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腫瘍マーカーCEAの高値と病理所見について

[管理番号:4941]
性別:女性
年齢:58歳
はじめて質問させて頂きます。
どうぞよろしくお願い致します。
腫瘍マーカーと病理検査についての質問です。
今年2月(中旬)日に右乳がんの部分切除をしました。
手術まで2ヶ月あり、術前にレトロゾールをひと月服用。
術前CT、MRI、骨シンチでは転移なし。
術後4/(上旬)~放射線治療25回 50Gy
現在レトロゾール服用中
【病理診断】
2×1 mmの乳頭腺菅がん
核グレード1 ly0 v0 N0 margin negative
ER 3b(80%) PG 3b(50%)
HER2 0 Ki67 3%
【病理所見】
100×90×17 mm大の右乳腺B領域
肉眼的に明らかな腫瘤は確認できない。
組織学的には、乳頭より55mm尾側に微小な病変をみる。
前回生検された細胞と類似した小型の菅腔構造を呈する均一な細胞であるが、手術材料では間質浸潤は明らかでなく、その大きさは標本上2×1mm大で乳管内に限局している。
壊死はみられない。
核異型スコア1、核分裂像スコア1、核異型グレード1に相当する細胞異形を有する。
周囲の乳腺は萎縮性で乳頭状形態を呈する乳管上皮過形成や大小の嚢胞などの乳腺症所見が目立つ。
手術検体で浸潤巣はみられない。
総合的に浸潤がんとして報告するが、浸潤径の評価は困難である。
別提出されたリンパ節には転移なし。
CEA
12/(上旬) 7.4 3/(上旬) 5.1 5/(上旬) 6.0 6/(上旬) 9.2
CA15-3は4.2~4.3
??6/(上旬)に造影剤での胸部腹部CT撮影は異常なし。
??6/3~6/6午前まで原因不明の結構ひどい下痢が続きました。
??難治性の喘息があり、5月からゾレアからヌーカラに変更。
①術後下がったCEAがじわじわと上昇傾向にあり、術後4ヶ月なのに再発転移の疑いがあるのでしょうか。
ひと月後にマーカー再検査予定です。
そこでも高値ならどのように検査を進めて行けばよろしいでしょうか。
また、私のがんのタイプでは再発の可能性はどのくらいの数値でしょうか。
②病理所見で2×1mmの腫瘍で浸潤層がみられないのに浸潤がんなのでしょうか。
微細ながんですが生検で浸潤がんと確定していたので100×90×17mmと思った以上に広範囲の切除となったのでしょうか。
長くなり申し訳ありません。
初期の乳がんだと理解していたのに、CEAの値に不安が拭い去れません。
お忙しい中とは存じますが、よろしくお願い致します。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
超早期癌です。
再発を心配する必要は全くありません。
○それよりも気になるのは「これほどの早期癌」なのに「術前、CTや骨シンチ」を撮影していることです。
 被爆のある検査なのだから、「risk-benefit」で考えるべきです。
 ♯誰でも彼にでも(ルーティーン)に対して行うのではなく、「目的をもって」やるべきなのです。
☆そんな「おかしな」検査をするのではなく、(本来の)医師の役割は、きちんと「この腫瘍マーカーの動きは全く問題無い」と安心させてあげることです。
「①術後下がったCEAがじわじわと上昇傾向にあり、術後4ヶ月なのに再発転移の疑いがあるのでしょうか。」
⇒この値は全く問題ありません。
 質問者には「2つの勘違い」があります。(しつこいようですが、それは本来「担当医が、指摘してあげるべきこと」です)
 1.「術後下がった」という記載がありますが、この程度の早期癌が原因で腫瘍マーカーが上がることはありません。
  つまり、術前の「7.4」という値自体が「癌とは無関係」だということ。
  更に、術後に「5.1」となったことは「手術により下がった」わけでは「絶対に」ありません。(誤差範囲です)
  ☆つまり、そもそも質問者の「CEA 12/(上旬) 7.4 3/(上旬) 5.1 5/(上旬) 6.0 6/(上旬) 9.2」という動きは、ただの「誤差範囲」ということです。
  今回「7.4⇒5.1」を「手術によって下がった」という誤解があるので「術後ジワジワ上がっている」という誤った解釈となってしまうのです。(まさか、担当医まで??)
   私から見れば(手術により下がるなど、ありえないので)『CEAが誤差範囲で動いている』としか感じません。
 2. CEAは(非喫煙者でも)もともと高い人がいます。
  6~9は結構よくいらっしゃいます。
「そこでも高値ならどのように検査を進めて行けばよろしいでしょうか。」
⇒上記コメント通りです。
 再検して「どんどん上がる」ことはないでしょう。
 万が一上がったとしたら(乳癌の再発では勿論なく)「消化器系(胃カメラ、大腸カメラ)を精査すべき」と思います。
「また、私のがんのタイプでは再発の可能性はどのくらいの数値でしょうか。」
⇒殆どゼロです。
「②病理所見で2×1mmの腫瘍で浸潤層がみられないのに浸潤がんなのでしょうか。」
⇒術前の針生検で浸潤癌が証明されているようです。
「微細ながんですが生検で浸潤がんと確定していたので100×90×17mmと思った以上に広範囲の切除となったのでしょうか。」
⇒執刀医に確認してください。
 (私の推測では)「病変の部位の同定が困難」であるため、安全に(取り残す事を避けて)大きめに取ったということかもしれません。
「初期の乳がんだと理解していたのに、CEAの値に不安が拭い去れません。」
⇒上記コメント通りです。
 まずは「2つの勘違い」を改めることです。
 そして、この程度の癌で再発はありません。