[管理番号:4528]
性別:女性
年齢:42歳
田澤先生、宜しくお願い致します。
細胞診とMRIの検査結果が3/(下旬)が出て、詳しいお話や今後の治療について3/(下旬)に説明がある者です。
説明を受ける前に相談させてください。
細胞診検査報告書
臨床診断の欄に、lmm7 C3-2muss fnac と書かれています
判定 陽性 V
検体適正、悪性
所見 悪性細胞(+)、背景に粘液を伴って小集団で少数みられます。
粘液癌と思われる所見です。
組織診で確認ください。
MRI検査報告
所見
左乳腺A領域には8mm大の類円形腫瘍があり、指摘されている乳癌が疑われます。
Time-intensity-curneではrapid-plateau/was
houtの造影パターンを示しており、悪性所見を支持します。
腋窩や傍胸骨領域には有意腫大リンパ節は認められません。
乳管内伸展を疑うような所見も認めらません。
対側乳腺には明らかな腫瘤性病変は同定できません。
所見まとめ
左乳癌の疑い。
(下旬)日の結果を聞きに行った時は、「癌です。取りましょう」とお話があり、説明に時間を割くために改めて3/(下旬)に時間を設けるとおっしゃっていました。
手術に関しては個人病院の為、別の病院の手術室等を借りて先生がするそうです。
患者情報(必要ないかもですが)
肥満体型、ForGカップ
田澤先生なら今後の治療はどのように進めていきますかご意見いただけると幸いです。
手術のあとですが、子供が2歳5歳なので贅沢な事を言ってると思われると思いますが、子供が見ても怖がらない状態を希望していますが可能でしょうか。
子供が大人になるまで見守りたいので、どんな治療でも受けたいと思っています。
詳しい話しをまだ聞いていないので、とても不安です。
毎日お忙しいところ申し訳ありませんが宜しくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
特に問題はないようです。
pT1b(8mm), pN0
「子供が見ても怖がらない状態を希望していますが可能でしょうか。」
⇒MRIでの拡がりも小さいようなので、温存手術を選択していいでしょう。
「田澤先生なら今後の治療はどのように進めていきますか」
⇒(温存手術を選択すれば、術後照射は必須です)
全身療法としてはサブタイプを確認して、そのサブタイプに応じた治療を行います。
★問題点は(細胞診の所見にも記載があるように)「組織診で確認ください。」とあるのに、針生検をせずに「細胞診とMRIだけで手術へもっていこうとしている」点です。
確率的には「ほぼ間違いない」ことは解りますが、「組織診無しで癌の手術を行う」ことには(実は癌では無かったという)「リスクを伴う」ことになります。
♯術前の組織診がこれだけ一般化されている現在では「細胞診だけで手術をして、結果良性だった」ということは許されないことなのです。
質問者様から 【質問2】
田澤先生、こちらのサイトを開設頂き本当にありがとうございます。
こちらでいろいろと勉強させていただき、手術前説明を冷静に受けることができました。
当初は細胞診と組織診の検査方法が同じものと考えてしまい、癌が広がったのではないかと、とても不安になりましたが、ここで勉強して心配がなくなりました。
胸の張りも痛み(検査の痛みもあり)もホルモンのせい。
手術までそれ程心配をしないで待つ事ができ、ありがとうございました。
手術は温存手術+腋窩リンパ節郭清をしました。
病理の結果を週末聞きに行きますがその前に質問させて下さい。
温存手術をしたので放射線治療が必須になりますが、脇のリンパ節も範囲に入りますか。
それとも乳房のみ(転移の数によって鎖骨上リンパ節も入る)になりますか。
腋窩郭清したところに放射線があたるとリンパ浮腫になりやすいと聞き心配しております。
また機械によっても(トモセラピーとリニアック)違いがあるようですが、○○県にはリニアックしかありません。
リニアックでも機種によって違いがありますか。
その場合、決め手は何になりますか。
(放射線治療は紹介になるので病院を選ぶ事ができます)
やはりトモセラピー(片道2時間弱)の方がいいですか。
毎日お忙しいところ申し訳ありませんが宜しくお願い致します。
田澤先生から 【回答2】
こんにちは。田澤です。
「温存手術をしたので放射線治療が必須になりますが、脇のリンパ節も範囲に入りますか。」
⇒郭清したのだから、不要です。(腋窩を照射範囲外としましょう)
「それとも乳房のみ(転移の数によって鎖骨上リンパ節も入る)になりますか。」
⇒その通りです。
「腋窩郭清したところに放射線があたるとリンパ浮腫になりやすいと聞き心配しております。」
⇒その通りです。
「リニアックでも機種によって違いがありますか。その場合、決め手は何になりますか。」
⇒あまりありません。
「やはりトモセラピー(片道2時間弱)の方がいいですか。」
⇒予防照射なら…
通常のリニアックでいいと思います。
質問者様から 【質問3】
4/(中旬)に手術をして病理の結果がでましたので相談させて下さい。
病理診断
Invasive ductal carcinoma(scirrhous
ca.,pT1bN1)
所見
Scirrhous carcinoma(>popillotubu
lar ca),pT1bN.
NG1,ly(-),v(‐),波及度g+f,
最大浸潤径は約7ミリ、乳管内進展はかなり広範です(切出し図参照)
断端:negative.
リンパ節転移あり(計1/11):#迅速用センチネルリンパ節1/1、#腋
窩リンパ節0/10.
免疫組織化学
ER:TS(7)=PS(5)+IS(2)、陽性細胞80%以上
PgR:TS(7)=PS(5)+IS(2)、陽性細胞80%以上
HER2:スコア0
Ki-67標識率:30%以上
浸潤性乳管癌(硬癌)、pT1bN1
今後の治療
ルミナールB(HER2陰性タイプ)
TC療法(3W×4回) → 放射線治療(25~30回) → ホルモン療法
(LH-RHアゴニスト製剤:3年位 と 抗エストロゲン薬:5年を併用)
今後の治療は妥当ですか。
田澤先生ならどう治療しますか。
*****
Invasive ductal carcinoma(scirrhous
ca.,pT1bN1)
ステージはⅡAだと思っていましたが違いますか。
グレードは何になりますか。
*****
最大浸潤径は約7ミリ、乳管内進展はかなり広範です(切出し図参照)
断端:negative.
切出し図を見ると乳管内にかなりの数(45個)があったので、取り切れているか聞いてみましたが、断端にはないが間が飛んでいる場合もあるのでわからないと言われました。
乳腺に沿って癌が広がっていると考えていいのでしょうか。
動揺してしまい、乳腺を取り切れているのかの確認をしていません。
手元にある図を確認すると円形(お饅頭の様)に見えるので取り切れていないように感じてしまいます。
手術後の胸を確認すると切ったのは乳輪の隣から5センチ弱で、今は傷跡の下が比較的丸く?固くなっています。
田澤先生はどう考えますか。
局所再発を考えて再手術(追加で乳腺をとるや全摘)を考えた方がいいのでしょうか。
担当医からは手術の話はありませんでした。
それともTC療法、放射線治療、ホルモン療法をするので問題はありませんか。
もしかしたら治療の順番がかわりますか。
きちんと治療をして、検診をしていればいいのでしょうか。
その場合は今後どの位の頻度で検診をしてもらったらいいですか。
切出し図のコピーを頂きました。
大変お忙しいと思いますが、田澤先生にメールをして確認してもらう事は可能ですか。
(必要がないのなら送りません)
再手術をする場合はやはり同じ先生でないと出来ないものですか。
もし再手術が必要なら田澤先生にお願いする事は出来るのでしょうか。
*****
リンパ節転移あり(計1/11):#迅速用センチネルリンパ節1/1、#腋窩リンパ節0/10.
これはどういう意味でしょうか。
手前のリンパ節に転移があったが、腋窩郭清した腋窩リンパ節にはないので、それ以降のリンパ節には転移がないと考えていいのでしょうか。
もしかしたら腋窩郭清をする必要がなかったのでしょうか。
手術前にもっと詳しい内容を確認すれば・・・と今更ですが思ってしまいます。
もしも時間が戻るなら田澤先生に診察、手術をしてもらいたかったとも思ってしまいます。
*****
Ki-67標識率:30%以上
30%以上としかありません。
病院によって違うのでしょうが、細かい数字をだす事が出来ないのでしょうか。
以前Ki67 (30~39)でも過半数で「RS≦30(low, intermediate
risk)」
とあったので怪しい数字なら検査をしてもいいのかなと思っていましたが30%以上としか記載されていません。
田澤先生ならKi-67の詳しい数字に関係なく、30以上ならオンコタイプDXを勧めますか。
担当医には「高いのは間違いないのだから」と言われ、オンコタイプDXをしても「グレイゾーンになるとやっぱり悩むし、金額も40万かかるからね・・・」と
今の病院では数件しか検査をした方がいないようで、勧めていない様でした。
子供の為にもまだまだ死ねませんので、化学療法をする事を覚悟しています。
化学療法は一刻も早くした方がいいですか。
増殖が速い=転移が速いではない事をこちらで勉強したので少し落ち着けます。
化学療法のやり方は病院によって違うと思いますが、副作用を考えると頭皮や手足は冷やした方がいいのでしょうか。
江戸川病院ではどの様にやっていますか。
ホルモン療法、ホルモン療法+化学療法の再発率と生存率を教えていただけますか。
広範囲に広がっていると率もかわりますか。
あくまでも最大浸潤径とサブタイプで決まりますか。
無駄な検査は必要ないと言われそうですが、今後受けるべき検査(例えば、化学療法前に、数年後に等)はありますか。
手術前に検査したのは昨年12月にマンモ+超音波、3月に超音波+MRIです。
担当医からは何も言われていませんが、CTとか追加で何か検査をしておいた方がいいのでしょうか。
思ったよりも広範囲に進展(45個)があり不安になってしまいます。
忘れて治療にだけを考えればいいのでしょうが・・・つい考えてしまいます。
家族には個人病院よりも総合的に考えて、がんセンターや総合病院の方がいいのではないかと言われます。
やはり設備の整った大きな病院の方がいいのでしょうか。
病院を選ぶ基準がわからなくなってきました。
前回、放射線治療についてお返事いただきありがとうございます。
予防照射なら通常のリニアックでいいとのことでしたの地元の病院を紹介してもらう事にします。
毎日お忙しいところ申し訳ありませんが宜しくお願い致します。
田澤先生から 【回答3】
こんにちは。田澤です。
「田澤先生ならどう治療しますか。」
⇒ルミナールBなのかどうか?
という点がポイントです。
「Ki67≧30%」だけではルミナールBとはいいきれません。
(本当に確認したいなら)OncotypeDXをすべきでしょう。
また、ホルモン療法ですが、
(もしも)TCをやるなら、化学療法閉経となるので「タモキシフェン単独」として経過をみて(もしも再開するなら)その際にLH-RHagonistでいいと思います。(その場合は、3年ではなく、きちんと5年間しましょう)
「ステージはⅡAだと思っていましたが違いますか。」
⇒その通りです。
「グレードは何になりますか。」
⇒1です。
NGはnuclear grade(核グレード)の略です。
「乳腺に沿って癌が広がっていると考えていいのでしょうか。」
⇒考え過ぎです。
断端陰性なのだから、そのように考えましょう。
「田澤先生はどう考えますか。」
⇒事実は「切除した標本」でしか解りません。
変な想像「断端にはないが間が飛んでいる場合もあるのでわからない」をすることなく、事実「断端陰性」を見据える事です。
「局所再発を考えて再手術(追加で乳腺をとるや全摘)を考えた方がいいのでしょうか。」
⇒断端陰性なのだから不要です。
「それともTC療法、放射線治療、ホルモン療法をするので問題はありませんか。」
⇒全身療法(TC療法、ホルモン療法)と局所療法(手術、放射線)はきちんとわけて考えましょう。
「その場合は今後どの位の頻度で検診をしてもらったらいいですか。」
⇒ホルモン療法で3カ月に1回通院するのだから、「3カ月に1回」診察エコーしてもらいましょう。
「もし再手術が必要なら田澤先生にお願いする事は出来るのでしょうか。」
⇒不要と思います。
「*****リンパ節転移あり(計1/11):#迅速用センチネルリンパ節1/1、#腋窩リンパ節0/10.これはどういう意味でしょうか。」
⇒「手前のリンパ節に転移があったが、腋窩郭清した腋窩リンパ節にはないので、それ以降のリンパ節には転移がない」と言う事です。
「もしかしたら腋窩郭清をする必要がなかったのでしょうか。」
⇒それは結果論です。
「センチネルリンパ節に転移があれば、(その先にも)転移している可能性がある」として追加郭清するのは当然のことです(そもそも術前に取りきめが有った筈です)
「30%以上としかありません。病院によって違うのでしょうが、細かい数字をだす事が出来ないのでしょうか。」
⇒日本野鳥の会を想像してみてください(最近の紅白歌合戦では登場していますか?)
病理医が実際に顕微鏡を見ながらカウントするのです。
なかなか正確な値を出しずらい事情があると思います。
(正確な値を出すことで)「患者さんの運命(化学療法の可否)の責任をとるのは荷が重いよ」という病理医の心の叫びが聞こえてきませんか?
「田澤先生ならKi-67の詳しい数字に関係なく、30以上ならオンコタイプDXを勧めますか。」
⇒その通りです。
「グレイゾーンになるとやっぱり悩む」
⇒誤解です。
グレイゾーン(中間リスク)では「上乗せがない」のです。
「化学療法は一刻も早くした方がいいですか。」
⇒あくまでも「再発予防」です。
全く急ぎません。
「化学療法のやり方は病院によって違うと思いますが、副作用を考えると頭皮や手足は冷やした方がいいのでしょうか。」
⇒あまり効果は期待できませんが…
「江戸川病院ではどの様にやっていますか。」
⇒希望者には、行っているようです。(以前聞きました)
「ホルモン療法、ホルモン療法+化学療法の再発率と生存率を教えていただけますか。」
⇒それはOncotypeDXをしてみれば解ります。
統計ソフトはルミナールAとBが混ざったものなので、その数字を参考にすることは(化学療法をやるか迷っているのであれば)止めましょう。
「広範囲に広がっていると率もかわりますか。」
⇒無関係です。
局所と全身は「再発率」も分けて考えてください。
「あくまでも最大浸潤径とサブタイプで決まりますか。」
⇒違います。
統計ソフトでは「最大浸潤径」と「リンパ節」「グレード」「レセプター」で決まり、OncotypeDXでは「遺伝子」で決まるのです。
「無駄な検査は必要ないと言われそうですが、今後受けるべき検査(例えば、化学療法前に、数年後に等)はありますか。」
⇒ありません。
腫瘍マーカーを3か月~6日月に1回
診察超音波を(ホルモン療法で3カ月毎に通うのであれば)3カ月に1回
マンモを1年に1回
「担当医からは何も言われていませんが、CTとか追加で何か検査をしておいた方がいいのでしょうか。」
⇒不要です。
「やはり設備の整った大きな病院の方がいいのでしょうか。」
⇒全くそう思いませんが…
でも「そのように思う患者さん」がいないと、そのような病院も(若い医師の教育や経営などが)成り立たないのでちょうどいいのでしょう。