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乳房低エコー域

[管理番号:4708]
性別:女性
年齢:46歳
田澤先生、はじめまして。
いつもサイトを拝見しております。
妻のことで質問させてください。
3月中旬に妻の会社の健康診断があり、乳房に関して、触診・マンモ・エコーを受けました。
この健康診断は毎年同じ時期に同じ健診センターで受けていますが、今回初めてエコーで要再検査となってしまいました。
触診・マンモは異常なしです。
エコーの結果には『左乳房の4時の方向に低エコー域を認めます。
血流も認め、一部にひきつれのように見える箇所もあります。』というようなコメントがありました。
画像データもいただきパソコンで見てみると、左乳房の中心よりやや外側の下側辺りをたくさん写真を撮っています。
素人目ですが、たしかに皮膚の直下あたりから乳腺のあたりにかけて黒っぽい領域が見受けられます。
形はあまりハッキリしてないのですが、地図状のようにも見えますし、角度によっては腫瘤のようにも見える気がします。
血流信号?は短く黄色いのが、数ヵ所ありました。
この検査結果(画像も)持って連休前に近くの○○労災病院へ行きました。
乳腺と消化器を専門とされてる先生が画像を見て『特に問題無いと思いますが、念のためにMRIを撮っておきましょうか。』となりました。
MRIは来週です。
問題は無さそうとのことなので一応安堵はしましたが、心配です。
田澤先生の解答をいろいろ拝見していますと、MRIは診断に使うべきではない、または技師が撮影した画像を見るだけでなくドクター自身が直接エコーをするのが当然とお答えになられているので、今回の○○労災病院での診断の流れが気になっています。。
私もドクターが直接エコーしてくれなかったことを聞いて残念でした。
ちなみに、低エコー域と思われる黒色の部分は大きいところで横が25~30mm、縦が15mm~20mmくらいです。
角度によって違います。
ですが、しこりは全く触れないです。
妻も私も何回も触って確かめていますが、わかりません。
腫瘤を形成しないタイプでしょうか?
以前のQ&Aにありましたが、あくまで念のために、何も無いことを証明するためのMRI撮影ならば、田澤先生も同じようにMRIを使いますか?(組織を採って検査するほどの所見ではないと判断される場合?)
4年前に前妻を乳ガンで亡くしていて、今回はもし乳ガンであったとしても絶対に助けたいと思います。
どうかアドバイスよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
メール内容を拝見しました。
非常にポイント良く「腫瘤非形成性病変」の特徴や、その際の「診断へのステップ」をご理解しています。
「MRIは診断に使うべきではない」
⇒まさに「その通り」です。
 エコーで見えた所見は「例え、MRIで見えない(有意な所見がない)場合でも」それで「無かった事にする」ものでは無いのです。
 ○エコーとMRIはそれぞれ、「全く異なったアプローチでの画像手段」であり、『エコーで見えた所見は(MRIで、どうであろうと)れっきとした所見』なのです。
  まるで「MRIで癌が疑われなければ、(エコーでどうあろうと)癌では無い」と勘違いしている医師が蔓延していることは全く困ったことであり、
  (それらの医師達は)自分できちんと「超音波の所見を評価」する努力を惜しみ(その替りに)「MRIさえ撮っておけば(たとえ、後で結局癌だったとなっても)、MRI的免罪符が使える」と考えているのです。
「技師が撮影した画像を見るだけでなくドクター自身が直接エコーをするのが当然」
⇒まさに、その通りです。
 そもそもエコーは(マンモグラフィーやMRIなどとは異なり)「自分で行わない限り、微妙な所見はとれない」ものなのです。
 ♯誤解をおそれずに言えば…
  エコーは(それを操作する人が)「怪しく撮影しようと思えば、幾らでも怪しい写真を撮影できる」し、逆に「本当は異常なのに、全くスル―する(気づかない)」ことも(よくあっては困るのですが)しばしばあるのです。
 ○普段から「自分でエコーしない」ことに根本的な問題点があるのですが、
  せめて、今回のように「技師のエコーで微妙」と感じたのであれば、(MRIではなく)まずは『自分自身でエコーを行い(その所見を)確認すべき』だということです。
「ドクターが直接エコーしてくれなかったことを聞いて残念でした。」
⇒私も残念です。
 そんなことでは(東京にある)「海沿いの大病院程度のレベル」でしかないということです。(厳しい様ですが…)
「低エコー域と思われる黒色の部分は大きいところで横が25~30mm、縦が15mm~20mmくらいです。角度によって違います。」
「腫瘤を形成しないタイプでしょうか?」

⇒まさに、その通り、
 「腫瘤非形成性病変」だということです。
「あくまで念のために、何も無いことを証明するためのMRI撮影ならば、田澤先生も同じようにMRIを使いますか?」
⇒使いません。
 前述したように『(MRIで所見がないなら)超音波の所見は無視できる』というのは大間違いなのです。
 ○私が(癌と確定診断後の拡がり診断以外で)MRIを用いるのは唯一、「存在診断」であり、それはマンモグラフィーでFAD(局所的非対称性陰影)があるのに「超音波で全く所見がない」場合に用いるものです。
  今回のように「超音波で所見がある」ものは(存在診断をするまでもなく)「存在」しているのです。
「4年前に前妻を乳ガンで亡くしていて、今回はもし乳ガンであったとしても絶対に助けたいと思います。」
⇒熱意は伝わっています。
「どうかアドバイスよろしくお願いいたします。」
⇒とにかく(MRIを撮影することによる)「MRI的免罪符」を与えないようにしてください。
★本来なら
 「技師のエコーで異常所見」⇒「医師自らがエコーで確認」
  まず、ここまでのステップは必須です。
  自分でエコーして、「これは病変ではない」と判断したのなら、①「病変ではないと思うので半年後経過観察」でもいいし、ここでなら②「念のためMRIでも異常がないことを確認した上で、半年後経過観察」でもいいでしょう。
  逆に自分でエコーして、「これは癌を否定できない」と判断したのなら、(MRIに左右されずに)「組織診(腫瘤非形成性病変ならばマンモトームで広範囲に採取すべき)を提案」すべきです。
  とにかく「医師自らがエコーで確認」せずに話が進む事には全く賛成できません。
  究極の選択として、(たとえ遠方であろうと)「当院でマンモトーム生検して100%確定診断をつける」という方法があり、実際にそのような方も多数いらっしゃることを指摘しておきます。
  その場合には秘書メールをご利用ください。
  

秘書室へメールは、
各ページの右上にある 「秘書室へメール」からご相談ください。
もしくは、こちらのリンクをクリックしてください。

 
 
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生、こんにちは。
先日、妻の会社の健康診断にて乳房エコーで要再検査となり○○労災病院で診察を受け、ドクターから直接エコーで診てもらえずMRI検査を進められた件で質問をさせていただきました。
お忙しい中、すぐにご解答をいただきまして誠にありがとうございました。
また大変分かりやすく丁寧にご解答いただき、疑問に思っていたことが払拭されました。
心より感謝申し上げます。
本当にありがとうございました。
その後、秘書様へメールをさせていただき、メディカルプラザ市川での予約をお願いしてございます。
どうぞよろしくお願いいたします。
もう1つだけ質問をさせていただきたく、メールさせていただきました。
しこりを全く触れないタイプ→「腫瘤非形成性病変」ということで、妻の場合もこれに
該当するということですが、この「腫瘤非形成性病変」の中で悪性のものはどのくらいの割合を占めるのでしょうか? たとえその場合であっても「非浸潤の早期」である可能性が高いでしょうか?
過去のQ&Aを拝見すると「早期です。」とのご解答がいくつかあったように記憶しておりますが、先生に診察していただくまでの間、「妻の場合はどうなんだろう・・・」と不安があります。
お忙しいところ、大変恐縮ではございますが、どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
「この「腫瘤非形成性病変」の中で悪性のものはどのくらいの割合を占めるのでしょうか? 」
⇒これは数字はでません。
 一口に「腫瘤非形成性病変」といっても「様々な所見」があり、「乳癌らしい」ものから(いかにも)「良性(乳腺症)らしい」ものまで様々です。
 それらを一括りに「腫瘤非形成性病変」として「癌の確率」などという数字も存在しませんし、(あまりにも、所見によりバラバラなので)無意味です。
「その場合であっても「非浸潤の早期」である可能性が高いでしょうか?」
⇒その通りです。
 進行したものであれば、「画像で明らかに(癌と)解る」のです。