[管理番号:2636]
性別:女性
年齢:46歳
先月会社の健診で要精密検査となり、自宅近くの総合病院Aをまず受診しました。
エコーではしこりの影もうつっており、自分で触ってもしこりを確認できたため心配していましたが、マンモとエコーの結果が一週間後と言われたため、マンモとエコーの結果をその日のうちに知らせてくれる別の総合病院Bを数日後に受診しました。
結果、しこり2センチ、ガンである可能性が高いと言う事でその場で針生検を行いました。
左乳房に二箇所しこりがあるとの事で二箇所のしこりから組織を採取しました。
一箇所目からは血が混じった膿のようなものが取れており、二箇所目にはそれがありませんでした。
しこりは柔らかいと言ってました。
それから一週間後、病院Bへ針生検の結果を聞きに行きましたが結果グレーとの診断が。
主治医は
「生検の結果、物言いがつきましたので組織の染色体検査も依頼しました。
来週また結果を聞きに来て下さい。
あとMRIもやって下さい。」と。
白とも黒とも言わず、この一週間、ガンかもしれないという不安と一人で戦ってきたのにまた!?というがっかりな気持ちです。
あとガンなら既に早期ではないし、良性でもしこりは切除するべきだとも言われました。
毎年マンモ健診は受けていて今までなんの異常もなかったのに、
今回たった一年で2センチのしこりができた事にも驚いたのですが、こんな事は例外でもあるものなんでしょうか。
尚、総合病院Aの診断は所見なしでした。
同じくエコーとマンモでしこりは確認してますが、しこりの形も全体的に丸くつるっとしているので、
ガン特有の形ではないと言われ、細胞診や針生検も行いませんでした。
しこりは嚢胞でほうっておいて問題ないとの事でした。
ただし、しこりの一部が尖って見える部分があるため、念のため半年後にまた来て下さいと言われました。
今ものすごく複雑な心境です。
Aの先生も納得いくまで丁寧に説明はしてくれましたが、
かたやBの先生はこれでもかと疑いをかけ、物凄く慎重に思えます。
話の仕方も"ガンの場合は"という仮定の話が圧倒的に多く、
ここまでくると自分はかなり進行したガンなのだ、と思わずにはいられません。
精神的にも辛いです。
ここ一か月ほど、こちらのサイトに励まされておりましたが、
今回の結果で更に疑念が強まってしまい、是非こちらで先生のご意見をお伺いできればと思い、投稿させて頂きました。
どうぞよろしくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「しこり2センチ、ガンである可能性が高いと言う事でその場で針生検を行いました。」
⇒気になる所見です。
必ず確定診断が必要となります。
「それから一週間後、病院Bへ針生検の結果を聞きに行きましたが結果グレーとの診断」「組織の染色体検査も依頼しました。」
⇒これは「染色体検査」ではなく、「特殊染色」だと思います。
病変が「癌なのかどうか」微妙な所見の際に行います。
「毎年マンモ健診は受けていて今までなんの異常もなかったのに、今回たった一年で2センチのしこりができた事にも驚いたのですが、こんな事は例外でもあるものなんでしょうか。」
⇒(年齢的に)マンモでは「解り難い」しこりなのだと思います。
つまり、「急に大きくなった」わけではなく、「マンモだから見えなかった」と想像します。
超音波検診であれば、「もう少し早めに解った」のだと思います。
「総合病院Aの診断は所見なし」「しこりの形も全体的に丸くつるっとしているのでガン特有の形ではないと言われ、細胞診や針生検も行いませんでした。」
⇒随分「見解が違う」のですね。
ただ、本当に「嚢胞」だったら、B病院での針生検の際に「グレーゾーンにはならない」と考えられます。
「Aの先生も納得いくまで丁寧に説明はしてくれましたが、かたやBの先生はこれでもかと疑いをかけ、物凄く慎重に思えます。」
⇒この内容からすると「Bの医師の過剰診断」にも思えます。
「今回の結果で更に疑念が強まってしまい、是非こちらで先生のご意見をお伺いできれば」
⇒2人の医師の「見解が異なる」ということですね。
「癌が疑わしい」所見をAの医師が「そう簡単に見逃す」可能性は低いと思います。
結局「過剰診断」なのかもしれません。
ただ、「画像診断はともかく」として、実際に「針生検結果がグレーゾーン」であることは慎重に考えなくてはなりません。
確定診断までいきましょう。
質問者様から 【質問2】
以前質問させて頂いたものです。
その節はお世話になりました。
あれから結果として非浸潤乳管がんを宣告されました。
残念でなりません。
その後広がりを確認するためにMRIの検査を行いました。
ここまで
は同じ先生でしたが、4月より別の先生に変わりました。
その先生から
はMRIの結果から、他に小さいシコリも数個見える事と少し浸潤が見える事から、浸潤ガンかも?と言われました。
抗ガン剤治療は必要か聞いた際、「CTやったほうがいいかな?いや、やらなくていいかー」「術前に抗ガン剤?を行ってから手術してもいいけど、手術後に実は抗ガン剤は必要なかった、となるとやり損だからやめたほうがいいね」とも言ってました。
これは手術をしてみないとガンの種類や進行具合がはっきりわからない、と言う事でしょうか。
データ上はリンパに問題ないようですが、先生曰く全てハッキリするのは術後との事で、切除手術及び術中にリンパを検査して転移を調べ(センチネルリンパ節生検?)、転移があればその場でリンパも切除します、と言われました。
この場合、術後は抗ガン剤治療は確実なんでしょうか。
あと、温存も可能だと言われました。
ただ温存でも切除する場所が沢山あるので胸の形は変形する可能性が高いとの事でした。
今の段階はその
先生だと温存か全摘かを決定しなくてはならないのですが、どうしても乳頭がなくなる事が一番いやで悩んでいます。
何とか乳頭を残しながらの再建手術は無理なのでしょうか。
再建手術については、その先生はまだ来たばかりで病院の形成外科がどこまで
技術があるかわからないとの意見だったので、一応私のデータ一式をもらい、別の病院でも見てもらおうかと思っています。
先生からは
今すぐガンが進行するわけじゃないから、じっくり納得いくまで考えていいよ、と言われましたが、仮に2、3か月後に手術とした場合だといくら何でものんびりしすぎでしょうか。
気持ちに整理がつかず、他の皆さんのようになかなか前向きになれない自分がいます。
今はガンで死ぬ恐怖よりもオッパイが失くなる恐怖のほうが強いです・・・
長文になってしまいましたがどうぞよろしくお願い致します。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「あれから結果として非浸潤乳管がんを宣告されました。残念でなりません。」
⇒お気持ち、お察しします。
ただ、A病院のままだったら「良性として半年待とうとしていた」わけですから、積極的にB病院を受診した「質問者のファインプレー」と言えます。(前向きに行きましょう)
「MRIの結果から、少し浸潤が見える事から、浸潤ガンかも?と言われました。」
⇒MRIで「浸潤」など解りません。
「術前に抗ガン剤?を行ってから手術してもいいけど、手術後に実は抗ガン剤は必要なかった、となるとやり損だからやめたほうがいいね」とも言ってました。
⇒こう言っては大変失礼ですが…
治療法の「論理的な組み立てができていない」ようです。
○最も重要なことは「非浸潤癌では(術前にしろ、術後にしろ)決して抗がん剤の適応はない」ということです。
術前診断で「非浸潤癌」なのに、「術前抗がん剤」など『とんでもない暴挙』です。
「これは手術をしてみないとガンの種類や進行具合がはっきりわからない、と言う事でしょうか。」
⇒普通に考えれば、(A病院で良性と診断され)「しかも、特殊染色してようやく非浸潤癌との診断となった」その癌が『進行している筈がありません』
担当医には「もう少し論理的になってもらいたい」ものです。
「切除手術及び術中にリンパを検査して転移を調べ(センチネルリンパ節生検?)、
転移があればその場でリンパも切除します」
⇒通常の「センチネルリンパ節生検」のことです。
ただし、「センチネルリンパ節生検の取り扱い」には施設にバラつきがあるので、事前(術前)に、取り決めをしておく必要があります。
①(微小転移も含めて)転移があれば、必ず追加郭清する
②微小転移であれば、郭清省略
③肉眼的転移であっても2個以内なら郭清省略
おおよそ、①~③がありますが、(メール内容からは、その施設は①のようです)
きちんと確認した方がいいでしょう。
★ただ、前述したように、質問者のケースでは「センチネルリンパ節生検は限り無く陰性となる」と思いますが…
「この場合、術後は抗ガン剤治療は確実なんでしょうか。」
⇒抗がん剤の適応は「リンパ節転移の有無」だけではありません。
ルミナールAであれば「4個以上出ない限り」確実ではありません。
「温存でも切除する場所が沢山あるので胸の形は変形する可能性が高いとの事」
⇒この医師のコメントには「注意が必要」です。
私は「そのMRIを実際に診ている訳では無い」ことを前提としたうえで…
MRIでの所見を「鵜呑み」にするのは危険です。
もしも本当に「他の病変がMRIで描出」されているのであれば、「きちんと、超音波で見つけて事前に組織診断すべき」です。
○結局、(MRIで見えた他の所見は)「乳腺症の所見」と言う可能性もあります。(証明されていない事を前提に話をすることは良くありません)
「今の段階はその先生だと温存か全摘かを決定しなくてはならない」
⇒多発病巣であるという証明が全くなされていません。
「乳頭を残しながらの再建手術は無理なのでしょうか。」
⇒全摘するとして…
病変が「乳頭から離れている」場合は、「乳頭壊死のリスク」及び「乳頭部再発のリスク」を許容できれば適応はあります。
「仮に2、3か月後に手術とした場合だといくら何でものんびりしすぎでしょうか。」
⇒そんなことはなさそうです。
「今はガンで死ぬ恐怖よりもオッパイが失くなる恐怖のほうが強いです・・・」
⇒初期治療が最も重要であることを、良く考えることです。