[管理番号:4430]
性別:女性
年齢:55歳
術前、術中、術後とデータが悪くなっていって、説明も受け覚悟があっても混乱していて術後の治療に不安でいっぱいです。
今まではガイドラインやこちらのサイトを参考にしてい
ましたが、悪い結果を目にしたらと調べるのも怖くなり、直接お便りさせていただきました。
知識も未熟で脈略なく長い文章をご容赦ください。
10月の検診で要精検となり、年間50例ほどの乳癌手術実績の
ある総合病院で12月に非浸潤癌の診断、2月(中旬)日に左全摘しました。
針生検結果の説明では、ホルモンの感受性がないタイプとの
ことでしたが、術前の説明書では、非浸潤癌(min ?一部に浸潤部分
浸潤部分を有する可能性在あり)、ER(陽性?5%)、PgR(
(陰性)、HER2蛋白(+1陰性)、グレード2、Ki67 47.5%
47.5%、N0、M0のルミナルBで、術後の治療については、内分泌療法、化学療法に?が、ハーセプチンに△がついていましたが、「術後1mの浸潤もなかったら治療はなし、浸潤があった場合の治療はホルモン剤も検討します」とのことでした。
?の意味やHER2蛋白陰性なのにハーセプチン△やER感受性がないのにホルモン治療に疑問はありましたが、主治医のの経験等から術後の病理によっては想定される選択肢を加えたのではと解釈し、浸潤がなければそもそも問題ないと思い確認確認はしませんでした、
術中にセンチネルリンパ節3個のうちの1個に2mm未満の微小転移があり、郭清はなしでほっとしたものの、非浸潤癌でなかったことでトリプルネガティブだと、治療が強い抗がん剤になるのではと不安でしたが、家族が今後の治療について質問した際には、「定期健診だけになる。病理結果にもよるが」といった答えだったそうで、少し落ち着きました。
術後、「悪い結果ではありませんでした」「よかったです。不安でした。」「そうですね。」のやりとりの後の病理結果の
の説明書(「病理報告書は英語があるので、わかりやすく病院のの書式に転記して説明します」とのことでした。)は、
浸潤癌(6mm×4mm)T1(説明では6mmと○mmのように聞
聞こえましたが、聞き違いかも知れません)、乳管内癌55×30mm 、浸潤
mm 、浸潤の波及程度:乳腺組織内、リンパ管侵襲:0、脈
管侵襲:あり1、切除断端:記載なし、リンパ節:センチネル
リンパ節生検微小転移1 転移個数1/3、臨床病期:ⅡA(Ⅰに
に近い)
ホルモン感受性:ER(陰性)、PgR(陰性)、HER2(陽
性・・FISH法で判定にはチェックなし)、グレード:3、
Ki67:59%、HER2タイプ
術後の治療については、
化学療法◎:5種類の抗がん剤に○は未記載、内分泌療法△、
分子標的薬◎
放射線治療△(説明では、放射線はなし。
軽い抗がん剤を3ヶ月、
月、ハーセプチンを足した後はハーセプチンだけで計1年間)
主治医は多忙のこともあり質問や考えを確認する対話型を好まないことを毎回感じますが、
丁寧にわかりやすく説明しているのは伝わりますし、患者のことを考えて配慮してくれている主治医に今後も継続して治療を受けたいと考えています。
次回の受診までに疑問点を解消し、セカンドオピニオンも視野に、自分で納得したうえで治療を受けたいと思っていますが、病期がⅡAとはいえ、リンパ節微小転移、血管浸潤あり、HER2タイプ、グレード、Kiとも悪く高いリスクに加え、初期治療が効かないと取り返しがつかないと、不安がいっぱいで、食欲もなく眠れません。
主治医に確認すべきで、田澤先生には想定の範囲でお答えいただくこととなり恐縮ですが、ご意見をいただけると大変心強いです。
①次回の受診で、陰性のホルモン感受性が0か何%か確認、HER2蛋白陽性の数値が高かったためFISH法で判定しなくても陽性が確定したのか、が確認できれば病理報告書をもらわなくてもよいものでしょうか。
ほかに切除断端やセンチネル微小転移の標本病理結果も必要でしょうか。
わかりやすく説明してもらっている手前、確認するだけでも緊張し、報告書はお願いする理由に苦慮します。
②ERが術前15%→術後0%、HER2蛋白+1陰性→+++(FISH法で判定したとすると++)陽性は、よくあることでしょうか。
病理に手違いはないと考えていいですか。
③ERが1%でも陽性であれば、オンコタイプDXを受けるメリットはありますか。
④ERが1%でも陽性であれば、治療が変わりますか。
⑤主治医の「悪い結果ではない」というのはトリプルネガティブよりは、との意味でとらえればいいのでしょうか。
術前はホルモン感受性が弱陽性だったのが、ハーセプチンが効くく型でより治療効果が高いということでしょうか。
⑥看護師から、軽い抗がん剤ならTCかな、ハーセプチンと一緒が多いけど、先行する場合もあると聞きましたが。
抗がん剤を3か月先行させるのは、アレルギーをそれぞれ確認するためでしょうか。
喘息と診断されたことがあること(咳が止まらない、風邪の際の喘鳴程度で呼吸困難になったことはなく現在は毎日吸入、
服薬ともしていない)、または、脈管侵襲があったことと関係ありますか。
最初からハーセプチンを使わないことで治療効果の低減はありますか。
⑦TC?または別の抗がん剤を3ヶ月(3W×4)、TC?また
は別の抗がん剤+ハーセプチンを○ヶ月、その後ハーセプチン単独
で計1年間の治療は、標準治療でしょうか。
家庭の事情で4月中旬から始めても遅くないですか。
⑧田澤先生はどのような治療をお考えになりますか。
⑨どのような場合にセカンドオピニオンを検討したらよいでしょうか。
大学病院とがんセンターのどちらがお勧めでしょうか。
⑩私の病状で治療に前向きに向かうにはどのように考えたらよいでしょうか。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
私が、このメールを読んで(質問者に)強調したいのは、「浸潤径」の重要性です。
「HER2タイプ」だとか、「Ki67やKi67]に目がいってしまっているようですが、最も重要なのは「浸潤径」なのです。
♯また、「微小転移は予後に関係ない」ことも付け加えておきます。
○HER2タイプで治療方針を決める上で重要なのは、この「浸潤径」です。(そして予後に最も影響するのも、この浸潤径なのです)
「5mm以下」ならば抗HER2療法の適応外となります。
♯今回は「6mm」だから抗HER2療法を行うことにありませんが問題はありませんが、深刻な状況とは「全く無縁」であることの認識が重要です。
この状況では「化学療法はできるだけしたくない」という患者さんであれば(躊躇なく)「無治療とする」し、(やるとしても)「low risk抗HER2療法で十分」です。
1.TC+HER
2.weekly PTX+HER
3.TCH
「病理報告書をもらわなくてもよいものでしょうか。」
⇒自分のことなのだから…
当然「もらっておくべき」です。
「ERが術前15%→術後0%、HER2蛋白+1陰性→+++(FISH法で判定したとすると++)陽性は、よくあることでしょうか。病理に手違いはないと考えていいですか。」
⇒術前病理診断が「非浸潤癌」であり、術後(浸潤部分が見つかり)「浸潤癌」となっているので、そこでサブタイプに乖離があるのは極当然のことです。
「③ERが1%でも陽性であれば、オンコタイプDXを受けるメリットはありますか。」
⇒ありません。
「④ERが1%でも陽性であれば、治療が変わりますか。」
⇒かわりません。
「⑤主治医の「悪い結果ではない」というのはトリプルネガティブよりは、との意味でとらえればいいのでしょうか。」
⇒違います。
あくまでも「浸潤径が僅か6mm」なので「早期」だということです。
「最初からハーセプチンを使わないことで治療効果の低減はありますか。」
⇒ありません。
「家庭の事情で44月中旬から始めても遅くないですか。」
⇒全く問題ありません。
「⑧田澤先生はどのような治療をお考えになりますか。」
⇒まずは「抗HER2療法をすべきか?」から始まります。
もしも積極的なら、上記「low risk 抗HER2療法」を提示します。
「大学病院とがんセンターのどちらがお勧めでしょうか。」
⇒それらの病院を私が勧めることはありません。
「⑩私の病状で治療に前向きに向かうにはどのように考えたらよいでしょうか。」
⇒「浸潤径」
あくまでも重要なのは「浸潤径」なのです。
「小さい事こそ、最大の武器」であることは間違いありません。