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石灰化カテゴリー3、妊娠希望

[管理番号:5263]
性別:女性
年齢:29歳
2年前に第一子を帝王切開で出産、1年前に断乳し、現在、妊娠を希望している者です。
先月、A病院にて初めてマンモグラフィー・エコーを受けたところ、石灰化カテゴリー3と指摘されました。
(エコーは特に指摘なし)
『石灰化は左右ともまばらにあるが、左に多く、また部分的に集まっている所が2箇所ある。
初めてのマンモなので、とりあえず半年後に石灰化が増えていないか経過をみる。それまで妊娠は控えるように』と言われ帰宅しました。
検査結果表には以下の記載がありました。
左側所見、カテゴリー3
良悪性:要鑑別、形態:微小円形、分布:集簇性
帰宅後、こちらのQ&A(no168など)を拝見し、翌日A病院へ再受診、早く妊娠したい為ST-MMTを受けたい旨を伝えたところ、快くB病院を紹介してくださいました。
先生曰く『B病院は乳がんの手術件数が全国的にも多く、ST-MMTも多くされている。
ここなら必ず検査してくれるだろう』とのことでした。
先日、B病院へ受診し(担当は非常勤の先生)、再びマンモとエコーを受けました。
まずマンモの石灰化について、
『左の方が右に比べて多いが、全体的にまばらである。
ほぼ正常に近いので(カテゴリー2~3)現状ではST-MMTをする必要はない。
どうしても検査をしたいなら、MRI(造影剤使用)なら侵襲が少ないので受けても良いと思うが、別のC病院に依頼しての検査(1ヶ月後)となる。
基本的には半年~1年後の経過観察で良く、妊娠も控えなくて良い、妊娠中でも検査は可能』とのことでした。
そして、エコーで初めて異常を指摘されました。
『これはマンモの石灰化とは別で考えるべき、おそらく乳腺症だと思うが、一応細胞診をする』と、その場で穿刺吸引細胞診を受けました。
後日、細胞診の結果を聞きに行く予定です。
長くなりましたが、伺いたい事は主に3つです。
①MRIは確定診断にはならず、現時点では必要ないと考えますがどう思われますか?
②紹介されたB病院でST-MMTは必要ないとのことでしたので、細胞診の結果が問題なければ、妊娠しても大丈夫でしょうか?
③B病院で妊娠中のマンモは可能と言われても、私は避けたいです。
経過観察が必要とされる期間(今回は半年~1年後)に妊娠が重なった場合、先生はどのように対応されますか?
Q&Ano112にあったように、授乳中も避けるべきとすれば、マンモを受けるのは2年以上先になるかもしれません。
 

田澤先生からの回答

こんにちは。田澤です。
比較的良く遭遇するケースと言えます。
まずA病院とB病院の共通認識として「おそらく癌とは無関係な石灰化だろう」ということです。
 それは 「初めてのマンモなので、とりあえず半年後」とか「ほぼ正常に近いので(カテゴリー2~3)現状ではST-MMTをする必要はない。」という両者のコメントでわかります。
その共通認識が有る中で
A医師は「妊娠希望があるのなら、ST-MMTして、はっきりさせてあげたい」とBを紹介したのだが…
B医師は(事情はあるのだろうが)「この程度ではST-MMTするわけにはいかない(他の医師から「何で、こんな程度の石灰化でST-MMTするのん?」的に責められるのかもしれません)」
上記のような「膠着状態」が生まれているようです。
☆(良性だろうとは思いながらも)「安心して妊娠出産へむかいたい」というためにST-MMTをするのは正しい診療だと(私は)思っています。
「①MRIは確定診断にはならず、現時点では必要ないと考えますがどう思われますか?」
⇒その通り、不要です。
 (ST-MMTをしない場合の選択として)「MRIを提示」しているところに、
その医師の(普段からの)診療姿勢が見え隠れします。(生検に消極的な「MRI的免罪符の使い手」の匂いがします)
「②紹介されたB病院でST-MMTは必要ないとのことでしたので、細胞診の結果が問題なければ、妊娠しても大丈夫でしょうか?」
⇒どうやら確率的には問題ないようです。
 ただし、「一度、ST-MMTを勧められている」以上、どうしても「ひっかかり(不安)」が残るのであれば、やはり(確率的には低くても)ST-MMTして「スッキリさせる」ことを勧めます。
「経過観察が必要とされる期間(今回は半年~1年後)に妊娠が重なった場合、先生はどのように対応されますか?」
⇒マンモは撮影できないので、USでの検査のみとなります。
「授乳中も避けるべきとすれば、マンモを受けるのは2年以上先になるかもしれません。」
⇒勘違いされているようです。
 授乳中は(スクリーニングとしては)マンモグラフィーの診断的価値は下がりますが、「石灰化」は解ります。
 つまり石灰化の経過観察であれば「授乳中でもマンモを撮影すべき」となります。
 ♯授乳中は乳腺濃度が上がるので「しこりの検出には不向き」ですが、「石灰化は解る」のです。