳
初めて質問します。
よろしくお願い致します。
本年7月に左胸全摘手術を受けました。
術後の外科医の先生の説明は以下の通りでした。
[病理診断結果]
・乳頭腺管癌 1.1×0.9 cm
・非浸潤性乳管癌 広がり2.5×2.2 cm
(写真では、非浸潤性部の中央に浸潤部がありました)
・切除断端: 陰性
・リンパ節転移の個数: 0/3
・核異型度: 3
・Ki-67: 18%
・ER 陰性、PgR 陰性、HER2 陽性 (FISH +)
[リスクアセスメント]
・タイプ: HER2
・病期: StageⅠ
・再発リスク: 中間 (約30-40%の再発の可能性)
再発したら助からないとの説明でした。
[今後の治療]
・全身治療: 抗ガン剤、分子標的治療薬
引き続いて行われた腫瘍内科医の先生からの説明は以下の通りでした。
1) AC療法 4コース
2) ドセタキセル(DTX) + ハーセプチン 4コース
(DTXの投薬量として75,70,60mgがあるということでしたが、副作用が心配でしたので、60mgにしています。)
3) ハーセプチン 13コース
これに従って、9月から術後化学療法を開始しました。
AC療法を1コース受けた後、
3週目(2コース開始日)の血液検査でCRPの値が高く、1週間延長となりました。
AC療法は、身体へのダメージが大きく、フルタイムでの仕事の両立が困難であったことからも残り3コースを中止し、DTX+ハーセプチンに移りました。
現在3コースが終了したところです。
3コース目を受ける前の主治医の診察時に、再発が気になりましたので、中止したAC療法を再開した方がよいのかを伺ったところ、それは可能であるが、自身で決めるようにとのことでした。
経過説明が長くなりましたが、ここからが質問です。
【質問1】
今後の治療に関し、以下の選択肢が考えられるのですが、どれが妥当でしょうか。
アドバイスいただけましたら幸いです。
可能な限り再発を避けたいことが切実な願いです。
この選択肢は、医師からの提案ではなく、自身で勝手に考えた内容であり、
B~Dは標準治療ではないと思われますので、エビデンスがないと指摘されればそれまでです。
A) 現状の通り進める。
B) DTX+ハーセプチン4コース終了後AC療法の残り3コースを行う。
この間ハーセプチンは休薬となりますが、3週毎という継続が途切れても問題はないのでしょうか。
C) DTX+ハーセプチン4コース終了後TCH療法のCBDCA+ハーセプチンを4コース行う。
D) DTX+ハーセプチン4コース終了後 シクロホスファミド+ハーセプチンを3コース行う。
(AC療法でシクロホスファミドを1回投与しているため。ハーセプチンの継続を優先。)
E) 他の療法があればお教えください。
【質問2】
再発率に関して、ハーセプチン投与期間6ヶ月は1年に比べて劣り、2年は1年に
比較して有利ではないというような治験結果も出ているようですが、一般的な抗ガン剤
に比較して、分子標的治療薬の投与期間が長い理由はどのように考えればよいのでしょうか。
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ガンの再発に関しては、様々な情報が氾濫し、どのように考えるべきか非常に迷います。
抗がん剤の恩恵を受ける割合もその数値が低いと考えるのか、高いと考えるのかも気の持ちような気もします。
乳がんのサブタイプに関しても何故自身がHER2であったのかも未だ釈然としない思いです。
とは言っても、考えても仕方がないことに時間を費やすのは無駄と考えて次に進みたいものです。
長くなりましたが、先生のご見解をお聞かせいただけましたら幸いです。
よろしくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
抗HER2療法のスタンダードは確かに「アンスラ(この場合AC) タキサン(この場合DTX)」でしたが…
(心疾患の多い)欧米を中心に非アンスラサイクリンレジメンが、特に「早期」の場合に選択されてきています。
非アンスラサイクリンレジメン
①weeklyPTX+HER
②TC+HER
③TCH
「【質問1】どれが妥当でしょうか。」
⇒シンプルに考えましょう。
要は「このまま」アンスラサイクリンを抜く(もともと非アンスラサイクリンレジメンがあるわけですから)か、アンスラサイクリンを「再」チャレンジするか?です。 順番に拘る必要は全くありません。
その意味ではA及びBです。
「【質問2】再発率に関して、ハーセプチン投与期間6ヶ月は1年に比べて劣り、2年は1年に比較して有利ではないというような治験結果も出ているようですが、一般的な抗ガン剤に比較して、分子標的治療薬の投与期間が長い理由はどのように考えればよいのでしょうか。」
⇒これは単純に「ハーセプチン」は単独で1年間継続しても「ダメージがない(副作用が皆無)」だから(再発予防でも)「長期投与が有効なら、長期投与してみよう」という発想になりますが…
通常の化学療法は「ダメージが大きい」ので現実問題として(再発予防目的で)
「標準療法として長期投与するのは不可能」なのです。