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再発治療中、下がっていたCA15-3の再上昇

[管理番号:8675]
性別:女性
年齢:51歳
病名:乳癌、転移性骨腫瘍
症状:
投稿日:2020年6月23日

質問させて頂きます。
よろしくお願いします。

2018年1月にステージ3aのルミナルAの乳がんと診断され、3月に全摘手術後、抗がん剤、放射線治療をして、ホルモン剤治療を行なっておりましたが、CA15-3が70まで高くなったのでPETを行い、多発性骨転移と診断されました。

その後イブランスとフェソロデックスで治療をしていて、CA15-3を下げるのに効果があったため、白血球が少ないということでイブランスは減量や休薬を繰り返しながらも最終的に75mgで継続しています。
さらに2020年1月にCT検査すると、骨の腫瘍がなくなり、再石灰化していると言われました。

また1か月ごとに腫瘍マーカーの検査をしていて、2020年4月にCA15-3は18、CEAは4.2になりました。

しかし、そこから再び上昇傾向になり、5月はCA15-3が21でCEAは4.8、6月はCA15-3は25、CEAは5.4になっています。

とりあえず様子見とのことでさらに1か月後にCT検査、場合によっては
PET検査もするとのことですが、またCA15-3が上昇してイブランスが効かなくなってしまうのではないかと不安なのですが、先生の見解は如何でしょうか?
お聞かせ頂ければ幸いです。

 

田澤先生からの回答

こんにちは。

「またCA15-3が上昇してイブランスが効かなくなってしまうのではないかと不安なのですが、先生の見解は如何でしょうか?」
⇒値としては、微妙なので(画像上変化なければ)様子見でしょう。

 もしも再燃傾向があればabemaciclibへの変更もいいと思います。
 当院でpalbociclib⇒abemaciclibへの変更は非常に有効です。

 
 

 

質問者様から 【質問2 】

イブランス+フェソロデックスが効かなくなることについて
性別:女性
年齢:51
病名:乳がん、多発性骨転移
症状:
投稿日:2020年8月18日

以前質問させていただいたものです。

ルミナルA型でしたが去年秋に骨転移再発と診断され、そこからイブランス+フェソロデックスによる治療を受けていて、CA15-3が70から18まで下がりました。

一方で白血球が少なくなったこともあり、途中少しずつイブランスの量を減らして75mgにしたのですが、75mgにしたらCA15-3が上昇傾向にあり、1ヶ月毎の測定で18→21→25→33となってしまいました。
そこで量を100mgに増やすことにしたのですが、翌月さらに上がって45になっていました。
一応125mgまでさらに上げて
様子を見て、改善しなければ薬を変えるとのことで、やはりもう効かないのではないか?と不安に思うのですが、先生の見解はどうでしょうか?また、量を増やすことそのものに意味はあるのでしょうか?

また、100mgに変えた時にPET検査も行っており、結果は骨の転移がなくなった部分や
逆にできた部分もあり、最終的に数量は変わらずとのことでした。
ただ骨以外には転移していないとのことでした。

 

田澤先生から 【回答2】

こんにちは。田澤です。

「様子を見て、改善しなければ薬を変えるとのことで、やはりもう効かないのではないか?と不安に思うのですが、先生の見解はどうでしょうか?また、量を増やすことそのものに意味はあるのでしょうか?」
⇒「翌月さらに上がって45になっていました」とあるので、治療の変更を考えるべきでしょう。

 Abemaciclibもしくは抗がん剤となります。
 骨転移後、抗がん剤やっていないのであれば「抗がん剤(bevacizumab+paclitaxelもしくはeribulin)」を3か月限定で、その後abemaciclibにしてもいいでしょう。

 
 

 

質問者様から 【質問3 】

遠隔転移再発について
性別:女性
年齢:51
病名:乳がん、多発性骨転移
症状:現在は大きな症状なし
投稿日:2020年8月23日

田澤先生、先日は質問に答えていただき、ありがとうございます。

先生の記事や回答を読んで複数質問をまとめたので答えていただけると幸いです。

質問1:先生の記事を読ませていただくと「抗がん剤はTS1は効果と副作用のバランスが悪いから絶対に勧めない、ハラヴェンを勧める」というのが多いが、具体的にはどういうことなのでしょうか?
調べるとTS1はハラヴェンより効果が強いと聞きます。

質問2:先生の経験上、最初に再発するまでの期間が短ければ短いほど、複数の臓器に転移しやすい(予後が悪い)のでしょうか?自分の場合は術後1年半ほどで骨に再発、その1年後別の骨に転移しました。
このペースだといつ他の臓器に遠隔転移するのかと不安です。

質問3:先生の記事を読むと、骨転移などのすぐに命に関わる場合でない治療で「抗がん剤を最初にやってからイブランス」パターンと「最初からイブランス」パターンがありますが、どのように使い分けているのでしょうか?

質問4:「抗がん剤を最初にやってからイブランス」パターンでは、抗がん剤が効かなかった場合、ずっと抗がん剤になってしまうのでしょうか?

質問5:例えばある治療を行って骨に転移した部分が縮小して治療が効果ありとなっているのに他の臓器に転移することはありうるのでしょうか?

質問6:イブランスを長い間使うと耐性がついてしまう、しかし数ヶ月休薬すると耐性が消えて再び効くようになるという話を聞いたが本当でしょうか?
本当だとすればイブランスと別の薬を交互に使えば長期生存できるのではないでしょうか?

質問7:自分の場合は、(術後ホルモン療法やってましたがすぐ再発したほど)イブランス+フェソロデックスが最初は効いていたがだんだん効かなくなってしまった→ベージニオ+フェソロデックスに変更を検討、ですが効く可能性が高いですか?それともやはりもう抗がん剤を使用するべきでしょうか?
そもそも再発時に主治医は術後ホルモン療法が効いていなかったとおっしゃっていたため、当初はイブランス+フェソロデックスには懐疑的でした。
(最終的には半年ほどの効果があり、CT上でも一時はがんが消えていて主治医も「効いている」とおっしゃっていたのですが…)

質問8:自分の場合は腫瘍マーカーのうち、CA15-3の数値は敏感に乱高下するが、CEAはCA15-3ほど乱高下せず、手術前から今に至るまで3~10の間をゆるやかに行き来しているのですが、先生はどう評価しますでしょうか?

質問が多く、また質問がわかりにくくて申し訳ないのですが、よろしくお願いします。

 

田澤先生から 【回答3】

こんにちは田澤です。

「質問1:先生の記事を読ませていただくと「抗がん剤はTS1は効果と副作用のバランスが悪いから絶対に勧めない、ハラヴェンを勧める」というのが多いが、具体的にはどういうことなのでしょうか?
調べるとTS1はハラヴェンより効果が強いと聞きます。」

⇒誤り

 Eribulinは唯一、再発治療にて生存率を延長した薬剤です。
 しかも有害事象が驚く程少ない。
 TS-1と比べること自体ナンセンス(個人的感想)

「質問2:先生の経験上、最初に再発するまでの期間が短ければ短いほど、複数の臓器に転移しやすい(予後が悪い)のでしょうか?」
⇒一般論として

 DFI(disease free interval)が長いほど「大人しい」とは言えます。
 ただし、骨転移と内臓転移で意味が異なるので比べても仕方がありません。

「質問3:先生の記事を読むと、骨転移などのすぐに命に関わる場合でない治療で「抗がん剤を最初にやってからイブランス」パターンと「最初からイブランス」パターンがありますが、どのように使い分けているのでしょうか?」
⇒「術後補助療法で抗がん剤を用いているか?」や、「抗がん剤を嫌がっているか?
(患者さん自身が)」とか「骨転移の程度」など様々です。

「質問4:「抗がん剤を最初にやってからイブランス」パターンでは、抗がん剤が効かなかった場合、ずっと抗がん剤になってしまうのでしょうか?」
⇒効きにくければ、CDK4/6 inhibitorに替えてみることもあります。

「質問5:例えばある治療を行って骨に転移した部分が縮小して治療が効果ありと
なっているのに他の臓器に転移することはありうるのでしょうか?」

⇒「ありうる」が「頻度はかなり低い」

「質問6:イブランスを長い間使うと耐性がついてしまう、しかし数ヶ月休薬すると耐性が消えて再び効くようになるという話を聞いたが本当でしょうか?
本当だとすればイブランスと別の薬を交互に使えば長期生存できるのではないでしょうか?」

⇒考えすぎ

 現時点では(当院では)一番長い患者さんで3年近くになりますが、いまだ「底」が見えない(耐性はついていない)
 ★CDK4/6阻害剤は、(効けば)非常に長期間効果が継続することに驚いているのが実状です。

「質問7:自分の場合は、(術後ホルモン療法やってましたがすぐ再発したほど)イブランス+フェソロデックスが最初は効いていたがだんだん効かなくなってし
まった→ベージニオ+フェソロデックスに変更を検討、ですが効く可能性が高いですか?それともやはりもう抗がん剤を使用するべきでしょうか?
そもそも再発時に主治医は術後ホルモン療法が効いていなかったとおっしゃっていたため、当初はイブランス+フェソロデックスには懐疑的でした。
(最終的には半年ほどの効果があり、CT上でも一時はがんが消えていて主治医も「効いている」とおっしゃっていたのですが…)」

⇒「もう」抗がん剤という発想は私にはありません。

 おそらく、その主治医とは異なり
 私には「楽な治療」⇒「抗がん剤」という発想は全くありません。

 あくまでも「完全緩解」⇒「維持」のためにはどうすべきか?というビジョンしかありません。

「質問8:自分の場合は腫瘍マーカーのうち、CA15-3の数値は敏感に乱高下するが、
CEAはCA15-3ほど乱高下せず、手術前から今に至るまで3~10の間をゆるやかに行き来しているのですが、先生はどう評価しますでしょうか?」

⇒CA15-3の方が病状を鋭敏に反映しているということです。