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5×7ミリほどのしこり、エコーでのカテゴリー3

[管理番号:2802]
性別:女性
年齢:42歳
田澤先生初めまして。
来月43歳、既婚
20歳で 左)線維腺腫切除歴ありです。
毎年検診を受けており、
1年4か月前 エコー、マンモともに異常なし
2か月前、エコー異常なし、マンモで
右)限局性非対称性陰影 カテゴリー3となり
乳腺クリニックを受診しました。
そちらでエコーを受けたところ、
検診で指摘されたのとは別のところ(同じ右ではありますが)に、
4.9×6.9ミリのしこりが発見され、
少しごつごつして周りに血管があり、エコーの診断でカテゴリー3と言われました。
その日のうちに針生検を受け、嚢胞の可能性はないが、
線維腺腫の可能性はあると
言われました。
今結果待ちです。
しかしながら線維腺腫は先生の思いやりで、がんである可能性が高いのではと
思っております。
そこで、
「線維腺腫の可能性はあるか」
「この状態で転移の可能性はどれくらいか」
「センチネルリンパ節生検で転移がなければ、絶対に転移していないと言えるのか」
という点を教えていただけないでしょうか。
先生の過去のQ&Aを読んで、転移の可能性は少なそうだと思いましたが、
個別の条件で違うかもしれないということ、
転移の有無で予後や治療が変わるようだということから、
質問させていただきました。
どうぞご教示いただければと思います。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
一つのキーポイントは「2カ月前、エコー異常無」という記載です。
普通に考えたら…
 「2カ月前に異常無」⇒(今回)「5x7mm(4.9x6.9mmという細かい表現は不要です)」のしこりが『新たに出現』となります。
○40代で「新たに出現した、しこり」(しかも2カ月!で)
 これが事実だとしたら(残念ながら)「癌の可能性が極めて高い」となります。
 ただ…
 実際には「エコー検査には見逃しがあるかもしれない」という可能性は常に頭に
入れておかなければなりません。
 「2cmのしこり」であれば、さすがに見逃しはありえませんが、「7mm」とな
ると…
 
「少しごつごつして周りに血管があり、エコーの診断でカテゴリー3」
⇒もしも本当に「ごつごつして周りに血流」があれば、(カテゴリー3ではなく)カ
テゴリー4です。
 やはり、「癌の可能性」を考えなくてはいけません。
 
「その日のうちに針生検を受け、嚢胞の可能性はないが、線維腺腫の可能性はある」
⇒(嚢胞だと液体だから、すぐ解ります)その通りです。
 

「線維腺腫の可能性はあるか」

⇒可能性はあります。
 ただし、「癌の可能性の方が」高いように(実際にエコー像をみていませんが… 
記載内容からは)思えます。
 
「この状態で転移の可能性はどれくらいか」
⇒この場合の「転移」とは「リンパ節転移」の事ですよね?(遠隔転移など、考える
必要もありません)
 それは、さすがに無いでしょう。
 そんなものだったら、「2カ月前に見逃される」ことは、ありえません。
 
「センチネルリンパ節生検で転移がなければ、絶対に転移していないと言えるのか」
⇒言えます。
 
 臨床試験で検証されています。
 ♯そもそも、質問者の場合には「そんなこと」は考える必要もありませんが…
 
「転移の有無で予後や治療が変わるようだ」
⇒もしも癌だと仮定した場合…
 2カ月前に見逃され、現在「7mm」ということになります。
 この状況で「転移(遠隔転移は勿論のこと、リンパ節転移も)を心配する」必要な
どありません。
 ご安心を。
 
 

 

質問者様から 【質問2】

田澤先生、こんにちは。
管理番号2802で5×7ミリのしこりについて相談させていただきました者です。
しこりが見つかってから、時間があればこちらのサイトを拝読し、
勉強させていただきました。
どんなに助けられたかわかりません。
本当にありがたく思っております。
今日、病理組織診断の結果が届き、乳管内乳頭腫か乳腺症で良性でしたと伺ってきました。
以下、結果なのですが、何点か先生のご意見をお伺いできればと思います。
「クリニックからの依頼書」
右 9°半に5×7ミリ弱の D/W<1 の多形性Mass(C-3)
(Tuv?)Ca35? FD(HER2)もお願いします。
至急
お願いします。
と書かれており、次の報告書が戻ってきました。
「病理組織診断報告書」
”病理組織診断”
Normal or benign, right breast, core needle biopsy
”所見”
提出された材料は右乳腺から採取された針生検組織(3本)です。
組織学的に乳腺組織内には、線維性組織成分を有し、部分的にアポクリン化生を伴う
上皮細胞の乳頭状増生、乳管拡張、fibrosisがみられます。
明らかな悪性所見はありません。
1)判定区分:検体適正、正常あるいは良性
2)推定組織型:intraductal papilloma, mastopathy
とありました。
クリニックの先生は
「乳管内乳頭腫は、乳管内にできたいわゆるポリープのようなもので、
ホルモンの影響でできる乳腺症とともに年を経てしぼんでいくことが多い。
乳管内乳頭腫は、これ自体はがん化しないが、高率では
ないががんのリスクが高まるので
今後6か月ごとにエコーをとって様子を見ていきましょう」
切除したほうが良い場合もあるのかと質問すると、
「組織診で良性とでているのだから、むやみに切らなくてもよいと思う。」
とおっしゃっていました。
針生検はエコーを見ながらやってくださり、
3~5本の予定だが、3本でとれたよとおっしゃっており、
痛みや出血(内出血)も全くなく、とても上手で詳しく
説明してくださる先生で
好感がもてました。
ただ、こちらのサイトでいかなる場合も早期発見に越したことはないと知ることができたので、
このまま経過観察していてよいのか不安も残ります。
お伺いしたい点は、
1) この場合、経過観察で大丈夫と思われますか?
2) 乳管内乳頭腫か乳腺症ということですが、特定することはできないのでしょうか?
3) ほかに、何か気を付けられるところはありますか?
お忙しいところたびたびの質問で恐縮ですが、ご意見伺えれば幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。
良性(乳管内乳頭腫)との事。
大変良かったです。
ただ、この場合「2カ月前にエコーで異常無」という解釈をしなくてはなりません。
単純に「見逃し」でしょうか?
その点を担当医に確認したほうがいいですね。
「1) この場合、経過観察で大丈夫と思われますか?」
⇒針生検で「良性」であればいいと思います。(自分でやった針生検以外で確信を持つ事はできませんが…)
 
「2) 乳管内乳頭腫か乳腺症ということですが、特定することはできないのでしょうか?」
⇒「組織量が少ない」のだと思います。
 マンモトーム生検して「大きく削る」ことで確定診はつきます。
 
「3) ほかに、何か気を付けられるところはありますか?」
⇒ありません。
 いずれにせよ、「針生検で良性」「半年後フォロー」であれば「一安心」といえます。(これが細胞診とは安心感が違います)
 
 

 

質問者様から 【質問3】

管理番号2802でご回答いただき、
先日メディカルプラザ市川で診察していただきました者です。
その節はどうもありがとうございました。
他院での針生検で良性の診断をいただきましたが、
このまま経過観察をして万一のことがあったらという思いで、
田澤先生のマンモトーム生検をお願いし、結果を待っているところです。
が、本日貴院から電話があり、
免疫染色を追加して確定診断したいからと、
受信日延期の連絡を受けました。
これは、悪性の可能性が高まったということになるのでしょうか?
また、5日前に乳頭に黒いかさぶたがあるのを発見し、
怖くてそのままにしていたのですが、
昨日入浴中にひっかいてみると剥がれたので、
乳頭を軽くつまんでみると、
赤黒い液体の分泌がありました。
これは、生検したことによる影響でしょうか?
それとも、何か新しい症状が出てきたことになるのでしょうか?
不安で仕方ありません。
たびたびの質問で大変恐縮ですが、
ご回答いただければありがたく存じます。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは。田澤です。
追加免疫染色の件ですね。
「免疫染色を追加して確定診断したいからと、受信日延期の連絡」
「これは、悪性の可能性が高まったということになるのでしょうか?」
⇒そうではありません。
 中間レポートを見てみました。
 それによれば、あくまでも「良性増殖性病変」と考えるが、「確定のためには免染が必要」となっています。
 つまり「増殖性病変ではあるから」簡単に良性とは言い切れないが、「良性の可能性の方が高い」ようです。
 ○マンモトーム生検では「腫瘍のあらゆる部分」を削っているので「全く見逃すリスクがない」ので、これで確定診断となります。「勇み足」にならずに結果を待ちましょう。
 
「赤黒い液体の分泌がありました。」
「これは、生検したことによる影響でしょうか?」
⇒まさに「その通り」です。
 乳管と連続しているのです。
 マンモトーム生検では「かなり広範に採取」しているので、よくあることです。
 
「それとも、何か新しい症状が出てきたことになるのでしょうか?」
⇒全く無関係です。
 ご心配なく。
 
 

 

質問者様から 【質問4】

田澤先生、こんにちは。
先日はありがとうございました。
最終病理結果がでて、
「異形を伴う乳腺症・異形性乳頭腫の可能性」
と伺い、マンモトーム生検でほとんどがとれてしまっているので
6か月後の経過観察で大丈夫とのご説明をいただき、一安心したところです。
が、家に帰って改めて病理レポートを読んだところ、
「悪性腫瘍の確定はできませんが、異形・二層性不明瞭の部分があり、
MP→ADH→DCISへの移行する途中の所見の可能性が否定できません」
「必要であれば病変部核出をご検討ください」
といった記載があり、不安になってしまいました。
マンモトーム生検は100%の確定診断がでると思っていたのですが、
私のケースの場合、やはり良悪を確定するのはできないのでしょうか。
今回の組織像が、異形があるために前がん状態の可能性があるということは理解できます。
発見のタイミングが早すぎたために、判定ができない状態ということでしょうか。
がんになるかもしれないが、ならないかもしれないから
今すぐ出来ることはなく、
時間が立ってどのような変化をするのか見届けるしかないということなのでしょうか。
もし悪性に変化していく可能性が高いなら、
悪性になるまで待たずに摘出したほうが良いのではないかと
素人考えをしてしまいますが、
常に早期発見の重要性を教えてくださっている先生が
経過観察で大丈夫とおっしゃっているということは、
悪性に変化していく可能性はあまりないと考えて良いのかと
都合のよいほうに考えたりもしています。
しこりが見つかってからの3か月、悪性だったら、良性だったらと常に心が揺れていたので、
重箱の隅をつつくような質問をしているのかもしれません。
お忙しいところ、たびたびお尋ねして心苦しい限りではありますが、
次の受診までに心づもりしたいと思いますので
今一度教えていただければ幸いです。
どうぞよろしくお願いいたします。
 

田澤先生から 【回答4】

こんにちは。田澤です。
私はバネ式針生検とマンモトーム生検は完全に区別して使用しています。
病変が不均一である場合には「病変の一部なので、判断はできません」とならないように「病変を隈なく採取」しています。
よって、「私がマンモトーム生検をしての組織診断で良性」しかなければ「良性」だし、「もしも悪性と言える部分があれば、間違いなく採取した組織診断で悪性」がでます。
質問者のケースでは「通常行われている様なサンプリング検査としての」バネ式やマンモトームでは「病変の一部なので、判断不可です。摘出して全体像を評価してください」となります。
病理医の「必要であれば病変部核出をご検討ください」というのは、「通常に行われている様な」単なるサンプリング検査で行われた場合に対してのコメントです。
○病理医は私が「どのような採取をしているのか、当然知らない」ので、他の一般的な医師が行う様な「不完全なサンプリング」と仮定してのコメントです。
 外来でお話したように「ほぼ病変全体を評価して異型どまり」だったわけですから、癌ではないのです。
 私自身は「6ヵ月の経過観察さえ不要」と内心思っていますが、「異型が存在」したということを考慮すれば「6ヵ月経過観察でも悪くはない」と思い、「6ヵ月後の経過観察」としたのです。
◎区別して欲しいのは
 「石灰化」に対するステレオガイド下マンモトーム生検のように(病変の中心部の石灰化しか見えず)「病変全体の把握が不可能」な場合での「異型病変という結果」であれば、「摘出して病変全体の評価が望ましい」として、「摘出生検を勧めます」が、
 今回のように「超音波で病変全体を把握」した上で、「病変全体を隈なく採取した」超音波ガイド下マンモトーム生検では(すでに病変全体の評価が行われているので)「摘出生検は不要」なのです。
私は決して「診断を曖昧なままに」経過観察などしません。
診断は100%でなくてはならない事を実践しているのです。ご安心を。