[管理番号:851]
性別:女性
年齢:38歳
質問者様の別の質問質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。 |
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田澤先生
お忙しいところ早々に回答いただきありがとうございます。
今回検査したところは針生検は曜日が決まっているようで、もし手術が必要になった場合は対応する医療機関への紹介するクリニックのところです。
もっと早く別のクリニック(病院)へ受診すべきでした。
期間が空いてしまったしまったことでいろいろ考えてしまいまして。。
また、タイトルにマンモトーム針生検待ちと記載しましたが、検査の説明及び承諾書には針生検(ガイド下)としか書かれていなく、マンモトーム生検なのか微妙です。
そもそも勉強不足で通常の針生検とマンモトーム針生検の違いが分かっていません。
◎違いがあるとしたらどんな違いか教えていただけないでしょうか。
過去のログも探していますが、線維線種にしても葉状腫瘍としても摘出が望ましいとのことで再度教えていただきたいと思い連絡させていただきました。
(なかなかそのような情報が探せなくて)
◎悪性と診断が出た場合にはすぐに摘出手術を受けますが、線維線種・葉状腫瘍の良性・境界悪性の場合もすぐに摘出したほうがいいのでしょうか?
または多少手術を遅らせても問題ないものでしょうか?
9月に結果が出ますが、いろいろ立て込んでおり、早くても10月と思っています。
◎どちらにしても摘出が望ましいとの見解なのですが、この摘出手術に関しての時間的なスケジュール感を教えていただきたく。
入院・手術を含めての日数・通院回数・手術後の安静などの注意時間・期間、可能であればかかるその際の費用の概算金額も教えていただけると助かります(そのような情報を公開しているサイトを見つけられませんので)。
もちろん先生の病院でのケースで問題ありません。
摘出手術を受けるにあたり、病院の選定は大事になりそうですね。
どうぞよろしくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「5.6cmのfibroepithelial tumor(線維腺腫や葉状腫瘍を病理ではこのように表現します。)」ですね。
回答
「針生検とマンモトーム針生検の違いが分かっていません」「違いがあるとしたらどんな違いか教えていただけないでしょうか」
⇒マンモトームというのは(厳密にいうと商品名であり)「吸引式の針生検」を指します。
通常「針生検」というと「バネ式の針生検」のことを指します。
それに対して「マンモトーム生検」は「吸引式の針生検」なのです。
「バネ式と吸引式」の違いですか?
⇒これは、組織を採取する際に「バネが伸びた状態から、一気に縮むさいの動き」で「組織を切り取る」か、(掃除機のような吸引圧をかけながら)「組織を針周囲から引っ張り込みながら切り取る」かの違いです。
♯ バネ式は針内を「バチーン」と切り取るだけですが、マンモトームは(吸引をかけて、周囲から組織を引っ張り込みながら)「針の周りを広範囲に」切り取るのです。
採取される組織量の違い
これは「雲泥の差」があります。
マンモトーム生検は「針自体が太い」こともありますが、「1回刺したら、刺しっぱなしの状態」で「針周囲360°回転させながら、いくらでも組織を採取」できます(一方で針生検は1回刺したら1個しか採取できません。それで通常複数回(3~4回)刺すのです)
マンモトーム生検には2種類あります
- 超音波ガイド下マンモトーム生検 超音波で見える腫瘍をターゲットとして、(超音波で位置を確認しながら)ベッドサイドで採取します。
- ステレオガイド下マンモトーム生検 (マンモグラフィーでしか見えない)石灰化をターゲットとして、(マンモグラフィーで位置を特定しながら)レントゲン室で採取します。
♯どちらのタイプのマンモトーム生検も「吸引式の針生検」という意味では同じものですが、対象が異なる(超音波で見えるのか、石灰化のようにレントゲンでしか見えないのか)のです。
「線維線種にしても葉状腫瘍としても摘出が望ましい」
⇒5.6cmでは「摘出」するべきです。
最大の理由は(もしも葉状腫瘍であれば)「大きくなる過程で悪性葉状腫瘍となる可能性がある」からです。
♯針生検では「fibroepithelial tumorとしか断定できない(癌とは区別できるが、葉状腫瘍と線維腺腫は区別できない)事が多い」のです。
「線維線種・葉状腫瘍の良性・境界悪性の場合もすぐに摘出したほうがいいのでしょうか?」
⇒線維腺腫や良性葉状腫瘍(時間的余裕は十分にあり、例えば年内とか、年明けでもOK)
境界悪性葉状腫瘍は「早い方がいい」とはいえ、「速さよりも正確さが重要」です。
境界悪性葉状腫瘍で(万が一)再発したら「次は悪性葉状腫瘍」となる可能性も高いのです。
3カ月以内であれば、支障はないでしょう。
「この摘出手術に関しての時間的なスケジュール感を教えていただきたく」
⇒「悪性葉状腫瘍」と「それ以外」に分けて考えてください。
「悪性葉状腫瘍」
⇒これは「癌と同じ」術式(温存にしろ、切除にしろ)ただし、「腋窩リンパ節郭清は全く不要、センチネルリンパ節生検も不要」です。
葉状腫瘍は「例え、悪性であっても」リンパ節転移することは極めて稀なのです。
となると、術式は2つ
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「線維腺腫、良性葉状腫瘍、境界悪性葉状腫瘍」
⇒これらは「マージンの付け方が異なる」のですが、「術式としては同じ」となり、その後の経過も全て一緒です。
手術料金51800円(3割負担で15540円) 入院期間は2泊3日 通院回数は2回(術後1週間:創部確認と術後2週間:手術病理結果お話) 安静等の注意時間 術後4時間(退院後の安静等の制限も一切ありません) |
◎術式は違っても「安静度や入院期間」などに差はありません。
「摘出手術を受けるにあたり、病院の選定は大事になりそうですね」
⇒非常に重要です。
特に「葉状腫瘍」の取り扱いなど「初回手術を誤る」と「再発が必発」となります。
他院で手術し「何度も再発を繰り返し、ついに悪性葉状腫瘍となる」可哀想な例を何度も目撃しています。
幸い、そのような教訓から学んでいるので私自身に「そのような悲惨な経験」はありませんが…
大学病院(特に私立)はお勧めできません。
沢山の経験のない若い医師が学ぶ場であり、(純粋な治療の場とは言えません)、基本的に「医師は、そこで学んで巣立っていく」ので、担当医が一定しません。
これは何を意味するかというと、どうしても「無責任な診療」となるのです。「どうせ、再発しても、その時には自分はこの病院にいないし」と明確に意識はしていないでしょうが、「この患者さんに、今後何かあったら自分の責任」という意識が希薄となります。
私は「大学病院批判」を(この場を借りて)良くするのですが、それは「実際に臨床の場に長くいると実感する」ものなのです。
ただ、世の中には「○○大学病院とか○研○明病院のような病院で治療をした」と言う事に「ブランド的」満足感を感じる人が居る事も知っています。
そういう価値観も理解はできます。(自分の選択に自信が無い場合には「看板」で安心するという気持ちは良く了解できます トヨタ車なら安心とか…)
そう言う意味で「もしも大学病院を選択」した際には、「自分の身は自分で守る」意識を忘れないでください。
大学病院の医師に「身を守ってもらおう」などとは期待できないのです。(きっと、その頃には担当医は別病院へ巣立っていることでしょう)