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遠隔転移について

[管理番号:1433]
性別:女性
年齢:39歳
質問宜しくお願い致します。毎日田澤先生のブログを拝見しております。
先月の末に手をあげて触った時にシコリとひきつりをみつけ個人医院でエコーをして
もらいました。
顔つきが悪いということですぐに細胞診をして結果クラス4で癌でしょうと。
そして昨日ガンセンターに受診してマンモ、エコー、生検をしました。
リンパにも1つとんでますとのお話がありずっと手に痺れと痛みがあったのできっとそ
うだろうと思っていましたがショックです。
腫瘍の大きさは2センチ3ミリですがそこから病巣が乳首の方に細くのびています。
それをいれると4センチくらいになると言われました。
でも腫瘍の大きさでみるので2センチ3ミリでいいですとのお話。
母親も同じ病気で亡くなってします怖いです。首から背中が痛くて遠隔転移があるんじゃな
いかと不安でしかたないです。
詳しい治療方針は再来週決まりますが半年抗癌剤の後の手術になるだろうと。
全身に癌細胞が飛び散ってる可能性があるからでしょうか?
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
腫瘍径23mm で 腋窩リンパ節転移疑い(1個)ということですね。
お気持ち、お察しします。
ただ「ずっと手に痺れと痛みがあったのできっとそうだろうと思っていました」⇒こ
れは「誤り」です。 全く無関係です。 リンパ節転移は「無症状」なのです。
 
「半年抗癌剤の後の手術になるだろう」
⇒どうして、こうも「術前化学療法」ばかり勧めるのでしょうか?
 本来の術前化学療法の適応は「(大きいしこりを)小さくして温存する」だけです。
 質問者には当てはまらない様に思います。(23mmであれば、そのまま温存できる筈です)

回答

「全身に癌細胞が飛び散ってる可能性があるからでしょうか?」
⇒全くの誤解です。
 遠隔転移などありません。
 ただ、「担当医」は「いろいろな理由をつけて、術前化学療法を勧める」のでしょう。
①全身に散らばっているかもしれない癌細胞を先にたたく
②抗がん剤の効果がわかる
③リンパ節転移があるから、術前抗がん剤をする
 きっと、担当医は上記①~③のどれかの理由をつけるのでしょう。が、それは誤りです。
 抗がん剤は「術前でも術後でも」効果は同等(予後が一緒だということ)
◎質問者が「小さくして温存」という希望がないのならば、「手術先行を選択」する
ことをお勧めします。
 抗がん剤は「必ず効く訳では無い」のです。
 もしも「抗がん剤が効かなかったら」体に腫瘍を放置する事と同様なのです。
 それでも「術前抗がん剤をしたい」のであれば、「3週間に1回の超音波での効果判
定を約束させる」ようにしてください。
 ★無責任に、「抗がん剤が効かないのに、数か月も(超音波での効果判定もせず
に)放置する」ような無責任なことだけはさせてはいけません。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生お忙しい中早速お返事いただいてありがとうございます。この不安な状態で
2週間待たなきゃいけないのはとても辛い時間でしたが田澤先生のお言葉を聞いてだ
いぶ気持ちが楽になりました。まだこの間の病院の先生とは一度しかお会いしてませ
んが質問などもできる雰囲気ではなく…
先日の生検の結果次第ではPETも必要かもしれないと言われています。
前回も書きましたが腫瘍が23ミリそこから病巣が乳首の方に細くのびていて4センチ
くらいでしたがそれは乳房全体に広がってきてるのでしょうか?
田澤先生のお話を聞いて術前化学療法より私自身も早く悪いところをとってもらいた
いです。こちらの先生にその事は伝えてもいいのでしょうか。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
乳癌の殆どは「乳管(の細胞)が癌化して増殖」します。
すると、乳管から浸潤しながらも、「乳管に沿って」乳頭方向へ拡がります。
これは「至極、普通のこと」です。
特に「乳頭腺管癌」は、その傾向が強いと言えます。(質問者に当てはまるかは組織
診の結果が出たらご確認ください)

回答

「腫瘍が23ミリそこから病巣が乳首の方に細くのびていて4センチくらいでしたがそ
れは乳房全体に広がってきてるのでしょうか?」
⇒冒頭でコメントした通り、「乳頭方向への進展」はごく当たり前のことですが、
「だからといって、乳房全体へ拡がる」と言う事はありません。
 最終的には「MRIを撮影して」判断することになります。
 
「田澤先生のお話を聞いて術前化学療法より私自身も早く悪いところをとってもらい
たいです。こちらの先生にその事は伝えてもいいのでしょうか。」
⇒是非、伝えてください。
 担当医にとっては「術前化学療法が効かないケースは10%程度だし」的な感覚だと
思いますが、「患者さん本人にとっては、とんでもない」事です。
 10%でも「効果がないまま、腫瘍を放置するリスク」があるのだから、「そのリス
クを凌駕するほどの正当な理由(小さくして温存)」が無い限り、術前化学療法は勧
めてはいけない筈なのです。