[管理番号:645]
性別:女性
年齢:35歳
田澤先生はじめまして
自分の病状について
34歳のときにしこりを見つけ病院に行きました。
胸のしこりとリンパ節の腫れを細胞診した結果、リンパ節転移を伴う乳がんでした。
左胸の温存手術とリンパ節郭清しました
術後病理結果
1.4×1.4㎝の腫瘍
リンパ節転移1個
ホルモンレセプターは
エストロゲン(3.5)プロゲステロン(3.5)
kiやグレードなどは聞いていませんが
癌の勢いが強いと言われ典型的なルミナールBと言われました
ステージは2aです
術後治療は若いしリンパ節転移もあるのでしっかりやっておいたほうが良いと言われ
FEC4回ドセタキセル4回の計8回(半年間)
その後温存乳房に放射線25回
現在ゾラデックス注射と毎日ノルバデックス20mgの服用
ゾラデックスの効果はプラスα程度なので選択できましたがここまでやったのだからできる治療はやっておきたいと思いました
手術前に若いしリンパ節に転移しているのでいつどうなるかわからないといわれすごく不安です。
だからやれるだけの治療をやろうと思いました。
みなさんのホルモンレセプターの数値を見ると80%とか100%とか
パーセンテージで表されてますが私の3.5ってどのくらいなんでしょう
主治医に聞いたこともありますが強陽性ではないけどそこそこあるのでノルバデックスは必須とのことでした。
ホルモン療法がちゃんと効くタイプなのでしょうか。
主治医のことは信頼していますが、診察室に入ると萎縮してしまいなかなか思ったことを聞けません。
現在術後一年5ヶ月経過したところです
やはり主治医の言うとおり私の置かれている状況は厳しいのでしょうか?
年齢やリンパ節転移ありということ、サブタイプなどから再発転移の可能性はどの程度あるのでしょうか。
もちろん確率の問題でその人にとっては0か100であることは承知していますが、ずっと気になっていて毎日不安です
回答よろしくお願いいたします
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
pT1c(14mm), pN1, pStageⅡA, luminal B
いろいろと担当医に脅かされている様子が散見されますが、担当医のキャラでしょうか?
「若年性」がひところ「予後不良」と結び付けられて考えられていた時代がありましたが、現在では「若年性=遺伝性乳癌=BRCA遺伝子変異乳癌」の割合が高かった為と解釈されています。
ところでBRCA遺伝子変異で起こる乳癌は「トリプルネガティブ」です。
○つまり質問者は「若年性乳癌」ではありますが、「遺伝性乳癌=BRCA遺伝子変異乳癌」では無いと思います。
「若年性」を気にする必要は全くありません。
術後治療として
「若いしリンパ節転移もあるのでしっかりやっておいたほうが良い」として
○化学療法として最も強力な「アンスラタキサン:FECx4⇒DTXx4」を行い
○内分泌療法としてタモキシフェンに「LH-RHagonistの上乗せ」を行っている。(35歳以下なので当然行うべきです)
「できる治療はやっておきたい」として行う治療としては、間違った治療ではありません。
回答
「パーセンテージで表されてますが私の3.5ってどのくらいなんでしょう」
⇒「エストロゲン(3.5)プロゲステロン(3.5)」の表記についてですね。
日本で用いられているのは主に以下の3つです。
①パーセンテージ法
染色される細胞の%を示す(最もシンプルで、今一番多いと思われます)
②J-score
Score 0:染色される細胞が無い
Score 1:染色される細胞が1%未満
Score 2:染色される細胞が1~10%
Score 3:染色される細胞が10%以上
Score 0を陰性
Score 1,2を境界域
Score 3を陽性
③Allred score
染色細胞割合(PS)
1:染色される細胞が0~1/100
2:染色される細胞が1/100~1/10
3:染色される細胞が1/10~1/3
4:染色される細胞が1/3~2/3
5:染色される細胞が2/3~1
染色強度(IS)
0:全く染まっていない
1:弱く染まっている
2:中間程度に染まっている
3:強く染まっている。
♯判定基準 染色細胞割合(PS)+染色強度(IS)=TSとして3以上を陽性
♯「染まっている割合」と「染まっている濃度(強度)」の組み合わせがAllred scoreです。
私自身は、(3.5)という表記を見た事がありません。
(5+3)ならばAllred scoreのPS5+IS3=TS8 という様に解釈できますが…(主治医に確認してみましょう)
「サブタイプなどから再発転移の可能性はどの程度あるのでしょうか。」
⇒10年間での再発率は13%となります(Adjuvant!Onlineによると)
○この数値を見ても担当医の「いつどうなるかわからない」というコメントには賛成できません。
質問者様から 【質問2】
田澤先生、お忙しいところ早速のご回答ありがとうございます
術後一年5ヶ月が過ぎ、抗がん剤で抜けた髪もショートヘアまで伸び、
乳がんが発覚する前の日常を送れるようになりましたが主治医の
『いつどうなるかわからない』という言葉がいつも頭の片隅にあってどうしようもなく不安になることがあります
特に身体に少しでも痛みがあると
腰痛があれば骨転移、腹痛があれば肝転移、頭痛があれば脳転移を疑ってしまいます
ホルモンレセプターについて
時々他のかたの病理結果で8で強陽性というのを見るので8段階表記もあるのかなと思っていました
だから3.5だからパーセンテージでいうと45パーセントくらいかなと
よくホルモンが効くタイプは抗がん剤が効きにくいと言うので
私はホルモンレセプターが中途ハンパだけどルミナルタイプなので
ホルモン治療も化学療法もどっちもあまり良く効かないタイプなのではないかと勝手に不安に思っていました
でも田澤先生に思いきって質問してみて良かったです
すごく安心しました
毎日不安になっては、ネットで調べて落ち込んだり、自分と似た病理の人を探してみたり(なかなか見つかりませんでした)の繰り返しで
結局解決しません。
もちろん浸潤ガンである以上、再発転移の可能性はゼロではないと思いますが、
田澤先生の見立てですとそこまで悲観する必要もないということですよね
難しいですが、あまり病気のことに振り回されず毎日楽しく過ごしていきたいです
定期的に術後検査はきちんと受けているのだから自分で勝手に転移だと疑って落ち込むのはやめたいと思います
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
担当医の『いつどうなるかわからない』という言葉も、質問者に「治療を途中で投げ出さずに、最後まで完遂して欲しい」という願いもあるのかもしれません。
やるべき事をやっていれば、いずれ「元の日常」に戻る日が来ます。
それまでは「無理に強がって不安を閉じ込めずに」吐きだした方がいいと思います。
いずれ、「無理をしなくても、不安に苛まれない日々」が来るのです。