[管理番号:2450]
性別:女性
年齢:54歳
いつもこちらを拝見して先生の誠実な人柄に心が安らぐ思いです。
年末に乳癌の可能性が高いと言われ針生検の結果待ちです。
不安で眠れず辛い中、こちらを拝見して不安を解消しています。
今はまだ結果が出ていないので何も分からないですが、エコー結果では8.6mmのしこしあり、乳癌の可能性は高いと言われています。
これから起こるべく治療や生存率を考えると不安で仕方ありません。
ステージや今後の治療などはすぐわかるのでしょうか?
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「今はまだ結果が出ていないので何も分からないですが、エコー結果では8.6mmのしこしあり、乳癌の可能性は高いと言われています。」
⇒十分、早期なので心配ありません。
きちんと診断⇒治療へ進みましょう。
「ステージや今後の治療などはすぐわかるのでしょうか?」
⇒ステージ これは「腫瘍径」と(画像上の)「リンパ節転移の有無」で決まります。
腋窩リンパ節をエコーしてもらっていますか?(但し、腫瘍径8mmであれば、転移は無さそうです)
治療方針
術式 これは「MRIで拡がり診断」をして「温存か全摘か?」決まります。
術後の薬物療法 これは「針生検でサブタイプが解る」と決まります。
◎サブタイプとは?
組織検査(針生検や手術標本)などで以下の3点を調べます。
エストロゲンレセプターの発現(ER)
プロゲステロンレセプターの発現(PgR)
HER2蛋白の過剰発現の有無(HER2)
⇒これらの組み合わせで
●luminal type:(ER陽性、PgR陽性、HER2陰性) ホルモン療法が有効(更に増殖指数Ki67の値が低いAと高いBに分けます)
♯luminalA(Ki67低値)ではホルモン療法単独を、luminalB(Ki67高値)には(ホルモン療法に加え)化学療法も行う事が多い
● HER2 type:(HER2陽性のもの) ハーセプチンという分子標的薬と通常の抗癌剤の組み合わせを行う
●トリプルネガティブ:(ER陰性、PgR陰性、HER2陰性)通常の抗癌剤を行う
●トリプルポジティブ:(ER陽性、PgR陽性、HER2陽性)ホルモン療法と分子標的薬と抗癌剤の全てを行う
※正式名称はluminal B(HER2タイプ)と言います。
質問者様から 【質問2】
わずかな情報にも関わらず、丁寧なご回答、涙が出ました。
ありがとうございます。
近ければすぐにでも先生に診て頂きたいと思ってしまいます。
本当に不安で仕方ないです。
前回の質問では書き忘れてしまいました情報をお伝えした上で、再度質問させて頂きたいと思います。
人間ドックは10年以上続けており、マンモも同時にやっておりました。
今回(昨年末)初めて要再検査となりました。
又触診では分かりませんでした。
その他の人間ドックの結果では問題は出ておりません。
(血液/レントゲン/内蔵エコー等)
今回の人間ドックで要再検査となり近くの乳腺外科クリニックに行き、そこでも触診では分かりませんでしたが、マンモとエコーの結果から大学病院を紹介されました。
紹介された大学病院では紹介状(DVD?)をみて針生検ではっきりさせましょう、と。
針生検をする為にはエコーで正しい状態を診てから、と再度マンモ・エコーを行い、そこでは今回見つかったもの以外には見当たらないと言われました。
この8.6mmのしこりに針生検を5回?程取った様です。
(ばねの音で判断)
先生の他の方への回答を拝見しますと、1cm以下の腫瘍の場合は、トリプルネガティブであっても抗がん剤の使用は積極的には勧めないとありました。
私も、今の結果では1cm以下なので同じ判断となりますか?
次に最近になってわきの下(腫瘍がある側)に違和感があります。
痛い訳ではないですが、異物がある様な。
リンパへの転移?を心配してしまいます。
確か針生検の検査前のエコーではわきの下まで見て頂いた記憶があるのですが、これもはっきり覚えていません。
普通はわきの下まで診るのでしょうか?
でも、わきの下の痛みなどは気にしなくて良いと言う先生のコメントもありました。
でもではなぜ違和感があるのでしょう?
結果が出るまでが長い為、苦しい日が続きます。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「1cm以下の腫瘍の場合は、トリプルネガティブであっても抗がん剤の使用は積極的には勧めない」
⇒その通りです。
(世の中には、悪性度とかサブタイプとかに、極端に偏った情報が流れていますが)やはり「腫瘍の大きさ」こそ「最大のリスク要因」なのです。
「今の結果では1cm以下なので同じ判断となりますか?」
⇒その通りです。
「腫瘍径の小ささ」は最大の武器なのです。
「次に最近になってわきの下(腫瘍がある側)に違和感があります。痛い訳ではないですが、異物がある様な。リンパへの転移?を心配してしまいます。」
⇒「リンパ節転移」はそもそも「あったとしても」全く無症状なので「無関係」です。
「普通はわきの下まで診るのでしょうか?」
⇒「癌を疑う」のであれば当然「評価すべき」です。(リンパ節の評価はものの1分
もかかりませんから)
「でもではなぜ違和感があるのでしょう?」
⇒もともとの「副乳の(女性ホルモンによる)刺激症状」なのか? 針生検したこと
による「直接の刺激」なのか?
いずれ「大した意味は無い」のです。
質問者様から 【質問3】
田澤先生、丁寧なご回答本当にありがとうございます。
針生検の結果が出ました。
やはり悪性でした。
正確には手術しないと分からないのしょうが、少しでも勉強しておきたいと思います。
結果は、9x8x7mm 、ER 約99%、PgR約1%、HER2 1+、MIB1 index(Ki-67) 1-9%
でした。
この結果から、サブタイプは教えて頂いたルミナールAとなりますか?
手術後の治療法はホルモン療法なのてましょうか?
手術は全摘を希望しています。
この値での予後はどうなのでしょう?
それと、このPgRとは何なのでしょうか?
この値に付いては余り書かれていない様に思いましたが、検査しているのでこの値の意味もしりたいです。
HER2は1+ですが、こちらもどう判断すれば良いでしょう。
担当医の方に聞きましたが、手術後でないと言えないと言われてしまいました。
正確な判断は出来ないからと。
これはこれで正しいのでしょうが、それでは針生検の意味は?とも思いました。
これからCTとMRIと言われています。
転移の心配はないから、と言って頂きましたが、これも手術しないと分からないのですよね?
又、手術まで2ヶ月かかると言われました。
非常に多いのですね。
田澤先生も同様の回答を他の方にされてましたので同じ様な方が多いのですね。
早く手術しで欲しいですが….
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
pT1b(9mm), luminalA
「サブタイプは教えて頂いたルミナールAとなりますか?」
⇒そのとおりです。
「手術後の治療法はホルモン療法なのてましょうか?」
⇒そうなります。
(腫瘍径からは、可能性はかなり低いですが)「手術標本でリンパ節に4個以上の転移」等の際には「抗がん剤の可能性」は残ってはます。
「この値での予後はどうなのでしょう?」
⇒(リンパ節の状況が不明ですが)予後は極めて良好と言えます。
「それと、このPgRとは何なのでしょうか?」
⇒プロゲステロンレセプターです。
ER(エストロゲンレセプター)とセットとして「ホルモン療法の感受性をみる」ためです。
「HER2は1+ですが、こちらもどう判断すれば良いでしょう。」
⇒陰性です。
HER2 0、1+ 陰性
HER2 2+ FISH検査で確認
HER2 3+ 陽性
「これからCTとMRIと言われています。」
⇒何のために行うのでしょうか?
「CTは医療被曝の問題がある」し、「MRIは時間とお金の負担」があります。
きちんと目的に納得してから行ってください(決して、その施設のルーティーンに流されてはいけません)
CTについて…
9mmの腫瘍で「遠隔転移の可能性」は皆無です。
リンパ節も「超音波」でわかります。
MRIについて…
質問者は「全摘希望」なのだから「乳腺内の拡がり診断目的」であるMRIを行う意味がありません。
質問者様から 【質問4】
田澤先生、いつも明確な回答で参考にさせて頂いています。
この度、手術が決まりました。
4月の中旬です。
癌確定から2ヶ月掛かっていますが、ステージが上がる事はないのでしょうか?
せっかく1cm以下で発見できたのに焦ります。
痛みも感じているのですが、これは気にしすぎなのですか?
乳癌のはじめは7年くらいかかると言われていますが、既に1cmです。
これからどれ位のスピードで大きくなるものなのでしょう?
今から田澤先生にお願いする事は可能でしょうか?
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
「癌確定から2ヶ月掛かっていますが、ステージが上がる事はないのでしょうか?」
⇒大丈夫です。
腫瘍径が「短期間の間で」2cmを超えることはありえません。
リンパ節転移も同様です。
「痛みも感じているのですが、これは気にしすぎなのですか? 」
⇒「痛み」は気になるとは思いますが…
我々乳腺外科医は「経験上」痛みは(病状とは)無関係であることを知っているのです。
「これからどれ位のスピードで大きくなるものなのでしょう?」
⇒あくまでも、私の(経験からの)感覚なので、参考程度ですが…
「1.5cmになるまでには半年以上」かかると思います。
「今から田澤先生にお願いする事は可能でしょうか?」
⇒可能です。
秘書へ連絡ください。