[管理番号:2193]
性別:女性
年齢:44歳
初めまして、宜しくお願い致します。
昨年の10月頃、自分でしこりに気づき検査をしたところ乳癌でした。
検査機関では手術ができないので、紹介状をもらいました。
12月中旬 1回目:マンモ・触診・エコー・針生検・血液・尿の検査をしました。
この時のエコー画像を見ながら、「しこり以外にも怪しいものがある。」と、医師は言っておりました。
2回目:CTのみ
3回目:MRI その後、診察。
その時の検査の結果を、ざっくりと申します。
「MRIで肝臓に黒い影はありますが、多分良性のものでしょう。
他に転移はなさそうなので、ステージ1~2、しこりは1cm、初期の乳がんでホルモン治療が出来ないもの」でした。
その後、もう一度エコーを見ました。
乳房全体を見ているとき、しこりは1cmと言ってたけど触ると3cm位なのはなぜか言う私の質問に「良性のものとくっついている感じかな?」
医師いわく、水たまり(良性のもの)がいっぱいだそうです。
結局、脇のリンパを含め3か所から細胞診を行いました。
脇のリンパの画像は
素人の私の目で見ると、中身がすかすかのあんまん。
(あんの部分は白い)という印象でした。
分かりにくくてすみません・・・。
○○日に骨の検査もやる事になりました。
○○日、入院予定です。
MRIやCTには写ってなくても、エコーで確定される転移はあるのでしょうか?
お忙しいところ、長くわかりにくい文面で申し訳ありません。
宜しくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
「ステージ1~2、しこりは1cm、初期の乳がん」
「脇のリンパの画像は素人の私の目で見ると、中身がすかすかのあんまん」
⇒これらの表現からするとcT1, cN0-N1, cStage1-2Aの様です。
「腋窩リンパ節細胞診」をしているようですが、術中に「センチネルリンパ節生検をすれば済む」のに、何の意味があるのか…
「○○日に骨の検査もやる事になりました。」
⇒無意味な検査です。
医療被曝について、もう少し配慮が必要だと思います。
「MRIやCTには写ってなくても、エコーで確定される転移はあるのでしょうか? 」
⇒この場合の「転移」とは「リンパ節転移のこと」ですか?
「リンパ節」に関しては「エコーが最も重要」だと思います。
遠隔転移はありえません。
ご安心を。
質問者様から 【質問2】
こんにちは。
お忙しいところすみませんが、宜しくお願い致します。
手術前の説明の時、腫瘍は1.7cm、リンパ転移なし、ホルモン治療が出来ないタイプ(勉強不足の為この時、トリプルネガティブとは私は知りませんでした。)早期の為、温存で行きましょう。
「私の母も乳がんで亡くなっているので、リスクが下がるのであれば、全摘のほうがいいのでは?」と言ったところ、術後の治療次第で、リスクは変わりません。
希望するのであれば、全摘をしますけど。
と、言われたので変わらないのであればと温存を選びました。
ですが、術後の病理結果を知らされ不安で仕方ありません。
(病理検査結果)
1、腫瘍の大きさ(浸潤した部分) 3cm
2、腋の下のリンパ節転移 0個(0/2)
3、組織学的異形度(がんの顔つき) Ⅱ
4、浸潤性乳管癌
5、トリプルネガティブ
術後の治療は、来週確定するが、TC3週毎に4回か、FEC4回、その後は放射線治療5週間、希望するなら治験。
抗がん剤治療後のリスクを聞くと、1割ダウン。
術後の治療は本人の希望によってするので来週までに考えておいて下さい。
と言われました。
見放されたようで、不安です。
上記は口頭で説明を受けたものです。
もう1枚は専門すぎてわからないのでそのまま記入します。
(Diagnosis)
Invasive ductal carcinoma of the left breast,Bp
-area:C,size:3.0×1.3×2.5cm
-papillotubular carcinoma>solid-tubular carcinoma
-f,ly(-),v(-),pNO(#sentinel lymph node=0/2)
-Histological grading Grade 2
(tubule and glandformation=2,nuciear pleomorphism=
2,mitotic counts=3)
-ER(-),pgR(-)(<1%),HER2:score 0
-surgical margin:positive(深部断端陽性)
(Comments)
5.5×5.7×1.8cmの左乳房C領域のBp検体が提出されています。
最大割面では1.2×0.8cmであり、白色充実性を示す地図状に広がる腫瘍を認めます。
組織学的にはクロマチンが増量し、腫大した異型核と両染性の細胞質を持つ腫瘍細胞が充実性の大小の胞巣状構造や示して脂肪組織内や間質の線維性組織を浸潤しています。
また、乳腺小葉への侵入像様に類似した胞巣から管状構造を示しているのもやや目立ちます。
このような小葉内に入りこんでいるように見える部分でも免疫染色を行うと、筋上皮の取り囲みはなく、invasive ductal carcinomaの浸潤巣と見なされます。
Papillotubular carcinoma>solid-tubular carcinomaの像です。
核分裂像が多いところでは強拡大1視野に5~6個認められます。
D2-40の免疫染色とEVG染色を行いましたが、リンパ管侵襲、静脈侵襲は明らかではありません。
尾側寄りの深部断端ではcarcinomaの浸潤巣が断端から3㎜程度露出しているのを認めます。
非腫瘍部の乳腺組織では一部にadenosisを認めます。
今になって言っても仕方ないのですが、私はあの時担当医の言葉を信じて、温存術で良かったのでしょうか?
上記の状態で私の10年生存率はどのくらいあるのでしょうか?
今後の治療は何をしたら良いのでしょうか? 長文で申し訳ありません。
宜しくお願いします。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
pT2(30mm), pN0, pStageⅡA, HG2, triple negative
「術後の治療は、来週確定するが、TC3週毎に4回か、FEC4回」
⇒triple negativeのgolden standard は「アンスラサイクリン+タキサン」だと思います。
「今になって言っても仕方ないのですが、私はあの時担当医の言葉を信じて、温存術で良かったのでしょうか?」
⇒特に問題はありません。
「局所療法」(温存するか?全摘するか?)と「全身療法」(抗癌剤するか?)は全く無関係です。
○つまり「温存だから化学療法が必要」ではなく、「全摘でも化学療法は必要」なのです。
「上記の状態で私の10年生存率はどのくらいあるのでしょうか?」
⇒無治療では「71%」となります。
「今後の治療は何をしたら良いのでしょうか? 」
⇒golden standard(アンスラサイクリン+タキサン)です。
担当医の言う様に「TCもしくはFEC」だと「上乗せが7%」となりますが、「アンスラサイクリン+タキサン」では「上乗せは12%」(その差5%)となります。
★アンスラサイクリン+タキサンとは「ECもしくはAC(アンスラサイクリン)」+「タキサン(ドセタキセルもしくは毎週投与のパクリタキセル)」となります。
質問者様から 【質問3】
田澤先生、こんばんは。
質問者に対する人間的な思いやりの回答、読みながら前向きに頑張っている者です。
また質問をさせていただきます。
お忙しい中、宜しくお願い致します。
術後の治療はTCの予定だったのですが、トリプルネガティブ、腫瘍3cm、母親が乳がんの手術から3年後に亡くなっております。
それをふまえて、通常は行わない病理検査をしたところ、EGFR陽性だったのでFEC×4・ドセタキセル×4・放射線に、決定しました。
質問なのですがEGFR陽性とは、いったいなんでしょうか?
繁殖力の強い=悪性度が高い・・・のようなコメントを医師はおっしゃっていた気がします。
私のようなタイプの乳がんは、やはり再発率、転移率は高いのでしょうか?
回答の程、宜しくお願い致します。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
pT2(30mm), pN0, pStageⅡA, HG2, triple negative
前回回答したように、golden standardは「アンスラサイクリン+タキサン」です。
「FEC×4・ドセタキセル×4」
⇒golden standardの「アンスラサイクリン+タキサン」です。
但し、何故FECなのか?
FECx6 = ACx4 が報告されている以上(FECではなく)「ACまたはEC」の方がいいと思います。
「質問なのですがEGFR陽性とは、いったいなんでしょうか?」
⇒少々、難しい話をしますが…
細胞内に増殖シグナルを伝達する経路があり、その中に「EGFR: Epidermal Growth Factor Receptor」ファミリーがあります。
このファミリーには「EGFR, HER2, HER3, HER4」が存在しています。
○HER2が乳癌の分子標的薬として「トラスツズマブ(ハーセプチン)」があることはご存知でしょうか?
当然、同じファミリーであるEGFRにも「分子標的薬(ゲフィチニブやエルロチニブ)」があり、これらは「肺癌で臨床応用」されています。
○トリプルネガティブに対するターゲット療法として(トリプルネガティブの約半数がEGFRを過剰発現しているとされているため)「抗EGFRをターゲットとする」という発想があります。
ただし、現時点では「肺癌のような、効果があるデータがない」ため、(乳癌に)適応となる薬剤は存在しません。
「私のようなタイプの乳がんは、やはり再発率、転移率は高いのでしょうか?」
⇒上記コメント通り、「EGFRはトリプルネガティブの約半数に発現」しており、決して「特別な存在」ではありません。(よって、予後とは無関係です)
近い将来、「これをターゲットとした効果的な薬剤がトリプルネガティブの標的療法となる」ことが期待されています。
質問者様から 【質問4 】
局所再発について
性別:女性
年齢:48歳
病名:乳癌
症状:
投稿日:2020年1月29日
こんにちは。
宜しくお願いします。
トリプルネガティブ乳癌 ステージ2a
BRCA1陽性 温存手術後ドセタキセル、FEC、放射線、治験を経て術後4年目です。
1ヶ月位前から手術をした辺りがとても痛く、乳房が固くなりました。
体は常にだるいです。
そんなものなのか?と思いながら4年目の検診で超音波の時に伝えるとすぐ針生検になりました。
結果は陽性です。
CT等の検査はこれからです。
再手術は1ヶ月後になるそうです。
質問なのですが、局所再発の為全摘をして終了、となると思いたいのですがこの再発が原因で遠隔転移をしている可能性はあるのでしょうか?
また、ドレーン無しの手術ができる田澤先生に手術をお願いすることは可能でしょうか。
可能だとしたら、どのくらい先の手術になりますか?
治験の関係もあり今後も今の病院に通うことになるので気まずくはなりたくないのですが…。
お忙しい中、申し訳ありませんが宜しくお願い致します。
田澤先生から 【回答4】
こんにちは。田澤です。
「質問なのですが、局所再発の為全摘をして終了、となると思いたいのですが
この再発が原因で遠隔転移をしている可能性はあるのでしょうか?」
→可能性は低いと思います。(全身検索はこの機会にしてもいいとは思いますが)
「また、ドレーン無しの手術ができる田澤先生に手術をお願いすることは可能でしょうか。」
→可能です。
ご希望ならば「メールフォーム」から「手術申込」からメールしてください。
「可能だとしたら、どのくらい先の手術になりますか?」
→予め日程をメールで相談すれば(現状)3週間~4週間で可能です。
質問者様から 【質問5 】
局所再発について
性別:女性
年齢:48歳
病名:乳癌
症状:再発乳癌
投稿日:2020年2月14日
宜しくお願いします。
腫瘍3cm トリプルネガティブ
BRCA1陽性 ステージ2a 温存手術 昨年11月頃から温存手術(わきのすぐ下辺り)の傷付近が固くなり違和感を感じ、12月頃から乳首から傷辺りまでに中から引っ張られているような強い痛みがありました。
1月は4年目の検診だった為その時に医師に伝えました。
超音波の後、すぐに針生検をし結果は再発でした。
血液検査 マンモ 骨シンチ 造影剤CT 通常はやらないそうですが遺伝性の為、造影MRI 遠隔転移はありませんでした。
脇の下のリンパ節も画像上では大丈夫そうとの事でした。
前回の手術の時センチネルリンパ節は2個しか取っていないので今回もしますが、放射線をやっている為見つけられないかもしれない。
その為、わきのリンパを取るか自分で考えてきて欲しいと言われました。
画像上は綺麗だけど100%ではないから、との事でした。
ちなみに再発したガンは非浸潤の疑いと記述されていました。
温存手術後、再発したから全摘になったのですが
1.リンパ節はこの先転移しやすいのでしょうか?
2.再発したという事は私に抗がん剤は効かないという事なのでしょうか?
3.手術後はどのような治療になるのでしょうか?
今までは、なるようにしかならないからとあまり乳癌のことは気にしないようにしてきたのですが、4年目の再発で当たり前の事なのですが、自分は病気なのだと今更ながらに思ってしまいました。
お忙しい中、申し訳ありませんが宜しくお願いします。
田澤先生から 【回答5】
こんにちは。田澤です。
「前回の手術の時センチネルリンパ節は2個しか取っていないので今回もします」
→??
センチネルリンパ節生検は(1回やったら)ルートが無くなっているので「2度目はできない」し、「やっても無意味」です。
画像上、転移を疑わないのであれば行う必要はありません。
「1.リンパ節はこの先転移しやすいのでしょうか?」
→無関係。
単純に「局所再発は、そこだけ」です。
「2.再発したという事は私に抗がん剤は効かないという事なのでしょうか?」
→無関係
初回手術の「取り残し」と考えましょう。
「抗がん剤をやっていたので、すぐには再発しなかった」可能性もあります。
「3.手術後はどのような治療になるのでしょうか?」
→温存乳房内再発は「初回の取り残しを、やり直せばよい(つまり「全摘」すればよい)」と考えましょう。
☆温存乳房内再発した場合は、(その際に)「全摘すれば、最初から全摘した場合と予後は変わらない」これが、温存手術が許容される根拠なのです。