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ST-MMTでflat epithelial atypiaと出る意味

[管理番号:1110]
性別:女性
年齢:42歳
 
 

質問者様の別の質問

質問が新たな内容のため、別の管理番号としました。
質問者様の別の質問は下記をクリックしてください。
管理番号:1027「前癌病変について

 
 
田澤先生、先日も丁寧なご回答をありがとうございました。
本日、主治医とマンモトームの病理診断について聞いてきました。
mastopathy with flat epithelial atypiaでした。あと、blunt duct adenosis duct ectasisの言葉も書いてありました。主治医に外科的生検の事を聞いたところ、どれだけ切っていいのかわからないというような話をされました。
外科的生検で切り取る箇所は、どのようにして決めるのですか?
このQ&Aで書いてなかったのですが、検診のマンモグラフィーで石灰化カテゴリー3
で再検査になりました。
マンモグラフィーの画像の石灰化部分を外科的生検では切り取るのでしょうか?私のようなflat epithelial atypiaの病理が石灰化部分にだけあるとは限らないのでしょうか?
主治医はそのような事を言っていて、癌と診断されたわけではないのに、全摘出のような事になってもいいのなら切ります、というような事を言っていて、やはり一年に一度のマンモグラフィーで経過観察を勧められました。
そして、もしかしたら今回のマンモトームで病変部分が取れていることもないわけではないし、必ずしも癌になるわけでもないから、今切る事は勧めないと言われました。
私の石灰化部分は右胸の乳頭より下に3~4センチ程の場所にあります(マンモトームの傷跡の位置です)外科的生検で乳頭も切る事になるのでしょうか?
主治医と話して、外科的生検をすべきか悩む気持ちが増してしまいました。
田澤先生のご意見をお聞かせ願いたいと思います。
よろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 やはり「flat epithelial atypia」でしたね。
ただ、「石灰化に対するステレオガイド下マンモトーム生検(ST-MMT)による診断」だったのですね。
 それなら、尚更頷けます。
 ST-MMTを数多くやっていると、「flat epithelial atypia」はしばしば遭遇する病名なのです。
 これらの異型病変に対する考え方は「医師により大きな乖離」があることを、このQandAを通して感じています。
 『どこまで早期発見に拘るか?』
 ポイントはそこだと思います。
○質問者に押し付けるつもりはありません。
 ただ、内容が解らないと質問者にも「選択しようがない」とは思いますので「私自身が持っているデータ」について紹介します。
 ♯トップページの「鑑別困難とADH」を参照してください。
 ST-MMTを行っていると、その5.3%で「flat epithelial atypia」など鑑別困難症例があります(鑑別困難症例の実に78%をflat epithelial atypiaが占めます)
 私は、「全例に外科的生検」を勧めました。
 しかし、実際に「外科的生検を選択」した人は、「その57%」でした。
 そのうち、外科的生検により『最終的に52%が乳癌と診断』されました。
 
 私は、「今回の担当医」とは「診療に対する考え方」が大きく異なることを感じています。
 それは、おそらく「5mmのしこり」を『経過をみるか、生検するかの違い』と同じです。
 突き詰めれば『早期発見に対する姿勢』といえるでしょう。
 
○これらの「客観的データ」を基に、「何を選択するのかは、質問者の自由」なのです。

回答

「外科的生検で切り取る箇所は、どのようにして決めるのですか?」
⇒その「石灰化」の部位です。
 
「マンモグラフィーの画像の石灰化部分を外科的生検では切り取るのでしょうか?」
⇒その通りです。
 
「flat epithelial atypiaの病理が石灰化部分にだけあるとは限らないのでしょうか?」
⇒その通りです。その周辺にあります。
 ただその理屈でいうと「石灰化のST-MMTで乳癌だった」場合も「癌は石灰化部分にだけあるとは限らない」のです。
 だから、その場合は「石灰化の部分から十分距離を離して(通常の温存術のように2cm)」乳腺を部分切除しています。
 まさか、(相手が癌であっても)「癌が石灰化部分だけとは限らないから、様子を見ましょう」とは言わない筈ですよね。
 ♯flat epithelial atypia の場合でも「病変部分の中心と考えられる石灰化」から「十分な距離を離して」切除するのです。
 そのような「やり方で病変部がきちんと切除できる」ことは、「私が経験上、知っています」
 
「癌と診断されたわけではないのに、全摘出のような事になってもいいのなら切ります」
⇒意味不明です。
 石灰化がまさか「乳腺全体」に拡がっている訳ではないでしょう。
 Flat epithelial atypiaで「癌の温存術ほどに大きく切除することは」ありえません。(癌の確定診断がついた手術ではないのですから)
 
「必ずしも癌になるわけでもないから」
⇒ここの認識が「そもそも私とは異なり」ます。
 そもそも『将来に癌になるとか、そういう問題ではなく』★現時点で、「外科的生検を行うと52%で乳癌が存在する」という認識が私にはあります。
 ♯ST-MMTはあくまでも「ボーリング検査」です。病変の一部しか取っていないのです。
   
「外科的生検で乳頭も切る事になるのでしょうか?」
⇒これは質問者の勘違いです。
 「乳腺」しか切除しません(それは乳房温存術と一緒です)
 
○あまり不毛なコメントを続けるつもりはありません。
 「flat epithelial atypiaの外科的生検を勧める」ことで私自身が何か利益を得る訳ではありません。
 私は、「あくまでも、私自身が培ってきた経験から推奨する診療」を示しているだけです。
 私の家族ならば「このようにする」と言い換えても構いません。
 
 「癌では無いかもしれないのに、痛い思いをするよりは経過観察としたい」というのがご本人の選択であれば、それを私は尊重します。(私自身の患者さんであっても)
 ただ、私が担当医とは異なるのは「ST-MMTでflat epithelial atypiaと出た際に、外科的生検を選択するとどういう確率で癌が出るのか身を持って知っている」という事だけです。