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針生検結果と術後病理結果

[管理番号:8282]
性別:女性
年齢:53歳
病名:浸潤性小葉癌
症状:病理結果と術後補助療法
投稿日:2020年2月10日

お忙しいところお時間を頂戴します事お許しください。

2019年8月浸潤性小葉癌と診断されました。
針生検の結果は次の通りです。

  右 ER:90%陽性PgR:90%陽性、Her2:1+,Mib-1index:8%
48歳で閉経していましたので手術前ホルモン療法としてレトロゾールを
服用→脇リンパの画像を見たら6個以上腫れていて怖くなり抗がん剤AC療法1クール→副作用が結構ひどく38度まで熱も出たけど後半は食事も摂れ2回目の診察でジーラスタを打ったにもかかわらず白血球が2000まで減少
1週間延期、次も2300しかなく次は2600と戻りが遅いことからこれ以上治療できないのは危険ということで手術決定、術後病理結果は次の通りです。

 Breast,right,mastectomy.
Infiltrating lobular carcinoma,low combined histologic(3,1,1), status post neoadjuvant chemotherapy and hormone therapy,grade 1b histologic response Three lymph nodes,with malignanct,3/22
全体:21x20cm皮切:15.5×6.0cm
浸潤性小葉癌、線状に繊維に沿って伸展する。
50x30x55cm、
#4,6-11&14-17.f+,iy-,v-,s-
CIS,low grade:#8.主病巣内の伸展。
主病巣内25%以下。
石灰化は認めない。

センチネルリンパ節、迅速既報、1/1
LevelⅠ:2/11(最大30x12mmのリンパ節に90%の転移)、levelⅡ:0/4
免疫染色結果:ER:60%陽性、PgR:陰性、Her2:1+,Mid-1 index:2%
加療効果 平面では、癌細胞伸展の途切れるところあり、また密度減少部位があるため、Grade 1bとする。
背景は比較的保存された小葉、良性微小石灰化。

とあります。

術後補助療法としてMid-1:2%で腫瘍径は大きいけど小葉癌2つが重なっているだけで一個一個は2cmないしリンパ転移3個から抗癌剤点滴はないけどERが90%から60% PgRが90%から陰性になってしまっていることからホルモン療法は60%しか効かない、残り40%は抗がん剤が効くから経口抗がん剤UFTと今まで通りレトロゾールでと言われました。

先生もこのように考えられますか
ER PgR 生検時と術後病理とでこんなに変わるものですか
そして病理結果の内容がどういう意味なのか教えていただけないでしょうか。
【追記】
放射線治療は無事に完走できましたが白血球がまた2000まで減少し2週間しても2600までしか戻っていない状態でしたので一か月後、白血球が
3000まで回復してからということでまだUFTの服用はせずレトロゾールの服用中です。

お忙しい中、恐縮ですがよろしくお願いします。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。

「Mib-1index:8%」
→そもそも抗がん剤の効果は期待できない(ルミナールAの可能性が高い)

「経口抗がん剤UFTと今まで通りレトロゾールでと言われました。」
「先生もこのように考えられますか」

→「全く」違います。

 ルミナールAの可能性が高いので、そもそも抗がん剤を「無理やり」行う理由がありません。(UFTは「そもそも」標準治療ではありません)

「ER PgR 生検時と術後病理とでこんなに変わるものですか」
→可能性は3つ

 1.術前ホルモン療法によって(ホルモン感受性の高い癌細胞が選択的に攻撃されて)ホルモン感受性の(比較的)弱い癌細胞が多く残存した
 2.(針生検の)針がたまたま「ホルモン感受性の高い部分にあたった」
 3.(手術標本の処理に手間取り)ホルモン感受性が(標本上)低下してしまった

 (1にしろ、2にしろ、3にしろ)ルミナールタイプなのだから、気にする必要はありません。

「そして病理結果の内容がどういう意味なのか教えていただけないでしょうか」
→以下

「Infiltrating lobular carcinoma,low combined histologic(3,1,1)」
→浸潤性小用癌で(腺管形成スコア3点、核異型1点、核分裂1点)=組織学的グレード1 核グレード1

「status post neoadjuvant chemotherapy and hormone therapy,grade 1b histologic response」
→術前化学療法及びホルモン療法後の状態で、化療効果1b(癌細胞の1/3以上2/3未満に高度の変性を認める)

「Three lymph nodes,with malignanct,3/22」
→22個中3個に転移したリンパ節を認める。

「全体:21x20cm皮切:15.5×6.0cm」
→皮膚の部分は15.5cmx6cmで乳腺全体は21x20cm

「浸潤性小葉癌、線状に繊維に沿って伸展する。50x30x55cm、」
→5x3x5.5cmの範囲に浸潤性小葉癌の拡がりがある。

「#4,6-11&14-17.f+,iy-,v-,s-」
→脂肪浸潤を認める(f+)が脈管侵襲無(ly-, v-)、皮膚浸潤無(s-)

[CIS,low grade:#8.主病巣内の伸展。主病巣内25%以下。石灰化は認めない。]
→主病巣内に(石灰化を伴わない、低異型の)非浸潤癌成分もあり(全体の25%)

「センチネルリンパ節、迅速既報、1/1 LevelⅠ:2/11(最大30x12mmのリンパ節に90%の転移)、levelⅡ:0/4」
→センチネルリンパ節(1個提出その1個に転移あり) レベル1は11個提出した中の2個に転移、レベルⅡの4個には転移無。

「免疫染色結果:ER:60%陽性、PgR:陰性、Her2:1+,Mid-1 index:2%」
→エストロゲン感受性細胞は60% プロゲステロン感受性なし、HER2は1+(陰性) Mib-1(Ki67)は2%

「加療効果 平面では、癌細胞伸展の途切れるところあり、また密度減少部位があるため、Grade 1b」
→化療効果(誤字あり)は「癌細胞伸展の途切れるところあり、また密度減少部位があるため」グレード1b(前述)

 
 


 

質問者様から 【結果2 】

有難うございました
性別:女性
年齢:53歳
病名:浸潤性小葉癌
田澤先生の診察:[診察なし]
田澤先生の手術:[手術なし]

先日は有難うございました。

結局UFT服用2年レトロゾール10年となりました。

主治医からではなく乳がん看護認定看護師さんから(主治医は話をよく聞いてくださる方なのですがまず相談というかたちでお話ししました)再発・転移した場合点滴の抗がん剤は必須となり、
より辛い治療となるし、転移となると本当に痛みや苦しさは尋常じゃない。今出来る治療はやっておいた方が良い!と説得されました。転移の痛み・苦しさ・今より大変となるであろう治療のことを考えてしまうとUFTの服用を受け入れざるを得ないという結論になりました。

白血球は1か月以上時間をおいても結局2000→2900までしか戻らず、まずは減薬して様子見し、
3000まで戻れば通常量に戻すようです。

先生に質問した事で精神的に落ち着いて過ごせました。(不安定ではあるし時々パニックになりますが)

本当に有難う御座いました。

<Q&A結果>