[管理番号:2635]
性別:女性
年齢:59歳
先月初めに浸潤性乳管癌の部分切除手術を受け先日病理結果がでました。
大きさ 1.2cm
核グレード 1 組織学的波及度 f
ly0 v0 sn0/2 ER陽性(50%以上)PgR
陽性(50%以上) HER2 0 Ki67 12.1%
ルミナルA という説明を受けました。
ところが、術前の細胞診では、ホルモン陽性、HER2 3+
ルミナルBという診断でした。
そのため、今後の治療について医師より3通りの提案がありました。
1 化学療法+ハーセプチン+放射線治療+ホルモン治療
2 放射線治療+ホルモン治療
3 ハーセプチン+放射線治療+ホルモン治療
とりあえず、ホルモン治療と放射線をしながらどうするか 決めるようにということで、現在アリミデックスの服用を始め、今月末から放射線の予定です。
ハーセプチンをどうするか決めなければいけないのですが、
術前と術後の診断がまるで違うのでどうしたらいいか迷っています。
担当の医師からはグレード1でKi値も低いので2の治療か、保険をかけるんだったら3の治療との提案がありました。
できれば1の治療はしたくないのですが、もしHER2が3+だとしたらと考えると不安でたまりません。
先生にお聞きしたいのですが、HER2が3+から
マイナスに変わることについてどう考えたらいいのでしょうか。
ちょっと気にかかるのは、術前の検査と術後の検査の病院が違うことで、近所の病院の細胞診で1月に癌との診断を受け追加でホルモンとHER2の検査をしてもらいました。
そのプレパラートで今の病院でももう一度検査してやはりどちらも陽性とのことでした。
その後2月になって、始めにかかった病院から細胞診を受けた日の会計が違っていたとの電話がありました。
まるで違う金額だったので聞くと、点数が変わったから、ということでした。
この時点で誰かと間違えたのではという不信感があったのですが、術後の結果で、もしかしたらプレパラートの取り違い?とすごく不信感でいっぱいになりました。
医師からは紹介状には浸潤性乳頭腺管癌とあったから、
今となっては違っていたとはいえないと言われ、
術前の検査でHER2陽性の部分が全部とれたのかもしれないが、
今までこのようなケースはないとのことでどうしたらいいのか本当に迷っています。
長くなってしまって申し訳ありません。
いつも先生の回答を読ませていただいて励まされています。
今後の治療にハーセプチンは追加したほうがいいのか、宜しくお願い致します。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
pT1c(12mm), pN0, luminal, NG1ですね。
「ところが、術前の細胞診では、ホルモン陽性、HER2 3+ ルミナルBという診断」
「ハーセするプチンをどうか決めなければいけないのですが術前と術後の診断がまるで違うのでどうしたらいいか迷っています」
⇒この問題は最近多いですね。
針生検の標本と切除標本を再度調べ直すしか方法がありません。
「医師より3通りの提案がありました。
1 化学療法+ハーセプチン+放射線治療+ホルモン治療
2 放射線治療+ホルモン治療
3 ハーセプチン+放射線治療+ホルモン治療」
⇒1か2となります。(3はやめましょう エビデンスがありません)
「担当の医師からはグレード1でKi値も低いので2の治療か、
保険をかけるんだったら3の治療との提案がありました。」
⇒3は止めましょう。
ハーセプチン単剤は適応外です。
「先生にお聞きしたいのですが、HER2が3+から
マイナスに変わることについてどう考えたらいいのでしょうか。」
⇒再評価するしかありません。
「そのプレパラートで今の病院でももう一度検査してやはりどちらも陽性」
⇒こうなると、非常に難しいですね。
このような場合には、私は「病理医に相談」します。
○「餅は餅屋」です。」
病理医の解釈を信頼することが(最終的には)一番だと私は思います。
♯病理医が(針生検結果との乖離を頭に入れた上で)「今回の摘出標本を見る限り、陰性と判断すべき」とすれば、(私ならば)そのように解釈します。