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閉経後両側乳癌(小葉癌・乳管癌)の手術法について

[管理番号:1960]
性別:女性
年齢:61歳
はじめまして。
5日後に閉経後の両側乳癌の手術を受ける者です。
切除の方法で確信が得られずに悩んでいます。
過去に同様の質問がございましたら恐縮なのですが、アドバイスをいただければと思います。
まずは病状を以下に。
左: 浸潤性小葉癌
核異型度      2
エストロゲンR   3+
プロゲステロンR  3+
HER2       1+
Ki67       10%
右: 浸潤性乳管癌
核異型度      1
エストロゲンR    3+
プロゲステロンR  3+
HER2        1+
Ki67       5~10%
主治医からは部分切除を勧められていますが、私は次のような理由から全摘を選択しようかと考えています。
一つ目は、過去に出産時も含めると3度の手術(卵巣嚢腫摘出、黄斑上膜など)を受けているので、今後は心身ともにストレスのかかる手術をできるだけ避けたいこと。二つ目は、左側の小葉癌は再発が多いと聞いているので、温存した場合、同側または対側に再発するのではないかと不安になるのも嫌だからです。
主治医が部分切除を勧めるのは、おそらく早期の癌であることと、両側を全摘した場合の整容性が理由だと理解していますが、もともと小さい胸ですし、自分としては何よりも不安を払拭したい思いの方が強いです。
お忙しい中、お時間を割いていただくのは大変恐縮ですが、ご回答をいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「左側の小葉癌は再発が多いと聞いているので、温存した場合、同側または対側に再発するのではないかと不安になるのも嫌だから」
⇒これは「正しい認識」です。
 両側とも「ルミナールA]であり、「両側全摘」をすることで術後照射を省略できるので(リンパ節の情報が無いので不確かですが…)安心感があります。
 
 
 

 

質問者様から 【質問2】

前回、両側乳癌の術式についてご助言をいただいた者です。
その節はお忙しい中、ご回
答下さいましてありがとうございました。
昨年末に乳房全摘の手術が終わり、病理検査
の結果を踏まえて以下のような説明を主治医から伺いました。
「右は浸潤性乳管癌(6×3mm)、ER3+、PR3+、HER2 0、Ki67 10%
左は浸潤性小葉癌(10×7mm)、ER3+、PR3+、HER2 0、Ki67 1
0~15%
どちらもリンパ節転移なし」
今後はアロマターゼ阻害薬(AI)を5年間服用するホルモン療法を行うと言われました。
主治医はAI3薬のうち、アリミデックス(アナストロゾール)を処方する方針です。
私は数年前から骨粗しょう症と診断されていますが、これまでのところカルシウムやビタミンDなどのサプリメントを飲んだことはなく、またビスフォスフォネートなどの薬剤も摂取していません。
ちなみに骨粗しょう症の程度は、腰椎で若年成人の67%、大腿骨で69%です。
このような状態なので、アロマターゼ阻害薬を選択できるならば、他の2剤よりも骨への影響が少ないと聞いているエキセメスタンが最適かと思っていました。
主治医にその点について尋ねたところ、「エキセメスタンは他の薬剤との併用で安全性がある程度
確立されているが、アナストロゾールとレトロゾールはまだそのような結果が得られていない。
病状の変化などで将来的に他の薬剤を併用しなければならなくなった場合、エキセメスタンへの移行はほぼ問題がないので、その余地を残しておくために、まずはアナストロゾールから始めたほうがいいでしょう」とおっしゃいました。
また骨粗しょう症のことを相談すると、プラリア(デノスマブ)での治療をを勧められました。
説明としては納得できたので、その場では了承して帰宅したのですが、ふだん階段の昇り降りでも時々膝が痛むような状態ですので、アリミデックスの服用に不安を覚えています。
骨粗しょう症である点を踏まえた場合でも、やはりエキセメスタンよりもアナストロゾールを選択するのが最善なのでしょうか? またレトロゾールを選択した場合
には、薬効・副作用などの点にアナストロゾールと比べるとどのような差があるのでしょうか? 
田澤先生のご意見を伺い、心に曇りのない状態で治療に進めればと思っています。
お忙しい中たいへん恐縮ですが、ご意見をいただければ幸いです。
よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
右pT1b(6mm), pN0, luminalA
左pT1b(10mm), pN0, luminalA
文句なしの低リスクであり、「ホルモン療法単剤」です。
★ただし、低リスクにて「副作用を考慮」すれば「無治療も問題無い」レベルだと思います。
「ちなみに骨粗しょう症の程度は、腰椎で若年成人の67%、大腿骨で69%です。
このような状態なので、アロマターゼ阻害薬を選択できるならば、他の2剤よりも骨への影響が少ないと聞いているエキセメスタンが最適かと思っていました。」
⇒この理解は「誤り」ではありませんが、私であれば「担当医同様にアナストロゾール+デノスマブ」を用います。
 
 まず、「関節痛などの副作用」は(steroidal aromatase inhibitorである)「エキセメスタン」よりも(nonsteroidalである)「アナストロゾール」の方が少ない印象があります。
 骨への影響については、確かに若干「エキセメスタンの方がいいデータ」がありますが、質問者のように「明らかな骨粗鬆症」であれば、そのレベルではなく「きちんとデノスマブを併用すべき」と思います。
 
「病状の変化などで将来的に他の薬剤を併用しなければならなくなった場合、エキセメスタンへの移行はほぼ問題がないので、その余地を残しておくために、まずはアナストロゾールから始めたほうがいいでしょう」とおっしゃいました。」
⇒これは事実ですが、それは将来的な再発のための考え方であり(質問者のような低リスクでは)私ならば殆ど意識しません。
 
「また骨粗しょう症のことを相談すると、プラリア(デノスマブ)での治療をを勧められました。」
⇒私であってもデノスマブをお勧めします。骨折してからでは遅いのです。
 
「ふだん階段の昇り降りでも時々膝が痛むような状態ですので、アリミデックスの服用に不安」
⇒副作用の点では「エキセメスタン」の方が使いにくいように思います。
 
「骨粗しょう症である点を踏まえた場合でも、やはりエキセメスタンよりもアナストロゾールを選択するのが最善なのでしょうか? 」
⇒上記コメントの通りです。
 デノスマブを併用すべきです。
 
「またレトロゾールを選択した場合には、薬効・副作用などの点にアナストロゾールと比べるとどのような差があるのでしょうか?」
⇒現時点では「殆ど差がない」と思います。(より強い効果を期待されて登場したのですが…)