[管理番号:8397]
性別:女性
年齢:39歳
病名:左乳房の乳がん トリプルネガティブ
症状:
投稿日:2020年3月18日
はじめまして。
友人からこちらを教えてもらい、
田澤先生にぜひ質問させて頂きたいと思いました。
宜しくお願いします。
左乳がん2.0センチくらい、
トリプルネガティブ
全摘希望、
術前抗がん剤中です。
AC療法 2週間ごと4クール終了
パクリタキセル 毎週12回予定で、現在は2回終わりました。
今週3回目。
上記の状態での、
術前抗がん剤が意味のないものとこちらで知りました。
今治療中ですが、焦って決めてしまったため、このまま今の病院で治療をつづけ、手術をして大丈夫なのか不安になり、質問させてください。
まず経緯として
2019.7月末に区検診のエコー。
良性所見。
毎年検診しましょうという結果がハガキできました。
2019.10月末
どんな良性所見かはわからなかったので、一通り検診しようと病院受診し、マンモ、エコー、触診しましたが、異常なし。
(現在の主治医)
2019.12月中旬
前回の検診から1.5ヶ月くらいで、左胸にしこり発見。
翌日に、前回の病院受診し、触診、エコー、マンモ、細胞診。
エコー上、しこりは1.7センチ。
この時、現在の主治医は、こないだ診たばかりだから、脂肪か水だろうといいながら、触診した瞬間に、あきらかにヤバイなという顔をして、前回は絶対なかったと言い続けていました。
1.5ヶ月たらずで1.7センチもあるなら、前回絶対みのがすはずがなく、しこりの場所も、乳がんができやすい場所だから、しっかりみていると。
ちなみに、前回のエコー画像は保存されておらず、マンモの画像しか保存されてませんでした。
この日もマンモはとりましたが、しこりはあるのに、画像には一切うつってないとのこと。
その為、本当に10月末になにも異常なかったのかは、もはや不明です。
2019.12月(下旬)日告知
左乳房
トリプルネガティブ乳がん
Ki67 LI:80%程度
エコー上2.0センチ(1週間ほどで更に大きくなりました。
主治医
も針刺したからもあるが、おっきくなったよねと)
たぶんリンパ節転移ないはず
浸潤癌造影MRは、咳喘息を1年前にしたので、アレルギーがでるかもしれないから、やらなくてよいといわれて、やらなくても手術はできるからといわれてやりませんでした。
PETCTは2020.1.7に行い、画像上は遠隔転移もリンパにもないが、画像上だから確定ではないと言われました。
自分の情報は、この位しかわかりません。
年末だったこともあり、告知されてから考える時間がありませんでした。
しかも1.5ヶ月でいきなりしこりが現れ、こんなに大きくなるとは、進行がかなり早いと主治医にいわれ、急いだ方が良いといわれて、怖くなり、セカンドオピニオンしている間に進行したら心配だとも言われたので、告知された翌日に、抗がん剤の説明。
(主治医は脅したりはしてません、進行が早いから焦らせてしまうような結果になったけどもとは言っていたので。)
術前、術後の抗がん剤では、効果はおなじ。どちらでも良い。
手術先なら2020.1.(下旬)にできる。
抗がん剤先なら、1月7日から可能。
『術前抗がん剤は、効いてるか効果が目にみえる。
手術先なら抗がん剤がきいてるかわからない。』と、皆さんがよく言われている説明をうけました。
判断が、自分にはできず、主治医のお勧めは、『私のは進行が早いから、遠隔転移を防ぐためにも、術前抗がん剤のがいいのでは』とのことと、腫瘍内科の先生も、術前抗がん剤をすすめるとのことでしたので、そうしました。
当時は1.5ヶ月で約2.0センチの乳がんができたことに、かなり進行が早いといわれ、乳がんは進行が遅い、通常は2ヶ月の手術待ち期間をとっても、進行しないものだという説明をうけたので、
遠隔転移を防ぐために、早く抗がん剤した方が良いという意見に、最もだなと思いました。
けれども、治療がはじまり、自分でも乳がん、トリプルネガティブなどを検索するようになり、時間にも調べる余裕がでてきたのもあり、
はたして本当に1.5ヶ月で乳がんになったのか疑問がでてきました。
10月末に万が一見落としの可能性も含めて、あんなに進行が早いから急いで治療始めようと、急ぐ必要がなかったのではと思うようになり、手術先行すればよかったと、今更後悔しても、仕方ないですが、色々疑問がでてしまったので、前置きがながくなりましたが、質問させてください。
1.抗がん剤前に、造影MRをしていませんが、小さくなった、消滅した場合に、ちゃんと腫瘍が取れるのでしょうか?全摘ですが、とりきれない可能性はないのか。
AC抗がん剤をして、腫瘍がエコー上1.0センチ位になりました。
その間、主治医以外の先生にたまたまみてもらった際、反対側乳房に4ミリのしこりがあることがエコーでわかり、結局右側のしこりをみるために造影MRをしました。
本来メインは左乳房なのですが、腫瘍が小さくなっている中間にとっても、広がり具合は最初と変わってるのではないでしょうか? そもそも本当に最初に造影MRをやらずに手術は可能なのですか?
2.主治医は、途中からでてきた反対側の右乳房は、造影MRで、悪いものかはよくわからない、見えないと言われました。
エコー上も、悪いものじゃないと思うから、このまま様子見でよいと。
4ミリだと、細胞診もとれないかもしれないからねとのこと。
だいたい、抗がん剤治療中だから、悪いもののはずもないよと。
本当でしょうか? 4ミリだとわからないのか疑問。
主治医以外の先生がいうには、トリプルネガティブは小さな癌がポコポコでてくる場合があるから、実際にしこりがある以上、できる検査はしましょうと、造影MRを予約してくれました。
細胞診もできるけど、造影MRをするならその後にしたほうがよい
し、細胞診は主治医と相談してきめてくださいとのことでしたが、していません。
3.術前抗がん剤をしてしまったので、パクリタキセルをしてから手術するしかないですが、この間に、癌が転移する可能性はあるのでしょうか。
抗がん剤してる最中は、転移はしないというのは本当でしょうか?
主治医は抗がん剤してるんだから大丈夫だし、遠隔転移を心配するなら、今抗がん剤をして叩いているのが正解だと。
不調なのは当たり前と仰るので、痛みがあっても伝えることができません。
私は素人の考えになってしまいますが、抗がん剤はして腫瘍にきいて、小さくなっていても、そこにまだ癌があるので、結局じわじわと遠隔転移で広がってるんじゃないのかな?と思ってしまいます。
なので、
パクリタキセルの副作用かもしれませんが、
右の肋骨あたりがずっと痛みがあったり、
左乳房側のしこりがあるところから、脇のリンパにつながるところが常につっぱる感じがして痛いので、リンパに転移してるのだろうか、
右乳房にもしこりはあるし、
不正出血が続いたので、婦人科を3月に受診したところ、エコーで何かあったので、子宮体癌の組織検査をして、結果待ちです。
昨年12月に子宮頸がんの検査とエコーした時は何もなかったので、
手術先行にしていたら、もしかしたらこんなことはなかったのかなど、心配しすぎてしまいました。
4.全ての抗がん剤がおわり、癌がすべて消えれば、手術をして、無治療。
抗がん剤で癌が消えなかった場合、手術後に、再発防止に希望であればゼロータを飲むことも選択できる。
→必要があるのでしょうか?
少しでも再発防止ができるならと思うのですが、自分で選択するのがよくわかりません。
5.抗がん剤を今の病院でおえてから、手術は田澤先生にお願いするということは可能なのでしょうか。
またその場合は、やはり先生は患者さんもたくさんいらっしゃるので、手術日はおよそどの位まつのでしょうか。
宜しくお願いいたします。
田澤先生からの回答
こんにちは。田澤です。
エコーで異常なしとなってから1か月半で1.7cmの腫瘍となると質問者のお気持ちはわかります。
ただ、その3か月前に区の検診エコーで「癌を疑う所見は無かった(「良性所見、毎年検診受けましょう」というのは大した所見では無かった筈)」わけだから、見落としとは言えない程度の「些細な所見」だったと想像します。
「1.抗がん剤前に、造影MRをしていませんが、小さくなった、消滅した場合に、ちゃんと腫瘍が取れるのでしょうか?全摘ですが、とりきれない可能性はないのか。」
⇒全摘であれば、確実に取りきれます。
「広がり具合は最初と変わってるのではないでしょうか? そもそも本当に最初に造影MRをやらずに手術は可能なのですか?」
⇒MRIは(そもそも)必須の検査ではありません。
全摘の場合には全く不要だし、(温存の場合でも)造影剤アレルギーや喘息や閉所恐怖症などの理由で行わないこともあります(その場合にはエコーでの拡がり診断を基に行います)
「4ミリだと、細胞診もとれないかもしれないからねとのこと」
⇒こんなことを言うようでは、厳しいようですが…
(私は)乳腺外科医とは認めません。
「だいたい、抗がん剤治療中だから、悪いもののはずもないよと。」
⇒全く根拠がない。
「パクリタキセルをしてから手術するしかないですが、この間に、癌が転移する可能性はあるのでしょうか。」
⇒全く同じ質問が過去にもありました。『今週のコラム 81回目 肺転移が出現した。もう手術はできない。
』をご参照ください。
「抗がん剤してる最中は、転移はしないというのは本当でしょうか?」
⇒あくまでも「効いていれば」という条件付きの話です。
だから、定期的な効果判定が必要なのです。
「手術先行にしていたら、もしかしたらこんなことはなかったのかなど、心配しすぎ」
⇒実際に「心配しすぎ」なのだと思います。
ただ、その原因をつくったのが、「術前抗がん剤」にあることは間違いありません。(手術先行にしていれば、不要な心配なのです)
そもそも「全摘希望」で術前抗がん剤をする理由がありません。
「抗がん剤で癌が消えなかった場合、手術後に、再発防止に希望であればゼロータを飲むことも選択できる。」
⇒これは誤り!!!
Capecitabine(ゼローダ)の適応は『手術不能又は再発乳癌』です。
是非、『今週のコラム 136回目 決して適応外診療を勧めることはありません。今回のガイドラインの記載には正直、迷惑であり驚いています』を参照してください。
「5.抗がん剤を今の病院でおえてから、手術は田澤先生にお願いするということは可能なのでしょうか。」
⇒それは可能です。
Paclitaxelを2回行っているようですが…
きちんと評価をして、(もしも効果がない、腫瘍が増大しているなどであれば)途中で手術を行い、術後に残りを投与する方がいいです。
3週間に1回程度の評価は必須です。
★anthracyclineが効いたけど、(その後に行った)taxaneでは(効かずに)逆に大きくなったというケースはそれほど稀ではないのです。
「またその場合は、やはり先生は患者さんもたくさんいらっしゃるので、手術日はおよそどの位まつのでしょうか。」
⇒1か月位です。