[管理番号:3692]
性別:女性
年齢:37歳
はじめまして。
乳がんと告知されてからネットでいろいろ調べて不安が増す中このサイトを知り、先生と患者様のQ&Aを見て少しずつ前向きになろうと思っていますが、まだ気持ちが不安定で浮き沈みが激しく、私もお言葉を頂けたらと思いました。
お忙しいとは思いますが宜しくお願いします。
去年、9月末に市の健診(触診とエコー)で婦人科に行き異常なしと言われました。
触診で今回見つかった場所を触り『このゴリゴリして痛いのは乳腺だよ』と言われたことは覚えています。
それから自己検診はしていたのですが8月くらいに横になった時に右側に盛り上がっ
ているしこりに気づき、9月(上旬)日乳腺科のあるクリニック受診。
マンモと触診、エコーで95%悪性と言われました。
理由はマンモで栄養をもっていってる感じがする。
石灰化もある。
エコーでギザギザしているとのこと。
脇のリンパも見せてとみていただき、転移はなさそうとのこと。
エコーで2.8センチ×1.2センチ。
(触診で3センチ)
大きさに動揺してしまい、治せますか?と聞くのが精いっぱいで、先生は『その可能性の方が高いです』とおっしゃられたと思います。
乳管内に留まっていてくれたらいいけど…と先生。
針生検へ次の水曜に行き、その時は初診とは違う先生で、触診で『分かりづらいなあ』とエコーも初診時のエコーを何度も確認しながらされていました。
3週目の金曜日に結果を聞きに行き(針生検時の先生)、
『がんで返ってきてますね。
普通のがんですね。
治療することになるので紹介状を書きます。
全身の検査もしないといけないので』と。
普通のがんなんですか?と聞くと『普通ですね…』とあまり質問しても答えてくれない感じの先生でますます不安がつのりました。
針生検の結果は
Invasive ductal carcinoma
核小体明瞭でクロマチンの増大した腫大、大小不同核を有する腫瘍細胞が
大小の胞巣を形成して浸潤性に増殖しています。
間質の線維化を伴います。
となっています。
血液検査のCA15-3も34.7と高いとのこと。
今分かっているのはここまでです。
次、水曜日に紹介先の病院へ行くのですが、針生検の日あたりから軽い咳が出ていて(喉がムズムズして話すときにコホンと出る。
寝ているときは出ない)、転移とかすごく怖くなって気持ちの浮き沈みが辛いです。
右側のあちこち痛い気もします。
受診までの期間があくので
進行も怖いです。
治せるんでしょうか。
まだ小さい子供が二人いるので辛いです。
去年検診して、自分でも気を付けていたつもりなのに、この大きさになっていて怖いです。
先生のとこへ行きたいですが関西で子供も小さく無理です。
とっても不安です。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
乳癌の初期治療の段階で「遠隔転移」など心配する必要はありません。
御心配なく。(診療経験の少ない医師が、極めて特殊な例を引き合いに不安を煽るようなコメントすることに私は全く興味がありません)
「血液検査のCA15-3も34.7と高い」
⇒気にする必要ありません。
あくまでも個人差です。気にしない様に。
乳がんにとっての腫瘍マーカーは「初期治療が終了」し、経過観察をしていく中での「再発の指標」としての意味しかありません。
「経験の乏しい医師」は「術前検査で腫瘍マーカーを取りたがる」傾向にありますが、私は術前には全く調べていません。
「軽い咳が出ていて(喉がムズムズして話すときにコホンと出る。寝ているときは出ない)」
⇒季節の変わり目だから、風邪をひかない様に注意しましょう。(転移では1000%有りませんから御心配なく)
「右側のあちこち痛い気もします。」
⇒これも違います。
御心配なく。
「治せるんでしょうか。」
⇒きちんと検診を受けている方が「治らない」様では本当の医療ではありません。
早期乳癌です。
きちんと治療をすることです。
御心配なく。
質問者様から 【質問2】
前回は返信いただきありがとうございました。
大きさだけではなんともいえないと言われていたので、先生の『早期』の文字に涙が出ました。
今は紹介先の病院でサブタイプを調べていて、その結果待ちの間にCT・骨シンチ・MRIをしているところです。
紹介先の病院受診時、再度マンモ・エコーをしました。
再度、脇のリンパの腫れをエコーでチェックしていただき、ないとのこと。
エコーで言われたことが気になっているのですが、『だいだいはどのくらい浸潤しているかわかるけど、その中でも分かりにくい。
前も分かりにくいと思ったけど…・』と。
(たまたまクリニックの初診の先生と同じでした)
どういう状況なのでしょうか…
大きさは2.95センチと前の2.8センチより大きくなっていましたが、3センチよりは大きいということは無いと思うと言われましたがわからない
広がりがあるのかととても心配です。
マンモでしこりのところに石灰化はあるのですが、離れたところにもポツン・ポツンと2つ石灰化があるので非浸潤の広がりがあるかもしれないからMRIすることになっています。
またここ最近、前までしこりと言うよりは腫れているなあと言う感じだったのが、しこりとして分かるようになった気がするのですが、一気に進行しているのでしょうか…いろいろ考えてしまい受診まで間も空くので怖くなってきました。
初診から1ヶ月経過してしまいました。
進行や転移が怖いです。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
前回の質問者からのQを改めて読み返してみて気づいたKey wordがあります。
①「乳管内に留まっていてくれたらいいけど」 ②「触診で『分かりづらいなあ』とエコーも初診時のエコーを何度も確認しながら」
⇒この①②からは、質問者の癌の特徴は
・マンモグラフィーでは「石灰化が著明」で癌と判断しやすい
・(一方で)触診やエコーでは「やや解り難い」=「腫瘤非形成性病変に近い」
このケースでは「浸潤癌」ではあるが、「predominantly DCIS=非浸潤癌の割合が高い」場合さえあります。
「その結果待ちの間にCT・骨シンチ・MRIをしているところです。」
⇒CTも骨シンチも無駄な検査です。
MRIだけは「拡がり診断=術式の判断に必須」必要ですが…
「どういう状況なのでしょうか…」
⇒全体がシコリ(浸潤癌)ではないので、画像で「全体像を把握しにくい」ということです。
それは「全体がシコリとしてはっきりしている」よりは「病変全体が浸潤癌ではなく、非浸潤癌の部分もありそう」という意味であり、(病状的にみて)とても「いいこと」です。
「わからない広がりがあるのかととても心配です」
⇒そのためのMRIなのです。
「またここ最近、前までしこりと言うよりは腫れているなあと言う感じだったのが、しこりとして分かるようになった気がする」
⇒針生検(による瘢痕や小血腫)のせいでしょう。
気にする必要は全くありません。
「一気に進行しているのでしょうか」
⇒そんな乳癌はありません。
御心配なく。
「初診から1ヶ月経過してしまいました。進行や転移が怖いです。」
⇒杞憂です。
質問者様から 【質問3】
術前検査が終わり、すべての結果を聞きに行ってきました。
遠隔転移なし、MRやCTでもリンパは左右対称なので転移無しとの判断です。
MRでは3.2cmとまた大きくなっていました…乳頭からの距離がしっかりあるため、乳頭や乳輪は残せるとのこと、少し気になる染まりをしているところが他にもあるので年齢を考慮し全摘を勧めたいとのお話でした。
また針生検の傷跡からの再発が気になると話したところ、ほぼないが気になるならそこだけとることもできるとおっしゃっていました。
サブタイプはホルモン陽性、HER2が+2のためFISHで確認したところ陽性で返ってきているとのことです。グレードやKi67は言われていません。
サブタイプの結果を見て手術先行・再建は後日にしたいとのことでした。
術後の病理結果を見て治療方針を決定してくださるようです。
少し気になることがでてきたのですが、次主治医にお会いできるのは入院後だと思うので先生のお話をお聞かせください。
① 私のサブタイプはルミナールB(HER2陽性)でしょうか?術後HER2陰性となることもありますか?
② MRでまた大きくなっているので心配しています。
前回の質問で
私の文章が分かりにくかったと思うのですが、マンモでは石灰化だけではなくしこりも写っていたと思います(先生がここ。と丸く指で囲っていました)。
この場合はほぼ浸潤しているのでしょうか?
エコーでわかりづらいと言われましたが、今回のMRでも普通は白くはっきり映るがもやもやしていてやはり分かりづらいと言われました。
針生検の結果の『間質の線維化を伴う』というのは関係していますか?
③ 今回の血液検査でCA15-3が前回の34.7から3週間で24.2となったのですがこんなに変動することもあるのでしょうか?
④ 1年前の検診(エコー)で異常なしだったのに1年後に約3cmの大きさで見つかったのは非浸潤で広がって一気に浸潤したということでしょうか?
⑤ 最初のQに書き漏れていたのですが、去年の検診の時に乳頭分泌があることを伝えていました。
(1歳で卒乳した子供が4歳の時の検診でしたが、卒乳してからずっと続いているミルク色のものです)左は(2~3年くらい?で)徐々に止まったのですが、右は続いていて、去年の検診時にはあまり触らないようにしてと言われました。
乳頭分泌は乳がんによる影響だったのでしょうか…?
⑥ 術後、ステージが大きく変わる可能性はありますか?
OPの日も決まり、クリニックへの初診からOPの日まで2か月と割と早い方なのかなと思いますが、気持ちも少しずつ落ち着いてきてはいるものの、小さい段階で見つけられなかった事もあり子供たちの笑顔をみていると不安と恐怖心でいっぱいになることがあります。
根治できますでしょうか…初回の回答で先生から早期とのお言葉をいただきましたが、毎回大きくなる数字に不安になっています。
宜しくお願いします。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「① 私のサブタイプはルミナールB(HER2陽性)でしょうか?」
⇒そのとおりです。
「術後HER2陰性となることもありますか?」
⇒通常はありません。
「② MRでまた大きくなっているので心配」
⇒今までQandAで「しばしば同様の質問を受けますが…」
MRIでの拡がり診断(大きさ)は超音波と乖離しているのが「むしろ当たり前」です。
前回にもコメントしたように「短期間で急速に大きくなる乳がん」などありません。
御心配なく。
「この場合はほぼ浸潤しているのでしょうか?」
⇒非浸潤癌でも「しこりを形成する」ことは珍しくはありません。
「今回の血液検査でCA15-3が前回の34.7から3週間で24.2となったのですがこんなに変動することもあるのでしょうか?」
⇒前回もコメントしたように…
術前の腫瘍マーカーなど「無意味」です。
「1年前の検診(エコー)で異常なしだったのに1年後に約3cmの大きさで見つかったのは非浸潤で広がって一気に浸潤」
⇒その可能性はあります。(少なくとも1年前のエコーでは解りがたい像だったと推測できます)
「乳頭分泌は乳がんによる影響だったのでしょうか…?」
⇒(ミルクの分泌は)全く無関係です。
「⑥ 術後、ステージが大きく変わる可能性はありますか?」
⇒浸潤径によるでしょう。
「根治できますでしょうか」
⇒(癌に100%はありませんが)当然根治の可能性の方が圧倒的に高いです。
「毎回大きくなる数字に不安」
⇒測定誤差と「診断機器による違い」にすぎません。
質問者様から 【質問4】
先生お世話になっています。
手術までの不安な時間を、Q&Aを通じて先生にご相談させていただ
き、気持ちを落ち着かせてきました。
このような場を設けていただき
本当に感謝しています。
皮下乳腺全摘を行い(乳頭・乳輪は残っています)
病理結果が出ましたのでまたご相談させてください。
T2N1M0ⅡB
浸潤径3.0cm(全体径7.4cm)
腋かリンパ節転移あり(永久標本でのみ1㎜の微小転移)
血管侵襲なし リンパ管侵襲あり
核異型度1、組織学的異型度1
女性ホルモンレセプター ER、PR共に陽性
HER2陽性(2+ →FISH法で陽性)
Ki67 10~30%(術前10%で術後30%)
術後補助療法
タモキシフェン10年
FEC→ドセタキセル療法(3週に1回をそれぞれ4クール)
ハーセプチンをドセタキセルと同時に始め計18回
となります。
術前よりステージが一つダウンしてしまいました。
オペのあと、先生から転移なかったからねと言われたのですが、病理結果で微小転移があったとのことです。
① 微小転移は予後に影響しないと聞いていますが、やはり転移があったということに少し戸惑っています。
ステージ2Aに近いと考えていてもいいのでしょうか?
また腋かリンパ節転移1/1と記載されていたように思うのですが取りきれていますか?主治医からはとりきれているとの返答でした。
② 術後補助療法として上記を提案されましたが、非アンスラサイクリンレジメンのことを話すと、TC療法(?)とかもあるけど、それでもいいよ。と。
ただ、年齢も若く絶対に根治を狙いたいと先生もおしゃっていて副作用に耐えれるかとても不安ですが頑張ろうと思っていますが、先生ならどの術後補助療法を提案されましたか??
③ 治療中、サプリメントなどは服用してもよいのでしょうか?
④ 非浸潤の広がりが思っていたほど大きかったので、やはりなぜ去年の検診で見つけてもらえなかったのかとてもショックを受けました。
早期にはならないのでしょうか…?
絶対に根治したいと強い気持ちでいますが、時々ヤフーNEWSなどで
目にしてしまう記事などを見てしまい不安に襲われます。
先生宜しくお願いします。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
pT2(30mm), pN1mi, luminalB(HER2 陽性)
微小転移は予後に影響しない事が解っているので十分な早期です。
焦点は抗HER2療法として「アンスラ―タキサンが必要なのか?」となります。
(私なら非アンスラサイクリンレジメンとします)
「① 微小転移は予後に影響しないと聞いていますが、やはり転移があったということに少し戸惑っています。ステージ2Aに近いと考えていてもいいのでしょうか?」
⇒その通りです。
「また腋かリンパ節転移1/1と記載されていたように思うのですが取りきれていますか?」
⇒その可能性が高いです。(微小転移では、それ以外のリンパ節転移が殆ど無いから、通常腋窩郭清は省略されるのです)
「術後補助療法として上記を提案されましたが、非アンスラサイクリンレジメンのことを話すと、TC療法(?)とかもあるけど、それでもいいよ。」
「先生ならどの術後補助療法を提案されましたか??」
⇒冒頭でもコメントしたように…
非アンスラサイクリンレジメンです。
「③治療中、サプリメントなどは服用してもよいのでしょうか?」
⇒構いません。
「早期にはならないのでしょうか…?」
⇒十分、早期です。
「時々ヤフーNEWSなどで目にしてしまう記事などを見てしまい不安に襲われます。」
⇒少数例(極端例)を見ても、全く無意味です。
私のように、日々沢山の患者さんを診ていると真実が見えてくるのです。