[管理番号:5690]
性別:女性
年齢:38歳
妹(37歳)の乳がんのことでお伺いさせて頂きます。
お手数ですがよろしくお願い致します。
手術前針生検 病理結果
左乳房
サイズ:1.9センチ前後
浸潤性乳管癌/硬癌
T1 N0 M0 Stage1
NA:2 MC:1 NG:1
In situ(+)、少量、Solid type
病変内に大きな壊死巣あり
ER(+)50%以上 / Pgr (-) / HER2 0
Ki67 : Intermediate (10%<<30%)
HBOC遺伝子乳がん検査:遺伝子多型がBRCA1に見られるが、乳がんとは関連の薄い部分の多型の為、結果としては遺伝子乳がん陰性と見られる。
妹の強い要望により左乳房乳頭全摘 /センチネルリンパ生検(術中迅速検査:陰性)/
リンパ節郭清なし で手術終了。
エキスパンダー挿入同時再建
最終病理結果待ち。
オンコタイプDX実施予定。
結果によるが低リスクであればホルモン療法のみを予定。
この腫瘍は今年9月のエコーで見つかったのですが、妹は同じかかりつけ病院で昨年12月にもエコーを取っています。
その時の画像と比較したものを見せてもらったのですが、確かに前回12月の同じ場所のエコーにはしこりのようなものは全くありませんでした。
主治医も「僕も前回12月のエコー画像だけであれば異常なしと判断します。何も見えませんから。」と言っています。
またこの9ヶ月間しこりを自覚することもなかった(手術直前でさえ、自分で触ってもしこりがどこにあるかわからない)状態でした。
質問としましては
癌に大きな壊死巣があること、たった9ヶ月で2センチ弱まで大きくなるのは、増殖スピードがかなり早いということでしょうか。
その割に核グレードがNG1、Ki67もそこまで高値ではない事実があり、「大きな壊死巣と言う事実」と「NG1、Ki67の値」がやや矛盾するような気がするのですがこの点についてご意見頂けますでしょうか。
また仮に増殖スピードが早い場合、転移の確率は増加するのでしょうか。
加えて、in situ、少量ということは非浸潤性部分が少し残っているということでしょうか。
(9ヶ月の間に非浸潤→浸潤となってしまったということでしょうか)
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「癌に大きな壊死巣があること、たった9ヶ月で2センチ弱まで大きくなるのは、増殖スピードがかなり早いということでしょうか。」「その割に核グレードがNG1、Ki67もそこまで高値ではない事実があり、「大きな壊死巣と言う事実」と「NG1、Ki67の値」がやや矛盾するような気がするのですがこの点についてご意見頂けますでしょうか。」
⇒たしかに、壊死巣がある場合、「急速な増大」を想像しますが…
「壊死」には、いろいろな条件(腫瘍血管の新生が上手くいかなかったなど)があるので、一概には言えません。
「9カ月前に本当にエコーで捉えられない程度だったのか?」これは実際にエコーしていないのでコメントしようがありません。
「また仮に増殖スピードが早い場合、転移の確率は増加するのでしょうか。」
⇒「増殖」と「遠隔転移のしやすさ」は無関係です。
「加えて、in situ、少量ということは非浸潤性部分が少し残っているということでしょうか。」
⇒(癌の部分の)「殆どが浸潤癌」であって、「非浸潤癌の部分が少ない」という意味です。
「(9ヶ月の間に非浸潤→浸潤となってしまったということでしょうか)」
⇒それは不明です。
癌は「数年前から」存在していた筈で、(最初は)非浸潤癌だったのが、何処かの時点で浸潤しはじめるわけですが、「それが何時なのか?」を想像することはできません。
質問者様から 【質問2】
オンコタイプDXの結果
性別:女性
年齢:38歳
田澤先生
おはようございます。
以前質問番号5690で妹に関する件でご相談させて頂きました。
その後オンコタイプの結果が届きまして、スコアは高リスクの51でした。
これまで乳がんプラザやネットで医療関係のサイトも少し見て参りましたが、51と言うはさすがに見たことがあまりありません。。
妹はこの結果を聞いて一時寝込んでしまい、子供もまだ小さいので何とかしないとと言うギリギリの精神状態です。
Pt1C/N0/M0 Stage1 ER陽性 Ki67 Intermidiate でスコア51と言う状況に関係者全員ショックを受けています。
ご質問は
全的摘出手術は11月初旬・年末年始は妹もどうしても外せない仕事があり、年明けから抗がん剤になりそうですが、これでは遅過ですか?1日も早くやった方がよいですか?
やるとすればTCでしょうか?スコア51なので抗がん剤の期間が長くなることはありますか?
どうぞよろしくお願いいたします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
まず重要なことを指摘しておきます。
OncotypeDXは、あくまでもサブタイプを調べるために行っているものであり、予後を調べるために行っているのではありません。
予後はステージと関係し、サブタイプは(あくまでも)治療法と関係しているのです。
☆質問者はルミナールBと判明したわけですが、あくまでも「ステージ1」早期に勝る治療はないのです。
「年明けから抗がん剤になりそうですが、これでは遅過ですか?1日も早くやった方がよいですか?」
⇒年明けで十分です。
あくまでも「術後補助療法(再発予防)」なのです。
「Pt1C/N0/M0 Stage1 ER陽性 Ki67 Intermidiate でスコア51と言う状況に関係者全員ショックを受けています。」
⇒シンプルに考えましょう。
表を見て見れば明白ですが、「化学療法による上乗せが非常に大きい」というだけで、(化学療法をすれば)再発率は決して高く無い筈です。
「やるとすればTCでしょうか?スコア51なので抗がん剤の期間が長くなることはありますか?」
⇒ルミナールだから…
TCでいいとは思いますが、「化学療法による上乗せが大きい=(せっかくだから、最大限の努力として)アンスラタキサンも考慮?」してもいいかもしれません。
質問者様から 【質問3 お礼:ありがとうございました】
性別:女性
年齢:38歳
田澤先生
この度はいろいろとアドバイス頂きまして本当に有難うございました。
あのあと妹は主治医とも良く相談し、「とにかく乳がんは初発時が勝負です!見える小さいゴキブリ(腫瘍1.8センチ)は殺虫剤(手術)で殺しましたが、見えないのは今のうちにバルサン(抗がん剤)でやっつけないと!」と主治医に言われたようで、
Dose Dense AC療法4回+パクリタキセル4回+ジーラスタ
(その後ホルモン療法)
でまずは4か月間頑張ることになりました。
(本来は6か月のようですが・・・)
主治医からは「DDは副作用が強く出るかもしれませんのでお勧めしませんが・・・」と言われたものの、5月に仕事で大きなイベントがあり絶対にはずせないと言ったところ、
DDにして頂いたようです。
妹は既に1回目のACとジーラスタは終わりましたが、少しだるさがあるだけで吐き気は全くなし、ジーラスタによる骨痛も全くありません。
三食普通に食べ子供も世話もし、普通に仕事もしています。
(たくさん吐き気止は飲んでいますが)ウイッグも用意したようです。
「抗がん剤は洗面器を抱えて苦しむ。」と言っていた老いた両親も「本当に抗がん剤をやっているのか。。。。」と拍子抜けしています。
オンコタイプスコア「51」という数値に関係者は一旦びっくりしましたが、田澤先生のホームページ上での効果的なアドバイスや、主治医の
「2センチ以下、リンパ転移陰性、ステージ1で見つかって、全摘して再発リスクを減らし、オンコタイプをやって、結果に基づき術後抗がん剤2クール、ここまで僅か2か月半、抗がん剤のあとはホルモン治療予定。
まさに教科書通りの標準治療です。
10年再発転移率は10%弱。
これは0には出来ません。
医学の限界です。
でも今やることは全てやっていますからご心配なく。」
というコメントに励まされ、何とか関係者一同立ち直りました。
本投稿は田澤先生へのお礼ですので、掲載の必要はございません。
(お礼はきちんというべきかと思いましてお伝えさせていただきます。)
ただ、もしルミナールBで抗がん剤をやられるか悩んでいる方がいらっしゃれば、経過が役に立つかもしれませんので、その際の掲載の可否はご判断にお任せします。
田澤先生 本当にどうもありがとうございました。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「10年再発転移率は10%弱。これは0には出来ません。医学の限界です。でも今やることは全てやっていますからご心配なく。」
⇒素晴らしい。
とてもいい担当医に巡り合った事を幸いに思います。
RS=51にショックを受けていたようですが、それは逆に「治療に対するモチベーション」となるのです。
その意味でOncotypeDXを行うことで、「効くのかどうか、解らない思いで抗癌剤を行う虚しさ」を避けられた事はとても重要でした。
10年後を笑って迎えられるように頑張りましょう。(もうひと頑張りです)
質問者様から 【感想4 お礼:ありがとうございました】
性別:女性
年齢:38歳
田澤先生
質問番号5690で妹の乳がんステージ1、オンコタイプハイリスク(=51)の結果でご相談させて頂いていた者です。
その後、Dose Dense でAC4回とパクリタキセル3回、ジーラスタ7回を終了しました。
あとパクリタキセル1回で全て終わります。
結果から申しますと、妹は殆ど副作用が出ませんでした!
出た副作用
AC
>毎回投与後2日後に軽いだるさ(約1日だけ:寝てれば次の日回復しました)/吐き気・嘔吐など全くなし。
>髪の毛の脱毛(ウィッグで誰にも気づかれませんでした。むしろ髪ストレートにして綺麗になったねと言われたとか)
>眉毛・まつげの脱毛(健康時の70%くらいになりました)
パクリタキセル
>軽い関節痛(問題なく満員電車で通勤できるレベル)
>太腿の発疹(ステロイドを塗り解消)
これだけです。
仕事もACの時に4日休みましたが問題なく続けられ、子供の学校行事にも参加できました。
主治医に「妹の副作用は軽い方でしたか?」と一緒に聞きに行ったのですが、「軽い方ですけど、だいたい皆さんこんなもんですよ。
最近は副作用防止の薬を沢山出しているので時間外救急にも殆ど来なくなったなぁ。
殆ど皆さん完遂されますよ。」と言っていました。
(吐き気防止にイメンド・ジプレキサ・テルへラン・デカドロン・マーズレン、まつげの脱毛予防にクラッシュビスタ(自費)、眉毛の脱毛予防にリバイタブロウ(医薬品ではありませんが、形成外科の先生にご紹介頂きました)を使いました)
妹は抗がん剤をやらなければ、ステージ1ですが10年遠隔転移率30%と言われました。
ですが抗がん剤を2種類フルコース+今後ホルモン治療でおそらく10%以下になるとのことでした。
妹は少し英語が出来ますので、最近出た Clinical outcomes in patients with
node- negative breast cancer treated based on the recurrence score results:
evidence from a large prospectively designed registry と言うレポートも見て、オンコタイプスコア31以上で、リンパ節転移なしで大きさ1-2センチの方は90人いて、ほぼ全員
が抗がん剤をやり、その後5年間の追跡調査で82人には遠隔転移がなかったのを確認して喜んでいました。
田澤先生がいつも仰る通りステージ1高リスクでもやることをきちんとやれば90%以上は治るのですね。
逆にやるべきことを全てやったので、もし将来何があってもしょうがない、その時考えよう、と本人はじめ家族全員思うようになりました。
上記の軽い副作用(抗がん剤のリスク)と、遠隔転移率20%以上減(抗がん剤のリターン)のリスクリターンを比較すれば、素人でも間違いなく抗がん剤をすること選びます。
家族親族全員、高スコアに落ち込み混乱する中で、巷に溢れる「抗がん剤は副作用がひどいばかりで効果がない」と言う書籍やマスコミ報道に危うく飲み込まれるところでした。
(主治医も、「そんなことにいちいち反論している時間がない。
毎日外来は大混雑だし手術はあるし。
本を書く医者はだいたい暇人か、疲れを知らないスーパーマンですよ」と言ってました)
何とか正常な状態を保てたのは乳がんプラザで勉強させて頂いたおかげです。
本当に本当に有難うございました。
(最後に一つご提案ですが、Q&Aの検索窓をページの一番上に持ってくる等、もう少し目立たせては如何でしょうか。
既に6,000件以上の質問がありますし、抗がん剤中に追加でお聞きしたいことがありましたが、検索結果で質問せずに解決出来ましたので同じような質問が減るかなと思います。宜しければご検討ください。)
【ページ上部に「検索窓」を追加しました。
サーバー負荷の状態を見ながら「検索窓」の位置を調整いたします。
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