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非浸潤がん摘出後の腋窩腫瘍について

[管理番号:6343]
性別:女性
年齢:49歳
はじめまして。
質問させていただきます。
先日人間ドッグのエコー検査で腋窩に腫瘍がみつかりました。
左側わきの窪み少し胸よりに1cmほどで、触っても膨らみはなく、
形は平たくなく、丸くボコボコした所があります。
2011年12月に左側非浸潤がんで全摘しています。
範囲は3×8cmでした。
センチネルリンパ節切除で転移なし、
切断面?陰性、ホルモン陽性でしたが、
ホルモン治療はしないで、無治療です。
右側は嚢胞が見られますが
異常なしです。
先日の細胞診でクラス4、主治医はリンパか乳がんかわからない、
次回ct検査で判定するそうです。
前手術のとりのこしなのか、転移リンパ節なのかとても不安です。
副乳だと何か皮膚に乳首の名残のようなものがあるが、それは無いとのことでした。
全摘時には腋のエコー検査でのチェックはしないらしくいつからあったのかも分かりません。
1年半ほど前からすこし左腕のむくみがあり、その時相談に行ったのですが、手術後の後遺症だということでした。
この腫瘍は何だと考えられますか?
腕のむくみは無関係でしょうか?
ご回答頂けますよう、何卒よろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「先日の細胞診でクラス4、主治医はリンパか乳がんかわからない」
⇒常識的に考えて(頻度も含めて)「乳がんの転移性リンパ節」を疑うべきです。
「次回ct検査で判定」
⇒他にはないでしょう。(確率的に)
「前手術のとりのこしなのか、転移リンパ節なのかとても不安」
⇒状況から推測すると「最も確率が高い」のは…
 前回手術時に「微小転移」⇒「顕在化」だと思います。
 
 

 

質問者様から 【質問2 非浸潤がん全摘後のリンパ節腫瘍について】

性別:女性
年齢:49歳
前回は、ご回答ありがとうございました。
また質問させて下さい。
前回の質問時には、腋下リンパ節腫瘍だけでしたが、あれから鎖骨上のリンパ節のしこりもみつかりました。
ボコボコして固くて動かないので、悪性のものかと心配です。
CT撮影後の診断では、肺に小さく粒がうつっていたのですが、昔の炎症の後かもとのことでした。
腋下腫瘍も鎖骨上のリンパ節しこりも、CT撮影後も何かまだ判断できないと言われました。
今日腋下腫瘍の針生検、鎖骨上のリンパ節しこりの細胞診を取り、明日耳鼻科を受診して、甲状腺由来の腫瘍ではないかの確認をして、来週骨シンチをし、生検の結果がでる、2週間後に判定するそうです。
先生がご回答していただいたように、腋下腫瘍はリンパ節転移、鎖骨上のリンパ節も、肺の粒も転移ではないのでしょうか?早く治療をしないとどんどん悪くなると思い心配です。
また全てが転移なら、どのような治療をするべきでしょうか?ご回答どうかよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「腋下腫瘍はリンパ節転移、鎖骨上のリンパ節も、肺の粒も転移ではないのでしょうか?」
⇒鎖骨上リンパ節は転移の可能性が高そうです。(たまたま甲状腺がんがあって、その転移など、頻度的に考える必要はありません)
 肺転移は無いと思います。
「また全てが転移なら、どのような治療をするべきでしょうか?」
⇒肺転移を想定する根拠がありません。
 腋窩及び鎖骨上リンパ節転移だと仮定すれば…
 ☆治療は局所療法と全身療法に分け無くてはいけません。
 局所療法
  腋窩は手術で、鎖骨上は放射線照射(照射する際に、予防的に少し先「頚部」まで範囲を広げるべきでです)とします。
 全身療法
  手術で摘出したリンパ節のサブタイプに応じた補助療法をしましょう。
 
 
 

 

質問者様から 【質問3 非浸潤がん全摘後のリンパ節腫瘍について】

性別:女性
年齢:49歳
おはようございます、前回もご回答ありがとうございました。
また質問させて下さい。
まだ針生検結果待ちですが、主治医からはほぼ悪性で、生検結果で治療方法を決めるとのことでした。
手術はしないようでしたが、腋下腫瘍は手術してもらえるよう、お願いするつもりです。
質問①腋下腫瘍についてですが、何度聞いてもこの腫瘍は乳線取り残しか、リンパ節かわからず、たとえ切除しても、その腫瘍がすべて癌におかされていたら元々何が癌化したものかわからない、また元々リンパ節か乳腺かは治療する上でどちらでもいいそうです。
そういうものでしょうか?
元々非浸潤がん全摘だったこともあり、原因をはっきり聞きたいのですが。
(センチネルとりまちがいもあるでしょうか)
質問②治療の順番ですが、手術→抗がん剤かホルモン→放射線治療でしょうか?
質問③腰上CT 骨シンチはしましたが、
PET検査はしなくていいのでしょうか?頸部リンパ節や他に広がってないか心配です。
質問④鎖骨リンパ節に転移していても腋下腫瘍切除することで、他に転移する確率を下げることができますか?
質問⑤鎖骨リンパ節はトモセラピーが有効でしょうか?頸部も照射したほうがよいなら、普通の放射線が良いでしょうか?
腫瘍発見からもう一ヶ月ほどたってしまい、検査等でなかなか進めなくあせってしまいます。
今回もどうかご回答下さいますようよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
「何度聞いてもこの腫瘍は乳線取り残しか、リンパ節かわからず」
⇒実際に(手術して)摘出すれば、病理医には解ると思います。
「センチネルとりまちがいもあるでしょうか」
⇒可能性でいえば…
 1.腋窩のリンパ節に(たまたま)どこかから癌が転移する
 2.腋窩のリンパ節に、癌が発生する(原発?)
 3.(左乳癌の手術の時点で)腋窩に癌細胞が残っていて、それが数年かけて増大した。
 確率的に1や2は到底考えられません。
 3と考えるのが最も自然です。
「質問②治療の順番ですが、手術→抗がん剤かホルモン→放射線治療でしょうか?」
⇒?
 前回、回答したように
 局所療法
  腋窩は手術で、鎖骨上は放射線照射(照射する際に、予防的に少し先「頚部」まで範囲を広げるべきでです)とします。
 全身療法
  手術で摘出したリンパ節のサブタイプに応じた補助療法をしましょう。
 ☆全身療法は、あくまでも「補助」療法です。
  局所療法を行ってから、行うべきです。(放射線とホルモン療法なら併用できますが)
「PET検査はしなくていいのでしょうか?」
⇒過剰な検査です。
 「検査はすればするほどいい」というものではありません。
「鎖骨リンパ節に転移していても腋下腫瘍切除することで、他に転移する確率を下げることができますか?」
⇒?
 リンパ行性転移と血行性転移は区別して考えるべきです。
 「リンパ行性転移」は、あくまでも「局所」と捉え、
 「他に転移するから」という理由ではなく、「腋窩は手術」「鎖骨上は放射線」というように局所再発は(可能な限り)局所で治療する。
 全身療法はあくまでも「補助」として捉えましょう。
 ☆これに対して、「肝転移」の場合には、(肝転移は血行性転移だから)「局所ではなく、全身」となります。
  この場合には「肝臓をターゲットにする」のではなく、あくまでも「全身療法」となるのです。
「鎖骨リンパ節はトモセラピーが有効でしょうか?頸部も照射したほうがよいなら、普通の放射線が良いでしょうか?」
⇒明らかに勘違いしているようです。
 トモセラピーが「ピンポイント」照射だからといって、「狭い範囲にしか照射できない」と誤解していますね?
 ☆ピンポイントとは(狭い部位という意味ではなく)「狙った部位にのみ」照射するという意味であり、(CTのように)全身をらせん状に回転しながら「任意の部位を広範囲にターゲット」とすることが可能なのです。
 
 

 

質問者様から 【質問4 非浸潤がん全摘後のリンパ節腫瘍について】

性別:女性
年齢:49歳
いつもご回答ありがとうございます。
生検結果がでましたので、再度質問よろしくお願いいたします。
腋下腫瘍は乳ガンでホルモン陽性(どちらも90%)ki 20%
鎖骨リンパ節細胞とれず。
骨シンチ左腰下少し転移あり
肺の粒は肺転移(小さな粒が何個か散らばってました)
との事でした。
腋下手術はお願いしましたが、肺転移もあり、しないそうです。
放射線も今はしない、ホルモン治療のみだそうです。
また、閉経前ですが、閉経前に行うイブランスの治験をすすめられました。
(イブランスは閉経前には普通使用できないのですか?)
先生ならどのような治療をされますか?
ホルモン治療なら何と何との組み合わせがいいでしょうか?
治験についてはどう思われますか?
ご回答よろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
「閉経前ですが、閉経前に行うイブランスの治験」
⇒○センターが行っている「医師主導臨床研究」ですね?
 正確にいうと「閉経前」だけが対象ではなく、タモキシフェンとの併用試験です。
(閉経後も対象であり、閉経前の場合にはLH-RHagonistも併用)
「イブランスは閉経前には普通使用できないのですか?」
⇒勿論、使えます。
 (適応は通っていますが)タモキシフェンとの併用での実際の効果を確認するための試験です。
「先生ならどのような治療をされますか?」
⇒前回、回答のとおりです。
 ☆治療は局所療法と全身療法に分け無くてはいけません。
 局所療法
  腋窩は手術で、鎖骨上は放射線照射(照射する際に、予防的に少し先「頚部」まで範囲を広げるべきでです)とします。
 全身療法
  手術で摘出したリンパ節のサブタイプに応じた補助療法をしましょう。
 つまり、局所療法+全身療法です。
  私は消極的治療を勧めることはありません。
 「肺転移があるから、手術はしない」ではなく、「肺転移が問題」なのであれば、
積極的に「抗癌剤」⇒(肺転移縮小)⇒「腋窩手術」⇒術後(ホルモン療法などで)維持
 「遠隔転移があるから何をしても同じ」という一般論で片付けて、(ホルモン療法で)ダラダラ治療することは如何なものか?
 「遠隔転移が広範囲でやりようがない」場合と「十分コントロールが付く範囲の遠隔転移」は分けて考えるべきでしょう。