[管理番号:1687]
性別:女性
年齢:44歳
質問者様の別の質問質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。 |
田澤先生いつもお世話になっています。○○です。
大変お忙しい中、いつも早々にご回答いただき本当にありがとうございます。
このように患者の為に丁寧に説明していただける先生に主治医になっていただき、本当に有り難いです。
いまだ、温存か全摘かまだ迷いかねていますが、先生にはご迷惑をおかけして申し訳ございません。
また何点か疑問が出てきてしまいました。
お忙しい中申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。
①乳がんプラザにフルベストランという新しい抗エストロゲン剤が紹介されていましたが、タモキシフェンの副作用があって飲めない人は、希望すれば服薬できるのでしょうか?
②私は、左胸の真ん中寄りにがんが出来ていて心臓に近いところですが、トモセラピーで治療する場合は、心臓の被ばくはおさえられますか?
③トモセラピーで治療する場合は、どれくらいの線量になりますか?
④局所再発の確率ですが、温存と全摘でどれくらい違うのですか?
全摘でも再発した人が知人にいるので、本当に迷います。
温存するよりも全摘のほうが心臓と肺への被ばくの心配、再発の心配が低くなると思うのですが、やはり自分の胸がなくなる精神的なショックがはかりしれません。
私の場合は、両胸なので、両方の胸の再発の心配をしなければならないと思うと片胸だけでも再発率をおさえたいという気持ちもあります。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
薬剤には適応症があります。
乳癌の薬剤を調べる場合に必要な情報は
○ホルモン療法剤の場合「適応症」が
.「閉経前」か「閉経後」か
.添付文書に「本剤の手術の補助療法としての有効性及び安全性は確立していない」と記載があるか
○抗がん剤
.「乳癌」か「転移再発乳癌」か ♯適応症が「乳癌」である抗がん剤は「アンスラサイクリン」と「タキサン」しかありません。 他の全ての抗がん剤は「転移再発乳癌」限定使用なのです。
私が常日頃「術前抗がん剤の目的として抗がん剤の効果を見るというのは誤り」と言っている根拠がここにあります。
術前術後に使用できる薬剤は決まっているのです(再発しない限り)
回答
「フルベストランという新しい抗エストロゲン剤が紹介されていましたが、タモキシフェンの副作用があって飲めない人は、希望すれば服薬できるのでしょうか?
⇒できません。
冒頭で示したものの中で
以下の2点で「適応外」となります。
①「閉経後」使用である
②「本時の手術の補助療法としての有効性及び安全性は確立していない」と記載されている。つまり「再発でしか使用できない」
「私は、左胸の真ん中寄りにがんが出来ていて心臓に近いところですが、トモセラピーで治療する場合は、心臓の被ばくはおさえられますか?」
⇒その通りです。
そのための「トモセラピー」なのです。
「トモセラピーで治療する場合は、どれくらいの線量になりますか?」
⇒線量は通常の「リニアックと同じ」です。
当院では「全症例」で50+10Gy照射しています(当院放射線科○マ医師の方針で)
「局所再発の確率ですが、温存と全摘でどれくらい違うのですか?」
⇒温存では(照射すれば)10年で5%以下となり、全摘では「ほぼゼロ」となります。
「全摘でも再発した人が知人にいるので、本当に迷います」
⇒普通はありません。
「全摘で局所再発」した場合には「手術時の取り残し」を考えなくてはなりません。
質問者様から 【質問2】
田澤先生おはようございます。○○です。
連日の激務の中、ご回答いただき、本当に有難うございます。
何回も申し訳ありませんが、また質問させていただきたいと思います。
お忙しい中申訳けありませんが、宜しくお願い致します。
①前回の質問で全摘と温存の再発率を教えていただきましたが、タモキシフェンが飲めない場合は、やはり少し高くなるのでしょうか?
②私のがんはPGR10%と低いですが、PGRの数値が高い人よりもタモキシフェンが飲めない影響は少ないですか?
③局所再発ですが、術後の痕の周辺以外から遠い場所にできた場合(同じ乳房)、再発のがんとみなされるのでしょうか?
私の場合は両胸に出来たので、乳腺全体ががんになりやすいのではと思ってしまいます。でも原発のがんだったら、再発のがんよりも治癒率が違うのではと思いますが、どうなのでしょうか?(説明がうまくできなくてすみません。
④全摘した場合、どのくらいの期間休めば仕事復帰できますか?
⑤卵巣が腫れていましたが、休薬2週間で腫れがひきました。
やはりタモキシフェンの影響でしょうか?また服薬を再開したいのですが、また腫れたら休薬すればよいでしょうか?
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「前回の質問で全摘と温存の再発率を教えていただきましたが、タモキシフェンが飲めない場合は、やはり少し高くなるのでしょうか?」
⇒「局所再発」はもともと少ないから「あまり変わらない」と思いますが、「全身に対する再発率には影響」します。
「私のがんはPGR10%と低いですが、PGRの数値が高い人よりもタモキシフェンが飲めない影響は少ないですか?」
⇒PgRは「殆ど関係無い」と思います。
「局所再発ですが、術後の痕の周辺以外から遠い場所にできた場合(同じ乳房)、再発のがんとみなされるのでしょうか?」
⇒遠い部位であれば「新規の癌」の可能性があります。
病理組織像の「類似性」で最終的には判断します。
「原発のがんだったら、再発のがんよりも治癒率が違うのではと思いますが、どうなのでしょうか」
⇒質問者は「異時性(実は同時性)両側」乳癌です。
当然「再発では無く」原発性となります。
「全摘した場合、どのくらいの期間休めば仕事復帰できますか?」
⇒全摘の場合には、手術翌々日退院ですが、「仕事復帰」は「退院の翌日でも可能」です。
実際に「若い年代」では「結構早めに復帰」してます。
何も問題ありません。
「卵巣が腫れていましたが、休薬2週間で腫れがひきました。 やはりタモキシフェンの影響でしょうか?また服薬を再開したいのですが、また腫れたら休薬すればよいでしょうか?」
⇒それであれば、「LH-RHagonistの併用」も「一つの方法」です。
○SOFT試験の出る前は「閉経前はLH-RHagonistの併用」という考え方もありました。
術後に相談しましょう。
質問者様から 【質問3】
田澤先生、こんばんは。
患者の○○です。
いつも患者の為に尽くしてい
ただき、本当にありがとうございます。
前の病院で9月に放射線治療を終えた右胸ですが、年末○○日に放射性肺臓炎と診断され、ステロイド剤も飲まず経過観察を続けていましたが、咳がひどくなっているような気がしたので、年明け○日にステロイド剤をもらおうと病院に行ったところ、レントゲンで見る限り、よくなってきているので、ステロイドを飲まずに様子を見ましょうとのことで、今日に至ります。
8日にまた診察があるのですが、もしこのままよくなっていけば、ホルモン治療をすぐに再開しても大丈夫でしょうか?
年末の診察時のときにお話ししたときは、数ヶ月服薬をやめるつもりでいたので、薬をもらいませんでしたが、薬の在庫が1ヶ月分しかないので、次の診察時迄にもちそうにありません。
予約して薬をいただくことになると思うのですが、そのときは、病院の代表におかけすればよいでしょうか?
また別件ですが、生命保険の診断書を書いていただいたときに再発に○がついていましたが、私の場合は、異時性両側乳癌で原発と考えてよいのですよね?
お忙しい中、申し訳ありませんが、宜しくお願い致します。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
○放射線肺臓炎の治療については、いろいろ考え方があるようです。
軽い症状のものは「レントゲンで確認されることなく(無治療で)自然軽快」していることが多いものなので、「症状に応じたフレキシブルな治療」でいいと思います。
ただ、少しでも「再燃」の傾向が有る場合にはステロイド治療も考慮されるべきでしょう。
「8日にまた診察があるのですが、もしこのままよくなっていけば、ホルモン治療をすぐに再開しても大丈夫でしょうか?」
⇒大丈夫です。
ホルモン療法はそもそも「無関係」でしょう。
感覚的に「急性期や増悪期」に休薬することは妥当だと思いますが、「回復」していれば問題ありません。
「生命保険の診断書を書いていただいたときに再発に○がついていましたが、私の場合は、異時性両側乳癌で原発と考えてよいのですよね?」
⇒その通りです。
書類上の記載だけの事です。
質問者様から 【質問4】
田澤先生いつもお世話になっております。
患者の○○です。
放射性肺臓炎もステロイド服用で回復に向かっていて、休薬していたタモキシフェンも1/○○日より服用をしています。
気になるのが、タモキシフェンの副作用による卵巣の腫れですが、今まで2回腫れ、2回の休薬で腫れがおさまっています。
今回も卵巣が腫れると予想されるのですが、その場合はある程度腫れても服薬していてよいのでしょうか?
婦人科の先生は、少しの腫れなら服薬を続け、6センチ迄腫れたらまた考えましょうとのこと。
田澤先生に前回質問させていただいたときに、卵巣の機能を抑える注射の併用も考えてもよいのではとご回答をいただきましたが、その注射をする場合は、婦人科で受けるべきなのか、田澤先生に診てもらうべきなのか教えていただけますか?
また、タモキシフェンの在庫が少なくなってきました。
江戸川病院での診察が3/末なので、それまで間に合いそうにありません。
地元の婦人科または、放射性肺臓炎でかかっている病院で処方してもらうことは出来るのでしょうか?
お忙しい中恐縮ですが、宜しくお願い致します。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
「今回も卵巣が腫れると予想されるのですが、その場合はある程度腫れても服薬していてよいのでしょうか?婦人科の先生は、少しの腫れなら服薬を続け、6センチ迄腫れたらまた考えましょうとのこと。」
⇒婦人科医の指示に従っていいと思います。
「田澤先生に前回質問させていただいたときに、卵巣の機能を抑える注射の併用も考えてもよいのではとご回答をいただきましたが、その注射をする場合は、婦人科で受けるべきなのか、田澤先生に診てもらうべきなのか教えていただけますか?」
⇒LH-RHagonistの事ですね。
「ホルモン療法なので」当科で行います。
「また、タモキシフェンの在庫が少なくなってきました。地元の婦人科または、放射性肺臓炎でかかっている病院で処方してもらうことは出来るのでしょうか?」
⇒大丈夫です。