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乳腺外科医師と外科医師

[管理番号:73]
性別:女性
年齢:44歳
昨日、左乳輪の毛穴が膨れて触ったら少し痛みその下にシコリがあるような感じがしたので、近くの総合病院に連絡、外科でマンモグラフィーと乳房超音波エコーを受けました。
マンモグラフィーは異常なし、左胸の乳輪下のシコリは皮膚の上の方にできた物で心配ないとの事でしたが、超音波エコーにて「右乳房深部は何か映っている、腫瘍ではない、乳管?乳腺?血管?(曖昧ですいません。)の変形?かもしれないし?
悪い物では無さそうなので、経過観察で1年後にまたエコーで確認してみて下さい。」との事でした。
心配だと伝えると、「他の先生にも診て確認してもらって、何かあればご連絡します。では1年後ではなく、半年後に予約を入れてみて下さい。」という事で診察は終わりました。
 
不安で色々調べていてこのQ&Aに出会い!意を決して質問させていただきます。
エコーをして頂いたのが、医師ではなく技師さんである事、見て頂いた外科の先生が乳腺外科専門の先生ではない事、(マンモグラフィー認定読影医とありました)本当に半年間経過観察でいいのでしょうか?
早期発見を考えたら、乳腺外科の先生がいらっしゃる病院を再診しようか悩んでいます。
 

田澤先生からの回答

 こんにちは。田澤です。
 乳輪直下のしこり、技師さんの超音波検査、外科医師による診断とてもいい質問です。
 それでは回答します。

回答

 経験豊富な乳腺外科を受診すべきです。
 乳輪直下は非常に診断の難しい部位です。
 何故かというと、乳輪部は超音波検査では、どうしても乳頭によるアーチファクト(邪魔)が入ってしまいます。
 この部位は「様々な角度からの検討」と、その上での今までの「正常や異常を診察してきた経験」の両方が必要です。
 

  1. 検査技師さんの超音波
    ⇒検査技師さんは「典型的な(誰が見ても明らかな)所見の診断はいいのですが、微妙な診断は不可能」です。
    なぜなら、検査技師さんは、「自分が超音波検査して所見をとった人が、その後実際にどんな診断となってどうなったのか?」つまり「回答」を知る機会が無いのです。
    つまり「検査しっぱなし」なのです。
    ここが、医師との決定的な違いです。
    医師は、「超音波所見が、結局どういう診断となったのか?」実際に診療しているので「回答」を知っているのです。
     
  2. 乳腺外科医と(一般)外科医の違い
    ⇒診療技術が全く異なります。
    私が研修医であった20年前には乳癌患者さんは少なく、治療も単純で「一般外科の一分野」にすぎないものでした。
    その後、乳癌患者さんは急増し、治療も急速に進歩し複雑となり「一般外科では完全に手が負えなくなりました」。
    10年前頃より、「乳腺外科」として外科から独立するようになり、現在では「一般外科で乳腺疾患を診る事は、(乳腺外科医の本音では)非常識なこと」となっています。