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温存術後の病理の結果、断端陽性でした

[管理番号:1222]
性別:女性
年齢:61歳
 
 

質問者様の別の質問

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管理番号:1256「APBI

 
 
9月8日右乳房温存手術、術後病理の結果、断端陽性でした。
温存の場合、断端陽性も有り得る事は知っていましたので心配していた結果でした。
主治医は、病理医の特徴(くせ)で断端陽性と診断される患者の数が多く自分は心配していない。
これまで断端陽性による再手術は1例だけだが、心配なら再手術か25日間の放射線療法になる。
また、再発した時は温存手術も可能、と言われました。
13㎜の浸潤性硬癌でホルモン、HER2ともポジティブ、Ki67は30%でした。
センチネル生検では、2㎜なので微小転移と言われました。
オンコタイプ検査を依頼しています。
今回の断端陽性という結果をどのように判断したらよいか判らず、毎日が心配です。
よろしくお願いします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
「断端陽性」ですか。御心配だと思います。
少し気になった表現が「心配なら再手術か25日間の放射線療法になる」というものです。
この表現からは(逆に言うと)「断端陰性ならば放射線照射はしない予定」だったと
いう事でしょうか?
乳房温存術後の「(術後)放射線照射は必須」です。(推奨度A)
ある特定の病院では「ある条件が揃えば、温存術後の照射を省略している」ようです
が、私は反対です。
「乳房温存術は、術後照射を前提」とした治療です。
もしも省略するならば、「それ相応のリスク」についての十分な説明とコンセンサス
が必要です。
「温存乳房内再発によって」不利益を受けるのは(担当医ではなく)『患者さん自
身』なのです。
またもう一つコメントすると
「手術+放射線治療などの局所療法」と「化学療法や放射線治療などの全身療法」は
区別してください。
局所療法として「再手術をするかどうか? もしくは放射線治療を追加するかどう
か?」と「全身療法として何を行うか?」は全く別物です。
『局所療法と全身療法はお互いに独立』しているのです。

回答

「ホルモン、HER2ともポジティブ」
⇒これはluminalB(HER2陽性)ということです。
 浸潤径が13mmである以上(オンコタイプがどうあれ)必ず「抗HER2療法」をすべき
です。
 (trastuzumabを中心とした抗がん剤による)「抗HER2療法」は『最も効果的な術
後補助療法』といえます。
 
「断端陽性という結果をどのように判断したらよいか判らず」
⇒冒頭でコメントしたように、「局所療法」として「決着」をつけるべきです。
 全身療法として「抗HER2療法を行うから」などに左右されてはいけません。
 ○浸潤癌として「断端陽性」ならば「追加切除すべき」と思います。
 もしも非浸潤癌として「極めて小範囲に陽性」という条件であれば、「放射線を
通常照射+Boost照射」という方法も検討されるでしょう。